スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第百七話 真の姿
第百七話 真の姿
ロンド=ベルは遂にバロータ本星に辿り着いた。そこは。
「雪と氷に覆われた大地が」
「ここがか」
「プロトデビルンの本拠地」
「そうなのね」
その大地を見ながら口々に言うのだった。
「この惑星の地下にか」
「プロトデビルン達が封印されていて」
「それにさらわれた人達も」
「その残りの人がいんだな」
「レーダーに反応です」
ここでマヤが言う。
「周囲に降下してきます」
「やっぱり来たか!」
「予想通りね!」
そのバロータ軍だった。彼等であった。
「プロトデビルンも勢揃いか」
「最後の最後でクライマックスってかよ」
「演出が凝ってるねえ」
「全く」
「好都合だ」
ここでこう言ったのはジェイである。
「どうせ片付けなければならない相手だ」
「だからか」
「そうだ。一度に出て来てくれれば」
ジェイはこうルネに話す。
「手間が省けるというものだ」
「随分と楽観的な意見だな」
それを聞いてシローが述べた。
「簡単な相手ではないんだけれどな」
「では退かれますか?」
ノインがこうそのシローに問うた。
「ここは」
「まさかな」
彼は笑ってそれは否定した。
「ゲペルニッチを倒さなければ終わりなんだ」
「はい、この銀河が」
「あいつが。目を覚ませば」
どうなるか。当然ながら彼等もそれを聞いているのだ。
「何もかもが」
「それでは」
「戦う!」
選択肢は一つしかなかった。
「絶対にだ!」
「そうだな。不利でもな」
「勝負をかけるしかないのよ」
オリファーとマーベットも話す。
「今はな」
「選択肢は一つしかないのよ」
「辛いけれどね」
ジュンコはこのことを話した。
「予想以上よね」
「はい、残念ですが」
マヤがジュンコのその言葉に応える。
「予測の百四十パーセントを超えています」
「凄いな」
「全くだな」
オデロもトマーシュも言葉がない。
「派手にやり合ってるとは思ったけれどな」
「そこまでだったか」
「じゃあこの戦いは本当に」
ウッソが決意した様な顔で述べる。
「退いたら負けですね」
「そうだな。前に出て戦うしかないんだ」
シーブックもウッソと同じ表情である。
「そして勝つしかないんだ」
「感じます」
ここで言ったのはだ。セシリーだった。
「この嫌な気配は」
「ええ、そうですね」
「これは」
ウッソとシーブックが応える。他のニュータイプの面々もだ。
「目覚めようとしている」
「間も無く」
「奴が動き出す前に」
カミーユが険しい顔で言う。
「何としても本体を叩かないと」
「けれどカミーユ」
ファが暗い顔で彼に話す。
「サウンドブラスターも使えないし」
「援軍もだな」
「辛い戦いになるわ」
「わかってるさ。けれど」
「けれど?」
「それはいつもだからな」
カミーユはこうファに話すのだった。
「今更言ってもな」
「そうね。言われてみればね」
「やるしかないんだ」
これがカミーユの今の言葉だった。
「いつも通りな」
「あたしが歌うわ!」
「私もね!」
「私もです!」
ミレーヌにシェリル、そしてランカだった。
「サウンドバスター作戦、任せて」
「いいのですね」
エキセドルがそのミレーヌに問う。
「サウンドバスターの歌エネルギーが」
「わかってます!」
それでもだと返すミレーヌだった。
「けれど」
「けれどですか」
「はい、歌いたいんです」
こう言うのである。
「バサラがいなければその分まで!」
「だからなのですね」
「はい、あたしはファイアーボンバーです!」
また言うミレーヌだった。
「ファイアーボンバーが生き甲斐だから!」
「歌われますか」
「ここで歌わなかったら」
どうなるか。それも話すミレーヌだった。
「今歌わなかったら」
「どうなると」
「今まで大事にしていたものが全部なくなっちゃうから!」
「大袈裟だな」
こう突っ込みを入れたのはレイだった。
「そこまでだというのか」
「ええ、そうよ」
まさにその通りだと認めはする。しかしだ。
「それでも」
「わかった。それじゃあな」
レイもミレーヌのその言葉を受けた。そしてだ。
「俺もだ」
「・・・・・・・・・」
「一緒に来てくれるのね」
「俺もファイアーボンバーだ」
「・・・・・・・・・」
無論ビヒーダもいる。無言であるが。
「それならな」
「有り難う・・・・・・」
「礼はいい」
「そうなの」
「行くぞ、そして歌うぞ」
「何があってもね」
「いいか、諸君」
グローバルがここで話す。
「全部隊でバトル7を援護する」
「そしてですね」
「然るべき場所に」
「あそこです!」
千葉がここで言う。
「あのポイントに入って歌えば」
「サウンドバスター作戦が成功する」
「この作戦が」
「ああ、そうだ」
千葉はロンド=ベルの仲間達に答える。
「あの場所に辿り着いて歌えば」
「よし、それなら!」
「あのポイントまで行って!」
「そして歌うんだ!」
「それしかない!」
「ただし」
ここでまた言う千葉だった。
「現在の戦力では」
「今の俺達じゃ」
「どうだっていうんですか?」
「戦えるのは六分だけだ」
それだけだというのである。
「それが限界なんだ」
「六分か」
「さっきよりは多いよな」
「じゃあ充分ね」
「そうだな」
今更だ。時間にはこだわらなかった。それでだ。
「六分もあるんだ!」
「やってやらあ!」
「それだけの時間があったら!」
こう話してだった。全軍で向かうのだった。
その彼等にプロトデビルンの大軍が攻撃を仕掛ける。しかしだ。
「マクロス7を守れ!」
「全部隊でだ!」
「この程度の数!」
「今更どうってことあるかよ!」
こう言いながらだ。戦うのだった。
そのうえで徐々にポイントに近付く。その中でだ。
「ふむ」
「どうしたのだ、ガビル」
バルゴがガビルの言葉に気付いた。
「何かあったのか」
「どうやらだ」
ガビルがだ。そのバルゴの問いに答えた。
「我々は変われるな」
「変われるだと?」
「そうだ、変われる」
こう言うのである。
「若しかするとな」
「変わる、どういうことだ」
「それはこれから次第だ」
「意味がわからないぞ」
「やがてわかる」
しかしガビルはまだこう言うのだった。
「若しかしたらな」
「ふん、それではだ」
「待つか」
「見させてもらおう」
バルゴもだった。こう言ってだ。
そのうえで戦いを続ける。そうするのであった。
ロンド=ベルは彼等の攻撃を退け振り切りだ。そのうえで。
そのポイントに近付く。すると。
そこにだ。禍々しい形をしただ。巨大な戦艦が出て来た。
それを見てだ。ギギルが言う。
「あれはだ」
「何なの、あれは」
「プロトデビルンの旗艦だ」
こうミレーヌに話すギギルだった。
「あれがだ」
「じゃああそこにか」
「ゲペルニッチってのがいるんだな」
「あの中に」
「そういうことだ」
また言うギギルだった。
「あの中にだ」
「あのサイズだ」
シナプスが言う。
「破壊するのは困難だな」
「そうですね」
バニングもだ。そう見るのだった。
「容易ではありません」
「くそっ、こんな時にか」
「あんなデカブツが出て来るなんてな」
「どうする?ここは」
「かわすか?それでポイントに」
「それは無理だな」
シンルーが言った。
「あそこまで大きいとな」
「じゃあやっつけるしかないの?」
「そう思う」
シンルーはこうルナに返した。
「ここはな」
「やるしかないってのね」
「ちっ、時間大丈夫かよ」
「間に合わせるしかないですね」
エイナがエイジに言う。
「ここは」
「へっ、いつも通りかよ」
「ミレーヌさん、ここは」
ガムリンがだ。ミレーヌに対して言う。
「自分達に任せて下さい」
「ガムリンさん」
「自分はです」
悔やむ顔でだ。彼はミレーヌに話す。
「バサラに嫉妬していました」
「嫉妬!?」
「自分は最低です」
こうだ。苦い声で言うのである。
「だから、せめて」
「ガムリンさん、あたし」
そしてだ。ミレーヌも彼に告げる。
「御免なさい」
「はい」
「あたし、ガムリンさんのこと大好きです」
こう告げるのだった。
「本当に、本当に大好きです」
言葉を続けていく。
「けれど」
「けれど?」
「気付いたんです」
その言葉が変わった。
「バサラが」
「あいつが」
「バサラのことを同じ位好きだってことに」
そのことにだ。気付いたというのだ。
「ですから」
「わかりました」
ガムリンはミレーヌのその気持ちを受けた。そのうえでの言葉だった。
「では今は」
「今は?」
「歌うんだ」
これが彼のミレーヌへの言葉だった。
「今一番大切なことは」
「それは」
「バサラの為に歌うことだ」
まさにだ。それだというのだ。
「あいつの分まで」
「はい、わかりました」
ミレーヌもだ。素直に頷いた。そうしてだ。
彼女はだ。澄み切った顔になって言った。
「あたし、絶対に」
「いいか、ミレーヌ」
レイもミレーヌに対して言う。
「中尉の気持ちを無駄にするな」
「うん、わかってるわ」
「そしてだ。必死に歌え」
「ええ、じゃあ」
「びびってる余裕はないぜ!」
豹馬もミレーヌに告げる。
「どうせ最初から無謀な戦いなんだからな!」
「この場合は一つしかない」
マーグも前を見据えている。
「前に進むだけだ」
「そうですね。それしかありませんね」
ロゼもマーグのその言葉に頷く。
「ここは」
「各機に告げる」
ジェフリーが指示を出す。
「敵巨大戦艦を破壊し」
「そしてですね」
「そのうえで」
「バトル7の進路を確保する」
今はだ。そうするというのだ。
「わかったな」
「了解!」
「それなら!」
こうしてだった。そのうえでだ。
彼等は巨大戦艦にも突き進む。そしてだ。
派手な攻撃を浴びせる。次から次にだ。
だがそれでもだ。戦艦は沈まない。そこに浮かび続けている。
「おいおい、しぶといな」
「ヘルモーズよりまだだな」
「ああ、しぶといな」
「本当にな」
「こんなにしぶといのかよ」
「けれどな!」
それでもだというのだった。
「こっちだって意地があるからな!」
「進ませてもらうぜ!」
「絶対にな!」
こうしてだ。彼等は意地で戦艦に攻撃を浴びせる。
そしてだ。戦艦の動きを止めている間に。
遂にだ。バトル7がだった。
「よし、やったぞ!」
「到達したぜ!」
「後は!」
「歌だ!」
まさにだ。それだというのだ。
「ミレーヌ、今よ!」
「あんたの歌で!」
「サウンドバスターを!」
「ええ、わかってるわ!」
ミレーヌも応えてだ。そうしてだ。
彼女はベースを奏ではじめる。そのうえで歌いはじめる。
「これで。本当に」
「そうはさせん」
だが。巨大戦艦の中から声がした。
そしてだ。あの戦艦がだった。
それまで受けた攻撃をものともせずだ。ミレーヌに向かって来たのだった。
「なっ、ミレーヌに!?」
「来てるぞ!」
「まずい!」
「このままじゃ!」
「さあ、決まるのかロンド=ベル!」
ガビルが叫んだ。
「貴様達が敗れるかそれとも!」
「負けるか!」
「こんなところで!」
こう叫んでだ。そのうえで。
全員で総攻撃を浴びせた。それでだ。
ゲペルニッチの巨大戦艦をだ。遂に沈めたのだった。
「やったな」
「ああ、これでな」
「ゲペルニッチも」
「完全に」
倒したとだ。誰もが思った。
しかしだ。ここで、であった。
その破壊させた戦艦の中からだ。恐ろしいものが姿を現した。それは。
「な、何だよあれ!?」
「あれがまさか」
「あいつか!?」
「あのプロトデビルンの」
「そうだ」
またギギルが仲間達に話す。
「あれがゲペルニッチだ」
「あれが生物か!?」
「一つの生物なのか!?」
「まさか」
「ゲペルニッチ様が完全復活する時が来た!」
またガビルが言う。
「これぞ完全復活美!」
「くそっ、折角戦艦を沈めたってのによ!」
「まだ来るっていうの!?」
「何てこった」
誰もがだ。唖然となる。
「あんなのが出て来るなんて」
「どうしたらいいんだ」
「いえ、まだです」
だが、だった。エキセドルがここで言うのだった。
「絶望する時ではありません」
「じゃあここは」
「あれですか」
「歌ですね」
「それを」
「はい、そうです」
その通りだと述べるのである。
「彼もプロトデビルンであるならです」
「サウンドバスターですね」
「それが有効の筈だから」
「ここは」
「それで」
「決めます」
実際にこう言う彼だった。そしてだ。
ミレーヌはだ。再びベースを構えた。
その上で。演奏をはじめた。
「バサラ。聴いてね」
「では。開始です」
エキセドルも彼に合わせて言う。
「サウンドバスターです」
「発射します!」
「今より!」
こうしてだった。そのサウンドバスターが。
マクロスキャノンを通じてだ。ゲペルニッチに浴びせられた。それを受けると。
「うおおおおおおおおおっ!!」
「!?ゲペルニッチ様!」
「まさか、これが」
「サウンドバスター!?」
「それだというのか!」
プロトデビルン達も驚くを隠せない。
「何という威力だ」
「あのゲペルニッチ様が」
「苦しんでおられる、いや」
「違う」
見ていてだ。そのことに気付いたのだ。彼等もだ。
「悦んでおられる」
「あの攻撃により」
「まさか、あれは」
「我等と同じものを感じているというのか」
そしてだ。それを見てだ。
千葉もだ。拳を握り締めて言う。
「信じられない!」
「そうですね、これは」
「想定以上です」
「そうだ、期待以上のパワーだ」
こう美穂とサリーに述べる。
「これ程までとは」
「あれがミレーヌちゃんの力なのね」
「そうですね」
シェリルとランカも彼女のその歌を聴いて言う。
「あそこまでなんて」
「本当に凄いです」
「ええ、けれど」
「けれど?」
ランカはここでシェリルの言葉が変わったことに問い返した。
「何かありますか?」
「ミレーヌちゃんだけれどね」
「はい、ミレーヌちゃんですか」
「前から何か思ってたけれど」
こう前置きしての話だった。
「マックスさんとミリアさんに似てるわね」
「そういえば」
言われてだ。ランカも気付いたのだ。
「御二人の姪御さんですよね」
「姪っていうより親子みたいね」
そちらだというのだ。
「何かそんな感じね」
「そうですね、本当に」
こんな話もしていた。その中でだ。
エキセドルはだ。期と見てだ。
美穂とサリーにだ。さらに言うのであった。
「それではです」
「サウンドバスターですね」
「もう一撃を」
「はい、そうします」
それを放つというのだ。
「そうすれば。より」
「あのゲペルニッチが」
「追い詰められますね」
「この作戦は何としても成功させなければなりません」
この前提があるからだというのだ。
「ですから」
「了解です」
「それでは」
「再び発射です」
また言うエキセドルだった。そうしてだ。
サウンドバスターが再度放たれる。すると。
エキセドルがだ。こう叫んだ。
「うおおお!ゾクゾクッ!」
「よし、効いているぞ!」
ギギルがそれを見て言う。
「確かにだ!」
「じゃあこのままいけば」
「勝てる!」
「この戦いにも!」
「そうだ、ミレーヌ=ジーナス!」
ギギルはミレーヌに対して告げる。
「このままだ!歌え!」
「ええ、わかったわ!」
「御前の歌が銀河を救うんだ!」
こう告げるのである。
「だからだ、歌え!」
「歌うわよ!このままずっとね!」
しかしだ。この時だった。
ゲペルニッチがだ。変貌したのだ。
「な、何だ!?」
「あいつ、一体!?」
「これは!」
「うおおおおおおおおおっ!!」
全身からエネルギーを放つ。それでだ。
バトル7を撃つ。それでだった。
「大変です!」
「ガンシップの歌エネルギー交換システムが!」
美穂とサリーがすぐにエキセドルに報告する。
「損傷しました!」
「大破です!」
「まずい、このままでは!」
千葉がだ。それを聞いて言った。
「サウンドバスターが」
「すぐに修復を」
エキセドルは冷静だった。そうした状況でもだ。
そしてだ。彼は問うのだった。
「ミレーヌさんは」
「無事です」
「ファイアーボンバーは」
「そうですか。それでは」
「しかしです」
「敵が」
美穂とサリーがまた報告する。
「異変が起こっています」
「これは!」
「!?」
見ればだ。ゲペルニッチがだ。
急激にだ。その周辺にエネルギーを膨張させていた。
それを見てだ。がビルが言う。
「これはまずい」
「どうなっているのだ、ガビル」
「これは」
ゴラムとゾムドがガビルに問う。
「ゲペルニッチ様は一体」
「どうされたのだ」
「暴走されているのだ」
そうなっていると。ガビルは二人に話した。
「これは美ではない!」
「違う!」
ゲペルニッチも叫ぶ。
「これでは夢の崩壊!」
「夢の崩壊!?」
「それだと」
「スピリチアドリーミングがだ!」
ゲペルニッチはさらに叫ぶ。
「ぐおおおおおおおお!」
「何だ、このパワーは」
千葉はそのゲペルニッチを中心としたエネルギーの崩壊を見て言う。
「一体何が」
「これでは夢が」
ゲペルニッチはまた言った。
「スピリチアファームが崩壊する!」
「おかしい、これは!」
ガビルも再度言う。
「ゲペルニッチ様が狂乱の美!」
「ガオオオオオオン!」
「このままでは!」
「うおおおおおおおお!」
「いい加減にしろ!」
レイがだ。暴走するゲペルニッチに対して叫ぶ。
「このバケモノが!」
「・・・・・・・・・」
ビヒーダも共にいる。無言ではあるが。
「これ以上大切なメンバーを傷つけさせるか!」
「・・・・・・・・・」
「行くぞビヒーダ!」
「!!」
無言で頷き。そしてだ。
レイはミレーヌから離れだ。ゲペルニッチに己の機体を接近させた。
そのうえでだ。ドラムを鳴らす。
「これでどうだ!」
「・・・・・・・・・」
「何と、これは」
千葉がそれを見て再び言う。
「歌エネルギーだ」
「それなのですね」
「はい、ビヒーダのドラムで」
その力でだというのだ。
「彼女のドラミングが歌エネルギーを生んでいます!」
「ミレーヌ!」
レイは今度はミレーヌに対して叫んだ。
「下がれ!」
「でも!」
「ここは俺達に任せるんだ!」
レイもこう言って引かない。
「だからだ!中尉!」
「はい!」
ガムリンに対しても叫ぶ。
「ミレーヌを頼むぞ!」
「わかりました、それでは」
「今はこいつを止めることだ!」
「マックス!」
「わかっている!」
マックスはミリアに対して頷いてみせる。
「こいつをこのまま放っておけば」
「それだけで」
「全銀河のスピリチアを吸い尽くされてしまう」
その危惧がだ。全員の心を包んでいるのだ。
「だからだ、ここは」
「ええ、何があってもね」
「倒すしかない」
「総員攻撃を集中させろ!」
火麻も叫ぶ。
「あらゆる手段を使ってゲペルニッチを倒せ!」
「核を用意しろ!」
「それも使うんだ!」
切り札まで出される。そうしてだった。
ゲペルニッチにだ。全員が渾身の攻撃を浴びせる。しかしだ。
それでも彼は立っている。微動だにしない。
「な、何だよ」
「核も打ち込んでるんだぜ」
「それでも全然平気じゃねえか」
「何だあいつ」
「ポジトロンライフルでも駄目なんて」
シンジも唖然となっている。
「こんなバケモノ、はじめてだよ」
「はじめてでもやるしかない!」
ドモンはこの状況でも闘志を失っていない。
「ここはだ!必ずだ!」
「そうですね。負けたら駄目ですよね」
シンジもすぐに気を取り直した。
「それなら」
「俺もやる」
クォヴレーもいる。当然ながら。
「何としてもこいつを」
「いかん!全員一旦離脱しろ!」
ガビルが同胞達に告げる。
「このままでは!」
「どうした!」
「これは」
「一体」
「五十万年周期の到来だ」
それだと告げるのである。
「スピリチアンブラックホールだ」
「あれか」
「あれだというのか」
「このままでは銀河のスピリチアが吸収されてしまう」
撤退しながらだ。同胞達に話すのだ。無論その同胞達も退いている。
「全銀河の終末美だ」
「最早止められぬ」
ゲペルニッチも暴走の中で呟く。
「ゲペルニッチは崩壊した」
「では今のゲペルニッチ様は」
バルゴが撤退しながら呆然として言う。
「何だというのだ」
「全ては闇の導きに身を任せてしまった」
「総員一旦撤退だ!」
ガビルがグラビルと合体しながら指示を出す。
「少なくとも今は生き延びろ!生存美!」
「くっ、わかった」
「こうなれば」
こうしてプロトデビルン達も撤退する。そして残ったのは。
そのゲペルニッチとロンド=ベルだった。ロンド=ベルはその巨大化してしまったゲペルニッチを前にしていた。その中においてだ。
エキセドルがだ。こう呟いたのだ。
「もう終わりですかな」
「まさか、ここで」
「終わりなんて」
危機が迫ろうとしていた。全銀河の。
第百七話 完
2011・3・17
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