ヘタリア大帝国
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TURN57 頭を撃つその七
「財閥とは縁のない大統領なら」
「財閥の権益を保護しない可能性もあるか」
「財閥の言うことには耳を傾けてもな」
こうしない訳にはいかない。財閥がガメリカ経済を支えまた産業を担っているからだ。彼等の話を聞かなくては話にならない。
だがそれでもだというのだ。
「今の大統領みたいに財閥の代表を閣僚にするまでっていうのは」
「なくなるか」
「あの司令の政策をそのまま実行していくさ」
「そういえばダグラス司令の掲げておられる政策は」
日本も言う。
「ルース大統領のそれよりもさらに」
「ああ、急進的だろ」
「はい、個々の権利の確保を掲げておられます」
「それに太平洋経済圏の構築にしてもな」
「日本に特にしわ寄せがないですね」
「今の大統領と財閥はあんた達をソビエトにぶつけるつもりだからな」
それで抑止力にしようと考えているのだ。
「自分達はそこから漁夫の利を得るつもりなんだよ」
「自分達では戦わずに」
「そうさ。太平洋経済圏は言うまでもなく資産主義で君主制の国家も多い」
他ならぬ日本はこの二つに完全に当てはまっている。
「ソビエトとは絶対に対立するんだよ」
「はい、私もそう見ています」
日本にしても太平洋経済圏の構築を目指している。それ自体はガメリカ、そしてガメリカと手を組む中帝国と同じなのだ。
「あくまで皆さんが平等の」
「こっちはガメリカが盟主のそれだからな」
「だからこそですね」
「ああ、あんた達を叩いてガメリカがナンバーワン、中帝国をナンバーツーにしてな」
そのうえでだというのだ。
「嫌なことは全部あんた達に押し付けて自分達が楽できる状況にしたいのが今の大統領と財閥の考えなんだよ」
「財閥にしても戦争は災厄だからな」
東郷はこうした経済のことも把握していた、そのうえでの言葉だ。
「戦争が起こればビジネスなんてできないからな」
「そういうことさ。軍需産業も大して実入りがないからな」
「だからこそですね」
「普通にビジネスをして儲けたいんだよ」
それもまたガメリカの四大財閥の考えだというのだ。
「だから太平洋経済圏を築きたい」
「そして厄介なソビエトは私達に相手をしてもらう」
「援助はするだろうがまああんた達はソビエトとの戦いで消耗するな」
「二虎競食の計ですね」
日本はは中帝国の伝統の政策を口にした。
「毒を以て毒をですか」
「それが今の大統領達の考えでな」
「ダグラス司令は違うのですね」
「あの人は日本帝国に頼らず、まああんた達を頼りにしてないしな」
そもそもそうだというのだ。
「自分達が先頭に立ってソビエトを一気に潰したいんだよ」
「そして労働者、農民の保護も」
「財閥の影響を受けずに積極的にやりたいんだよ」
財閥の影響下にない労働者や農民も多いが今は彼等の権益の保護は積極的には行われていない、それを受けたければ財閥の傘下に降れという暗黙の意思表示でもある。
「ガメリカ全体を考えているんだよ」
「それ故に」
「ああ、大統領も財閥も司令の当選を望んでいないんだよ」
「だからこそですね」
「司令はUSJでの戦いには参加していないさ」
「わかりました。そういう事情なんですね」
「カードは一枚あえて外してるんだよ」
キャヌホークは具体的な話をした。
「ただそれでもな」
「戦力はですか」
「太平洋軍を圧倒してるからな」
例えダグラスがいなくともだというのだ。
「正直勝ち目はないぜ」
「そうだな。普通にやればな」
今度は東郷がキャヌホークに応える。
「こっちも相当な戦力を集めたつもりだがな」
「まだ第六世代の艦艇は充分に行き届いてないよな」
「まだ第三世代の艦艇も前線に出ている」
これが太平洋軍の実情だ。艦艇の配備は進めているがそれは中々進んでいないのだ。
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