好き勝手に生きる!
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第十六話「ねえ、知ってたイッセー。お胸ってプルプルするんだね……」
【木場くんとの修行!】
「おりゃぁああ! どりゃぁああ!」
「ダメだよイッセーくん、剣は無暗に振るえばいいというものじゃない。まずは視野を広げて相手と周囲をしっかりと見るんだ」
イッセーが木刀を大振りで振るうのに対し、木場くんは必要最小限の動きだけで回避している。むむっ、最後に手合わせした頃より良い動きをするようになったね。
「ほらほら、足元がお留守だよ」
「おわっ!」
しばらくするとイッセーをボコボコにしてきた木場くんが、木刀を二本持ってやって来た。
「じゃあレイくん、始めようか」
「はーい」
投げて渡してきた木刀をキャッチして半身になって対面する。木場君も僕から離れ正眼に構えた。
「レイくんと手合せするのは久しぶりだね。僕の剣がどこまで通用するのか、試させてもらうよ!」
先手は木場くんから。一息で眼前に迫ってきた木場くんは僕の頭目掛けて木刀を振り下ろす。なかなかの初速だね、剣速も悪くないかな。
一歩前に出て躱し、横薙ぎに剣を振るった。しゃがみ込んで回避した木場くんは旋回して逆袈裟懸けで放ってくる。
「おー」
斜め下から向かってくる太刀を上体を逸らすことで回避し、そのまま後方に倒れ込む。倒れた反動を利用して起き上がり、勢いを殺さずに木場くんの脳天に目掛けて剣を振り下ろした。直撃する寸前で剣を止める。
「はい、僕の勝ちー」
「まだ届かないか……」
悔しそうに自分の木刀を見つめる木場くんに一つアドバイス。
「うーん、どうやら木場くんは意表を突くような攻撃に弱いようだねー。そういう時は取りあえず避けるんだよ」
「取りあえず避けるって、どうやってだい?」
「それがいけないんだよ。もうなりふり構わず逃げるっていうか、ただ避けることにだけ専念するんだ。木場くんは避けてからどう攻撃しようか考えるからダメダメなんだねー」
「なるほど、避けることにだけ専念するか……」
木場くんはお堅いねー。
「レイに一撃も入れられなかった木場にボロボロにされる俺って……」
なんだかイッセーが地面に手をついてショックを受けてるけど。始めはみんな初心者さ!
† † †
【小猫ちゃんとの修行!】
「ぐはぁ!」
「弱っ……」
小猫ちゃんのパンチに吹き飛ぶイッセー。これで十五回目だよね?
俊敏に駆け回り、その小柄な体躯を利用して相手の懐に潜り込みボディーへ一撃。
どうやら小猫ちゃんは打撃技や寝技などの近接格闘術が得意のようだ。『戦車』の特徴がすごい膂力とすごい防御力だから、見事にマッチしてるね。
「打撃は体の中心線を狙うんです……的確かつ抉りこむように放つ」
んー、確かにその通りだけど、それを素人に要求するのは難しいと思うよ?
小猫ちゃんは腕をぶんぶんと回している。やる気満々ですな。
「……さあ、もうワンセットです」
イッセーの悲鳴が響き渡った。
やがて苛め終わった小猫ちゃんは僕に向き直る。
「よろしくお願いします……」
「うん、よろー」
小猫ちゃんは先程のイッセーの時のように俊敏に駆け回り、正面、側面、後方と多方向から拳を振るってきた。
僕はそれらを触れるか触れないかの距離を維持しつつ、最小限の動きだけで躱す。木場くんのよりは精度がいいと思うよ?
「……ッ、さすがですね、先輩」
振り向かないで正確に攻撃を躱す僕に賛辞を述べる小猫ちゃん。
「小猫ちゃんもなかなかのものだと思うよ? だけど強いて言えば――フェイントが足りないね」
背後からの攻撃を首を傾けて回避し、腕を掴んでそのまま投げる。地面に叩きつけた後は取った腕を捻り関節を極めれば、あら不思議。
「……動けません」
動きを封じましたー。腕を解放する。起き上がった小猫ちゃんは闘志に燃える目で再び拳を構えた。
「……もう一度お願いします」
「いいよー」
その後、十セットほど小猫ちゃんと戯れましたとさ。
† † †
【朱乃お姉ちゃんとの修業】
「そうではありません。魔力は体全体を覆うオーラから流れるように集めるのです。意識を集中させて、魔力の流れを感じるのですよ」
「うぬぬ……」
「できました!」
眉間にしわを寄せて力むイッセーの傍らで、アーシアちゃんが掌に白い魔力の塊を浮かべた。この短時間でコツを掴むなんてやるねぇアーシアちゃん。
「あらあら。アーシアちゃんは魔力を扱う才能があるのかもしれませんわね」
うん、僕もそう思う。一応イッセーも出来てるんだけど、アーシアちゃんの握り拳大くらいの大きさに比べたら米粒だ。先は長いね、イッセー。
「では、今度はこの魔力を炎や水、雷に換えてみましょう。このように――」
お姉ちゃんがペットボトルに魔力を注ぐと、中の水が凍り棘となって内側から飛び出した。
「イメージから生み出すことも可能ですが、初心者は実際に水や炎を魔力で動かした方がコツが掴みやすいでしょう。アーシアちゃんは次にこれを練習してくださいね。イッセーくんはまず魔力を集めることをマスターしましょうか」
だね。それが出来ないと始まらないし。
「レイくんはできますか?」
「んー? できるよー。えいっ」
掌に小さな炎を浮かべる。さらに、
「えいっ、えいっ、えいっ」
炎の色を赤、青、白、黒と変えてみましたー。
「すげえな」
「綺麗ですねー」
「さすがレイくんですね」
お姉ちゃんが優しく頭を撫でる。にふー、気持ちいいでふ~。
「あっ、そうだ! 朱乃さん、ちょっといいですか?」
何やら思いついた様子のイッセーはお姉ちゃんにある提案をしてみた。それを聞いたお姉ちゃんは一瞬ポカンと呆けると「イッセーくんらしいですわね」と面白そうにクスクス笑い出した。うん、確かにイッセーならではの発想だね。
さらに気合いを入れたイッセーの前に、お姉ちゃんが調理場から大量の玉ねぎやニンジン、ジャガイモを持ってきた。
「では、イッセーくん。合宿中はこれをすべて魔力でお願いしますね」
……ガンバ、イッセー!
† † †
【リアスちゃんとの修行】
「ほら、気張るのよ! イッセー、レイ! あと三百回!」
「オオーッス!」
「うみゅっ!」
リアスちゃんの声に威勢よく返事を返すイッセーは腕立て伏せをしている。その背中に大きな岩を三つ乗せて、さらにその上にリアスちゃんが乗っかった構図だ。
僕はその隣で仰向けに寝て腹筋を鍛えている。お腹の上に大きな岩を一つ乗せ、その上になぜか小猫ちゃんが乗っかっているんだ。それだけならいいんだけど――。
「うみゅっ、うみゅっ、うみゅっ、うみゅっ」
「……面白い」
小猫ちゃんが岩の上でポンポン跳ね、振動が伝わる度に何故か変な声が漏れる。でもこれ、僕の意思とは無関係だから、どうしようもないんだ。というか、遊んでるよね小猫ちゃん。
「ああ……可愛いですわレイくん」
そして、お姉ちゃん。なんでうっとりとした顔で僕の頭を撫でるの? いや、気持ちいいけれど。
「うみゅっ、うみゅっ、うみゅっ」
――早く終わることだけを願った。
† † †
「美味ぇぇぇ! 超美味いッスよこれ!」
「うまうま」
一日の修業を終えた僕らは別荘で夕食を取っていた。肉料理では昼間に小猫ちゃんが狩ってきたという猪の牡丹肉。魚料理では木場くんが釣ってきた魚の塩焼き。テーブルの上には豪華な料理がずらりと並んでいる。これらはリアスちゃんたちが共同で作ったのだと。
そして、僕の前には朱乃お姉ちゃん特製の甘口カレーが。僕のためにわざわざ作ってくれたらしく、カレーはこの一品しかない。
牡丹肉もいいけど、やっぱり朱乃お姉ちゃんのカレーが一番だねー。なんというか、落ち着く? 味でホッとするよ。
「イッセーさん、私のスープも飲んでください」
アーシアちゃんが差し出したのはオニオンスープ。イッセーは皿を手に取ると、一気にグイッと飲み干した。
「美味しいぞアーシア! アーシアの料理も最高だな!」
「本当ですか! よかったです……」
ホッと胸をなでおろすアーシアちゃん。その隣でお姉ちゃんが僕に聞いてきた。
「レイくんはどうですか? カレー、いつものようにできていますか?」
「うん! まいうーだよ!」
「それはよかったですわ。おかわりはまだありますから、いっぱい食べて下さいね」
僕の食べっぷりに頬に手を当てたニコニコ顔のお姉ちゃん。やっぱり作り手としては嬉しいのかな?
「さて、イッセー、レイ。今日一日修行してみた感想はどうだったかしら?」
食事も終わり、リビングで一服していた僕らにリアスちゃんが訊いてくる。
「……俺が一番弱かったです」
「そうね、それは確かね」
ハッキリと肯定されガクッと項垂れるイッセー。
「祐斗や小猫、朱乃はゲームが未経験でも実践経験が豊富。レイも聞くところによると実践経験が豊富な上に強大で未知の力を持っているわ。対してイッセーとアーシアは実践経験が皆無に等しい。それでもアーシアの『』と貴方の『赤龍帝の籠手』は強力だわ。だからこそ、貴方たちはまず相手から逃げきるだけの能力を手に入れなくてはならないの」
「逃げきるって……そんなに難しいんですか?」
怪訝そうな顔をするイッセーに僕が首肯する。
「難しいよーとても。特に相手が格上だと激難だよー。背中見せたらケーオーだね」
「そんなにか!?」
驚くイッセーにリアスちゃんが頷いた。
「そうね、確かにレイの言う通りだわ。貴方の神器の能力はすぐに相手にも知られるでしょう。そうなると真っ先に狙われることになる。逃げるというのも選択肢の一つよ。いったん退いて態勢を整えるのも立派な戦い方だわ。もちろん、面と向かって戦う術も教えるから覚悟しなさいね」
「了解ッス!」
「はい!」
うんうん、いい返事だねー。頑張ってね、イッセーにアーシアちゃん。
「それで、レイの方はどうだったかしら? 一日修行してみて」
「楽しかった!」
お目めをキラキラさせて元気よく返事をすると、なぜか嘆息されました。解せぬ……。
「そうではなくて……いえ、楽しむのもいいことなんだけど。裕斗たちと戦ってみた感想は?」
「んー、いいと思うよ? 木場くんは足があるし剣術もしっかりしてるもん。小猫ちゃんも結構いいセンスしてるし、そこらの下級悪魔なら上位に入るんじゃない?」
実際、今の若手悪魔がどの程度の力を持っているかなんてわからないけど、少なくともライザーくんの下僕たちより強いのは確かだね。
僕の感想を聞いて木場くんが嬉しそうに微笑み、小猫ちゃんが小さくガッツポーズをした。
「レイがそう言うなら祐斗たちは一先ず大丈夫そうね。それじゃあ食事も済んだことだし、お風呂に入りましょうか。ここは温泉だから素敵なのよ」
おー! やった! 温泉だー!
お風呂好きの僕はもちろん温泉も大好きだ! なにかな~、露天風呂かな~?
「僕は覗かないよ、イッセーくん」
「バッ――お、おまえな!」
何を想像したのか顔がにやけているイッセーに木場くんが釘を刺す。
「あら? なんなら私たちと入る、イッセー? ああ、ちなみにレイはこっちよ」
さっさと入ろうとルンルン気分で温泉に向かおうとすると、後ろから脇の下に手を入れられてひょいっと持ち上げられた。
「本当に軽いわねー」
そのまま抱っこの体勢に持っていきギュッと抱き締められる。
「いつも朱乃が抱き締めてたのを見てたけど……こ、これはいいわね。――朱乃はどうかしら?」
「私もイッセーくんなら別に構いませんわ。それより部長、いつまでレイくんを抱き締めてるのですか?」
「なによ、ちょっとくらいいいじゃない。いつもは朱乃が独り占めしてるんだから。――アーシアはどう?」
「わ、私ですか!? 私はその……イッセーさんたちなら」
恥ずかしそうに頬を朱く染めるアーシアちゃん。イッセーの鼻息が段々荒くなってるんですけど。
「最後に小猫」
血走った目で後輩を見るイッセーに子猫ちゃんは腕を交差させてバッテンを作った。
「……いやです。けど、レイ先輩なら」
「ですって。残念ね、イッセー」
クスクスと悪戯っ子の笑みを浮かべるリアスちゃん。
「ドちくしょぅぅぅぅ! なんでいっつもレイばかりぃ! うぉぉぉぉおん――――――!」
え、僕? あー、泣きながら走って行っちゃった。
「ふふ、やっぱり面白い子ね……。じゃあ、入りましょうか」
うわーい! お風呂、お風呂!
リアスちゃんに抱っこされたまま脱衣場に向かった僕は手早く服を脱いで腰にタオルを装着した。
「一番乗り~!」
「走ると危ないですよ」
お姉ちゃんの制止の声を断腸の思いで振り切り、かけ湯を済ませて念願の温泉にインする。
「にゅあぁぁぁ~~~~」
やっぱりお風呂はいいなぁ~。
「見事に溶けてるわね」
「あらあら。気持ち良さそうですわね」
後ろからリアスちゃんたちの声が。お姉ちゃんたちもかけ湯を済ませると、体に巻いたバスタオルを取り払い温泉に身を沈めた。
「ふぅ、気持ちいいわね~」
「ええ。そうですね――あら、どうしたんですか?」
お姉ちゃんの声が素通りするくらい、その時の僕は目前のソレに目を奪われた。
「浮いてる……」
お姉ちゃんたちの白いお山が湯船にぷかぷか浮いていた。
「つんつん」
試しにお姉ちゃんのお山を突っついてみると、一瞬だけ指が埋没し、柔らかな弾力で以て跳ね返した。プルプルとお山が揺れる。
「おー」
「ぁん……レイくんも男の子ですのね。興味があるんですか?」
「んー、よく分かんないけど、面白い」
二度三度と突っつく度にプルプル震える。
「意外ね。レイがそういうのに興味を示すなんて」
「私は少しホッとしてますわ。男の子は少なからず異性に興味を持つものですけど、この子はそういった方面には淡白ですから。少し心配してたんです」
「すっかり姉が板についてきたみたいね」
今度はリアスちゃんのお山を突っついてみよう。リアスちゃんの顔をジーと見つめる。
「あら? ふふっ、いいわよ触っても」
僕の視線に気がついたリアスちゃんが微笑みながら快諾してくれた!
では、早速――。
「ん……」
おー、やっぱり柔らかいな。お姉ちゃんのより弾力がある。個人差があるんだね。
目の前の双丘に夢中になっていると、隣から小猫ちゃんの悲しそうな声が聞こえてきた。
「先輩も、イッセー先輩みたいに……」
「それはないでしょうから、安心しなさい」
「…………先輩、私のも触ってみてください」
リアスちゃんの言葉に小猫ちゃんが申し出た。もちろん拒む理由がないので今度は小猫ちゃんのお山に狙いを定める。
「つんつん」
「にゃぁ……」
――――。
「……プルプルしない」
お山に埋没したにはしたんだけど、その後のプルプルがなかった。それを聞いた小猫ちゃんがズーンと落ち込む。
その落ち込み具合に少し驚いた僕は懸命に慰めた。
「いや、あの……えっと、小さいのもいいと思う、よ?」
「……本当ですか?」
「うん」
というより、イッセーと違って大きい小さいなんてどうでもいいし。あっ、でもプルプルするから大きい方がいいのかな?
僕の言葉を聞いた小猫ちゃんはたちまち元気を取り戻すとホッと息を零した。
「よかったです……」
何がよかったのかは知らないけど、機嫌が治ったようでなにより。
その後は仲良くお姉ちゃんたちの背中を洗いっこしました。
「イッセー、おっぱいってプルプルするんだね……」
「――!?」
少しだけ、イッセーのおっぱいに対する情熱がわかった気がした。
後書き
レイの性欲が開花。
感想および評価切実に募集中!
ページ上へ戻る