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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第二章 A's編
  第三十八話    『学校生活』

 
前書き
祝日なので午前更新。
単行本を見本にしましたからちょっと短いです。
 

 





シホがやっとの事で体が全快してきて、フェイトも学校生活に慣れてきた頃の事。
すずかのふとした一言から一つの話は始まった。

「そういえばフェイトちゃん宿題ちゃんとやってる?」
「うん。少し難しいけどちゃんとやってるよ」
「頑張ってね」
「うん」

実に和やかな会話である。
しかしここである意味フェイトは次に話す内容を間違ったかもしれない。

「でもアリサもすごいよね。英語も日本語も完璧なんだから」
「えっへん! パーフェクトバイリンガル!」
「「「わーーー!」」」

それでなのは達が拍手を送る。
しかし、

「でもあたしはいいとしても、シホはなんていうか反則なのよ…」
「…ん? なに、アリサ」

そこで話しに入っていなかったシホが介入してくる。

「シホ。あんたの話せる言語をすべていってみなさい」
「え? えっと、あまり自慢できるものじゃないわよ?」
「いいから!」
「…わかったわ。まず日本語、英語から始まり中国語、ドイツ語、ラテン語、ギリシャ語、ハングル語と…他にも読みしか出来ないけど色々読めるわ」
「「「おーーー!」」」

なぜシホがこんなに他国の言葉を話せるのかと言うとリンに魔術の修行を習い始めてからと言うもの色々な魔術書を読む機会が増えていった。
世界に出てからもシホは人と話すのに不便がないように勉強を重ねていたのが功をそうしてこうした知識が身に着いたのである。
しかしそんな泥臭い話はしないので見方によってはシホはとても頭がいいという風に捉えられてしまう。
唯一すずかはシホの事情を知っている身だがそれでも凄いという感想しか出てこないのが本音である。

「シホちゃんは努力家だもんね」
「ま、まぁあまり誇れるものじゃないし…生きていく上で覚えたのが殆どだから」
「あー、もう! シホはなんでそう謙遜しちゃうの!? 理由は何であれ一度見につけた知識なんだから見せ付けてやればいいのよ!」
「そんなものかな…」
「あんたは自分の力を卑下しちゃうところが悪い癖よ」
「す、すみません…」
「あ、アリサちゃん…シホちゃんも謝っているんだからそんなに強く言わないでね?」
「まぁ…すずかがそう言うならもう言わないけど」

アリサはそれで引き下がっていった。

「まぁシホが規格外だっていうのはもう承知済みだからこの際隅に置いておいて」
「ひどい…」
「シホちゃん、落ち込まないで。私は味方だから」

すずかに慰められているシホを尻目にアリサはあることを告げた。

「フェイトとなのはの理数系の成績についてビミョーに納得いかないのよね。
なんで二人して理数系だけが抜群に成績がいいのッ!?」
「え…」
「ええと、なんでだろう…?」



・文系
アリサ  学年一位(満点)
シホ   学年一位(満点)
すずか  中の上くらい
なのは  中の下くらい
フェイト かなり気の毒


・理系
なのは  学年一位(満点)
フェイト 学年一位(満点)
シホ   学年一位(満点)
アリサ  学年一位(満点)
すずか  中の中くらい



図に表すとこういう風になる。
それですずかが「わー、わかりやすーい」と言っている。

「…こうしてみるとやっぱりシホはすごいね」
「や、なんていうか私個人としては一つでもミスをすると悲しくなるから」
「なんで…?」
「ちょっと黙秘権を行使します…」
「ふふふ、私はその理由を知っているよ♪」
「すずか。まだみんなには話していないからこの件に関しては…」
「うん。内緒だよね。私とシホちゃんだけの秘密~!」

シホの秘密を知っている事にすずかは浸って、にへら~という表情をしながらすずかはシホの腕に手を回した。
それでアリサはいつもの事かと溜息をつき、なのはとフェイトは少し顔を赤くしていた。
シホも最近頻繁に見るようになったすずかの大胆な行動に顔を赤くしながらも、

「でもフェイトは美由希姉さんの数学の問題も解けていたからなのはよりは上かもね」
「そんな事はどうでもいいのよ! 負けていられないわ! フェイト! 今度は塾のテストで勝負よ!」
「うん、いーよー」
「フェイトちゃん、大丈夫? アリサちゃん負けず嫌いだから…」
「うん! 面白そうかな」
「そーそー。学校のテストなんて百点は当たり前で面白くないもんねー」
「あー、アリサちゃん? それは絶対おかしいから…」

その後、お昼タイムが終わりなのはとフェイトは二人でお弁当を洗っている間に並行してお話をしていた。
最初は魔法の構築とか制御は理数系だもんね、やら…
みんな運動できるよねという話題になったりしていた。

「でもなのはも最初に比べれば中国拳法をシホに嗜み程度に習っているから動きはよくなってきているよ?」
「そうかなー。フィアちゃんに比べたら雲泥の差だし~…」
「でもいいと思うよ。それだけ戦略の幅が増えるんだし。レイジングハートに残された赤い子との戦いの映像だけど技を決めていたじゃない。
それにクロノとシホが二人で練った練習プランにも着いてこれているんだからなのはは成長しているよ」
「うん、だといいんだけど…シホちゃんは素直に成果が褒めてくれるっていうのは稀だから」
「それだけなのはに期待しているんだよ、きっと」
「うん、だといいね。…でも」

そこでなのははフェイトにくっついて情けない顔をしながら、

「それでも私体育が苦手な事は変わらないから心配なの…」
「大丈夫だよ。午後の体育のドッジボールでは私がきっとなのはを守るから」
「うん…ありがとう、フェイトちゃん」

なにやら二人の間に友達以上の雰囲気が醸し出してきたところで後ろから声が掛かってきた。

「あー。また二人でベタベタしてるー」
「今日は何のお話?」
「二人は仲がいいわよね。まるで恋人みたい」
「にゃっ!? そそそ、そんなことないよ!?」
「そ、そうだよ?」

二人は終始三人にからかわれたのだった。


◆◇―――――――――◇◆


午後になり体育の時間になった。
それぞれが準備運動を開始する中、それを違う屋上で見ている三人の姿があった。
一人目はエイミィ。二人目はアルフ。三人目はフィアット。

「お、やってるやってる」
「お姉様は髪で目立っていますからすぐに発見できますね」
「朱銀髪で更に陶器のように白い肌だもんな」

三人がなぜ見に来ているのかというとエイミィの時間が空いてちょうど暇を持て余していたので修行をしていたアルフとフィアットを呼んで引っ張ってきたのだ。

「今日はドッジボールをやるみたいだね」
「班分けは……………アリサさんとすずかさんが組で、お姉様となのはさん、フェイトが同じ組のようですね」
「バランス的にはちょうどいいんじゃないかな? なのはは体のキレが改善してきたとはいえ苦手なのは変わらないし」

そして試合が始まるとさっそくアリサがシホ達の班の誰かに当てに来ていた。
しかしそこは許さないとばかりにシホとフェイトが素早く走り込みどちらかが目配せでボールをキャッチする。
パスを回しながらもボールはシホの手に回り勢いよくシュートをかます。
アリサが当たりそうになるが、

「すずか!」
「うん!」

アリサの前にすずかが出てそれをキャッチする。
そしてなにやら試合の雰囲気が少しずつ一変してきている事に見ていた三人も気づいた。

「な、なにかシホとすずかの間で火花が飛び散っているように見えるんだけど…」
「そ、そうだねー…」
「なにかありえない事が起こりそうです」

そして三人の予想通りそこからシホとすずかによる接戦が始まった。

「シホちゃん、いくよ!」
「来なさい、すずか!」

すずかの手からすごい剛速球がシホ目掛けて放たれそれをシホは危なげなく避けるが急にボールが円を描くようにカーブしだしシホに迫る。
そのボールは他の生徒に当たってしまったが変わりにボールはシホ達の方に周り今度はシホが反撃とばかりに、

「標的はアリサ! 沈める!!」

シホはなにやら小声で「そのシンゾウ…」と呟いているのを耳がいいフェイトが聞き顔を真っ青にして「いやいや、聞き間違いだ」といって顔を振っていたのはこの際放っておこう。
しかしシホは心の中で、

空間貫く剛速球(ゲイ・ボルクもどき)!!)

と、本気なのかお遊びなのか分からない事を口走っていた。
そして放たれる直球は見事にアリサに突き刺さった。いや、本当に突き刺さった訳ではなく、例えで言えば顎を抉った。
それによりアリサは場外に退場。
お返しと言わんばかりにすずかが場外にパスを回し速攻で復活したアリサがなのはを仕留めた。
いやしかしここでまだボールが空に飛んでいる事にフェイトは気づいて空へとジャンプをして空中で体勢を立て直してすずかへと放った、が相手が悪かった。
すずかはやってきたボールをキャッチしたまま腕を回転させていまだ空に浮いているフェイトにカウンターをしてフェイトは直撃して地面に落ちた。

「ああっ!」
「うわっ! フェイトーッ!」

なのはとアリサの声が上がる。

「直撃ですね…」
「…なにげにあの子も凄いな」
「さすがはなのはちゃんとシホちゃんの友達だ」

三人はすずかの凄さに驚いていた。

「すずかちゃんももし魔導師の素質があったらなのはちゃん達みたいにかなりの魔力あったのかな?」
「どうでしょうね…。私としましてはあまり関係してほしくありません(できるならあの子にはお姉様とあまりこっちの関係はしてほしくないです。私の出番が減りますから…)」

フィアットが心の中でメタ発言をしている間にもドッジボールは熱が入っていく。
お互いに残りも少なくなってきていよいよシホとすずかの定番の試合内容が開始されてきたのだ。
二人が投げればそれだけコート内の戦いは熾烈なものになっていき目で追っていくのも大変な動きをしているのだ。
その戦いに三人も見入っていて気づけば試合終了の笛が鳴らされ、結局シホとすずかの決着は着かず、でも人数の差ですずか達が勝利を手にしていた。

「はぁー…。白熱した試合でした」
「そうだね。さて、試合も終わった事だし私達は戻ろっか」
「それじゃフィアット。また稽古を頼むよ」
「わかりました」

それで三人も早々に引き上げていくのだった。


 
 

 
後書き
シホは努力型、だと思うんですよ。
ドッジボールの心の決め台詞は咄嗟に考えたネタです。 
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