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紅き少女

作者:架代
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序曲その2

唐突に現れた二つの人影

彼らは少女を守るように異形の前に立ちはだかった

ふたりとも黒いコートをまとい、
その姿は悪魔を追い払う宗教職そのものだった

ひとりはロングコートの少年
フードを深々と被って背を向けているため
顔は見えなかった

もうひとりは黒い髪を左右に分けてくくっている
――所謂ツインテールで東洋風の顔立ちの少女だった

「大丈夫?怪我はない?」
ツンテールの少女が駆け寄ってきた

「は…い……」
まだ乱れる息を切らしながら
かすれた声で少女は返事を返す

ツインテールの少女は彼女の言葉に
ほっと安堵する

そして「立てる?」と手を差し伸べた

「はい……」と少女は手を取り
何とか立ち上がって顔を上げた

目の前では少年が異形と戦っていた
その現実離れした戦いに
ただただ少女は目を見開いて言葉を失った

少年の左手が何か大きな棒状の武器に変化し
それを異形に向かって薙ぎ払う

そして高く跳躍し
次の技を繰り広げようとする相手を
頭から下まで真っ二つに切り裂いた

激しい動きにフードが
頭からずれて少年の素顔がのぞく

白髪の髪
顔の左半分に赤い模様が刻まれている
左目下の逆さペンタクルが一際目を引いた
彼の容姿を一言で何かに例えようとするならば
『道化師』だろうか

少年の着地から数秒間を開けて
切り裂かれた異形がドサッと重い音をたてて落てきた

二つにされた異形はまったく微動せず
傍から見れば大きなガラクタの残骸だった



 
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