『言霊使いと幻想郷』
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短編
「……今日は人里で日本史の授業だな」
俺は河童特製のカレンダーを見た。このカレンダーはちゃんと紙で出来て印刷されてある。
それでも四月、五月じゃなくて皐月や水無月とかの旧暦になっている。
「霊夢ぅ~、ちょっと昼まで人里に行ってくるぞぉ~」
「分かったわ誠兄ぃ~」
境内から居間にいる霊夢にそう言って石段を降りる。
「ショートカット『原チャ』」
俺は言霊で原チャを出してエンジンを始動する。取り合えずヘルメ被るか。
「さて、行きますか」
俺は発進して人里へと向かった。
「よっす」
「ん? 八雲か。そうか、今日は日本史の近代史か」
寺子屋に行くと机で事務処理をしていた上白沢が壁に貼られた予定表を見てそう言った。ちなみに俺は火木だな。
上白沢からは給料代わりとしてたまに日本酒を貰ったりしている。まぁ日本酒をあまり買わなくていいけどな。
「それじゃあ授業に行くかな」
「そうだ。私も行っていいか?」
「ん? 何でだ?」
「最近、八雲の授業が面白いと聞いたからな。どんなのか見てみたくてな」
「そ……そうか……」
……ヤバいな。かなりヤバいぞ。ん? 何がヤバいか?
授業はしている事はしているんだが、たまに遊びとして漫画の話をしたり色んな事を話しているんだが……今日は何も聞くなよ子ども達よ……。
「………(何で覚悟を決めたような表情で教室に向かおうとするんだ?)」
「起ぃー立、礼ッ!!」
「御早う、今日は上白沢先生がいるからな。それじゃあ今日は……」
「えぇ~~、この間の流浪人と全身包帯男の戦闘はどうなるのぉ?」
早速授業をしようとした時、近くの席に座っていた女の子が不満を言った。
……これはマズイぞ。
「そうだよ、おっケーネともこたん物語はどうするんですか?」
「罪袋の第二次ゆかりん大戦はどうなるんですか?」
「流浪人と全身包帯男? おっケーネともこたん物語? 罪袋の第二次ゆかりん大戦?」
教室の後ろにいた上白沢がブツブツと何か言っている……非常にヤバい。
「そ、それはまた今度な。今度」
『えぇ~~~』
子ども達からブーイングが巻き起こった。うん、ヤバいね。さっきから上白沢の顔が笑顔だ。
「……なぁ八雲」
「は、ハヒッ!!」
……上白沢がゆっくりと笑顔で教卓に向かってくる。
「……先生、僕厠行ってくるッ!!」
「お、俺もッ!!」
「わ、私急に目眩が……」
上白沢の何かを感じた子ども達が慌てて逃げ出した。ちょ、逃げんなッ!!
「八雲ォッ!!」
「はいィッ!!」
上白沢が両手で俺の頭をガシッと掴んだ。あ、俺オワタ。
「……誰がそんな物教えろと言ったァァァッ!! 教育的指導ォッ!!」
「ちょ、ま……アッーーー!!」
後に聞くと寺子屋で三回の鈍い音が聞こえたという……上白沢の頭の固さは鈍器なのか?
「何か言ったか?」
「イエ、ナンデモアリマセン」
何故か片言で答える俺である。
「じゃあ授業するぞ」
子ども達も集まって授業が再開された。
「それで戊辰戦争の経過だが、新撰組の土方歳三や榎本が蝦夷地へ向かって蝦夷共和国を建国した」
俺は白のチョークで黒板に書いていく。
「まぁ蝦夷共和国も土方が戦死して降伏してしまうよ。これ次の定期試験に出るからな」
「八雲先生ッ!!」
「どうした?」
「……字が汚いです」
「上白沢、どつけ」
「お前はアホかッ!!」
「ぐぇッ!?」
……またどつきかれた……。くそ、仕方ないな、直してやるか。
「んじゃぁ次、明治政府の話な」
そして時間が来るまで授業をした。
「……幕末で十日掛かるのか?」
「ん? まぁな」
授業後、寺子屋の教務室で上白沢にそう聞かれた。
「いいか上白沢。幕末はな、俺達未来の人間にはドラマなんだよ」
「ど、どらま?」
「あぁ英語は無理か。まぁ夢と感動かな」
勿論、日清、日露、第一次、シベリア、支那事変、大東亜も詳しく教えてやるよ。詳しくな……。
「私が幕末を教えるより詳しいからな」
「ま、それは仕方ないだろ。何せゆかりん……じゃなくて紫さんが薩英戦争の時に博麗大結界を作ったんだからな」
上白沢によれば薩英戦争を聞いた紫さんが危機感を覚えて博麗大結界を敷いたそうな。
『作者の独自判断です』
「さて、帰るかな」
俺は背伸びをして席を立つ。
「助かったよ。まぁ、おっケーネともこたん物語は是非とも妹紅と聞きたいものだな」
「あ、アハハハ……」
……上白沢の笑顔が非常に恐い……、ちなみに脚本は輝夜だったりする。(暇なんですね、分かります)
「そ、それじゃあな」
「あぁ」
俺は上白沢と別れ、寺子屋を後にした。あ、日本酒……多分無理だな。
「仕方ない。今日は買って帰るか」
俺は酒屋に行って日本酒を購入して原チャで神社に帰るのであった。
後書き
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