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SAO<風を操る剣士>

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第一部 --SAO<ソードアート・オンライン>編--
第六章 《圏内事件》
  第39話 ガールズトーク

 
前書き
少し投稿が遅くなってしまいました。すいません。
それと、やっぱり良いタイトルが浮かびませんでした。

※現在1話から順々に話の書き方を修正中です。
修正といっても話の内容を変えるわけではないのでそのまま読み進めても大丈夫です。
前書きに『■』←このマークがあれば修正完了で、『□』←このマークがある場合修正中、なければ修正前ということでよろしくお願いします。 

 



 第十五層の森の奥、前にシリカとも来た温泉に俺は今来ていた。
 その温泉を通り過ぎて、さらに進んで行って20分ほど歩くと――
「お、あそこだ!」
 ――大きな家があった。

 俺はすぐに家の入り口の前に立ち、プレイヤーハウス購入ウィンドウを出す。
『購入金額:30万』と出たので――クリスマスのシリカに結婚する前に、マイホームはシリカに黙って買おうと具現化して隠していたのと、それから同じようにこつこつ貯めていたコルを一回ストレージにしまい、打ち込む。
 ちなみに、シリカにバレないように宿に隠してあったものを、ここまで具現化して持ってきた。シリカに夫婦になって共通になったコルのストレージを見られたら気付かれるからな。

 俺はシリカに結婚を申し込む時、シリカがOKを出してくれたらいつかマイホームは買おうと思っていた。なのでホワイトデーのお返しと去年の誕生日プレゼントなども含めて、この家を今日買うことに決めた。
 この家は、前に温泉に来た後に一人でもう一回入ろうと思い、シリカが寝た(あと)来た時に、暗くて迷っていたら偶然見つけた。

 調べてみると素晴らしく――SAOで珍しい和製の家で加え、前入った温泉より少し小さいけど温泉も付いていて、近くに小さな村があるから圏内の中だ。さらに何回も使えて層の入り口につながっている回路結晶……つまり、十五層のある所からこの家の前まで簡単に移動できるようになるのだ。
 まあ、そうでもしないとこんな転移門から歩いて一時間……いや、道で運悪く待たされたらもっとかかる家なんて、買う人はいないだろうな……。

 けど、いくら見つかり(にく)い所にあるからと言っても、ここまで大きくて良い家で30万は少し安い。けどそれには理由があった。
 金額を打ち込み、OKボタンを押すと『購入にはクエストを受けてもらいます。よろしいですか?』というメッセージが現れたので、OKを再び押す。このクエストが安さの理由だ。

 予め近くの村のNPCから聞いた情報道理、金額を打ち込んでクエストの内容は……『モンスターを倒せ』の一文(いちぶん)だけ。
 まったく、どれ位のモンスターを倒せばいいんだろうなぁ……と思っていたら、後ろから『ドォーン』と大きな音がしたので振り返ると、そこには――大きなゴリラがいた。
 …………やっぱりシリカに《蘇生アイテム》渡しといて良かったかも……まさかボス級が来るとは……
「……とはいっても、やるしかないよな……はぁ」
 ため息をつきながらも、俺の足は大きなゴリラへと向って行った。

 ――ここまで来たんだ。やってやる!

 そう思い、向っていく足に勢いを付けた。



=====================



「あれ? シリカ、その持ってる宝石みたいなの何?」
 シュウさんが出て行ってから、あたしとリズさんは再びテーブルに座りなおして、お茶でも飲むことにした。
 そうしたらリズさんがお茶を用意しながら(コーヒーも)、シュウさんのHPを気にしながら、何があっても良いように握っているあたしの手にある《蘇生アイテム》の事を聞いてきた。
 こんなに心配しながらあたしがこのアイテムを持っているのは事実……なので、今さらリズさんに嘘を言ってもしょうが無いので正直な事を言う。

「プレイヤーを蘇生させられるアイテムです」
「えっ!? それって、HPが0になっても生き返れるってこと!!?」
「はい……でも、十秒以内ですけど……」
「いや、それでも凄いって! な、なんでそんなレアアイテム持ってるのよ!」
「そ、それは……な、内緒ということでお願いします」
 テーブルから身を乗り出して聞いてくるリズさんに、あたしは勢いにされながらも言った。
 流石(さすが)にどうやって手に入れたなどを話していたら、色々とマズイ事があるかもしれないので、黙っている事にした。キリトさんとかの事も話すことになるかもしれないし……黙って話したら、キリトさんに悪いと思うしね。

 すると、リズさんが椅子に座りなおして改めて聞いてくる。
「ふ~ん、まあ良いんだけどね。……でも、なんでそれをずっと手に持ってるの?」
「お兄ちゃんにもしもの時があったら、すぐに使うためです」
「へぇー……でもシュウの奴、そんな危ない所に行くようには感じられなかったけど?」
「はい、分かってます……あたし一人の心配だって……。でも……もし前みたいな事になると思ったら心配で……」
 今でも思い出すだけで怖くなる。……いや、シュウさんが目の前で死ぬ――つまり二度と会えなくなくなってしまうということは、もしかしたら前より自分の思いが届いた今となっては怖く、もっと考えたくないかもしれない。

「前みたいに……って、何かあったの?」
 急にリズさんが真面目な口調であたしに聞いてきた。
 その声で、あたしは自分が無意識の内に《蘇生アイテム》を強く握り、(けわ)しい顔をしていたことに気付く。
 でも『お兄ちゃんは前に一度死んじゃったんです』なんて、いくらリズさんにでも流石に言えないので、
「な、なんでもないです。気にしないで下さい」
 話を誤魔化(ごまか)した。
「……まあ、シリカが話したくないならムリには聞かないけど……。でも、それにしたってシュウは(しあわ)せ者よね」
「……なんでですか?」
 リズさんがあたしの話を聞かないといった後、ため息をつきそうな声で言ったので気になって聞き返した。

「だって、シリカにこんなに心配してもらえるなんて……幸せ者以外ないでしょ?」
「そ、そりゃあ「兄妹なら当然ですよ――って、シリカが言うのは分かってるわよ」……ならなんで聞いたんですか……」
「いや、前から少しシュウのいない所で一度聞きたかったんだけど、あたしが言いたいのは――いくら兄妹でも、仲良すぎなんじゃない? ……ってこと」
「えっ、そうですか?」
 そうなんだろうか? あたしには兄妹がいなかったので良く分からないのだけど……リズさんたちの前では兄妹を演じているから(クセになっている為)、そこまでには見えないはず――
「だって、頭撫でられて嬉しそうにしてたりしたことあるじゃない」
 ――無いとは言いきれなかった。

「あ、あれはお兄ちゃんが勝手に……」
「いーや、あたしにはシリカがばっちり嬉しそうにしてるように見えたわよ」
「そ、そんなこと……」
「あたし……シュウがシスコンで、シリカは大変だなぁ――って何回か思ったことがあるんだけど、最近は違うと思ったのよね。……最近は――シリカも実はブラコンなんじゃないのかな、って思い始めたのよ」
「………………そ、そうなんですか」
 あたしは何とか言葉を口から出し、そう言った。
 シュウさんが『シスコンって言われると、地味に傷つくんだ……』と前に言っていたけど、今その気持ちが良く分かった。

 あたしはブラコンなんかじゃなくて、普通に一人の異性としてシュウさんが好きなんだけど……あまり自分でもこの気持ちは良く分からず言葉に出来ないので、今リズさんの誤解を解いたとしても、多分上手く説明できない。
 なのであたしは、
「ねえ、どうなの? 実際、シリカはシュウのことどう思ってるの?」
 と、ガールズトークのノリで聞いてくるリズさんに、どう返事するか迷った。

 そして、あたしが困りながら何も答えずにいると、リズさんは質問を変えてこんな事を言ってきた。
「じゃあ質問を変えるけど――もしあたしがシュウと付き合いだしたとしたら、どう思う?」
「そんなのイヤに決まってますっ!!! ……あ、いや……その……べ、別にリズさんが嫌というわけじゃ……って、リズさんハメましたね!」
 条件反射のように即答してしまった後、リズさんに悪い事を言ってしまったと思い謝ってしまったが――謝ってる途中に、あの質問がリズさんの思惑道理(おもわくどうり)だった事に気付く。
 あの質問でリズさんは、あたしの反応を見てシュウさんの事をどう思ってるかを知ろうとしたのだ。
 あたしは見事に誰でも……多分、相当鈍い人意外(例えばシュウさんとか)分かるような反応をしてしまい、その恥かしさと気持ちが知られたことで顔がだんだん熱くなっていく。
 赤くなるとますます肯定してしまう……と、考えれば考えるほど顔が熱くなっていって、そんな顔を見られたくないので、あたしは下を向く事にした。

 でも、下を向いたのはさらに逆効果だったらしい。
「……い、いやー、まさかそんなに本気で返事を返されて、さらにはテレるとは思わなくて…………ごめん」
「……謝らないで下さい。こっちが勝手に自滅しただけですから」
「で、でもさ。ま、マジで今の反応だと……その……好きな男の人をつい言っちゃった――みたいな反応だったんだけど……本当に好きなの?」
「えっと……その……な、なんというか……その……」
「……や、やっぱり、そうなんだ」
 兄弟ということになっているので、こうやって(しばら)くあたしがどう答えて良いのか迷っていたら――この反応を肯定とリズさんは(とら)えてしまった。
 ……まあ、あたしがシュウさんを好きなのは事実なのだけども……。やっぱり『兄妹』として思われてるはずなので、色々マズイ気がした。

「り、リズさん、誤解してますけど……」
「だ、大丈夫よ、シリカ。あたしはあんたたちのことを……」
「聞いてください、リズさん! あたし達は本当の兄妹じゃありません!」
「……応援……って、へっ!?」
 あたしの出した大きな声に、リズさんは驚いたように言葉を止める。
 な、なんとかこれで誤解は――
「ということは……シリカ達って『義兄妹』なの!?」
 ――わけの分からない事になってしまった。

 でも、このSAOに来てからシュウさんはあたしの中で『お兄ちゃん』になっているのも事実なので、
「そ、そうなんです。……だ、だからお兄ちゃんとあたしは、本当は結婚だって出来るんですよ!」
「そ、そうなんだ……」
「そうなんです! な、なので恥かしいのでこの話はここまでということで! え、えーと……それよりも、リズさんはあたしとお兄ちゃんのレベルが知りたかったんですよね!」
「え……あ、うん……」
 あたしとシュウさんを『義兄妹』ということにして、強引に話を()らした。

 関係ないけど、前にシュウさんに『シリカって、少し俺に似てきたな』と言われて、ぜんぜん実感無かったけど……今の話の()らしかたってシュウさんに似てたかもしれない。
 そんな事を頭の片隅で考えながら、あたしはリズさんに自分のレベルを言う。
「あたしのレベルは81で、お兄ちゃんのレベルが84です」
「……は? えっと、シリカ……もう一回言ってくれる?」
 あたしとシュウさんのレベルを聞いたリズさんは、さっきまで話を逸らしたことで頭が回らなくなっていたのか半分ほど(うわ)の空だったけど、急に真顔に戻って聞き返してきた。

「あたしが81で、お兄ちゃんが84です……もしかして、平均に届いてませんでしたか?」
「いや、3人の時の平均は72だからギリギリ大丈夫だけど……。あたしが聞き直したのは、シリカたちのレベルが予想以上に高かったからよ!」
「そうなんですか? でも、あたしたちにこのお願いをしてきたって事は、大体あたし達がコレくらいだって思ってたんですよね?」
「聞いてからアスナにでも四人目をお願いするつもりだったのよ。まさか3人で大丈夫になるなんて思って無かったわよ!」
 そ、そうだったんだ。危なかった~、もしアスナさんと一緒だったら、どうなってただろう? もしかしたら、シュウさんがリズさんのお願いを断ってたかもしれない。……断らない確立の方が高いけどね。

「そ、そんなに驚く事ですか? リズさんはあたし達が《フィールドボス事件》の犯人だって知ってるじゃないですか」
「そうなんだけど、それでも改めて聞くとね。…………なんか今日は、シリカ達が《蘇生アイテム》持ってたり、攻略組の平均よりずっと高いレベルだと知らされたり、義兄妹だと知らされたりと……色々と驚くことが多すぎて疲れちゃった」
「あはは、大変ですね」
(おも)に、というか全部シリカ達のことでだけどね!」
「あたしたちは何もしてないんですけど……なんかすいません。…………あ!」
 リズさんに何故か謝ってしまった後、HPがイエローで止まっていたシュウさんからメッセージが届いた。もっとシュウさんのステータスを良く見てみると、レベルも85になっている。

『今から十五層まで来てくれないか?』と、書いてあったので、
『わかりました』
 と、送りなおしてから、リズさんに別れを言った。
「あとでクエストに行く日程を教えてください」
 さっきまでの心配もあったので、別れを言ったあと急いで店を出ようと走り出す。

「分かったー。頑張って兄貴を看病してねー」
 
 そんなリズさんのからかいの声を背中で聞きながら、あたしはリズさんのお店を出た。











 
 

 
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