ヘタリア大帝国
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TURN59 大統領発狂その七
「それからよ」
「ではダグラスには僕から連絡をするぞ」
アメリカからそうすると告げる。
「それじゃあな」
「ええ、お願いね」
「見つけたよ」
不意にホテルのテレビが点いた、そこから人相が一変しているルースが出て来た。
「全く、君達は国家の柱なのだから勝手なことをしてもらっては困るよ」
「プレジデント、どうしてここが」
「何、君達の携帯の発信源から居場所を探したのだよ」
こうハンナに答えるルースだった。
「それでだよ」
「馬鹿な、発信源の電波は特別のものだったのに」
「おやおや、ロック家のかい?」
「そうよ、ロック家の要人だけが使える特別製の携帯からの電波よ」
だからだというのだ。
「ガメリカ政府でも発信源はわからない筈なのに」
「私はそのロック家の資産と産業も集中させているのだがね」
流石に資産主義なので強制徴収はできないが強権を発動させて強引に従わせ技術等を提供させているのである。
「だからだよ」
「くっ、そしてその中で」
「君達の携帯のこともわかったのだよ」
「そうね、考えてみれば当然のことね」
ハンナが自分の迂闊さに舌打ちしたのは今が人生ではじめてだ。
「そういうことね」
「そうだよ。ではあらためて言おう」
ルースはテレビからアメリカ達に告げる。
「即刻ワシントンに戻り国難にあたってもらおう」
「断るわ」
ハンナが五人を代表してはっきりと言い切る。
「もう勝敗は決しているわ、これ以上の戦闘は無意味よ」
「だからだというのだね」
「講和すべきよ、それに今の貴方は」
「私は?」
「明らかに正気じゃないわ」
このことも言うのだった。
「だからよ、絶対に従う訳にはいかないわ」
「そう言うと思ったよ」
「国務長官は辞任させてもらうわ」
「私もです」
「あたしもよ」
財務長官と国防長官もだった。
「今のプレジデントにはとても」
「あのね、本当にここで講和しないと」
「ガメリカ全体が余計に傷付くから」
「何とか考えをあらためてくれない?」
「愚問だな。ガメリカは必ず勝つのだよ」
ルースは確信していた、それ故の言葉だった。
「君達がどう思っていようとな」
「そう。私達と貴方の考えの違いはわかったわ」
憤怒のルースに対してハンナはクールなままだった。
「もう一度言うわ、私達は辞任するわ」
「三人は僕が匿うぞ」
アメリカも彼の上司に毅然として、右手を拳にして言い切る。
「ミスターが講和しないのならそうするからな」
「祖国氏もそう言うのかね」
「そうだ、今のミスターには従えない」
「本当に少し頭冷やしなさいよ」
アメリカ妹は切実な顔で彼女の上司に告げた。
「さもないとミスター自身にとってよくないわよ」
「君達にも強権を発動しているのだがね」
ルースは彼等にもそれを向けていた。
「そう、強権をね」
「!?まさか既に」
「ちょっと、大変よ!」
キャロルは危機を察し咄嗟にホテルの窓を見た。見るとホテルの下には。
軍が殺到していた。ホテルは取り囲まれようとしていた。
「このままじゃホテルが!」
「君達にはワシントンに戻ってもらおう」
ルースの言うことは変わらない。
「身柄は拘束させてもらう」
「くっ、まずは部屋を脱出するんだ!」
アメリカは咄嗟に判断を下し彼以外の四人に告げた。
「このままここにいても何もならない!」
「ええ、そうね」
ハンナがアメリカのその言葉に頷く。
「それじゃあね」
「はい、それじゃあ」
「今から」
こうしてだった。彼等はテレビにいるルースから逃げる様にしてそのうえでまずは部屋から出た、そして部屋を出るとすぐに。
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