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IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~

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number-26 melancholy

 
前書き


憂鬱。


この場合は、夜神鳥麗矢。


 

 


束が麗矢に調整したISを渡したその翌日。
麗矢は部屋のベットの上でダウンしていた。


日本は温暖な気候地帯にある。
だからこそ四季があるのだが、麗矢はその四季が大嫌いだ。
春夏秋冬。
時期に応じて気温、湿度、気候まで変化するこの土地が嫌いなのだ。


実は麗矢は日本生まれではない。
ロシアのモスクワ郊外で生まれ、生まれてすぐにに日本に引っ越してきた。――――十歳にはもう住む所なんてなかったが。
両親はごく普通の日本人だった。
だから普通の両親から銀髪で色白な麗矢が生まれたときは、誰しもが気味悪がった。
麗矢の両親もその例に漏れない。


表向きは仲が良さそうないい家族として取られるだろう。
事実、近所であった更識家が気付くことがなかったのだから。
ひっくり返してみると二人の親と麗矢の仲は最悪であった。
言葉一つ交わさない、必要なだけの金を渡して何もしない。――――所謂育児放棄である。


だがその生活も麗矢が十歳の時までだった。
両親が麗矢ひとりを置いて夜逃げしたのだ。
多額の負債を抱えていたらしく、それらすべてを麗矢のもとに置きどこかへ逃げた。株に失敗して新しい企業を立ち上げていたがそれも失敗して。闇金にも手を出していたらしい。
当然麗矢のもとへ借金取りが来る。
しかし、借金取りが家に押しかけた時麗矢はすでにいなかったそうだ。
あったのは両親が借りた分の金と一通の手紙。
その手紙に書いてあったことが短いものだった。


『これで全部だ。もう来るな』


たったこれだけ。
金があることから借金取りは引き下がり、そして麗矢も消息を絶った。
ご近所さんの更識家もそのあとの麗矢の足取りを追うことなんてできなかった。


麗矢はこの時に一人になった。
両親と別れ、たった一人に。
麗矢はあの二人のことは知らない。
今もどこかで生きているのか、それとも何処かでくたばっているのか。
麗矢としてはどこかでくたばっていることを強く望む。


それが七年たって麗矢はひょっこりと顔を出した。――――両親の方はすでに亡くなっていたが。
しかもIS学園に。ISを操縦できる男として。
それに驚かずにいられないのが更識家第十七代目当主『更識楯無』であった。


閑話休題。
大きく話がずれた。


麗矢はロシアという冷たい環境、即ち寒帯気候の地域で生まれたのだ。
そのせいもあり、寒さには耐性が出来ているのだが、暑さとなると話は別である。
春は最初のうちは耐えることが出来る。
秋だってだんだんと寒さが厳しくなる季節、だからまだ大丈夫。
冬は言わなくとも。
だが、夏だけはだめなのだ。


そんなだから織斑一夏がだめなのかもしれない。
名前に夏が入っているから。
と、まあ冗談はここまでにしておこう。


「あ~~~~…………」


唸るような声を上げ、ベットにうつ伏せになる。
暑い暑いと唸るぐらいならクーラーを点ければいいと思うのだが、生憎今は故障中。
夜には直ると思うのだが、それはあくまで予想でしかない。
今日一日は我慢しなくてはならないだろう。


こんなだが、今日はまだましな方だ。
もし今セシリアとかラウラとかに押しかけられると大変なことにある。
しかしそんなことはない。
セシリアはイギリスの方に、ラウラはドイツ軍の方にそれぞれ帰っている。
絶対に今来ることはないのだ。
楯無が来る可能性もあるが、今頃は溜めこんだ書類と向かい合っているはず。
だから大丈夫。


窓は開けてはいるものの風が全く吹かず、掛けてある風鈴の音も一度も聞いていない。
風流なんてクソくらえだ。
サウナみたいになっている部屋をどうにかしたいが絶対に無理だと断言できるほどである。できることはもう全部したのだ。
団扇で扇いでも温風しか来ない。そのことが麗矢をさらにむしゃくしゃさせた。


――――コンコン


不意に部屋のドアがノックされた。
だが答える気にもなれずにただ唸る麗矢。
動きたくもなかった。


しかし、今部屋の前にいる誰かも諦めるつもりはないようだ。
再びノックされた。
それでも麗矢は動かない。
もう勝手に入ってくればいいのにとか思いながら、ベットに横たわる麗矢。


――――ガチャ


「おーい、いないのか? 麗矢ー、いるなら返事を――――ってアッツ!?」


織斑一夏が入ってきた。
そのせいで麗矢のテンションはさらに下がっていく。
ただでさえ暑苦しいのに、そこに男が来たらむさ苦しくなるだけ。


自身の汗でぐっしょりになったベットに横たわり続ける。
バタンとドアが閉じられ一夏が出て行ったようだ。


「…………ああっ」


思い出す。
水を飲まなければ熱中症になってしまう。
それだけは避けたい、ここで病院行きは勘弁なのだ。


生き返る気がする。
ただの水道水だが、とても冷たくてうまく感じかれる。
先ほどよりは楽になった気分。
そのままベットに横になる。
グチョと不快な音を立てたが気にしていられない。
麗矢は意識を手放した。


 
 

 
後書き
どうしよう……話が思いつかない……


やはり原作がないときついのか……? だが、今は売っていない……
原作四巻しかないのはやはり無理だったか……いかにせん…… 
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