ヘタリア大帝国
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TURN59 大統領発狂その二
「日本と講和して」
「戦争は終結させるべきです」
「しかしだね。まだ戦力はあるのだよ」
ルースはその難しい顔で二人に返す。
「巻き返せる、だからこそ」
「それは止めた方がいいわ」
ハンナはルースに即座に述べた。
「確かにシカゴ、テキサス方面の防衛は固めているけれど」
「そうだよ、だからね」
「無理なのよ、もう流れは日本のものよ」
「この勢いは止められません」
クーは趨勢を見切っていた、それ故の言葉だ。
「今ならダメージを最低限にさせて講和できるわ」
「この状況ならです」
「だからもうね」
「講和するべきです」
「しかし今の状況での講和は敗北だ」
ルースはこのことに執着して二人に反論する。
「ガメリカが敗れるのは」
「ハンナ達と話したよ」
ガメリカもここでルースに苦りに苦りきった顔で話す。
「そうなっても仕方ないよ」
「待ってくれ、祖国氏までそう言うのか?」
「僕だって負けるのは嫌さ、しかしなんだ」
「今の状況は仕方ないというのか」
「そうだ、講和するべきだ」
敗北を認めるべきだというのだ。
「無念だけれどね」
「日本は占領した領土と捕虜の無条件での返還を約束してきてるよ」
アメリカ妹は日本からの講和の条件をルースに話した。
「賠償金も要求しないしね。どうやらマイクロネシアとソロモンはギガマクロ大王の元に戻るみたいだけれど」
「これ位はどうってことはないわ」
「しかも太平洋経済圏には参加できます」
ハンナとクーも言う。
「ですからここはもう」
「講和しかありません」
「・・・・・・私はガメリカの大統領だ」
ルースの何かが変わった。
「この国を何としても勝利に導かないといけない」
「それが出来なければ名誉ある敗北を認めることも必要よ」
ハンナは国務長官としてルースに言う。
「講和の使者は私と祖国さん達で務めるわ」
「大統領はここで私達の報告を待って下さい」
クーも使者に赴くというのだ。
「今回の敗北は日本を見誤った私達にあるし」
「ここはお任せ下さい」
「いや、ガメリカは勝たなければならない」
ルースはこのことへの固執を見せていた。
「何があろうとも」
「だからそれは」
「いや、絶対にだ」
ルースはさらに変わる。
「我が国は勝つ!それ以外にない!」
「!?おかしいよ」
最初に気付いたのはアメリカ妹だった。
「今のプレジデントちょっと」
「ああ、そうだな」
そしてアメリカも気付いた。
「普段と違うぞ」
「何かおかしいよ」
「これは下手をすると」
「ねえ、何かあったらね」
アメリカ妹はハンナとクーに囁く。
「今キャロルちゃん何処にいるの?」
「テキサスに撤退しているわ」
丁度そこで残った軍をまとめているのだ。彼女の話も為される。
「あの娘のところに?」
「一旦退散した方がよくない?」
「まさか。それは」
「何か今のプレジデントおかしいよ」
アメリカ妹はぶつぶつと言い出しさえしているルースをちらりと見ながらハンナ達に話す。
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