異世界では詐欺師が勇者をやっていますなんてよくある咄(はなし)だよねぇ?
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
始まりのお伽噺
第一章
第一話 詐欺師は勇者としてよびだされたようです。
前書き
どうも、初めまして災悩人と自称しているものです。
暁さんでは初めての投稿となります。
どうぞよろしくおねがいします。
目を覚ましたら見たこともない天井でした――なんてよくあるはなしだよねぇ?
いやいや、生憎これが嘘ではなかったりするから大変なんだよ。
現実、リアル、ボクらが生きる素晴らしき世界。
これが夢だったり、何かしらのイベントならまだいいんだけど。
しかし、残念ながらボクは見ることができるような夢とか、イベントに誘ってくれるような人脈とか一つとして持ってないんだよね。
いや~参ったね、天涯孤独な人生で幕を終えるつもりだったんだけど、こんなにも素晴らしいサプライズをしてくれる知人がいたとは驚きだよ。驚き過ぎてだんだんと飽きてきたから早いところ自宅に戻してもらいたいところなんだけど。
困ったね。
と、だんだんと自分の心の中だけで独り言を呟くのが辛くなってきたので、寝返りを打ってみることにした。
う~ん、何とも言えない新鮮な肌触りがするベットだなぁ~と思っていたら石畳だったよ。
変に寝違えていなければいいけど。
ではなく。
明らかにおかしいね。薄々は気づいていたけどさ。
流石に石畳を使っている部屋で寝たことなんてないなぁ~。
石畳を使っているところなんて精々博物館とか美術館とか史跡跡とか、あとは城ぐらいかな?
そういえば友人の家には石畳が敷かれている地下室があったっけ。
でも、さっき見上げた天井があそこまで離れてはいなかったと思うんだよなぁ。
それこそ教会みたいに床から天井まで距離があったからな。
「どうでもいいけど、焼きそばが食べたい気分」
さてと、いい加減現実逃避はやめようか。
「――気づかれたか」
さっきっから、ボクを囲んでいったい何がしたいのかなぁ?――君たちは。とは、もちろん口に出さない。
観察観察。
寝返りを打ったことにより周りの状況がよく見渡せる。
一、二、……約十人程度。まあ、それぐらいなら大丈夫かな。人数的には問題ない。
「どうしたのだ?もう、目が覚めているのだろう。なら起きるがよい」
おっとっと、急かされちゃった。
声はちょうど背中の方から聞こえる。声の質的に女性の方のようだ。
まあ、このまま寝過ごして済ますわけにもいかないし。起きるとしますかね。
「よっこらせっ!!とっ!」
ボクはパーカのポケットに手を突っ込んだまま跳ね上がるように飛び起きた。
あからさまに周りの人はどよめいて、先ほど声をかけてきた人も踊ら気に声を漏らしていた。
まあ、いきなりあんな起き方をされたら困っちゃうよね?
そんな他人事は気にしないけど。
そして、高くなった視線から改めて周りを見渡し、一瞥する。
そこにはいろんな人がいた。現代では見られないようなローブを纏っている人や、中世ヨーロッパで貴族が着ていたような服を着ている男性、極め付けは鎧の甲冑に兜をつけ腰には両手権を携えている人だ。
まず日本ではないな。
ていうか、現代かどうかも怪しい。
タイプスリップして中世ヨーロッパにでもとんだかな?
心当たりがあるから恐ろしくリアリティがあるんだけど。
まあいいや。
今のところはあまり関係ない。
こうしてみると周りにいるのはほとんど男性だった。
鎧をつけている人たちは誰もが筋骨隆々といったごつい体格をしている。
――ちょっとまずいかな。
寝ていたとはいえ、完全武装して体格がいい男性たちに囲まれているというのはあまりよろしい状況ではない。
ボクは、冷静さを装って注意をその鎧を着ている男性たちへ向け、今度は部屋全体を観察した。
広いな。それが最初に浮かんだ感想。
豪邸とか、さっきも言ったが教会とか、そんなレベルの広さがある。
少なくとも一般のサラリーマンが住んでいるような家ではい。
いや、まあ、住んでてもいいけどさ、サラリーマン。不景気だけど頑張れ。負けるな。不景気だけど頑張れ。負けるな。
しかし、古臭いな。次に浮かんだのはそんな感想。それに、暗い。
ていうか、よく見れば照明器具などは一つとしてなかった。
産業革命以前の時代とか。そんな印象。
窓から入る日光の明かりだけを頼りとして生活しているようだ。
そうなるとガスとか水道とか、そういったライフラインは期待できそうにないな。
段々と自分がどのような立場に置かれているのかが理解できていく。
あまり喜べるような立場ではなさそうだな。
都会っ子のボクには少しばかり厳しい。
考察はさておき、もっと細部にまで目を凝らしていく。
かなり大きめな木製の扉、無駄に装飾がされてきらびやかになっている壁や床、そしてあの立派そうで豪華そうで雄大そうで威風堂々っといった感じの雰囲気がする絢爛豪華な椅子。
……玉座かな。
ローマ教皇が座ってツイートしてそう。
とにかく偉くて立派な部長程度じゃあ座れそうにもない椅子だ。せめても係長クラスまでは登り詰めないと掃除すらさてくれそうにもない。
いや、別に企業でたとえただけであって他意はないよ?ホントほんと。
鎧、中世ヨーロッパ、玉座、サラリーマン。いろいろな思考がボクの頭の中を駆け巡る。だが、どれもこれも現実味のない御伽話のような絵空事ばかり。一つ言えることがあるとすれば、ボクが住んでいたところとは全く違うようだ。
再び言うけど、ボクは都会っ子だ。都会で生まれて、都会で育って、都会で生きてきた。
こんな空間はまるで異世界だ。……いや、『まるで』じゃなくて異世界そのもの?
まさか――
「目覚めてそうそう、混乱しているところすまないが、この世界のために力を貸してくれぬか」
背後から声をかけられる。さっきもボクに声をかけていた女性の声だ。
そういえば、まだ顔を見ていなかったな。いったいどんな女性なんだろうか?
できるだけエロイ人がいいな。とか、そんなことは結構どうでもいい。
問題はその女性がボクにかけた言葉だ。
『世界のために力を貸してくれ』
いや、どういう意味?
ボクの中では既に答えは出ているが、今まで生きてきた所謂常識というものがその可能性を否定する。
しかし、戸惑っている心と対照的に体はスムーズに動く。
振り返り、前を見つめる。
そこには、燃え盛る炎のような真紅を基調とし所々黒と暗い紫色のラインが入ったドレス着て、色とりどりの指輪やイアリングやネックレスやティアラを身に着け、まるで大胆不敵という言葉はこの人のために生まれてきた言葉じゃないかと疑ってしまうくらいに、其れこそ玉座に相応しい堂々とした出で立ちで、シニカルな笑みを浮かべながらボクを見つめる――一人の女性がいた。
その容姿は、絶世の美女そのもの。手入れのいきとおっているであろうその艶やかな赤髪はドレスによく似合っていて、赤髪と同じ色をしたその瞳は見つめるものを焼き尽くさんとばかりにぎらぎらと強い輝きを放つ。スタイルはよく引き締まったそれでいて出るところは出ている、見るものを引き付ける妖美な雰囲気を出している。
見たところ僕よりも年下の二十歳になっていない年齢なはずなのに、美少女とはとても口が裂けても言えない。精神年齢が高いとか、大人びた格好をしているとか、背が高いとか。そんな理由がなくとも美女と言わざる負えない容姿だった。
彼女の姿に完全に目を奪われながら、しかしポーカーフェイスを気取ってどうにか表面に出さないように気を付けて、次の行動を待つ。
注意深く観察をしながら。――ああ、もちろん周りの人たちの観察だけどね。
「異界の者よ、この世界を救うために我々の国の勇者となってくれ」
「無理です」
即決した。
ヤバい。
完璧に狂ってる。
いやいや、何言ってんだこいつ。
詐欺師のボクに勇者を頼むとか、どういうことだい?
この日から、ボクはあろうことか世界のため誰かのために生きていくことになる。
それにしたって、突拍子もなさすぎるだろ、これ。
後書き
お粗末さまでした。
この作品は小説家になろうさんのところで書いていたものを改稿して、全く別の小説に仕立て上げてあものです。
出来れば小説家になろうの方ものぞいてみてください。
あ、ユーザー名は鬼無里です。
ここまでお読みいただいてありがとうございました。
ページ上へ戻る