ファイアーエムブレム~ユグドラル動乱時代に転生~
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第五話
レンスター王国の居城であるノヴァ城へと帰りついた俺と兄上は、夜の食事の席で出どころ不明で訝しがられた勇者の槍の事件を父であるカルフ王に報告したり、王のほうから兄上の聖痕とグランベル行きの話などを交えて家族の団らんを迎えていた。
一通り食事を終え、食卓から離れて居間のような場所でくつろぎながら飲み物に手を伸ばそうとすると
「ミュアハや、手を見せてごらん。」
カルフ王に促されるまま両手の甲と手のひらとを見せる。
「やはり、お前にも聖痕が出ているようだな。」
促されるまま左の手のひらの親指の付け根あたりを見てみると傷跡のようなものが浮かんでおり、それを父王のごつごつした指がなぞる。
「キュアンや儂のよりは控えめなものだが、これでお前も立派なノヴァの末裔だぞ。」
父王が頭をなでてくれた。
兄上も笑顔を見せながら俺の聖痕を指でなぞってくれた。
「どうも物言いや態度が大人びたと思ったものでのぅ。」
(いや、それは・・・スミマセン、河原の一件で兄上に地を出してしまってから・・ついうっかりなんです。そういえばアルヴィス卿の幼年期が出ていた小説では聖痕出たら以前にも増して頭が冴えて理解力が増してきたとかあったし聖痕にはそういう力があるんだな。
それにしても空気読んで現れてくれた聖痕さんありがとうありがとう。)
「そうなのです父上、私も今日ミュアハから多くのことを学びました。まるで高名な軍学の先生のようでしたよ!」
冗談めかした口調の兄上に
「もー、あにうえの意地悪~」と、俺は言ってじゃれついた。
楽しい時間は過ぎ去って自室に戻った。夜着に着替え、明日の朝に備えて作業用の服と手拭などを準備して床につこうとすると・・・
ま た アイツがいましたよ。
………まぁ、何も無いかのように寝床に潜りこみましたけれどね。
「ちょっw無視とか冷たすぎると感じましたしーw」
駄女神は断りもせずにベッドに腰を下ろすと足をバタバタさせやがる。
「ご近所迷惑なんで夜は静かにしてくださいなー、あと返事はテレパシーでよろ。」
仕方なしに寝床から起き出してやった。
(そういや兄上に勇者の槍プレゼントありがと。)
【ザ子供になっちゃうとゆーき君ですら意外とかわいいのーねw】
コイツとはどーも会話のキャッチボールがうまくいかない。あー、勝手に撫でるな!
(それで、どうしてこの世界に送りこんだんだ?)
【そんなの知りませんしw】
軽い殺意が湧いてくるんだが・・・
【早くかえりたーい!とか、もうこんなところイヤダー!とか思ってなさげなんですけどw】
コイツのくせに、いやコイツは言われて痛いところを的確に突いてくるよ
そりゃ帰りたいけど、その前に兄上と父上の無残な最期やあの悲劇を食い止めたいって気持ちになってるのは間違いない。
あー!でもホモじゃありませんよ!そこだけは絶対違いますから!普通に女の子とちゅっちゅしたいですしー
【ハイハイ^^;】
(それで、一体全体何しにきたんだよ。様子見に来たってなら今まで来なかったのに急に今日2回も現れるなんて何か理由でもありそうなんだけど)
【ふーん。わすれちゃったんだwまぁ言っておくますわ。お誕生日おめでとうーってねw】
は?先月8歳の祝いをしてもらったけれど・・・ん?
「アーー!」
【ご近所迷惑なので夜は静かにしてくださいなーwwwあと返事はテレパシーでよろwww】
………現実での俺の誕生日でした。自分の言った言葉で仇を討たれるとムカつき度がマッハだは……
【お兄さんのイベントの日が重なったので来てあげたってすんぽーよ!さすがはわたしちゃんの一分の無駄もスキも無いスケジュール管理だと思わない?思わない?】
(お祝い言う為にわざわざ来てくれたんか。ありがとな。でも寝るですよおやすー)
【ちょっw自分のしたいことだけして先に寝ちゃうとかサイテーなんですけどw】
なんじゃそりゃー!誤解を生みそうな言い回しはやめんかこらー!
駄女神がごそごそ言うと部屋が真昼のように明るくなった。そして例によってどこからともなく反物?みたいなのを取り出した。
ぶわさっ~という効果音が似合うやり方でその布地を広げると、それは光沢のある黒色が1枚と深紅の輝きというかなんというか魅きこまれるような赤い色をしているもう1枚であった。
【これを城下の……そうね、コルマクさんという仕立屋さんに頼んでwゆー君ならわかるでしょ? 首のところこんなふうになった上着のさらに上に着るマント留めみたいなのw設計図もつけておくからダイジョブとは思うけどwあ、あとダイナマイトキャンペーン中につき刺繍用の金糸と銀糸もつけて大さーびす!いまならセットでもう1枚・・・マント用の反物よw】
え……これって、あの?兄上のキャラ絵を超かっこよくしてるアレ?
【軍服にしちゃうとキミたち成長期だとすぐサイズ合わなくなっちゃいますしwそ・れ・と!設計図は汚しちゃってもいいけど必ず襟のあたりに縫いこんでおくよーにw設計図にも書いてはあるけど念のためよー】
(わたしちゃんさん、ありがとう。でもこんな高価そうなもの子供が持ちこんだら出どころがどこだって追求されて大変なことになっちゃいそうだし気持ちだけもらっとくよ。)
……空気が凍るっていうのは現実で何度となくやってきた気がするがここにも巻き起こしたらしい。
【……ゆー君が2年くらい頑張った水汲みのお駄賃で縫製頼んでさっ、
……お兄さんが出立の時に渡してあげたらさっ、
……感動的だとおもったのにぃ、ぐすっ】
駄女神の奴は部屋のすみっこに一瞬で移動するとどんよりオーラをまとって体育座りをしていじけはじめた。壁に向かってぶつくさ言いだしてるし……。
「善意でやったことが必ずいい結果出るって限らないってオマエだってわかってると思うんだけどな、でもごめんな。そしてありがとな。」
俺は毛布を持って駄女神の隣に行くと座り込んで、ヤツと俺とを毛布でぐるっと囲んで目を瞑った。
翌朝目を覚ますと体中が痛い。こんな場所で寝たからなのでわかりきってはいた。
ふとベッドを見ると書置きがあって
さがさないでください。
って書いてあった。 もちろん探しません。さぁ水汲み水汲み。
後書き
ここでチートアイテムげっとぉ!しようかと思いましたがやめました。
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