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ヘタリア大帝国

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TURN59 大統領発狂その十

「その君まで来たか」
「僕達四姉妹の残る三人も講和派です」 
 消息不明のドロシー以外の三人はというのだ。
「そしてハンナを」
「ガメリカ国務長官もか」
「助けて下さい、どうやら」
「妹から連絡が来たぞ」 
 アメリカは自分の携帯を見て苦々しい顔でクーに話す。
「今ワシントンにいるそうだ」
「じゃあ」
「ああ、捕まった」  
 そうなったというのだ。
「残念だがな」
「そうですか。じゃあ」
「ハンナも助けよう」
 アメリカは自分からクーに告げた。
「ガメリカ自体がこのままじゃ大変なことになる」
「いいのかい?それで」
 東郷はアメリカにも問うた。
「こちらのやり方だと」
「ワシントンまで占領しないと駄目なんだな」
「あの大統領を倒すまで戦いは終わらないだろう」
 こう言うのだった。
「そうなってもいいか」
「構わない、国民さえ傷付かないのならな」
 アメリカもこう返す。
「それは約束してくれ」
「日本軍の相手は軍人だけだ」 
 これが東郷の返答だった。
「軍規軍律にも明記されている」
「それならだな」
「そうだ、約束する」
 毅然としてアメリカに答える。
「何があろうとも」
「わかった、では僕は君達と講和する」
 他ならぬ祖国がそうするというのだ。
「そして君達と共にガメリカの為に戦うぞ」
「僕もです」
 キャロルも儚げな顔立ちだがそれでも言う。
「戦わせて下さい」
「君も艦隊の指揮ができるのか」
「実は」
 それもできるというのだ。
「任せて下さい」
「わかった」
 東郷はクーのその言葉に対して頷いた。
「では君も提督として迎えよう」
「有り難うございます」
「さて、思わない展開になったな」
 これは東郷ですらこう言うものだった。
「ここでアメリカさん、それに四姉妹が亡命してくるとはな」
 クーを見ながら言う東郷だった。
「だがこの状況を絶対にだ」
「我々の流れに持って行きますね」
「そうしないとな」
 日本には微笑んで返す。ガメリカとの戦いは思わぬ展開になろうとしていた、アメリカの講和宣言とクーの参加という事態と共に。


TURN59   完


                    2012・10・10 
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