【完結】剣製の魔法少女戦記
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第二章 A's編
第四十話 『スーパー銭湯(後編)』
前書き
少し原作から外れます。
Side シホ・E・シュバインオーグ
こうして私達は『海鳴スパラクーア』にやってきたわけである。
皆が新しくできた銭湯に浮き足立っている中、服を脱いでいく途中で以前に感じた視線をまたしても感じる。
今度は大勢から…なんだ?
「シホちゃん、お肌がすべすべだね~」
「うきゃあっ!?」
うえっ! へ、変な声を出してしまった。
突然すずかが私の体を触ってきていた。
「それにとってもお肌が白いし…朱銀の髪も相まってとっても可愛いよ」
「あ、ありがとう、すずか…それとだけど恥ずかしいんだけど…私はまだ心は、その…」
ついどもってしまう。
助けを呼ぼうとしたが美由希姉さんはエイミィさんと本当に今日が会ったのが初めてかというほどの仲の良さだし、なのはとフェイトもなんか二人の世界に入っているし、アリサは…
「…アリサ、どうしたの?」
「んー? なんかみんな仲がいいなぁって…」
なぜかアリサが少し頬を膨れさせながらもしょんぼりしている姿が目に入った。
「大丈夫だよ、アリサちゃん。一人蔑ろになんかしないから!」
「すずかぁ~…」
すずかに慰められて抱きついている。
どうやらアリサは寂しかったようだ。
それで私もロッカーの鍵を閉めて体にタオルを巻いて銭湯に入りにいった。
だけどアリサは最初に泡のお風呂の方に行くそうでそこで別れた。
なのはとフェイトも色々見て回るといったので必然的に私とすずかだけが取り残された。
「それじゃ私達は一緒にいこっか」
「そ、そうね…」
「どうしたの、シホちゃん? 顔真っ赤だよ…?」
「いや、すずかならもう事情は知っているからいいんだけど私って、ほら…」
「あー…」
どうやら分かってくれたようだ。
「その、なんていうかもう私は女の子だっていう自覚はもう十分にあるんだけどやっぱり恥ずかしい事には違いないし罪悪感も感じるというかね」
「だから一人でいつもお風呂済ませちゃうの?」
「うん。それにあの話をした後なのに美由希姉さんや桃子お母さんは構わず私の入浴中に乱入してくるから参ったもので…」
「うんうん。その気持ちは分かるかも」
「すずかっ!?」
なんか少し裏切られた気分だ。
「だ、だってシホちゃん、本当に元は男の子だったのかって思うくらい可愛いし」
「そりゃイリヤ譲りだからね」
「あ、違う違う。外面とかそんなことは関係なく内面でシホちゃんは可愛いって事。
ねぇ知ってる? シホちゃんって普段キリッとしてあまり笑わないけど途端に笑ったらすごい見惚れちゃうんだよ?」
「そ、そうなの? そんな自覚はないんだけど……………リンにもあまり他人に笑顔は振りまくなって言われていたけどその事なのかな?」
「そうだよー。それに罪悪感なんて感じる事はないんだよ。シホちゃんはもう立派な女の子なんだから」
「そう、かな…?」
「うん! だってもしまだ男の子だったら女性の人の体をエッチな目で見ちゃうかもしれないんでしょ?」
「そ、そう言われるとどう答えていいか分からないけど一般男性ならそうなのかな? 私、男性の時もそんな事あんまり気にしたことがないから」
「シホちゃんは誠実な人だったんだね」
やっぱりすずかにこの事を話して正解だったかな? 私の不安を何度も拭い去ってくれるから。
でも、誠実かっていうと…四日間の記憶でアヴェンジャーは私の殻を被ってリン達と色々、その…やっていた訳でカレンの言う通り私の本性ってやっぱり野獣なのだろうか? 悩みどころである。
「さ、シホちゃん。話ばっかりより本来の目的のお風呂を楽しもうよ」
「そうね」
すずかが手を差し出してきたので掴んで一緒に銭湯めぐりを開始するのだった。
しばらくいくつかのお風呂を巡って一度区切りをつけて皆を探しているとちょうどアリサが誰かと別れている光景を見た。
あの赤い髪と後姿…どこかで見た覚えがあるんだけど…うーん、わからないから多分知らない子だろう。
「あ、すずかにシホ」
「アリサちゃん、誰かとお話してた?」
「うん。なんか可愛い感じのちっちゃい子がいたから世間話とか」
「そっか」
「ところでなのは達はどこだろう?」
「私達も皆を探していてようやくアリサを見つけたのよ」
「そっか。皆でジェットバスにいこうかと思ったんだけど…あ、いたいた! あそこ!」
アリサが見つけたという方に目を向けるとなのはとフェイトが洗いっこをしている光景が目に映った。
話の内容的にフェイトは一人で髪を洗うのが苦手だとかそんな感じで、なのはに洗われてフェイトが赤くなっているという感じだ。
それを見ていたアリサが「すごい気恥ずかしい光景だ」と言っている。
それなのでしばらくはそっとしておいてミストサウナに行っていようという話になった。
……………
…………
………
しばらくしてすずかと一緒になって歩いていると前方から歩いてくる金髪の女性がいた。
「あ、あれシャマルさんかな?」
「本当ね。今一人かな? 話しかけてみようか」
「そうだね。シャマルさーん!」
「あ、すずかちゃんに…シホちゃん!?」
「え、あ、はい。お久しぶりです。なんかすごい驚いてますけどどうしましたか?」
「え、えっと、ね…」
なんかすごい慌てているけどどうしたのだろうか?
◆◇―――――――――◇◆
Side シャマル
ど、どうしましょう!?
今ちょうど私が一人でいたのが幸いだったけど近くにははやてちゃんにシグナム達がいる。
シホちゃんと会っちゃったらはやてちゃんが主だとばれちゃう!
こうしちゃいられない!
「シホちゃん、すずかちゃん。ちょっと待っててね」
「「わかりました」」
それで少し二人から離れて思念通話を試みる。
《シグナム! 大変よー!》
《むっ。どうした、シャマル。そのように慌てて》
《なんていうかね、すずかちゃんとばったり会っちゃったんだけど…》
《そうか。では主と一緒にそちらに向かおうか?》
《そ、それは駄目! すずかちゃんと一緒にシホちゃんがいるのよ!》
《シュバインオーグが! それはまずいな…》
《どうしましょう…》
《むぅ…正体がばれるのも時間の問題というわけか。主はやてがこの事を知ったら会いたがるだろうしな》
《しばらく私だけで話を繋いでておこうかしら…》
《しかし、主が今シャマルはどこにいるのかと言っているが…あ! 待て、ヴィータ!》
《え…?》
思念通話に気が回っていたせいで近くに来ていることに気づかなかった私がいけなかったのかシグナムとシグナムに抱えられたはやてちゃん、それにヴィータちゃんが現れてしまった。
「あ、すずかちゃんにシホちゃんや」
「はやてちゃん!」
「ッ!?」
あ、やっぱりシホちゃんは表情を強張らせている。
《ああああああ! どうしましょう!!》
《お、落ち着け、シャマル!》
《おい、シャマル! なんでこいつがここに!?》
《気づくのが遅いわよ、ヴィータちゃん…》
それで年貢の納め時かと思ったけどシホちゃんは一瞬で表情を直して、
「はやて、久しぶり。それと他のお二人は“はじめまして”。はやてのご家族の人達ですか?」
「久しぶりや。そうなんよ。紹介するわ。こっちがシグナムでこっちが末っ子のヴィータ。二人とも私の家族や」
「こんばんは。月村すずかです。よろしくね、ヴィータちゃん。シグナムさんもこんばんわ」
「そうなの。それじゃ自己紹介をしますね。私はシホ・E・シュバインオーグです。よろしくお願いします。シグナムさんにヴィータちゃん」
「「よ、よろしく…」」
シグナムとヴィータもシホちゃんのペースに流されたのか呆けながらも返事を返している。
それで私も諦めてみんなと合流する事にした。
「あ、シャマル。どこいっとったん?」
「ごめんなさい、はやてちゃん…《ここはどうしましょうか…?》」
《とりあえずシュバインオーグに話を合わせよう》
《そうだな》
「それですずかちゃんとシホちゃんはどなたかとお風呂ですか?」
「はい、そうなんです」
「なんや偶然とはいえ運命的なものを感じるな」
「すごいよね」
「あ、すずかちゃんにシホちゃん。この後になにか予定とかあるか? よかったら晩御飯ご一緒にとか」
「うん。友達の家族の皆さんと外に食べに行こうってことになってるんだけど、もしよかったら…」
「すずか…」
そこでシホちゃんが小さい声でなにかを言いたそうにしていた。
「あ、残念。ウチはもう用意してしもうてるんよ」
「鍋の中でおでんが待ってるの」
ヴィータちゃんも調子が戻ってきたみたいね。
「いいね、おでん」
「はい。鍋の美味しい季節です」
「うん…ほんならまた今度かな」
「近いうちに是非」
「私はいつでも。都合のいい日に呼んでください」
「シホちゃんも是非来てえな」
「ええ。時間を空けておくからすずかの都合がつく日に連絡してくれたら行かせてもらうわ」
「うん!」
「はやてのお鍋、超おいしーよ」
「あ、ヴィータ! 私にプレッシャーかけたらあかん」
それで私達は笑い出してしまっていた。
警戒もしないといけないのになぜかシホちゃんの笑みは安心できるものだった。
そしたら素肌のまま立っていたのかヴィータちゃんがくしゃみをしてしまった。
それですずかちゃんが立ち話をしてしまってごめんなさい、と言って私達は別れることになった。
「すずかちゃんとシホちゃんもお友達と来てるんやったらあんまり引き止めてもあかんね。帰ったらメールするな」
「うん。友達も今度また紹介するね」
「…あ、すずか。多分まだ当分は紹介できないかも…」
「え? どうして? シホちゃん」
「な、なんとなく…」
なんとなくシホちゃんの言いたい事が分かった。そのお友達というのがこの前に戦った二人の事なんだろう。
「ふーん。でもいつか紹介するね」
「うん、楽しみにしてる」
「じゃ、またね。すずかちゃん、シホちゃん」
「失礼します」
「またなー」
「はーい」
「また」
それで別れようとしてシホちゃんの横を通り過ぎるとこで、
「…後でまた話をしましょう」
そう小さい声でシホちゃんは言ってさらに小さい声で「トレース・オン」と唱えると私の手に今までどこに持っていたのかわからない小さい透明な宝石が握らされていた。
「…小さい通信機です。今夜、また通信します。傍受される事はないですから」
早声でそう告げてシホちゃんはすずかちゃんの後を追っていった。
「……………《今夜の蒐集前に、シホちゃんと会いましょう》」
《そうだな》
《ああ》
私達はシホちゃんと会う事を決めた。
シホちゃんはもしかしたら私達の味方になってくれるかもしれない。
◆◇―――――――――◇◆
Side シホ・E・シュバインオーグ
私の予測ではおそらくはやてがシグナム達ヴォルケンリッターの主。
あの一人だけ正体がわからない黒尽くめの男も正体は変身魔法を使ったシャマルさん。
でも、きっとはやてはシグナム達が蒐集行為をしていることを知らない。
おそらく隠している原因は私の推測だけどはやての足を治そうとしているのかもしれない。だからはやてには話せないのだろう。
はやては優しい子…。だからきっと蒐集していると知られたら罪を感じてしまうと思ったのだろう。だから守護騎士達の行動は独断。
こう考えれば辻褄は合う。
そしてこれからの問題は私がリンディさんやなのは達に隠し通せるか、その一点に限られてくる。
今夜は気合を入れて話をしないと。
「すずかー、シホー」
「アリサちゃん」
「あ、アリサ」
「誰かお知り合い?」
「うん。前に話したはやてちゃん」
「あー、なんだ。もう少し早く来ていれば挨拶できたのに」
「でも、こんな所で挨拶もなんだからまた近いうちにね」
「そうだね。ところでシホ。あんたなにか顔色が優れないけどどうしたの?」
「あ、うん。ちょっと考え事をね」
「あんたの考え事は結構深いからあんまり根を詰めるんじゃないわよ?」
「うん。わかったわ」
アリサに気づかれるとは。気をつけないと…。
「で、さ。なのは達がまた見当たらないんだけど何処だろう? そろそろみんなで色々回りたいのに…」
アリサが残念そうに言う。確かにあの二人は中では見かけなかったけどどこにいるのだろう。
「えっと、さっきとは別の洗い場にいたよ。ほら、あそこ」
すずかの指差したほうには、いまだに洗いっこしている二人の姿が映った。
本当に仲がいいわね。
それに沸点が少しばかり低いアリサがむくれた顔になり桶にお湯を入れだし周囲に迷惑がかからないように配慮してターゲットを絞り、
「せーの!」
その桶のお湯を二人に向かってぶちまけた。
当然かけられた二人は、
「にゃああ!!!」
「きゃああ!!!」
と悲鳴を上げた。
「よっし命中!」
「あ、アリサ…?」
「アリサちゃん…?」
「もういつまで洗いっこしてんの」
「アリサちゃん、早くみんなでいろんなお風呂に入りたいって」
「そうらしいわよ」
それで二人は赤い顔をしながら、
「あはは、ごめんね」
「ごめん、つい」
「そんな洗いっこなんて家が近所なんだから家庭の事情が許せば毎晩だってできるでしょう。折角スパラクーアに来てるんだからここならではの施設を楽しまなくっちゃ」
「そうだね」
「毎晩でも…」
「今日は譲り合ってないで一緒に入ればよかったんだね」
「う、うん」
「じゃ練習の後とかウチとかフェイトちゃんの家で一緒に入ろうか」
「うん!」
フェイトは嬉しそうに顔を綻ばしている。
仲良き事は良きかな。
「そういえば、フェイト。さっきエイミィさんに聞いたんだけど一人で髪を洗えないとか」
「エイミィ、なんで皆に言いふらしてるの…」
「フェイトちゃん、髪長いもんね」
「洗えるんだよ。ほんとだよ?」
フェイトの泣き言をみんなで笑いながら流して私達は色々なお風呂めぐりを再開するのだった。
……………
…………
………
それからみんなで外食を取った後、なのははフェイトの家でお泊りをするそうだ。
私は急用が出来たといって一度家に帰ることにした。なのは達には気取られるとまずいから。
夜の事、家を出るときに周りに魔法での監視がない事を確認して私は部屋の窓から出て行った。
そして宝石剣の欠片レプリカで通信を入れると、
『はい、シャマルです』
「あ、シャマルさん。お話があります。残りの三人にも出てきてもらっていいですか?」
『わかりました。でも、もう少し待ってもらっていいですか? はやてちゃんがまだ寝ていないので』
「わかりました」
『私が指定した場所まで来てもらっていいですか』
「わかりました。どこですか?」
『場所は…』
場所を聞いて私はある公園に入っていった。
そこにはシャマルさんを始めシグナム、ヴィータ、ザフィーラが揃っていた。
「来たか、シュバインオーグ…。念のために聞いておくがお前一人か?」
「ええ。誰にも気づかれない自信はあるから」
「で、なんのようだよ。お前は管理局の人間じゃねーのか?」
「そうピリピリしないの。ご近所迷惑でしょ?」
「平気よ。もう小さいながらも結界を張らせてもらったから」
「それじゃこれで思う存分語り合えるって事ね。でも、その前に…」
私は黒鍵を数本投影して各所に放った。
「なにを!」
「安心して。どこかで見ている誰かさんの機械を全部壊しただけだから」
「「「「なっ!?」」」」
それで全員驚いているようだ。
「気づいていなかったの? まぁそうか。結構細かいところに配置されていたから」
「お前は…一体」
「今その話はなし。それで単刀直入に聞くけどあなた達の主は八神はやてで間違いない?」
「…ああ。その通りだ」
「そう。それではやてはあなた達の行動は承知なの?」
「それは…」
「やっぱり。優しいはやてはそんな事は望まないと思うからあなた達の独断なのね」
「そうだよ。はやては闇の書の呪いにかかってるんだ」
「闇の書の呪い?」
そして聞く。
はやての足の麻痺は闇の書が原因で放っておけば病は心臓にまで進行して命を奪うかもしれないという事。
それが判明した事ではやてとの騎士の誓いを破り蒐集作業を開始した事。
すべてを話し終えてシグナム達は俯いてしまっている。
辛いのだろう。自分達のせいではやては病に苦しんでいると分かったのだから。
「ほかに手はないの?」
「現状打てる手は闇の書の完成だけだ」
「そう…」
「シホちゃん、あなたは他になにか手は考えているの?」
「最終手段であれば、考えてあるわ」
「教えてもらいたい」
「それではやてが助かるなら教えてくれ!」
「いいわ。でも、教える前に言う事だけど、この方法はあまりお勧めできないわ。内容ははやてと闇の書の契約を強制的に破戒することよ」
その事を告げた途端、シグナム達は一瞬だけど喜びの感情をしたけど次第に理解したらしく顔が真っ青になっていく。
「つまり、それを行う事によって…」
「はやては助かるかもしれない。でも、あなた達とお別れをしなくちゃいけなくなる。そんなのは本意ではないでしょう…」
「当たり前だ! そしたらはやては絶対悲しむ!! 確かに一人消えない奴もいるけど絶対はやては泣いちまう!! そんなの、受けられるか!!」
ヴィータは私の襟を掴んで何度も揺すってきた。
それを無言で堪えた。
「ヴィータ、落ち着け!」
「そうよ、ヴィータちゃん。シホちゃんはあくまで最終手段っていったでしょ」
「う…その、ごめん」
「構わないわ。それだけはやてを想っているって分かるから。
それで話は戻して解決策だけど今は思いつかないのが現状ね。私もはやてを救うのには全力を尽くしたいけど…」
「手間をかける。シュバインオーグ」
「ところで、話は変わるけどあなた達は闇の書が完成したらどうなるか知っている?」
「どうなるって…大いなる力が手に入るんじゃねーのか?」
「完成の現場にい合わせた事はないの?」
「ああ、ない。どころか完成した光景を見たことがない。いや、違うな…記憶がないんだ」
なるほど。シグナム達はそれで悩んでいるのか。
本当に闇の書が完成すればはやてが治るという確証が欲しいのだ。
でも、今から私が言うことは彼女達にとって残酷だろう。
「記憶がないっていうのは確かに正しいかもしれないわ」
「…どういう事だ?」
そこで初めてザフィーラが口を開いた。
「私が管理局で教えてもらった過去の闇の書のデータの話なんだけど闇の書の完成と同時に主は何の例外もなく闇の書に取り込まれて“死”を迎える」
『……………ッ!!?』
「そして完成した闇の書はただ純粋な破壊にしか使用できないと教えてもらったわ。
そして所有者が完全に死ぬか闇の書が破壊された場合、闇の書は白紙に戻って新たな主を探すといったものよ」
「では、私達は今までの主達を死なせてきたというのか…?」
「それだけじゃない。闇の書を完成させてもしなくてもはやてちゃんはどの道死んじゃうって事なんですか!」
「現状ではそうね。でも、もう私はあなた達の強い想いを知ってしまった。
だからできるだけだけど私は裏のほうから協力させてもらうわ。
過去がどうであろうと私は諦めが悪いからはやてという友達は絶対見殺しにしない。
だからまたなにか情報が入ったらシャマルさんに渡した水晶で知らせるわ」
「了解した。感謝する、シュバインオーグ」
「ありがとう、シホ…」
「ありがとね、シホちゃん」
「恩にきる、シュバインオーグ」
「感謝ははやてを助けた後でいくらでも聞くわ。
…それと、たぶん次の管理局との戦いは近いうちに起こると思うわ。その時にタイミングを計って私の魔力を蒐集していいわ。
あなた達ならもう知っていると思うけど私はどうやらなぜか知らないけど、古代ベルカ式の魔法の使い手らしいからかなりページは埋まると思うし」
「…いいのか?」
「私自身がいいって言ってるんだから遠慮はなしよ」
「スパイとなにからなにまですまない。いつか借りは返す」
「ええ」
「それと私達には一人だけ協力者がいる。そいつにお前の魔術の事を聞いた」
「わかったわ。そいつの名前は教えてくれないの?」
「どうも記憶喪失らしい。仮名でアーチャーと名乗っている」
「アーチャー、ですって?」
「なにか思い当たる節があるのか?」
「ええ、なんとなく…」
アーチャー? これはただの呼び名? それともサーヴァント?
私の魔術を知っている奴と言えば随分と限られてくるけど、一度会うしかないわね。
「それじゃ今日はもう解散しましょう。私は家に内緒で抜け出してきたものだから見つかったらやばいし」
「わかった。それではな、シュバインオーグ」
それでシグナム達はそれぞれ別々に飛び立っていった。
おそらく今から別世界に行ってくるのだろう。
後書き
でかいとはいえそれでも温泉の中で一回も遭遇しないってすごいなぁ…。
すずかだけは遭遇したけどなのは達は遭遇しないってご都合な…。
と、ドラマCDを聴いていて思いました。
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