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ヘタリア大帝国

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TURN60 義兄と義妹その七

「そしてワシントンもだ」
「陥落あるな」
「あの星系もある」
「そうなるだろう」
 皇帝はこう自身の祖国達に話す。
「最早ガメリカには戦力も人材もいないからな」
「けれどこの前あの大統領のところに行って話をしたあるが」
 中国妹が困惑を隠せない顔で自身の上司に話す。
「大統領は勝てると確信しているある」
「あの状況でか?」
「そうある、何でもガメリカには秘密兵器があるそうある」
「あの国は確かに恐ろしいまでの技術を持っているが」
 皇帝もこのことは知っている。それで中国妹の話は聞いた。
「しかし」
「それでも向こうの補佐官も言っているある」
「あのマンハッタンという科学者もか」
「だから何かあるのは間違いないあるよ」
「そうか。だが」
「だが、あるか」
「やはりガメリカは負けるだろうな」
 皇帝は腕を組み微妙な顔になって述べた。
「最早どうしようもない」
「万歳爺はそう思われるあるか」
「攻勢の用意はそのままだが」
 これはこのまま置いておけというのだ。
「だが日本外務省に水面下で連絡を取れ」
「講和あるな」
「その条件なら文句もない」
 占領されている領土と捕虜達の無条件の返還、賠償金の放棄と太平洋経済圏への中帝国への参加の約束、ガメリカに対してもそうだが敗戦国への要求ではなかった。
 だから皇帝もこう言うのだった。
「朕も喜んで受けたい」
「ではあるな」
「ガメリカが敗れたならば即座に講和だ」 
 これが中帝国の決定だった。
「そして朕はだ」
「万歳爺は?」
「どうするあるか?」
「どうも今回の戦争で疲れた」 
 その顔に実際に疲労の色を見せて中国兄妹に話す。
「講和の後は議会を作り政治をやらせよ」
「ガメリカの様にあるか」
「そうするあるか」
「戻って来るであろうリンファとランファを左右の宰相に任じる」
 そして実際の政を二人に任せるというのだ。
「そうするとしよう」
「そうあるか」
「そうされるあるか」
「その方がこの国にもよいであろうな」
 皇帝はこうも言った。
「だからそうしよう」
「では万歳爺はこれからは国家の象徴あるか」
「そうなるあるか」
「少なくとも今の朕の体調では難しい」
 確かに顔色がよくない、一連の戦争での疲れが明らかだ。
 国家元首として敗戦が続くと精神的に参る、今の皇帝がそうだった。
「そうせよ。よいな」
「では講和の後は」
「その様に」
「祖国子も妹子も太平洋軍で頑張るのだ」
 皇帝は二人の背中も押した。
「おそらく朕はそなた達がいないと暴君になっていただろう」
「それは」
「何となくわかる。宮中で宮女や宦官に囲まれてばかりではな」
 どうしても甘やかされそうなってしまうというのだ。
「しかしそなた達に幼い頃から色々と接してもらい教えてもらったからな」
「それは当然のことあるが」
 彼の祖国である中国にすればだというのだ。
「それでもあるか」
「そうだ。そなた達には感謝している」
 皇帝は微笑んで中国達に述べた。
「ただ」
「ただ。何あるか?」
「そなた達は本当に幾つなのだ?」
 皇帝は前から疑問に思っていることを彼等自身に問うた。
「原始の八国はそれぞれ相当な年齢だが」
「まあそのことはある」
 中国は何故か皇帝から視線を逸らして話した。 
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