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リリカルなのは~優しき狂王~

作者:レスト
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第二十七話~ロストカラーズ・黒の騎士団~

 
前書き

少し遅れました。
過去話を書く事に難しさを感じている作者です。
構成上どうしてもセリフが少なくなってしまうのですがご了承いただければと思います。
あとそれなりに作者の自己解釈も含まれていますのであしからずm(_ _)m
 

 



 夕日に染まるアッシュフォード学園の中庭をルルーシュと生徒会長であるミレイ・アッシュフォードは歩いていた。そこで二人は気付く。中庭にボロボロの格好で倒れる銀髪の男が倒れていることに。
 初め、それを見たルルーシュは警察につき出すことを提案するがミレイがそれを却下し保護することとなった。
 その保護された男は翌日に目を覚ます。

ライ「うっ………?」

 目を覚ますとそこは見覚えのない部屋。そして手当てされている自分の体を確認した銀髪の男、ライは混乱していた。自分が気を失った後、何が起こったのか考えようとしたところでその部屋の扉が開かれる。
 部屋に入ってきたのはアッシュフォード学園生徒会のメンバーたちである。ライは彼らからこの学園に倒れていたことを聞かされた後、自分が名前以外の記憶を失っていることを話す。それを聞いたミレイはライに記憶が戻るまでこの学園にとどまることを提案する。
 最初は迷惑がかかるとライは渋ったが結局は厄介になることになる。そして記憶を探す手伝いとして、生徒会に所属するカレン・シュタットフェルトがライに付き添うことになる。
 そしてそこからライのアッシュフォードでの生活が始まる。
 始めそれを見ていた機動六課のメンバーは、記憶のない人形のようなライを見て自分達の知っているライと本当に同じ人物なのかと思っていた。
 そしてライにとってはこれからの自分を大きく左右する少女に出会う。それはルルーシュの妹、ナナリー・ランペルージ。最初はぎこちなく会話する2人であったが、ライの雰囲気がルルーシュに似ていること、そしてライは自分の失った記憶を刺激することから次第に仲良くなっていく。
 ナナリーの存在で徐々にではあるがライは感情を表に出すようになっていく。それを見ていた六課の内の何人かは、ライの見たことのないような安心している笑顔を見て胸がチクリと痛んだ。悔しかったのだ。ここにいることで本当の安らぎをライが手に入れられていないことに。

 場面は変わり今度はライとカレンの2人が記憶探しのために新宿ゲットーを訪れている場面であった。破壊され放置されるかつての街。それを見ていたカレンは悲しみを浮かべ、ライは表現しにくい感情を抱いた。
 2人がそのまま帰ろうとしたとき、突如銃声が響く。それは黒の騎士団が発起したことでブリタニアに反旗を翻そうとするテロリストの起こしたものであった。逃げる2人。しかしナイトメアによる戦闘のためすぐに戦場の方が2人に追いついてくる。
 被弾したナイトメアが倒れこみ、その拍子に瓦礫が2人に向かって飛んでくる。

ライ「カレン!」

カレン「え?きゃっ!」

 ライはカレンを庇いそのまま2人は倒れこむ。怪我の有無を即座に確認しライは倒れ込んできたナイトメア、無頼を確認し始める。無頼が使えることを確認すると、2人はその無頼に乗り込み戦線の一部を突破し難を逃れた。
 その時、ライの操縦を見ていたカレンはライのことが気になっていた。

 それから数日後、ライは街中を歩いているときにC.C.と出会う。
 ライは彼女を見ると何かに突き動かされるように後を追う。その理由はライにも分からなかった。だが彼女は自分を知っているような気がしたのだ。
 追いついたライはC.C.と話し合う。そこでライは知る。自分の力“ギアス”について。どこか興味深そうにC.C.はライを眺めていたが、

C.C.「今日はここまでだ。」

と一言いってさっさと帰ってしまった。
 その数日後、ライはカレンに呼び出され新宿ゲットーを訪れる。そこでライは黒の騎士団である紅月カレン、そしてゼロと出会う。ライの高い能力が評価され黒の騎士団に勧誘されたのだ。
 その誘いに対してのライの答えは“YES”。黒の騎士団としての活動も自分の記憶を取り戻す切っ掛けになると考えたのだ。
 そこではやてはあることを思い出す。ライははやて達に「自分が日本人とブリタニア人のハーフであるために黒の騎士団に入った。」と説明していた。しかしこれを見る限りまだハーフであることが判明していないのに入団している。

はやて(………嘘やったんか?)

 その言葉がはやての脳裏によぎる。それは自分たちを信用できなかったからの嘘なのか、それともライが自分たちに信用してもらうための嘘なのか、どちらに対しての言葉なのかはやて自身も分かっていなかった。

ライはその日アッシュフォード学園の生徒会室にいた。そこには他にルルーシュとスザクもいた。その2人は黒の騎士団についての話を行っていた。
 ルルーシュは必要悪としての肯定を示し、スザクは原則として規則を破ることになる彼らのやり方を否定した。2人の意見は平行線を辿りスザクはライに意見を求める。

スザク「ライ、君はどう思う?」

ライ「………今のイレブン、日本人が求めるのは黒の騎士団のような組織であると僕は思う。」

スザク「それは何故?」

ライ「スザクが言ったように規則を守り正しく変えていくのには時間が掛かる。その間に命を落とすかも日本人に『今変えているから待ってくれ』とは言えないだろう。」

スザク「それは……」

ライ「だけどスザクの考え方も否定しない。」

スザク「え?」

ライ「スザクのように変えようとする人間がいなかった場合、日本人が国を取り戻した時に立場が逆転したブリタニア人と日本人の間で同じことが起こる。だけど変える苦しみと現実を知った人間がいるのなら、その人が同じ過ちを繰り返させないために何かをしようとする。それを繰り返すことでその考えが広がる切っ掛けになるかもしれない。世界を変えるってそういうことじゃないかな?」

ルルーシュ・スザク「……」

ライの意見を聞いた2人は何か思うところがあったのか、各々考え始める。ライは自分が邪魔になると思うと生徒会室をあとにした。
 ルルーシュとスザクの会話を聞いていた六課のメンバーはどちらの意見も正しく聞こえた。だが局員としてはスザクの意見を肯定しなければならないが気持ちとしてはルルーシュの意見を尊重したかった。ある種の正答のない問題に彼らは複雑であった。

 ライが入隊し最初の任務が始まる。
 初任務は違法薬“リフレイン”の取引場所を襲撃することであった。
 作戦が始まり、ナイトメアを預けられたライとカレンは取引場所の工場に突入する。そこにいたのは犯罪者とグルになっている警察の所持するナイトメア、ナイトポリスであった。

ゼロ「腐ってやがる!」

 ゼロは誰にも聞こえないぐらいの声で呟く。しかしそれはその場を見た者の気持ちの代弁でもあった。
 ライとカレンは辛くも敵ナイトメアを無力化し作戦を成功させる。
しかしカレンにとってそこには受け入れるべき現実が存在した。その場所にはリフレインにより過去の自分を幻視していたイレブン、否、過去を夢見る日本人達がいた。その中にカレンの日本人の母親がいたのだ。
 娘であるカレンからの冷たい対応やイレブンとしての扱いを受けようと、彼女は過去にしたカレンとの約束。「ずっとそばにいる」という約束を守るためにカレンのそばに居続けたのだ。その結果、リフレインという薬に手を出し自分の決意を保存し続けることになった。
 真実を知ったカレンはこれまでの自分を悔いて、この世界を変えることをこれまでよりも固く決意する。リフレインの副作用により言葉や刺激に反応しなくなったのが原因で入院することになった母親の病室でカレンは告げる。自分の決意と本心を。

母「頑張れ…………頑張れ、カレン……私の娘………」

カレン「!……うん………私、頑張る…」

 喋れる筈のない母からの言葉にカレンは涙を流す。
 六課のメンバーの内の何人も涙を流しその光景を見ていた。カレンの母の姿を見て、スザクとルルーシュの意見を思い出し、これが変えるための苦しみだとするならやはり正しいのは黒の騎士団ではないのかと思う人も多くいた。

 それから数日後、黒の騎士団の団員が増えていき大きな組織になろうとしていた時にゼロから成田への遠征が行われることになった。
 目的地の成田連山には日本解放戦線の本拠地が存在し、そして遠征の日はコーネリアの軍がその本拠地に対し奇襲をかける日付と同じであった。作戦が始まり、状況を理解した黒の騎士団のメンバーはゼロにその不安をぶちまける。だがそこでもゼロは冷静に部下に言い放つ。

ゼロ「メシアでさえ、奇跡を起こさなければ認めてはもらえなかった。ならば我々にもそれが必要だろう。」

玉城「奇跡は安売りなんてしてねぇーんだよ!お前にリーダーは無理だ!俺こそが―――」

 そこでゼロは銃を部下である玉城に向ける。その場にいた他の面々はゼロが玉城を殺すと考えたがその考えは否定される。手にした銃を差し出すようにしてからゼロは再び言葉を放つ。

ゼロ「この状況で私抜きで生き残れるというのなら、誰でもいい私を撃て!」

 唖然。その言葉しか見つからないような表情を皆は見せる。

ゼロ「黒の騎士団に参加した以上、選択肢は2つ。私と生きるか、私と死ぬかだ!」

 誰もがゼロの覚悟を感じ驚いている中、ライだけは冷静に分析していた。

ライ「すごいな。」

 ライはゼロの組織の底上げの仕方に感心していた。絶望の中から生き残ることの難しさを理解しながらも、生き残った時の戦士としての成長は大きな役割を果たす。
 その後、ライとゼロがそのことについて2人で話し、お互いの能力を認め合うと作戦が始まった。
 追い込むコーネリア軍と追い詰められる日本解放戦線。その戦闘が終盤にさしかかろうとしていた時に戦局が変わる。黒の騎士団の本体はコーネリアの捕縛を、そしてライは単機で敵の別働隊の陽動を始める。
 地下水脈を水蒸気爆発させることで山を崩し敵の大半を潰す。敵が混乱する間に目的を果たす奇襲作戦。それがゼロの作戦であった。
 その作戦は見事に成功し、カレンの新しい機体である紅蓮弐式の功績もありゼロはコーネリアを追い詰める。ライの方も敵ナイトメア六機を単機で殲滅するという戦果を挙げた。
 ここまで見ていた六課メンバーはゼロの効果的な作戦やライの操縦技術に驚いていた。しかし本当の意味での驚愕はここからであった。
 ブリタニア側のユーフェミアが状況の打破として打った一手はランスロットの投入。それは功を奏しコーネリアの捕縛を見事に阻止した。
 そこから始まるのは現時点で最高性能を誇るランスロットと紅蓮弐式の戦闘。

スバル「………凄い。」

 その凄さを一番理解していたのは、おそらく戦闘方法が似ていたスバルである。
ランスロットが初めて戦闘した時とは違い。今回は一対一、さらに能力がお互いに拮抗しているからこそ分かる苛烈さ。
 高速で流れるようなマニューバ。スピードを殺さずに叩き込む一撃。全てが予想を遥かに上回る攻防。それを目にしたフォワードメンバーは今までの陸上戦闘の常識を覆された。

あれは本当に人が操縦しているのか?

何故あんな動きができるのか?

本当に操縦桿を操作するだけであの動きができるのか?

 疑問は浮かび上がる。しかしその疑問の回答は至極単純だ。『できるから。』それ以上の回答など存在しない。

 戦闘が終了し、黒の騎士団は組織としての強さを手に入れ、ブリタニアはこの戦闘での敗北を味わった。

 ここから世界はさらに加速していく。



 
 

 
後書き

と言う訳でナリタ攻防戦まででした。

これからまた忙しくなるので投稿が遅れることもあると思いますが一週間に一本ペースを維持できるように頑張ります。

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