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遊戯王GX 輪廻に囚われし赤

作者:ユキアン
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希望皇


「なんで遊矢だけが退学なのよ!!」

「ツァン、お願いだから傍で大声を出さないでくれ。傷に響く」

「あ、ごめんなさい」

闇の決闘をした翌日、保健室で治療を受けそのまま一晩を過ごしたオレは倫理委員会を名乗る女達に連行された。鮎川先生からは安静にする様にと言われているので車いすを借りて押してもらってきたのだが。連行された先では倫理委員会の偉い人と鮫島校長先生、それと主任のクロノス教授がモニターに移っている部屋で何でもオレが立ち入り禁止の旧寮に忍び込んで中を荒らした事になっており、証拠も何も無いにも関わらず倫理委員会から退学を言い渡された。鮫島校長とクロノス教授はオレを庇ってくれたのだが倫理委員会は無理矢理にでもオレを退学にしたいようだ。まあ、自分たちの失態を隠す為に必死なのがよく分かった。だが、オレもこの学園に来た目的を果たすまでは此所を離れるつもりは無い。そこで校長先生がここはデュエルアカデミアであり全てはデュエルで決めるべきだと言うデュエル万能論を持ち出してきた。オレとしてはデメリットは無いのでこれを承諾、倫理委員会もこれを承諾した事で1週間後に制裁デュエルが行なわれる事になった。しかし、ここで倫理委員会が再び無茶を言い出した。
こちらとしては制裁デュエルを行なわずに退学にしても良かったが退いたんだからルールはこちらで決めさせろと。
鮫島校長とクロノス教授はオレならなんとか出来るだろうとそれを承諾するも、向こう側からのルールを見て顔を真っ赤にして怒りだした。オレも内容を見せて貰うと怒りが込み上げてきた。ルールはTFルールのタッグ戦という条件だ。勝った場合は無罪放免、負けた場合はパートナーも退学。これを全校生徒に知らせた上で行なうということだ。しかも、これを見ると同時に校内放送で内容が流される。これでオレのパートナーを潰すつもりなのだろう。手の込んだ嫌がらせだな。
鮫島校長とクロノス教授に謝られながら頭の中でパートナーをどうするか悩んでいると保健室にツァンが飛び込んできて冒頭の一言だ。

「私がアンタのパートナーになる。文句は言わせないわよ」

「えぇ~」

「何が不満なのよ。皆あっちこっちで噂してて、何人かはこれで清々するなんて言ってるのよ。しかも負けたら退学。そんな状況でパートナーが見つかるって言うの」

「いや、ツァンがパートナーになるのは嬉しいけど、そんな簡単に決めていいのか?負ければ巻き添えで退学だぞ」

「私は負けるつもりは無いし、アンタが負けるわけないでしょ。それに持ってるんでしょ、六武衆の新しい力」

「……バレてるか。分かったよ。パートナーの件、よろしく頼む」

「それで良いのよ。それにしても、それでデュエルが出来るの?」

まあ全身包帯だらけでベッドに寝ているからな。実際の所大事を取っているだけだから問題無い。

「見かけだけだ。動いても問題無い。早速だがデッキ調整をするか」

「そうね。時間は出来るだけ無駄にしたくないし」

ツァンに一度保健室から出てもらいジャージに着替える。オレが着ていた服はボロボロで着れない事も無いが見栄えが悪いので捨ててもらった。それから二人でレッド寮……には向かわずに火山付近の車庫へ。生憎『真・六武衆』のカードはこちらに置いていたのだ。

「いつの間にこんなの作ったのよ」

「最近は一人で組み立てられるキットみたいなのがあるんだよ。それよりもこれが六武衆の強化系、『真・六武衆』だ」

「へぇ~、シンクロまで、あら?シエン?」

ツァンが興味深そうに『真・六武衆―シエン』を眺めている。

「『真・六武衆』は設定上、『大将軍 紫炎』の若かりし頃の紫炎とその仲間達だからな。おそらくだが、キザンは後の師範だ。効果とステータス的に」

「ふ~ん、これ、好きに使っていいの?」

「使い勝手とかのレポートを提出してくれるなら全部持って行っても構わない。オレの分は別にあるからな」

「そうなの?じゃあ、遠慮なく貰って行くわ」

「それから使えそうな汎用カードを今見繕っているから少し待っていてくれ」

「分かったわ。私は『真・六武衆』の効果を確認して構築を考えるから。それと、『真・六武衆』って『六武衆』扱いで良いのよね?」

「だから強いんだろうが。あっ、門を入れ忘れてた」

魔法カードの束の中から門が出てきたのでそれもツァンに渡す。ツァンはそれを見てデッキに3枚投入する。
それからしばらく使えそうなカードを何枚か新たに投入し、できれば使いたくない強力すぎる宝札を1枚だけツァンに渡す。それから何度かテーブルデュエルで微調整を繰り返し、I2社から発売予定のデュエルシミュレーターを使ってタッグデュエルを行ない、さらに微調整を繰り返す。それを数日行ない、今度は丸藤亮や明日香、ラーイエローのトップの三沢などに協力して貰い完成度を高める。そしてオレ達の対戦相手の情報は全く入って来ない。正確には最初に予定されていた人物と、それが急遽変更になった事だけは分かった。
一体誰が相手なのか分からないが大抵の相手なら勝つ事は難しくない。『終焉のカウントダウン』とか『天使パーミッション』とか『スキドレバルバ』じゃない限りは。









そして制裁デュエル当日、会場には全校生徒と教師が集っている。オレとツァンは舞台袖で待機している。デッキの調整は完璧で念のために切り札をエクストラデッキに忍ばせてはいるが使う事はおそらく無いだろう。
そう思っていたんだけどな。

「どうして貴方達二人が揃っているんですか?暇じゃないでしょう、特に海馬社長」

「ふぅん、何、貴様が退学になりそうになっていると磯野から聞いてな。オレ自ら調査に赴いただけだ。それに貴様には借りがあるからな」

「僕もリベンジの機会があるのなら是非ともやっておきたかったからな」

目の前に立つのは知らぬ者は居ない伝説の決闘者の二人、海馬瀬人と武藤遊戯。会場中が熱気に身を任せる中、隣のツァンはガチガチに緊張して固まっている。

「ツァン、落ち着け」

「お、おおお、落ち付けって言われても。あ、相手はあの決闘王と海馬瀬人なのよ。無理、絶対にかt「信じろ」っえ?」

勝てないと言いそうになったツァンの言葉を塞ぐ様に大声を出す。

「信じろ、自分のデッキを。この一週間の事を。何より、パートナーのオレを信じろ。オレはツァンの事を信じる」

ツァンの左手を右手で握りながら決闘王達に対峙する。

「此所に居るのは決闘王でもなんでもない、ただの決闘者が四人だ。ただそれだけだ」

「まさしくその通りだよ。君もいつも通りのデュエルを行なえば良い。僕と海馬君は今回は彼に対するリベンジの為に来てるんだ。僕らは君らに対する挑戦者さ」

「覚悟しろ遊矢。オレの青眼達で貴様を葬る」

遊戯さん達がディスクにデッキをセットして自動でシャッフルが行なわれる。そして5枚のカードを引き抜く。

「ツァン、オレ達が勝つぞ」

「……うん、絶対に負けない」

オレ達もデッキをセットしてシャッフル後に5枚のカードを引き抜く。

「「「「決闘!!」」」」

順番は、遊戯さん、ツァン、海馬社長、オレの順番か。

「僕のターンからだ。ドロー、僕はイエロー・ガジェットを召還。効果でデッキよりグリーン・ガジェットを手札に加える。そしてカードを2枚伏せてターンエンドだよ」

遊戯&海馬 LP8000 遊戯手札4

イエロー・ガジェット ATK1200
伏せ2枚

初手としては手堅いな。後ろの2枚はおそらく攻撃反応型の罠と召還反応型か?とりあえずは気にしておくが次はツァンのターンだ。

「私のターン、ドロー。よし、私は手札より真・六武衆―カゲキを召還」

「「真・六武衆!?」」

真・六武衆―カゲキ ATK200

「カゲキの効果発動、このカードが召還に成功した時手札からレベル4以下の六武衆と名の着いたモンスターを特殊召還出来る。私はチューナーモンスター、六武衆の影武者を特殊召還」

六武衆の影武者 ATK400

「また知らないカードが、まさか遊矢君のカードか」

「その通りだ。退学にはなりたくなかったからな。それに負ければパートナーも退学にすると言われれば本気を出すしか無いだろう」

「何?そんなルールになっているだと?」

「ええ、それも全校放送で生徒全員が知ってます。それを承諾の上で私は此所に居ます」

「……今は決闘に集中させてもらう」

海馬社長が急に不機嫌になった。この後、かなり酷い事になるんだろうな。

「えっと、続けます。レベル3真・六武衆―カゲキにレベル2六武衆の影武者をチューニング、シンクロ召還、真・六武衆―シエン!!」

真・六武衆―シエン ATK2500

「ならば罠発動、奈落の落とし穴」

「無駄よ。真・六武衆―シエンの効果発動、1ターンに1度、相手が魔法・罠カードを発動した時に発動出来る。その発動を無効にして破壊する」

「なんだって!?」

「更に、手札から魔法カード、ナイト・ショットを発動。相手の場のセットされている魔法・罠カードを1枚選択して破壊する。このカードの発動に対して選択されたカードは発動出来ない」

「くっ、和睦の使者が」

「やった、シエンでイエロー・ガジェットに攻撃」

遊戯&海馬 LP8000→6700

「カードを1枚伏せてターンエンド」

ツァン&遊矢 LP8000 ツァン手札2

真・六武衆―シエン ATK2500
伏せ1枚

六武衆の出だしとしては悪い方だな。結束も門も張れていないし、シエン1体だけでは海馬社長の前では持たないだろうな。
伏せは、六武派二刀流か。それならシエン1体だけなのが分かる。

「オレのターンだ。手加減などする気は無いぞ!!オレは手札よりサイクロンを発動し、伏せカードを破壊する」

「通すわ」

「ほう、六武派二刀流か。更に手札より永続魔法未来融合を発動、オレはエクストラデッキのFGDを選択する。シエンで止めるか?」

「それも通す」

「ならばデッキより伝説の白石を3枚、ホルスの黒炎竜LV6を2枚墓地に送る。そして墓地に送られた伝説の白石の効果発動。デッキより青眼を3枚手札に加える。そして魔法カード古のルールを発動」

「それは、通す」

「ならばオレは手札より青眼の白龍を特殊召還する。手札より滅びの爆裂疾風弾を発動する。青眼が場に居る時、相手の場のモンスターを全て破壊する」

「シエンの効果で無効にするわ」

「当然だな。だが、これでシエンは恐ろしくない。オレは手札から融合を発動。3体の青眼を融合。現れよ、青眼の究極龍よ!!」

青眼の究極龍 ATK4500

出たな総攻撃力半分の残念龍。効果も無いただのバニラだから恐ろしいとは思わないな。

「究極龍でシエンを攻撃、アルティメットバースト!!」

「きゃあ!!」

ツァン&遊矢 LP8000→6000

「カードを1枚伏せてターンエンドだ」

遊戯&海馬 LP6700 海馬手札0

青眼の究極龍 ATK4500
未来融合
伏せ1枚

状況は悪い様に見えるが、手札からすれば十分反撃は可能だ。できればこのターンで決着を付けたいが海馬の伏せ次第だな。

「オレのターン、ドロー。よし、永続魔法六武衆の門と六武衆の結束を発動。手札から真・六武衆―シナイを召還。これにより門に2つ、結束に1つの武士道カウンターが乗る」

真・六武衆―シナイ ATK1500
六武衆の門 武士道カウンター 0→2
六武衆の結束 武士道カウンター 0→1

「続いて手札より、真・六武衆―ミズホを特殊召還する。ミズホは場にシナイが居るとき手札から特殊召還出来る。再びカウンターがそれぞれに乗る」

真・六武衆―ミズホ ATK1600
六武衆の門 武士道カウンター 2→4
六武衆の結束 武士道カウンター 1→2

「そして門の効果を発動。自分の場にある武士道カウンターを4つ取り除く事で自分のデッキ・墓地から六武衆と名の付いたモンスターを手札に加える。オレは結束から2つ、門から2つカウンターを取り除き、デッキより真・六武衆―キザンを手札に加える。そしてキザンと師範を特殊召還。キザンと師範は自分の場に六武衆と名の付くモンスターが居るとき手札から特殊召還出来る。更に場に自分以外の六武衆が2体以上居るときキザンの攻撃力は300アップする。再び乗ったカウンターを取り除き2枚目のキザンを手札に加え特殊召還」

真・六武衆―キザン ATK1800→2100
六武衆の師範 ATK2100
真・六武衆―キザン AT1800→2100
六武衆の門 武士道カウンター 4→2→6→4→6
六武衆の結束 武士道カウンター 2→0→2→0→1

「更にミズホの効果発動、1ターンに1度自分以外の六武衆と名の付いたモンスターをリリースする事でフィールド上に存在するカード1枚を選択して破壊する。オレはシナイをリリースして青眼の究極龍を破壊する」

「おのれ!!またしても究極龍を破壊するか!!」

「耐性も無いモンスターなど恐ろしくもないわ!!更にリリースしたシナイの効果発動。このカードがリリースされたとき、自分の墓地に存在するシナイ以外の六武衆と名の付いたモンスター1体を手札に加える。オレはカゲキを手札に加える。このターンは此所までか。バトルに移る。師範でダイレクトアタック」

「リバースカードオープン、攻撃の無力化。このままバトルフェイズを終了させる」

「ならカードを2枚伏せてターンエンド」

ツァン&遊矢 LP6000 遊矢手札1

真・六武衆―ミズホ ATK1600
真・六武衆―キザン ATK2100
六武衆の師範 ATK2100
真・六武衆―キザン ATK2100
六武衆の門 武士道カウンター 6
六武衆の結束 武士道カウンター 1
伏せ2枚

やるだけの事はやったが、相手は決闘王の遊戯さんだからな。この状況も簡単にひっくり返されるんだろうな。

「僕のターンだ。ドロー、手札より強欲な壷を発動、更に天使の施しを発動。更に埋葬呪文の宝札を発動。埋葬呪文の宝札でドローしたワタポンを特殊召還するよ。さらにデッキの一番上のカードを墓地に送り墓地からグローアップ・バルブを特殊召還する。2体のモンスターをリリースしてモンスターをセット」

「ここで最上級モンスターをセット?不味い!?セットにチェーンしてリバースカードオープン。和睦の使者とサイクロン。未来融合を破壊する」

「気付かれたか。さすがは東雲君だ」

「態々この状況でセットするカードなんて貴方のデッキから考えれば切り札のあの一枚なんでしょう」

「そうだね。行くよ、手札より魔法カード太陽の書を発動。僕の場に存在する裏側守備表示のモンスターを表側攻撃表示に変更する。現れよ、破壊竜ガンドラ」

破壊竜ガンドラ ATK0

「破壊竜ガンドラの効果発動、ライフを半分払いフィールド上のこのカード以外のカードを全て破壊して除外する。デストロイ・ギガ・レイズ!!」

遊戯&海馬 LP6700→3350

ガンドラの全身から紅いレーザーが放射されガンドラ以外のカードを撃ち抜いていく。除外された枚数はオレの場の4体のモンスターに門と結束の計6枚。

「そしてガンドラの攻撃力はこの効果で破壊したカードの枚数×300分だけアップする」

破壊竜ガンドラ ATK0→1800

「このままバトルと行きたいけど、和睦の使者で意味が無いね。カードを2枚伏せてターンエンドだ。そしてガンドラは召還・反転召還されたターンのエンドフェイズに墓地に送られるけどセットは召還じゃない。さらに太陽の書によるリバースは反転召還でもないつまりガンドラはフィールドに留まる」

遊戯&海馬 LP3350 遊戯手札1

破壊竜ガンドラ ATK1800
伏せ2枚

不味いな。地味に不味い。ライフはそこそこ残ってるが、ツァンの次は海馬社長だ。それに圧倒的だった場を一気にひっくり返された事でツァンの心がまた折れかかっている。このままでは負けるな。

「わ、私の……ターン」

ツァンの手がデッキトップで止まる。色々な感情がツァンの手を止めているのだろう。遊星達も時折そんな状況に陥る事があった。そんな時、オレが出来る事は何時も一つだった。

「ツァン」

「……遊矢」

「カードを信じろ。お前が最善だと思う事を為せ。オレが傍に付いててやる」

オレが出来る事、それは信じて一緒に運命を共にすることだけだ。それで負けて死ぬ事になろうとも後悔はしない。むしろオレの命を盾にパートナーの命だけでも救ってきた。リベンジして勝ってくれる事を祈りながら。さすがに平行世界にだけは死ぬか制限時間を過ぎないと飛べないからどうなるか分からないんだがな。今回は負けても退学なだけなのでそこまで、そういえばツァンに取ってはかなり重要だよな。最終学歴が高校中退になるんだから。いや、来年受験し直すか転校すれば問題無いんだけど、それでも重要だな。その時は責任を取るか。

「……後悔しないでね」

「するかよ。そもそもツァンが居なければ今この場に立っていたのかも分からないんだからな。だから、ツァンが思うままにしてくれれば良いさ」

「そう、分かった。私のターン、ドロー!!」

ツァンが勢いよくドローする。引いたカードは

「魔法カード、強欲な壷を発動!!2枚ドロー、天使の施しを発動!!3枚ドローして手札を2枚墓地に送る。更に魔法カード、天の落とし物を発動、お互いのプレイヤーは3枚ドローして手札を2枚墓地に送る」

一気に手札交換と墓地肥やしを行なったか。墓地に送ったのは、イロウ、ニサシ、ザンジ、六武式三段衝か。遊戯さんは、ブラックマジシャンとサイレント・ソードマンLV5か。ツァンは何を手札に加えた?

「私はザンジを召還、更にキザンを特殊召還。そしてバトル。キザンでガンドラを攻撃」

キザンとガンドラが相打ちとなりフィールドから消え去る。

「そしてザンジでダイレクトアタック」

「リバースカードオープン、ガード・ブロック。ダメージを無効にしてカードを1枚ドローする」

「カードを2枚伏せてターンエンド」

ツァン&遊矢 LP6000 ツァン手札0

六武衆―ザンジ ATK1800
伏せ2枚

「オレのターンだ、ドロー。オレは命削りの宝札を発動。手札が5枚になる様にドローし、5ターン後に全ての手札を墓地に送る。行くぞ、オレは魔法カード龍の鏡を発動!!墓地の青眼3体を除外して融合、再び舞い戻れ究極龍よ。さらに魔法カード次元融合。ライフを2000払い、お互い除外されているモンスターを可能な限り特殊召還する。現れよ青眼達よ」

遊戯&海馬 LP3350→1350
青眼の究極龍 ATK4500
青眼の白龍 ATK3000
青眼の白龍 ATK3000
青眼の白龍 ATK3000

「なら、私は師範とキザンを2体とミズホを守備表示で特殊召還」

真・六武衆―ミズホ DEF1000
真・六武衆―キザン DEF500
六武衆の師範 DEF800
真・六武衆―キザン DEF500

「そして2枚目の龍の鏡を発動する。墓地の究極龍とカオス・ソルジャーを除外して融合。現れよ究極竜騎士!!」

究極竜騎士 ATK5000

出た。DM史上最強基本攻撃力の5000を持つモンスター。そして効果によって攻撃力は更に増す。

「究極竜騎士はオレの場にいる自分を除くドラゴン族1体につき攻撃力が500ポイントアップする。オレの場には4体のドラゴン族がいる。よって攻撃力は2000ポイントアップ!!」

究極竜騎士 ATK5000→7000

「バトルだ。青眼の白龍と究極竜で守備表示の雑魚共を粉砕!!」

次元融合で特殊召還された六武衆達が4体の青眼の攻撃で吹き飛ばされる。

「そして究極竜騎士でザンジに攻撃!!」

「罠発動、六武衆推参!墓地からシエンを守備表示で特殊召還」

「それがどうした、攻撃を続行!!」

「きゃああああああああ!!」
「ぬあああああああああ!!」

予め凄まじい衝撃が来るのが分かっていたので、それからツァンを守る為に傍に駆け寄るが、闇の決闘でもないのに攻撃力の高さから二人して吹き飛ばされる。

遊矢&ツァン LP6000→800

「うぅ、ザンジの効果で究極竜騎士を破壊するわ」

二人で支えあいながら立ち上がりザンジの効果を処理する。

「構わん。メイン2、ライフを800払い、早すぎた埋葬を発動。究極竜騎士を蘇生させる」

遊戯&海馬 LP1350→550

「シエンで無効に」

「ならば死者蘇生だ。そしてターンエンド。エンドフェイズにシエンは破壊される。どうだ東雲、貴様の手札はカゲキ1枚で伏せカードも1枚あるだけ。そしてお前は宝札を嫌う癖がある。どうせそのデッキにも入っていないのだろう。入っていたとしても埋葬呪文の宝札だろう。今度こそオレ達の勝ちだ」

遊戯&海馬 LP550 海馬手札0
青眼の究極龍 ATK4500
青眼の白龍 ATK3000
青眼の白龍 ATK3000
青眼の白龍 ATK3000
究極竜騎士 ATK7000

「……それはどうかな。ドローするまでもなくこの決闘は既にオレ達の勝ちだ」

「何だと!?この状況でそんな事が出来るなど、奇跡など存在しないのだぞ」

「確かにな。だがな、奇跡は存在しなかったとしても希望はある。オレのターン、ドロー!!これで更にオレ達の勝利は決定的になった」

海馬社長の言う通り、このデッキには宝札は入っていない。だが、ツァンが肥やしてくれた墓地と残してくれたこのカードがあれば勝てる。使う予定はなかった切り札を今解き放つ。

「リバースカードオープン、究極背水の陣。ライフが100になる様にライフを支払い、墓地から六武衆と名の付くモンスターを可能な限り特殊召還する。ただし同名カードは1枚までだ。オレはシエン、キザン、ザンジ、イロウ、ニサシを特殊召還」

遊矢&ツァン LP800→100
真・六武衆―シエン ATK2500
六武衆―キザン ATK2100
六武衆―ザンジ ATK1800
六武衆―イロウ ATK1700
六武衆―ニサシ ATK1000

「今更そんなモンスターを並べてどうする。まさか、アレを使う気か。だが、その組み合わせでは不可能のはず」

「お察しの通りだ。だが、見せたのが全てだと思うな。オレはレベル4のキザンとザンジでオーバーレイ!!」

オレの宣言と共にキザンとザンジが光の玉となって飛び上がる。同時にオレのフィールド上に銀河を連想させる渦が姿を現す。

「2体のモンスターでオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召還!!」

渦に光の玉が飛び込み、白と金の柱が渦から姿を現す。オレはエクストラデッキから黒い縁のカードを取り出しディスクに乗せる。白い柱が変形を始め、やがて騎士の姿となる。

「現れろ、No.39 希望皇ホープ!!」

No.39 希望皇ホープ ATK2500

「やはりエクシーズ召還か」

「自分の場に同じレベルのモンスターが2体以上居る時、そのモンスターを素材としてエクストラデッキからそのレベルと同じランクのモンスターを呼び出す。そして素材となったモンスターは墓地には行かず、オーバーレイ・ユニットとなってエクシーズモンスターをサポートする」

「だが、ホープの攻撃力は青眼にも劣るぞ。そしてホープの効果はオーバーレイ・ユニットを取り除く事で攻撃を中断する事が出来るだけ。それでどうしようと言うのだ」

「慌てるな。オレはイロウとニサシで二体目のホープをエクシーズ召還する」

No.39 希望皇ホープ ATK2500

「ここからが、ペガサス会長にすら見せていないエクシーズ召還の可能性の一つだ。オレは希望皇ホープとそのオーバーレイ・ユニットをエクシーズ素材としてオーバーレイ・ネットワークを再構築!!」

オレのフィールドに再び渦が現れ、ホープがその中に柱の状態で飛び込む。オレはエクストラデッキから新たな黒い縁のカードを取り出し、ホープの上に重ねる。

「カオス・エクシーズ・チェンジ!!」

渦の中から白い部分が黒く染まった柱が姿を現す。それが変形して黒くなったホープが姿を現す。

「エクシーズの可能性の一つ、CNo.39 希望皇ホープレイ!!」

CNo.39 希望皇ホープレイ ATK2500

「くっ、カオス・エクシーズ・チェンジだと!?攻撃力に変化は無いようだが、エクシーズ・ユニットが一つ増えている。ホープの分か」

「その通りだ。CNo.39 希望皇ホープレイは光属性レベル4を3体によるオーバーレイ、またはNo.39 希望皇ホープをカオス・エクシーズ・チェンジする事によってエクシーズ召還出来る。そして希望皇ホープレイの効果発動!!ライフが1000以下の時、オーバーレイ・ユニットを一つ取り除く事で相手モンスター1体の攻撃力を1000下げる事が出来る。オレはオーバーレイ・ユニットを3つ取り除き、究極竜騎士の攻撃力を3000下げる」

究極竜騎士 ATK7000→4000

「馬鹿め、焦って対象を間違えたか」

「どうせなら一番強いモンスターを倒して勝ちたいだろう。さらに希望皇ホープレイは自信の効果によって取り除いたオーバーレイ・ユニット1つにつき攻撃力が500ポイントアップする」

CNo.39 希望皇ホープレイ ATK2500→4000

「バトルだ。CNo.39 希望皇ホープレイで究極竜騎士に攻撃!!」

「相打ちだと!?」

「いいや、オレはNo.39 希望皇ホープの効果を発動。オーバーレイ・ユニットを1つ取り除きCNo.39 希望皇ホープレイの攻撃を無効にする」

「さっきから何をしているのだ。そんな事をして何になる」

「こう言う事だ。手札より速攻魔法ダブル・アップ・チャンスを発動!!モンスターの攻撃が無効になった時、そのモンスターを選択して発動出来る。そのモンスターはもう1度だけ攻撃が出来、ダメージステップの間、攻撃力が倍になる」

「なんだと!?」

「行けぇ、ホープレイ。究極竜騎士に攻撃、ホープ剣・カオス・スラッシュ!!」

CNo.39 希望皇ホープレイ ATK4000→8000

「またしても負けると言うのかーーー!!」

ホープレイが両手に持つ剣と背中に担いでいる大剣を使い、究極竜騎士を切り捨てる。

遊戯&海馬 LP550→0

会場が静まりかえる。誰もが何も言えない中、オレは宣言する。

「オレの、オレ達の勝ちだ!!」

途端、会場中が大歓声に包まれる。

「や、やった〜〜〜!!」

ツァンもようやく理解したのか喜びながらオレに抱きついてきた。

「勝った、勝てたんだ。私達あの伝説の決闘者に」

あまりの興奮に自分が何をしているのかも分かっていないんだろうな。まあ、役得だから何も言わないが。しばらくするとようやく正気に戻ったのか顔を赤くしてオレから離れる。

「いい決闘だったね」

タイミングを計っていたのか、遊戯さんが近づいてきて握手を求めてくる。

「ええ、いい決闘でした」

握手に応えると今度は海馬社長がやってくる。

「まだ隠し事があったようだな。あとでレポートを回せ」

「分かってます。その前にここの倫理委員会の詳細に関してのレポートを鮫島校長に預けてあります」

「すぐに磯野に取りにいかせる」

「そうして下さい。かなり腐ってますよ。おそらく賄賂とかも握らされてるはずです」

「ちっ、手間をかけたな。後日正式な謝罪の品を持って来させる」

「オレは構わないんでツァンの方にお願いします。最初にも言いましたが、退学を覚悟してまでオレのパートナーになってくれましたから」

「分かっている。オレはこれで帰るぞ」

コートを翻して立ち去ろうとする海馬社長が足を止め、ツァンの方を向く。

「貴様の名は」

「え?」

「名を聞いているのだ」

「えっと、ツァン・ディレです」

「その名、覚えておこう。凡骨よりは強かったぞ」

そう言って今度こそ海馬社長は会場から去っていく。

「相変わらずだね、海馬君は。ツァンさんだったね。僕も君の事は覚えておくよ」

遊戯さんもそう言って海馬社長の後を追う様に会場から出て行く。

「……え?私、どうしちゃったの?」

「伝説の決闘者二人に認められたんだよ。また出会う機会があればリベンジを挑まれるだろうし、たぶんペガサス会長にも知られただろうから冬休みにでも会いたいとか言われるだろうな。まあ、簡単に言えばデュエル界で一気に有名になるってことだな」

「ええええええええええ!?」

ツァンの驚く声も会場の喧噪の中に消えていく。
これからのツァンの人生は大きく変化するだろうな。今回の事もあるし、出来るだけフォローしようとオレは心に誓う。
 
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