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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第2章:おてんば姫とチャラ王の冒険
  第11話:偽者現る!……ぶっちゃけどうでもいいけどね。

(テンペ村-フレノール)
リュカSIDE

勝手な誤解が俺を良い人へと押し上げた。
面倒だし、好都合だし、否定も肯定もしない。
間違えた奴等が悪いんだ!

だが俺への評価は兎も角、アリーナ達は確実に強くなっている。
『暴れ牛鳥』というヘンテコなモンスター相手に、圧倒的な戦い方で勝利を収める。
ブライがラリホーで眠らせ…眠らなかったヤツはクリフトのマヌーサで惑わせ、トドメはアリーナの素早い一撃だ。

寝不足の俺は最初(はな)っから手伝う気など無く、サクサク次の町まで進んで行ける。
テンペの連中が言うには、山を下りれば直ぐにフレノールの町だそうだ…
早く行ってベッドで眠りたい……でも美女が居たら……う~ん、迷うね!

迷った時は歌うに限る!
ギターを弾きながら『TRUE LOVE』を歌えば、眠気も覚めるし敵も来る。
そして強くなりたガールが目を輝かせ跳ね回る……花柄パンツ見えてるよ。

リュカSIDE END



(フレノール)
ブライSIDE

いい加減にしてほしいもんだ…
手伝わないのは良いとしても、歌うのは控えてほしい。
とは言え姫様の為にと言われれば、こちらは黙るしか出来ない…何とも厄介な旅である。

それでも何とか日が暮れる前に、フレノールの町へと辿り着いた。
朝から宴会に道中の絶え間ない戦闘と疲れもピークに達している我々は、脇目も触れず宿屋へと足を運ぶ。

だが…何やら宿屋前が町人達で賑わっておる。
一体何事であろうか?
それとなく人々に尋ねてみると…

曰く『サントハイムのお姫様が宿屋にお泊まりになっている』との事…
遂にお忍びの旅もバレてしまったのだと思い、城へ帰る事を提案しようとしたら…
『先程、宿屋のテラスからお顔が見えたのですが、やはりお美しいんですね』と不思議な事を言う女子(おなご)が数名…

まだ宿屋に入ってもいないのに、テラスから顔が見えたとは…一体どういう事であろうか?
しかも本人(アリーナ姫様)を目の前にして、全く騒ぎ出さないとは…
姫様・クリフトと顔を見合わせ考え込む。

「ちょ、退いてよ。僕はもう眠いんだ!」
困っているワシ等を無視して、リュカのヤツが勝手に人垣を掻き分け宿屋へと進んで行く。
コイツ本当に身勝手じゃな…


「こんちわー、部屋を4つお願いします…大至急ね!」
宿の者達がてんてこ舞いしているとこ、全く気にする様子も見せず部屋を確保しようとするリュカ…
主人らしき人物が、嫌そうな顔をしながら近付いてくる。

「申し訳ございません…本日はサントハイムのお姫様がお泊まりになるので、一般の方は宿泊出来ません」
「はぁ? 何でよ!? 姫様が泊まるったって、たかが数人でしょ! この宿屋は、そんなに部屋数が少ないの? ド田舎の旅館だって、10人程度は泊まれるぞ!」

「へ、部屋数の問題ではございません! 姫様の安全を考えて、お付きの方達以外は宿泊させない事にしたんです!」
「馬鹿じゃねーの!? 安全に宿泊したいのなら、こんな安宿屋には泊まらないよ…つーか、そんなにビビッてんなら城から出るなつーの!」

「何と言われましても他の方を宿泊させるつもりはございません!」
「姫さんが『私達以外の者は宿泊させるな!』って言ってるの?」
「違います。当宿の配慮でございます!」

「………分かった…じゃぁ直接姫さんに交渉してくる。お前等の所為で一般の客が迷惑しているって言ってくる。もし直接交渉して、それでも僕等を泊まらせてくれなかったら、僕は世界中でこの事を言い触らすね!『この国の王族は税金を取るだけ取って、国民の事を顧みず我が儘ばかり言う連中だ!』ってね…この町の名前も、この宿屋の事も織り交ぜて世界中で言い触らす!」

そこまで怒り口調で言い切ると、勝手に客室の方へと歩き出し、サントハイムの姫と呼ばれている連中を捜しに言った。
そんなリュカの行動を見た宿屋の主人は、慌てて後を追い止めようと試みるが、ヤツは素早く進んで行ってしまった。
ワシ等もサントハイムの姫と呼ばれている連中の事が気になり、リュカの後を追う様について行く。


急いで2階へ上がると、宿屋の主人が固まっているのが目に入った。
近付き視線の先を見てみると……

「おっと動くなよ…サントハイムの姫は預からせてもらう。後を追ってきたら、姫さんの命は無いぞ!」
と言う台詞と共に、裏口から逃げて行く黒ずくめの一団と、若い女性が1人………
何事だ?

「リュ、リュカ…一体何事なんじゃ?」
「知らね…ここに来たら黒のがいっぱい居て、女の子を連れ去ってった…」
全然分からん……

ブライSIDE END



(フレノール)
クリフトSIDE

どうやら姫様(私とブライ様を含む)のフリをしていた者達が居り、そしてその所為で偽姫様が攫われた様だ。
人々を謀り姫様の名を騙ったから天罰が当たったんだろう…

本来ならば王家の名を騙った事を我らも罰せねばならないのだが、今は身分を秘匿せねばならぬ身…
気付かぬフリをして偽者共に話を合わせなければならない。
少なくとも無関係な宿屋の主人には、彼等が偽者である事を我らから言ってはいけない。

その主人はというと…
青ざめた表情で慌てて町の自警団本部へ駆け込んでいった。
小さな町の自警団程度で、これ程の大事件は解決出来ないだろうが、行動としては妥当であろう。


「あ~あ…あの()攫われちゃったね。そこそこ可愛かったから勿体ないなぁ…」
アリーナ様の名を騙るのだ…あの程度の容姿は最低ラインであろう!
しかし“勿体ない”とはどういう意味だ?

「お、おい…お前等…身形からして旅の者か? そこそこ出来そうだし、お前等もメイの……いや、姫の救出に赴くのだ! 見事救出したら、たんまりと褒美を取らせようぞ!」
偽者の分際で何を言うか!
しかも“褒美”をチラつかせねば物も頼めぬとは…

「ヤダよ…褒美なんかいらないし。それより僕は眠いんだ! 姫さんが居なくなって君達この宿屋を占領する必要が無くなったんだろ? 空いてる部屋を使わせてもらうから」
こう言う時はリュカさんの言動が楽しく感じますね。

「キサマ! 我らの姫様が攫われたのだぞ…その救出を断るとは、サントハイム王家より厳罰を下す事になるぞ!良いのか!?」
「別に…下せるのなら下せよ! 偽者の分際で偉そうな事言うな。話合わせてやってんだから、大人しく消えろよ!」

「な、何を根拠に我らを偽者と言うか!」
リュカさんの爆弾発言に、偽ブライ様が目を泳がせて抗議する。
見てて楽しいのは何故であろうか?

「うるせーな……1週間も待っていれば、王都から救出隊が大挙して訪れる。それを待っていれば、お前等が本物なのか偽物なのかはハッキリするだろう。その時お前等が本物だと分かったら、僕の事を罰せれば良いし、姫さんの救出もそいつ等に任せれば良い…ただ、お前等が偽者だと知れたら、町の人々はどんな反応をするだろうか?」

不機嫌な表情から一転し、身も凍る様な笑顔を見せるリュカさん…
そんな彼の笑顔を見た偽者共は、血の気の引ききった顔で震えている。
普段の行動がアレなので少し侮っていたが、リュカさんは怒らせると怖いのだろうか?

「「も、申し訳ございませんでした!!」」
突如、偽者二人が土下座で謝ってくる。
二進も三進も行かぬと悟り、許しを請いに出た。

「どうか我らが謀っていた事は、町の人々にはご内密にお願いします!」
「そしてどうかお願いします。メイを…姫様と間違われて攫われたワシの孫娘を、どうか助けてやって下さいませ!」
若い男(偽者の私)と老人(偽者のブライ様)が、冷笑を浮かべるリュカさんに必至で助けを乞うている。だが、本来謝るのであれば、我らにこそではないのだろうか?

「さっきも言っただろ…イヤだって! お前等の事なんか知るかよ。僕は寝るんだ…その邪魔をするなよ」
何とも無体な言葉を残し、空いた部屋へと入って行くリュカさん…

流石にそれは酷すぎるんじゃないですか?

クリフトSIDE END



 
 

 
後書き
リュカさんは、この時代に来てからまともに寝てません。
サントハイムでは城近くの森の中で野宿だった為、熟睡は出来ず…
サランでは宿屋で運動会をしていた為、一睡もせず…
テンペまでの道のりは野宿で、仲間の強さに信頼を持てず…
そしてテンペでは、わざわざサランまで舞い戻り運動会!
本気で眠くて機嫌が悪いよ。 
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