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ヘタリア大帝国

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TURN58 USJ決戦その六

 そのうえでドワイトとアメリカ兄妹にもこう告げた。
「いいわね、行くわよ!」
「そうだな、ここで決めるぞ!」
「一気にね!」
 アメリカ兄妹は陽気にキャロルに応える。
「今攻勢を仕掛ければ」
「それで太平洋軍は総崩れね」
「艦載機から鉄鋼弾まで一気にいくわ」
 四段攻撃、それを一気に決めるというのだ。
 そのことを話して実際にさらなる攻勢に出ようとする。だが。
 ドワイトは冷静にそのキャロルにこう言った。
「いや、今は止めた方がいいかもな」
「どうしてよ」
「確かに俺達は押している」
 ドワイトも戦局はよくわかっている。ガメリカ軍は太平洋軍を一方的に押しており太平洋軍は為す術もない様に見える。
 だがそれでもだというのだ。
「しかしだ」
「しかしって。敵の策ってこと?」
「ここは積極的に攻めるより慎重に行くべきだと思うがな」
「じゃあ総攻撃じゃなくて」
「普通の攻撃で突っ込まない様にすべきだな」
 これがドワイトの考えだった。
「俺はそう思うがね」
「ふん、若し何か仕掛けてきても押し切ってやるわよ」
 キャロルは自軍の戦力を確信してこう返した。
「それこそね」
「そうするか」
「ええ、そうしてやるからね」
「まあそれならそれでいいがな」
「じゃあいいわね。仕掛けるわよ」
「わかった。じゃあ若しもの時は任せてもらおう」
 ドワイトはここでは微笑んで言うだけだった。
「長官のやり方も間違っちゃいない」
「本当に引っ掛かる言い方ね」
「何分相手が相手だからな」
 ドワイトは今は東郷を見ていた。
「だからな」
「本当に引っ掛かる言い方するわね」
「ははは、俺の癖だからな」
 それでだと返すドワイトだった。
「それじゃあ攻めるか」
「ええ、敵の主力を一気に叩くわ」
 キャロルはドワイトの話に妙なものを感じたがそれでも今は積極的に攻めることにした、そのまま数と質で押し切ろうというのだ。
 ガメリカ軍は総攻撃に出た、東郷はその総攻撃を前にこう全軍に告げた。
「また下がるぞ」
「はい」
 秋山も東郷のその言葉に頷く。
「予定通りですね」
「そうだ、予定通りそのまま下がる」
「ではそろそろ」
「そうだ、いいか」
「ああ」
 田中がモニターに出て来た。エルミーと〆羅も一緒だ。
「何時でもいいぜ」
「では予定通りですね」
「ここは」
 エルミーと〆羅も東郷に応える。
「私達は敵の後ろに回り込む」
「そうして」
「そうだ、打ち合わせ通り頼む」
「わかったぜ」
 田中は東郷に威勢よく述べた。
「それじゃあやってやるぜ」
「そういうことでな」
「あんたに俺の潜水艦での腕前を見せてやるぜ」
「是非見せてもらおうか」
 東郷は悠然として田中に返す。そして。
 潜水艦艦隊は密かに敵の後ろに向かった、そしてだった。
 太平洋軍の中央はそのまま下がる、それはガメリカ軍の総攻撃に為す術もなくそうなっている様に見えた。
 しかしその中で。
 アメリカがふと戦局に気付いたのだった。
 
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