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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第七十七話 バルマーの巫女

              第七十七話 バルマーの巫女
 ルリアと共に連れて来られたのはだ。幼い顔をした少女だった。青い目に金髪の短い髪を持っている。小柄な身体を白と紫のアラビアのそれを思わせる服で包んでいる。
 その彼女がだ。こう言うのであった。
「アルマナ=ディクバーです」
「それとこっちのルリアって人がか」
「シティ7に潜り込んでたの」
「十二支族の人が」
「何とまあ」
 皆まずはこのことを驚くのだった。
「信じられないな」
「そうだよな」
「これって」
「どうやって潜り込んだんだよ」
「それはだ」
 ルリアが答えたのだった。
「密かに小型船でだ」
「接岸してそれで」
「潜り込んだ」
「そうしてか」
「その通りだ。かなり前からそうしていた」
 こう話すのだった。
「気付かれないように細心の注意を払った」
「そうだったのですか」
 エキセドルがそれを聞いて頷いた。
「フロンティアからとも思ったのですが」
「シティだ」
 そのことははっきりと答えるルリアだった。
「それで中に入った」
「その目的は何かしら」
「それが一番気になるな」
 クスハとブリットがここで話す。
「どうしてバルマーから出たのかしら」
「それはどうしてなんだ?」
「そのことですが」
 アルマナがだ。答えてきたのだった。
「実は。バルマーのしきたりが嫌になって」
「そうだ、それだ」
 ルリアもアマルナのその言葉にすぐに応えた。
「それでなのだ。我々はだ」
「抜け出したのです」
「そうだったんだ」
「それで」
「シティ7に潜り込んだ」
「そうだったんだ」
「成程」
 殆どの面々はそれで納得した。しかしだった。
 万丈は二人を見ながらだ。こう言うのだった。
「まああれだね」
「何だ、一体」
「よくある話だね」
 思わせぶりな顔での言葉だった。
「それはね。よくあるね」
「何が言いたい」
「いや、別に」
 あえて言わない彼だった。
「何でもないよ」
「なら何故言う」
「いや、別に」
「そうね。言わない方がいいことってあるからね」
 エクセレンも何故かにこにことしている。
「まあスパイじゃないみたいだし」
「スパイにしちゃ衣装が派手だよな」
「特にそっちのアマルナさん」
「見るからにお姫様だし」
「身元もはっきりしてるし」
 身元についてはだ。彼等が答えた。
「間違いない」
「何処からどう見てもです」
 マーグとロゼだった。特に十二支族のマーグが言うのだった。
「この娘はアマルナ=ディクバーだ」
「そしてルリア=カイツです」
「その通りだ」
 ここでヴィレッタも言う。
「変装についてもチェックしたがだ」
「紛れもなく本人さん達なんですね」
「やっぱり」
「その通りだ。間違いない」
 また言うヴィレッタだった。
「この二人はそれだ」
「そうなんですか」
「それじゃあこの人達ってやっぱり」
「バルマーのお姫様」
「偉い人達なんですね」
「そんな人達がスパイっていうのは」
 皆その可能性について考える。するとだった。
「有り得ないよな」
「どう考えても」
「それは」
「やっぱり」
「間違ってもそれはない」
 ルリアも言う。
「マシンは一機持ってきているがだ」
「それでもですか」
「スパイじゃない」
「まあ確かに」
「こんなあからさまな人達っていませんし」
「やっぱり」
「スパイじゃないのは間違いないね」
 万丈はここでも話した。
「そういう人達じゃないよ」
「じゃあ只の密航者か」
「だよね」
「バルマーってだけで」
「それだけだね」
「そうだ。そしてだ」
 ルリアからの言葉だった。
「どうするつもりだ」
「貴様等をか」
「そうだ、どうするつもりだ」
 険しい顔で問うのであった。
「我々をだ」
「どうするつもりか」
 キョウスケが彼女の言葉に応える。
「それか」
「そうだ、処刑か」
 こう問うのだった。
「それとも拷問か。どちらだ」
「覚悟はできています」
 アルマナも覚悟を決めた顔で言ってきた。
「見つかればその時は」
「安心しろ。それはない」
「ないとは」
「まさか」
「何度も言うがそれはない」
 また言うキョウスケだった。
「それはヴィレッタ大尉が約束していたな」
「では信じろというのか」
「そうだ。そんなことはしない」
 キョウスケはそれは否定するのだった。
「決してだ」
「まさか。そんな」
「だって君達は敵の軍人じゃないしね」
 万丈が言うのはこのことだった。
「それで何かをするのはないよ」
「まああれね」
 エクセレンがまた言う。
「常に監視は置かせてもらうけれどね」
「それだけだというのか」
「そうだよ。不服かな」
「いや」
 万丈の言葉にだ。戸惑いながらも応えるルリアだった。
「本当にそれでいいのか」
「おっ、そう来たの」
「意外といった面持ちだな」
「そうだ、意外だ」
 エクセレンとキョウスケに返すルリアだった。
「信じられないが」
「監視だけでいいってことが」
「それがか」
「我々はバルマーの者だ」
 やはりこのことが問題だった。
「それでなのか」
「それを言ったなあ」
「そうよね」
 アラドとゼオラが苦笑いで言ってきた。
「うちの部隊なんてそれこそ」
「どうしようもなくなるから」
「処刑を覚悟していました」
 アルマナの言葉がそれが嘘ではない証拠に強張っていた。
「ですがそれでいいとは」
「逃げられないしな」
「そうよね」
「シティからは」 
 ロンド=ベルの面々はこのことも話した。
「それじゃあ監視でも充分過ぎる程だし」
「処刑なんてしたらそれこそ」
「ねえ」
「そもそもだ」
 レーツェルが二人に言ってきた。
「ここにもバルマーの者がいるな」
「同じということか」
「如何にも」
 レーツェルもルリアの言葉に答えた。
「その通りだ」
「それでなのか」
「その通りだ。そしてだ」
「うむ」
「君達のマシンは預からせてもらう」
 それはだというのであった。
「小型艇もだ。それはいいな」
「当然のことだな」
 それには驚かないルリアだった。
「逃げられないようにということだな」
「そういうことだ。もっとも」
 レーツェルはここで二人を見て言った。
「その心配もないようだがな」
「我々が逃げ出さないということか」
「君達は既にバルマーから脱出している」
 レーツェルはこのことを指摘した。
「それでここまで来たな」
「その通りだ」
「何故脱出したか」
 レーツェルはこう続けた。
「それは問わない」
「いいというのか」
「そうだ、それはどうでもいいことだ」
 意に介さないというのであった。
「だが。ここが安全だと思っているのは間違いないな」
「如何にも」
 その通りだと述べるルリアだった。
「それはだ」
「ではだ。君達が逃げることはない」
 レーツェルはまた言ってみせた。
「逃げても行くあてがないのだからな」
「そういうことだな。ではだ」
「うむ、それではだ」
 こうしてだった。二人は監視付きでシティ7に留まることになった。そしてだった。
 その監視がだ。問題なのだった。
「さあ、テレビだ」
「そうですね。もうすぐですよ」
「ゲキガンガーはじまるぜ」
 ダイゴウジにアキト、それにサブロウタだった。三人は二人のいる屋敷のリビングでだ。テレビを観ながらこんなことを話していた。
「今週はどうなるだろうな」
「先週凄いところで終わりましたしね」
「期待できるぜ」
「ゲキガンガーが勝つ!」
「ええ、最後は絶対に」
「どういう勝ち方するかだな」
 三人の頭の中にあるのはアニメだけだった。そんな彼等を見てだ。
 ルリアは怪訝な顔になって言うのだった。
「あれは監視か」
「はい、監視です」
 ルリもいた。彼女はルリアの横でジグソーパズルをしながら応えるのだった。
「これがです」
「そうは見えないが」
「そうでしょうか」
「それで貴殿もか」
 ルリアはルリにも問うた。
「監視しているのか、私達を」
「その通りです」
 相変わらずジグソーパズルをしている。
「ですからここにいます」
「とてもそうは見えないが」
「そうでしょうか」
「全くな。若しもだ」
「はい、貴女達が暴れたりした時ですね」
「その時はどうするつもりだ」
 ルリアは真剣そのものの顔でルリに問うた。
「その場合はだ」
「どうもしません」
「どうもだと」
「寝てもらいます」
 こう言うだけのルリだった。
「催眠ガスは用意してありますので」
「手荒な真似はしないということか」
「して欲しいですか?」
「いや?」
 ルリアは首を横に振って応える。彼女もそれは望んではいなかった。
「そんな筈がない」
「そういうことです」
 こう返すルリだった。相変わらずパズルをしている。
「私達も手荒な真似はしません」
「バルマーであってもか」
「同じ人間ですから」
 それがそうする理由であった。
「ですから」
「そういうことか」
「はい、それでなのですが」
「今度は何だ」
「ルリアさんでしたね」
 彼女への言葉であった。
「最初に御会いした時から思っていたのですが」
「何が言いたい」
「貴方にはオルガさんと同じ匂いを感じます」
「オルガだと」
 その名前を聞いてだった。ルリアの目が微妙に光った。
 そしてだった。いぶかしむ顔になって話すのだった。
「オルガ=サブナックか」
「あの人が緑なら」
「うむ」
「貴女は白ですね」
 色の話であった。
「そうなりますね」
「確かにな。その通りだ」
 それを否定しないルリアだった。
「あの男が牛ならだ」
「貴女は白鳥ですね」
「自分でもそう思う」
「鏡はお好きですね」
 今度はこう言ってきたルリだった。
「そうですね」
「嫌いではない」
 ルリアもそのことを認める。
「実際にな」
「そうですね。やはり貴女は」
「鏡の中に縁があるか」
「おそらくは」
 そうだというのであった。
「貴女はそうした意味でオルガさんと似ています」
「あの世界は好きだ」
「かなりですね」
「他にもアンドロイドとも言われる」
 今度はこんなことを言うルリアだった。
「そうともな」
「そうですね。それに」
「それにか」
「アスカさんのお姿も好きですね」
「それもわかるのか」
「おおよそのことは」
 そうだというルリだった。
「察することができました」
「ううむ、私のことはわかるのか」
「ですから。監視にしてもです」
「それで監視というのか」
「はい」
 その通りだとも話す。
「そういうことです」
「ではだ」
 ここでまた言うルリアだった。
「私はだ」
「どうされますか、これから」
「DVDを観る」
 彼女が言うのはそれだった。
「そうだな、ここは」
「鏡の世界での戦いでしょうか」
「いや、服の話だ」
 そちらだというのだった。
「若しくはそちらの学校の話だな」
「どちらかにされますね」
「学校の話は農業をやっていたがな」
「そちらにも縁のある方がおられますね」
「確かにな」
 また頷くルリアだった。
「今度は電車か」
「服の方にはおられませんでしたね」
「そうだな、いなかったな」
 そちらにはなのだった。
「だが。いい話だった」
「ええ、確かに」
「では。ここはだ」
「どちらにされますか」
「どちらとも観る」
 両方をだというのだ。
「別にそれで構わないな」
「はい、どうぞ」
 ルリは特に反対しなかった。
「私は特に何も言いません」
「しかしテレビはな」
 アキト達がアニメを楽しそうに観ている。それではなのだった。
「他のもので観るか」
「パソコンを使われますか?」
「使っていいのか」
「どうぞ」
 勧めさえするルリだった。
「何ならお貸ししますが」
「いや、それはいい」
「持たれていますか」
「それ位持っている」
 そうだというのであった。
「だからだ。それはいい」
「わかりました。それでは」
「しかしな」
「しかしとは」
「本当に寛容なのか油断しているのか」
 考える顔になっての言葉だった。
「どちらなのだ」
「どちらでもお好きな方を選んで下さい」
「油断だと捉えてもいいのか」
「はい」
 その通りだというのであった。
「どうぞです」
「そうか。それではだ」
「どちらにされますか?」
「寛容なのだな」
 そちらを選んだルリアだった。
「やはり」
「そう思われますね」
「ああ」
「確かにそうですね」
 それを自分でも認めるルリだった。
「それは」
「自覚しているのか」
「常識で考えてです」
 ルリはここから話すのだった。
「こんなことは有り得ません」
「そうだ、とてもだ」
「しかしそれがロンド=ベルなのです」
「貴殿等というのか」
「そうです。私も含めて」
 そしてだった。ルリは言った。
「馬鹿な人達ばかりですから」
「馬鹿だからか」
「馬鹿だから。そうしています」
「褒められたものではないと思うが」
「しかし。だからこそ」
「言いたいことはわかった」
 ルリアも話を聞いていてだ。察したのである。
「だからこそここまで来られたのだな」
「何とかですか」
「言われてみればそうか」
 ルリアもここで頷いた。
「貴殿等にはバルマーはだ」
「はい」
「敗れ続けている」
 言うのはこのことだった。
「それは何故かと私なりに考えていたがだ」
「私達が馬鹿だからだというのですね」
「そうだな。それだけに一途だ」
 そのことにも気付いたルリアだった。
「だからこそだな」
「皆さん、本当に素晴しいことを果たされてきています」
「素晴しいことをか」
「誰もが見届けたくなる愛も」
 一矢とエリカのことだった。タケルとマーグもである。
「誰かの為に命を差し出さんとすることも」
 シンとステラだ。
「そのどれもです」
「素晴しいことなのだな」
「はい。私はそういったものを見てきました」
 何時しかだ。ルリは微笑んでいた。
「ですから。こうして貴女にお話できます」
「そういうことだな」
「そしてなのですが」
 ルリの言葉は続く。
「これからも。同じです」
「馬鹿でいるのだな」
「そうです。私達は」
「ではだ」
 ルリアはだ。そのルリの言葉に応えて話した。
「私はだ」
「はい、ルリアさんは」
「それを見させてもらおう」
 微笑んでいた。彼女も何時しかそうなっていた。
「是非な」
「わかりました。それではですね」
「とりあえずパソコンを開かせてもらう」
「はい、どうぞ」
 ルリアもまたロンド=ベルから何かを見ようとしていたのだった。
 そしてだ。その中でだった。警報が鳴ったのだった。
「観終わってすぐか」
「丁度いい時間ですね」
 アキトがダイゴウジに言う。
「本当に今ですからね」
「観終わって何よりだがな」
「どうも腑に落ちないな」
 ここでサブロウタも言った。
「見透かされてたみたいでな」
「確かにな。相手にな」
 ダイゴウジも難しい顔になっている。しかしであった。
「行くか」
「はい」
「じゃあすぐにな」
「それではです」
 ルリもまた言う。
「ナデシコに向かいましょう」
「うん。ところで」
 アキトがルリに対して言う。
「その人達はどうしようか」
「ナデシコに来てもらいましょう」 
 ルリは冷静な調子でアキトに答えた。
「ここは」
「このお家じゃなくてだね」
「はい、一応監視ですから」
 このことは忘れていないルリだった。
「ですから」
「わかったよ。それじゃあね」
「はい、それでは」
 こうしてだった。彼等はアマルナとルリアを連れてナデシコに向かった。ナデシコに入るとだった。
「すぐに全軍出撃です」
「すぐにですね」
「はい、敵がこちらに来ています」
 ユリカがルリに応える。
「数は百万です」
「それで相手はどの勢力ですか?」
「宇宙怪獣です」
 今度は答えたユリカだった。
「その数で来ています」
「何っ、宇宙怪獣だと」
 それを聞いてだった。ルリアが顔を顰めさせた。
「ここにもいるのか」
「宇宙怪獣は何処にでもいますから」
 ルリは冷静にルリアに話した。
「ですから」
「だからなのか」
「はい、遭遇すれば戦います」
 簡潔の述べるルリだった。
「それだけです」
「しかしだ」
「しかし?」
「ここはグラドスの勢力圏だ」
 ルリアが言うのはこのことだった。
「ここでグラドス軍と宇宙怪獣が戦えばだ」
「そうですね。私達にとっては悪くない話ですね」
 ルリもルリアのその言葉に応えて言う。
「敵同士が戦力をすり減らしてくれるのですから」
「では何故それをしない」
「そうです。宇宙怪獣から退いてです」
 アマルナもここでルリに言ってきた。
「彼等をお互いに戦わせればいいのではないでしょうか」
「ですがそれをするとです」
 ルリはアマルナに対しても述べた。
「宇宙怪獣は一般市民のいる惑星に襲い掛かる危険がありますから」
「ではまた言おう」
 ルリアはルリの今の言葉にも言った。
「貴殿等はグラドスが嫌いだったな」
「その通りです」
「彼等は虐殺と文化破壊を常としている」
「それで私達も彼等には容赦しません」
 ルリの返答は淡々とさえしていた。
「それはその通りです」
「では何故余計に」
「一般市民に損害が出るからです」
「だからだというのか」
「はい」
 ここではだ。返答の言葉が強いものになった。
「だからこそです」
「信じられない。グラドス人からは捕虜を取らない貴殿等が」
「しかし一般市民に危害が出るのはです」
「許せないか」
「そうです。私達の敵はあくまでグラドス軍です」
 軍だというのだ。
「例え彼等にどれだけ容赦のない攻撃を加えてもです」
「そうか。一般市民はか」
「彼等には決して危害を加えません」
 こうまで言うルリだった。
「それが及ぶようなこともです」
「しないか」
「それでは駄目でしょうか」
「奇麗事だ」
 まずはこう言って否定してみせたルリアだった。
「その様なことをしても彼等は喜ばない」
「それもわかっています」
「それでもするのか」
「そうです、それでもです」
「言うものだ。それならだ」
 ルリアはだ。決意した顔で言ってきた。
「私はだ」
「ルリアさんは?」
「貴殿等のその戦い見せてもらおう」
 こう告げるのだった。
「それでいいな」
「はい、それではです」
 ルリアの言葉を聞いてもだ。ルリは冷静なままだった。そしてであった。
 ルリアだけでなくアルマナにもだ。こう告げるのだった。
「艦橋にどうぞ」
「そこで一体」
「何をされるのですか?私達に」
「私達の戦いを見てもらいます」
 これが二人に告げた言葉だった。
「今から」
「そしてか」
「何かを感じ取って頂ければです」
「わかった。それではだ」
「そうさせてもらいます」
 ルリアだけでなくアマルナも応えた。こうしてだった。
 全軍で出撃し宇宙怪獣に向かう。戦闘自体はオーソドックスなものでありロンド=ベルにとっては極めて順調に進んでいく。 
 だがアマルナは。それを見てルリアに声をかけたのだった。
「あの、ルリア」
「はい」
 ルリアも彼女の言葉に応える。
「何でしょうか」
「今の戦いですが」
 目の前で起こっているその戦いのことだった。
「彼等はあくまで」
「そうですね。戦っていますね」
「グラドスの市民の為に」
「それがわかりません」
 今度はルリアが言った。
「彼等はです」
「敵ですね」
「紛れもなく」
 こうアマルナに答えるルリアだった。
「しかしです。それでも」
「彼等はこうして」
「戦っています」
「何故なのか。それがです」
「アマルナ様もですね」
「はい、わかりません」
 まさにそうだというのであった。
「少なくともバルマーでは考えられないことです」
「ましてグラドスです」
 実はだ。ルリアにしてもグラドスが嫌いであった。
「バルマーの中でもとりわけ傲慢な者達だというのに」
「感謝するということが彼等にはありませんね」
「決してです」
 こうアマルナにも言うのが何よりの証拠だった。
「それは有り得ません」
「しかし今こうして」
「どうやら彼等は」
 ルリアは考えてだ。あることに気付いたのだった。
「私達にはないものを持っているようですね」
「私達にはないものを」
「それを見る必要があるのかも知れません」
 そしてこう言うのだった。
「どうやら」
「では私達は」
「ここで見させてもらいましょう」
 アマルナに対して告げた。
「それでどうでしょうか」
「はい」
 アマルナもだった。考える顔でルリアの言葉に答えたのだった。
「それではです」
「そうされますね」
「それがいいと思います」
 彼女も考えたうえで決めたのだった。
「ですから」
「はい、それでは」
「それでルリア」
 ここでだ。アマルナは彼女に囁くのだった。
「あのボンボンは今は」
「とりあえず動きはないようです」
「そうなの」
「はい、それでも油断はできませんが」
 こうアマルナに返すルリアだった。
「ハザル様は」
「あんなのに様付けしなくていいわ」
「しかし」
「いいのです」
 あくまで言うアルマナだった。
「私が言っているのですから」
「左様ですか」
「あんないけ好かない男」
 アルマナはさらに言う。
「どういうことはありません」
「しかしハザル殿も」
 さりねがくアルマナを気遣ってこう言うのだった。
「変わられました」
「その様ですね。聞くところによると」
「かつて私はあの方のお傍にいました」
 アルマナはこのことも話すのだった。
「その時はあの様な方ではなく」
「どういった者だったのですか?」
「朗らかで素直な方でした」
 そうだったというのだ。あのハザルがだ。
「しかしそれがです」
「ああしてですか」
「歪んでしまわれました」
「今のあの男はです」
 アルマナが話すのは今のハザルだった。
「ただの傲慢な権力志向の塊です」
「それは否定できません」
「貴女もですね」
「どうしても。それは」
 そうだというのだった。
「悲しいことに」
「それはやはり宰相のシヴァー=ゴッツォのせいでしょうか」
「思えばシヴァー様も」
「そうですね、彼も」
「何か。変わられました」
「何かが急に」
「バルマーに何かが起こっています」
 ルリアはそのことを察していた。
「アルマナ様、ですから余計にです」
「そうですね、今はバルマーを離れて」
「そして御覧になられるべきです」
「バルマーの正しいあり方を」
「是非共」
 こんな話をしていたのだった。そしてだ。
 戦いは終わった。結局はロンド=ベルの勝利に終わったのだった。
「百万か」
「多かったけれど何かな」
「宇宙怪獣の中でも強い奴いなかったわよね」
「あの高速のとか合体のとか」
「そうした洒落にならないのが」
 いないのだった。
「だから楽だったよな」
「小さいのが殆どだったし」
「普段ならもっと洒落にならない質なのに」
「どういうことなんだ?」
「これは」
 ここでだった。オオタが言った。
「我々を足止めしてだ」
「?中佐、それって」
「まさか」
「そのうえで」
「そうだ、グラドスの本星を狙っているのだ」
 そうだというのだった。
「奴等は本能だけだが本能的に戦略を理解しているな」
「そうですよね」
「攻め方が合理的ですし」
「だったら今回も」
「そうして」
「私もグラドス人がどうなろうと知ったことではない」
 オオタもまたグラドス人を嫌い抜いていた。彼等を知っているからだ。
「しかしだ。彼等を放置していればだ」
「他の星の人達にも危害が及びますね」
「だからこそここは」
「グラドスの本星に向かい」
「それで」
「宇宙海獣達を倒す」
 実際にこう告げたオオタだった。
「わかったな」
「はい、わかりました」
「それじゃあ」
 こうしてだった。ロンド=ベルはグラドスのその本星に向かうことになった。だがここでだった。
 エイジはだ。暗い顔でロアンやディビットに話すのだった。
「前から気になっていたけれど」
「うん」
「どうしたんだ、一体」
「皆グラドス人には徹底しているね」
 話すのはこのことだった。
「容赦なく。倒してるね」
「それは仕方ないよ」
 ロアンはこうエイジに答えた。
「だってね。彼等は今まで」
「わかってるよ」
 エイジも応えはした。
「それはね」
「そうだよね。グラドス人が地球や銀河の各地でやってきたことはね」
「絶対に許されることじゃない」
 ディビットは忌々しげな口調だった。
「例え何があってもな」
「エイジもそう思うね」
「うん」
 答えるしかないエイジだった。確かにそれはわかっていた。
 しかしだった。彼は。
「けれど僕は」
「グラドス人の血を引いている」
「そのことか」
「うん、確かに僕も彼等は許せない」
 この考えは確かにあった。
「けれど。それでもね」
「やり過ぎだっていうんだね」
「俺達のやり方が」
「皆。グラドス軍は容赦なく殺しているから」
「けれど。そうしないとね」
「あいつ等は油断したら捕虜にしても攻撃してくるからな」
 これで既に実際に経験してわかっていることだった。だから二人も言うのだった。
「それに彼等は他の文明や文化を破壊する」
「それも知っているだろ?御前も」
「知っているよ、彼等の卑しい性格もね」
 それもわかっているエイジだった。
「けれど。それでも」
「グラドス軍はそのコクピットを確実に潰す戦い方は」
「好きじゃないんだな」
「戦争は人が死ぬものさ」
 また言うエイジだった。
「けれど。それでも僕達は」
「仕方ないじゃない」
 今度はシモーヌも加わってきた。
「だからグラドス軍よ」
「グラドス軍だから」
「そしてグラドス人よ」
 さらに言えばこうなることだった。
「放っておいたら何をするかわからないから」
「だから」
「そうよ、私達が正しいかどうかはわからないわ」
 それはだというのだ。
「けれど。このまま放っておいたらよ」
「どうなるかわからない」
「そう、銀河全体が大変なことになるわ」
 そのグラドス人によってというのだ。
「だから。グラドス軍に限っては確実に殺さないといけないのよ」
「ラクスだって言ってるだろ?」
 デビットはラクスの名前も出した。
「銀河の平和の為にはな」
「グラドス軍は殺すしかない」
「そういうことだよ」
 デビットもまた同じ考えなのだった。
「あのゴステロとか見ろよ」
「結局あれがバルマー人なんだよ」
 ロアンも続く。
「彼等がどれだけ奇麗事を言ってもね」
「結局はそういう連中なんだよ」
「ゴステロ」
 エイジは彼のことを思い出していた。悪逆非道を極め最期は無様な末路を辿ったあの男のことをだ。
「確かに彼は酷い男だった」
「そうだろ?」
「その通りだよね」
「けれど」
 それでもだというのだった。
「それでも地球人の中にもああした人物はいたね」
「そうだな」
 エイジの今の言葉に頷いたのはアスランだった。
「そうした人間も多くいた」
「ウルベ=イシカワ、ドルチェノフ、ルーザ=ルフト、三輪防人」 
 挙げていくときりがなかった。
「竜魔帝王も酷かったな」
「オルバン大元帥も」
「ズ=ザンバジルも」
「どいつもこいつもな」
「最低だったよな」
「シャピロもな」
 彼の名前も出た。
「あいつも酷かったよな」
「ゼゼーナンとかな」
「地球人に限らず酷い奴は酷いよ」
「全く」
「それと同じなんじゃないかな」
 また言うエイジだった。
「グラドス人にも。ひょっとしたら」
「へっ、いる訳ねえだろ」
 そのことを頭から全否定したのはトッドだった。
「あの連中の何処にそんなよさがあるんだよ」
「そういえばトッドさんって」
「一番グラドスを嫌ってる部類よね」
「確かに」
「ああ、そうだろうな」
 そのことを自分でも否定しないトッドだった。
「俺は正直グラドスの奴等はな」
「大嫌いですか」
「そうなんですね」
「一人残らす叩き斬ってやるさ」
 実際にそうしてやると言うトッドだった。
「戦争だしな、そうしてやるさ」
「だよなあ、連中は特にな」
「碌なことしないし」
「絶対に虐殺とか文化の破壊とかするから」
「正直存在しちゃいけない連中だよな」
「全く」
「確かにそうだ」
 エイジは仲間達の言葉にまた述べた。
「彼等は許されない者達だ。しかし」
「しかし?」
「どうだっていうんですか、それで」
「グラドスは」
「僕達は。それでもやりすぎているのかも知れない」
 一人こう言うのだった。
「若しかしてだけれど」
「だったらどうだっていうんだよ」
 シンが怒って言ってきた。
「あの連中は普通に核攻撃だってするんだぜ」
「それは知っているさ」
 プラントへの攻撃のことだ。シンはそのことを忘れていなかった。
「もうすぐで父さんや母さん、マユが死ぬところだったんだ」
「シンは家族の為に戦ってるからなあ」
「やっぱり余計に」
「許せないよな」
「あいつ等は一人残らず俺が殺してやる」
 シンのその目が赤くなっていた。
「そして二度とプラントに攻撃できないようにしてやる」
「シンの気持ちはよくわかる」
 エイジも共にいたからだ。わかることだった。
「けれど。それでも」
「殺すなっていうのかい?」
「違う、彼等の過ちは正すべきだ」 
 それはだというのだ。
「けれど。それでも」
「それでもって」
「じゃあ一体何を」
「するっていうんだよ」
 皆でエイジに問うのだった。そしてエイジも答える。
「彼等の全てを否定するのじゃなく」
「肯定すべきところは認める?」
「そういうこと?」
「グラドス人にもまともな人間はいる筈なんだ」
 こう言うエイジだった。
「だから。そうした人達は」
「殺さない?」
「そうするっていうんだ」
「つまりは」
「うん、罪を犯した人間は裁かれるべきだ」
 エイジもこのことは否定しない。
「けれど。他者を認め他の文化を認めるのなら」
「そうしたグラドス人は罪に問わない」
「殺しもしない」
「それでいいんじゃないかな」
 こう皆に話すのだった。
「それは甘いかな」
「甘いな」
 それを最初に否定したのはディアッカだった。
「あのな、子供の絵本を取り上げてその目の前で燃やすような連中だぜ」
「そうだったな、子供が林檎を盗んだといってだ」
 イザークも話す。
「その子供を切り殺したこともあった」
「母親を処刑する時は子供も一緒に処刑しましたし」
 ニコルも苦い顔になっている。
「そうした相手ですから」
「容赦することはないだろ」
 また言うシンだった。
「そんな奴等一人たりともな」
「ああ、そうだ」
「そうよ」
「シンの言う通りだよ」
「あんな奴等絶対にな」
「生かしておけるか」
 とにかくグラドスに対しては強硬な彼等だった。
 しかしだ。ここでロジャーが出て来て話すのだった。
「だが、だ」
「だが?」
「だがっていうと?」
「ロジャーさん、一体」
「どうしたんですか?」
「私も彼等には一切容赦していない」
 彼もまたグラドス軍相手には確実にコクピットを潰していた。それは事実だった。
「だが。それでもだ」
「それでも?」
「それでもっていうと」
「あまり度が過ぎるとだ」
 どうかというロジャーだった。
「虐殺になる。それでは彼等と同じだ」
「そのグラドスと」
「あの連中と同じ」
「俺達が」
「そうなってしまう恐れがある」
 そうだというのだった。
「これまでのグラドス軍は全てどうにもならない物達だったがな」
「一万人いて一万人があんな連中だったからなあ」
「もう全員な」
「とんでもない奴等じゃない」
「そうだよな」
「本当に」
「だからそれは事実だ」
 また言うロジャーだった。
「しかしだ。烏は黒いものだな」
「えっ、烏って」
「ええと、どうして烏なんですか」
「急に」
「しかしだ。この烏が黒いという命題は覆せるのだ」
 ロジャーはこんな話をはじめたのだった。
「その中に白い烏がいればだ」
「白い烏って」
「それがいれば」
「それでなんですか」
「その何万何億の烏の中に一羽白い烏がいればだ」
「じゃあグラドス人も?」
「あの連中の中に一人でも素晴しい人がいれば」
 ロンド=ベルの面々も考えていく。
「それでグラドス人が誰もがどうにもならないっていうのは」
「変わるってことなんだ」
「その通りだ」
 こう話すロジャーだった。
「それによってだ。変わるものだ」
「ううん、そうなんですか」
「あのグラドスに一人でもそうした人がいれば」
「悪でなくなる」
「そうなるからこそ」
「そしてだ」
 さらに言うロジャーだった。
「白い烏は必ずいるものだ」
「じゃあグラドスにはもう」
「戦うからには容赦しなくても」
「それでも。やり過ぎは避けて」
「戦うべきだと」
「そう思うのだがな」 
 ロジャーは静かな声で述べた。
「どうだろうか」
「難しいよな」
「ああ」
「あの連中の中に一人の聖人がいればそれでいい」
「その考えはな」
「ちょっとな」
 ドロシーがだ。ここでロジャーに問うてきた。
「ロジャー」
「私自身どう思っているかだな」
「ええ。難しいと思っているのね」
「その通りだ」
 そのことを否定しないロジャーだった。
「いると確信しているがそれでもだ」
「彼等との戦いでは」
「文化を破壊してきた者、虐殺してきた者は許さない」
 その彼等はだというのだ。
「何があろうともだ」
「けれどそうでないグラドス人は」
「手出しをしてはならない」
 それは絶対というのだった。
「私達のこれまで通りだ」
「まあな。一般市民への攻撃なんてな」
「最初からするつもりなんてないし」
「それだけは絶対にな」
「どうしても」
 こう話す彼等だった。それはなのだった。
「しちゃいけないだろ」
「そうよね」
「軍人以外にはね」
「それがわかっているうちは大丈夫だ」
 ロジャーはその考えに賛同してみせた。
「しかしそれを忘れればだ」
「俺達が嫌っているそのグラドスと同じになっちまう」
「そういうことですね」
「つまりは」
「その通りだ。罪は罪だ」
 また言うロジャーだった。
「だが。だからといって何をしていいということではない」
「何ごとも限度がある」
 ドロシーが呟く。
「じゃあエイジ」
「はい」
「そうした考えでいいわね」
「すいません」
 エイジはほっとした顔になっていた。そうして話すのだった。
「じゃあグラドスとのこれからの戦いは」
「戦いは容赦しない」
「けれど奴等と同じことはしない」
「絶対に」
「何があっても」
 このことを誓い合うのだった。そうしてだった。
 グラドスの母星に向かう。彼等の進路は決まっていた。
 そんな中でだった。ハザルはその彼等を見ながら言うのだった。
 彼の今の場所は何処かわからない。しかしここでハザルは話す。
「ふむ、これはだ」
「おや、動きがあったのかい?」
「面白いことになっている」
 こう孫に返すハザルだった。
「今ロンド=ベルの奴等はグラドスにいるな」
「彼等を助けには行かないんだね」
「そのつもりはない」
 冷酷に言い捨てるのだった。
「全くだ」
「おやおや、彼等はもう用済みかい?」
「その通りだ」
「成程ね。まあ頃合いではあるね」
「所詮手駒に過ぎない」
 ハザルはまた言った。
「それならばだ」
「じゃあここでグラドスには滅んでもらって」
「精々あがいてもらう」
「ロンド=ベルにはそれからだね」
「俺にとって余計なものとなった駒を潰してもらう」
「けれどその他にね」
 ここでまた言う孫だった。
「彼等、遂に会ったよ」
「巫女にか」
「うん、僕達の巫女にね」
 こうハザルにはなるのだった。
「それがいいのかな」
「いい。今はな」
「けれどなんだね」
「その時になれば動く」
 ハザルの言葉は落ち着いていた。
「それだけだ」
「成程ね。じゃあその時の準備は」
「今からしていく。おそらくだ」
「おそらくは?」
「奴等はそのまま三連太陽に進む」
 そうなるというのだ。
「そこで共倒れになるか立ち上がれないまでにやられる」
 そうなると見ているのだった。
「そしてそこでだ」
「僕達が止めをさす」
「鍵も手に入れそして巫女もね」
「共々消えてもらう」
 こう話すハザルだった。
「そうする」
「ふうん、かなりいい流れだね」
「その通り進む」
「だといいけれどね」
 孫はふとこんなことを言った。
「その通りに進めば」
「何が言いたい」
 ハザルは孫の今の言葉に鋭い目を向けた。
「俺の作戦にケチをつけるのか」
「いいや、別に」
 孫は笑顔でそれは否定した。
「そのつもりはないよ」
「ふん、ならどうして言う」
「まあ言葉のあやってことね」
「今は許す」
 鋭い顔のままでの言葉だった。
「しかしだ」
「しかし?」
「次はない」
 これが孫への今の言葉だった。
「それは言っておく」
「おやおや、相変わらず厳しいねえ」
「俺を誰だと思っている」
 まだ言うハザルだった。
「俺は十二支族のゴッツォ家の嫡男だぞ」
「それはわかっているよ」
「だからだ。その俺への反論は許さん」
 これがハザルの主張であった。
「わかったな」
「わかったよ。それじゃあね」
「今は奴等を始末する用意をする」
 ここまで言って孫に背を向けた。そのマントが翻る。
「わかったな」
「了解。それじゃあ」
「バラン達に伝えておけ」
 孫への命令だった。
「方面軍を全て集結させよとな」
「外銀河の防衛はどうするのかな」
「構わん」
 いいというのだった。
「そんなものは今はだ」
「いいんだね、それも」
「そうだ、そんなものはどうでもいい」
 やはりそれは今はいいというハザルだった。
「わかったな。それではだ」
「わかったよ。じゃあ伝えておくよ」
「そうしておけ。ではだ」
 こうしてハザルは孫の前から姿を消した。孫は最初はにこやかだった。しかしだ。
 彼が姿を完全に消すとだ。愚弄する笑みを浮かべて言うのであった。
「まあ、お人形君は今のうちに働いてもらわないとね」
 こう呟いてだった。彼のまた姿を消した。残ったのは誰もいなかった。


第七十七話   完


                      2010・11・26
 
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