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IS《インフィニット・ストラトス》~星を見ぬ者~

作者:白さん
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第二十四話『衝撃《ストライク》再び』

放送で呼ばれ、第三格納庫へとやって来たスウェン。扉を入ると格納庫内は暗く足元が見えない。ぶつからないように明かりを灯す為のスイッチを探そうとする。


「こうも暗いと危険だな……?」


するとある場所だけにライトが当てられる。そこには腰に手をあてニコニコと笑顔な束が立っていた。


「ふっふっふ~待っていたよスーくん! そして待たせたねスーくん!」

「その様子だと改修は完了したようだな」

「もちろんだよ! そうでなきゃこうしてスーくんを呼ばないからね。それじゃあ、修復アンド改造が完了したストライクの姿をごらんあれ!」


束が右側の方を指差すとライトが灯る。そこには一機のISが鎮座していた。

そこにあるのは確かにストライク。だが外観が所々違う。胴体の色は暗色に染められ、両肩にはスラスターの様なものが追加。両腰にはアーマーシュナイダーを格納していたホルスターはなく、ハンドガン型の武装が装備され、頭部のアンテナとマスクのダクトにも変更点が見られる。スウェンはそのストライクに歩み寄る。


「束……一体これは……?」

「あまりの変わり様に驚いたかい、スーくん。このストライクは今までのスーくんの戦闘データを元に、装備の変更とサブスラスター等の追加によって機動力を上昇させた全く別次元のストライク! その名もストライクT(たばね)スペシャル!」

「その名前だけは却下しておこう」

「えー」


ぷくっと頬を膨らませて不満を見せる束。


「あーそれと、エールストライカーをちょっと改造したんだよ」

「エールを?」

「うん、エールを素体にその機動力とソードの近接性能、ランチャーの火力を混ぜて、更に格闘寄りに特化させた新しいストライカー!」


ストライクの背後に二対の大型のウィングが搭載されたストライカーが現れる。ストライカーはそのままストライクに装備されると、装甲の色が白から黒を基調とした配色に変化した。それにともない、スウェンの表情が僅かに変わる。何故なら、その姿こそスウェンがMSのパイロットとして最後まで搭乗していた機体。GAT-X105E+AQM/E-X09S“ストライクノワール”そのものだからだ。


「驚いたでしょ! このストライクはストライカーによって、装甲の色が変化するという面白い機構を追加したのだ! 因みにその新ストライカーの説明なんだけど……」

「必要ない、もうこれが何なのか理解した」

「早い!? スーくんいくらなんでも早すぎるよ!」

「……」


驚く声を上げる束を尻目にスウェンは無言のまま、ノワールから視線を外さない。束は思い出したように


「そうそう、ランチャーとソードなんだけど、ストライクをすっかり別物に改造しちゃったから、色々不具合ができて装備出来なくなっちゃったから、改良してから持ってくるから待っててね」

「……ああ」


ストライクの方を向いていたスウェンは束の方を向き手を差し出す。


「ストライクをこれ程までに仕上げてくれて感謝する。俺はお前を誤解していた。束、お前は素晴らしい技術者だ。俺はお前のような技術者に出会えたこと、光栄に思う」


きょとんとした表情をする束。すると満面の笑みへと表情が変わり、スウェンの手を取る。


「うんうん! スーくんにそう言って貰えるなんて束さん凄く感激だよ! 何かあれば直ぐに言ってね! 束さんが何でも聞いちゃうから! それと束さんは何時でもスーくんの味方だからね!」


手を放し、くるっと方向転換すると


「今からラボに戻って、ランチャーとソードの作業してくるから! またね! スーくん!」


全速力で走り抜け、一瞬にして姿が見えなくなってしまった。スウェンはもう一度ノワールの方へ向きなおし


「まさか、お前と再び会うとはな……運命というものは解らんものだ」


そう呟く。


「カルバヤン」

「教師織斑」


格納庫の入り口から千冬に声を掛けられるスウェン。


「先程束が全力疾走で駆け抜けて行ったのだが……何だったんだ?」

「自分には全く」

「そうか……どうやら、ストライクが戻ったみたいだな。SHRも終わった、第二グラウンドに向かえ。早急にだ」

「了解」


千冬が格納庫から出て行くのを見届け、スウェンはノワールに触れ待機状態にする。左腕に装着された腕輪は以前の黒のカラーに加え、灰色のラインが追加されていた。「よし」とスウェンは呟き、着替える為に更衣室へと向かった。





/※/




「そういえば、IS学園にもう一人男の人居るんだよね?」


シャルルはそんな質問を一夏に問いかけていた。


「ああ、スウェンっていう奴なんだけど朝放送で呼ばれたっきり戻ってきてないな」

「そうなんだ。どんな人なの?」

「なんて言うのかな……基本無表情で、口数少なくて第一印象少し悪いけど、本当は友達思いで優しい奴なんだ。シャルルも直ぐに仲良くなれるよ。けど、訓練の時だけはマジで鬼みたいで――ヘブッ!」


一夏は突然後頭部に衝撃を受けた。何かと思い、後ろを向くと明らかに手刀を構えていたスウェンが居た。


「誰が鬼だ。ならば鬼らしくもっと過酷な訓練にしてやろうか?」

「え、遠慮しておきます……」


スウェンはロッカーを開け、横目でシャルルの方を見る。


「お前か、先程廊下でクラスメイトが騒いでいた三人目というのは」

「え? あ、えっと、フランス代表候補生のシャルル・デュノアです。これからよろしくお願いします」

「俺はドイツ代表候補生、スウェン・カル・バヤンだ」

「ドイツ?」

「……どうした?」

「そう言えば、僕と一緒に転校してきた娘もドイツから来たような……」

「何?」


手を止め、シャルルの方を見るスウェン。


「そうだった、スウェンちょっと聞きたいことがあるんだけどさ」

「何だ?」

「ラウラ・ボーデヴィッヒって娘知ってるか?」

「!?」


まさかこの場所でその名前を聞くことになるとは思わなかったスウェンは、一夏でもわかる位に驚いた表情を見せる。


「何故その名前を?」

「そのドイツから来たのがラウラ・ボーデヴィッヒって娘でさ、スウェンなら何か知ってると思って」

「……時間が無い、さっさと着替えるぞ」

「へ? うわ! 確かにヤバイな! 直ぐに着替えようぜ!」


一夏は焦った声をあげ、制服のボタンを上から一気に外して行く。一方のスウェンには焦りが見えず、何時もどおり制服を脱いでいく。


「わあっ!?」


上半身裸のスウェンと一夏を見て妙な声をシャルルは上げる。


「シャルル、早く着替えたほうがいいぞ」

「織斑の言う通りだ、一組の担任は時間に厳しい……遅れても良い事はないぞデュノア」

「う、うん。き、着替えるよ? でも、その、あっち向いてて……ね?」

「別に着替えを見る趣味はない、織斑があるかどうかは知らんが」

「いや、俺もないから!」


スウェンの言葉に全力で否定する一夏。そしてそれぞれ背を向けながら着替えを開始する。そんな中、スウェンは


(ラウラ……だと? ドイツから来たというのだからラウラで間違いないか……これはどうなることやら)


少しばかり妙な胸騒ぎがするスウェンだが、今はそれを振り払い着替えを続けるのであった。

 
 

 
後書き
こんばんは、雷電です。

つぶやきにでもありましたが、この作品でオリジナルのストライカーを出そうと考えてまして、私の方で二個くらい考えたのですが皆様からもお知恵を借りたいのです!

ストライカーの名称、形状、武装等を私の方にメッセージで送っていただければと思います。こんなストライカーがあったら良い、というのがありましたら送ってください!応募待っています! 
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