スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第七十四話 ポセイダルの謎
第七十四話 ポセイダルの謎
ロンド=ベルはポセイダル軍の本拠地に向かっていた。その途中でだった。
「多分来るだろうな」
「そうだよな」
「迎撃にな」
「絶対にな」
口々に言うのであった。
「ポセイダル自身は出ないにしても」
「あの連中がな」
「出て来るよな」
「その通りだな」
こう話しているとであった。不意にだ。
通信が入って来た。そして長い金髪に髭とサングラスの男が出て来たのだった。
「いいだろうか」
「貴方は」
ダバが彼の顔を見て言った。
「アマンダラさんですね」
「久し振りだな、ダバ=マイロード君」
「ええ、どうしてここに」
「君達がペンタゴナに戻ってきたと聞いてだ」
「それで挨拶にですか」
「通信を入れさせてもらった」
そうだというのである。
「友達が増えたようだな」
「ええ、まあ」
応えはするダバだった。
「その通りですけれど」
「しかしどうしたのかな」
ここでアマンダラはこう彼に問い返した。
「今一つ浮かない感じだが」
「僕達の行動は隠密の筈です」
「そう思っていたのか」
「思っていたとは?」
「君達は目立ち過ぎる」
アマンダラが言うのはこのことだった。
「それで隠密というのはな」
「無理があるというんですか」
「そういうことだ」
「だから今僕達に通信をですか」
「それで挨拶をということだ」
「わかりました」
腑に落ちない顔だが頷くダバだった。
「そのことは」
「わかってくれたようで何よりだ」
「それでもです」
ダバはその顔でさらに言ってきた。
「貴方は確かに僕達にエルガイムマークツー等を贈ってくれました」
「別に感謝してくれなくてもいいがな」
「そのことには感謝しています」
それでも言うのがダバだった。律儀である。
「ですが。それ以前とそれ以後でこれといってお付き合いはないですが」
「特に君達がいなくなっていた間はな」
「地球にいました」
このことも言うダバだった。
「それでいませんでした」
「地球にか」
「御存知なのですか、地球のことは」
「一応はな」
そうだというアマンダラだった。
「聞いたことがある」
「そうだったんですか」
「美しい星だそうだな」
「はい」
ダバはアマンダラのその言葉に頷いてみせた。
「その通りです。青くとても」
「是非一度言ってみたいものだな」
こんなことも言うアマンダラだった。
「機会があればな」
「それでなのですが」
また言うダバだった。
「貴方が僕達に挨拶をされる理由は一体」
「何、何でもない」
アマンダラはここではこう返した。
「ただ気が向いただけだ」
「それで、ですか」
「そうだ。それではだ」
「また、ですか」
「また会おう」
アマンダラは表情を見せないまま述べた。
「すぐにな」
「すぐにですか」
「そう、すぐにだ」
何かがあるような言葉だった。
「また会おう、ダバ=マイロード君」
「ええ、また」
ダバも言葉を返してだった。今は別れたのだった。そしてその後でだ。ロンド=ベルの面々がそのダバに対して問うのだった。
「今のは一体?」
「知り合いみたいだけれど」
「あの人って」
「誰なの?」
「アマンダラ=カマンダラさんっていうらしいけれど」
「アマンダラ商会のオーナーです」
まずはこう答えるダバだった。
「所謂武器商人でして」
「ああ、そういう人なんだ」
「悪く言えば死の商人か」
「つまりは」
「そういうことか」
「正直なところあまり好きにはなれません」
実際に顔を曇らせているダバだった。
「何か。妙なものを感じますし」
「ペンタゴナで有数の資産家ではあるんだよ」
キャオもそのアマンダラについて話す。
「けれどな」
「けれどか」
「胡散臭い奴か」
「つまりは」
「そういうことなのね」
「ああ、正直言って胡散臭い奴だぜ」
また皆に話すキャオだった。
「裏じゃそうやって武器の横流しとかやっててな」
「何だ、そういう奴か」
「わし等みたいに堂々と商売はしておらんのか」
「美しくないな、それは」
カットナル、ケルナグール、そしてブンドルの言葉だ。
「確かに胡散臭いのう」
「全くだ。ああいう奴は信用できんぞ」
「ダバ君の見方は正解だな」
「と、胡散臭い人たちが言ってもなあ」
「説得力ないんだけれどな」
「この人達自覚しないのよね」
そんな三人を見て真吾とキリー、レミーが言う。
「そもそもあんた達も裏の仕事してるだろ」
「ドクーガってそうなんだろ?」
「確かに表の仕事にも精を出してるけれど」
ここで今度はドラグナーの三人も言ってきた。
「眼帯で肩に烏とかなあ」
「青い肌とかなあ」
「マントを羽織って艦橋に立つとか」
彼等はドクーガの面々の姿や服装を指摘するのだった。
「滅茶苦茶胡散臭いしな」
「突っ込んでくれっていうアピールだよな」
「どう見てもそうとしか思えないんだけれどな」
「ええい、黙っておれ!」
「わし等の何処が怪しい!」
「私の如き美形を捕まえてそう言うとは」
「無礼にも程があるぞ」
「そうじゃ、かみさんはわしの顔をいつも褒めてくれるぞ」
「美がわからないということは悲しいことだ」
こんなことを主張する始末であった。しかしであった。今度は全員でだった。その怪しい三人についてあれこれと話すのだった。
「いや、どう見てもなあ」
「あの奥さんもかなりの趣味だよなあ」
「美っていうよりは」
「っていうか何で烏?」
「お小遣い貰い過ぎだし」
「あとクラシック聴くのもいいけれどあからさまに変な雰囲気醸し出してるし」
とにかく滅茶苦茶に言われる三人であった。
しかしである。今度はアムとレッシィがアマンダラについて話すのだった。
「ポセイダル軍相手に商売もしてるしね」
「正直信用はできないな」
「まあ私達にはかなり安く売ってくれるけれど」
「それでも。どうもな」
「しかも氏素性がはっきりしない」
ギャブレーも皆に話す。
「怪しい人物なのだ」
「身元もはっきりしないんだ」
「それで大金持ちって」
「何かもうそれだけで」
「怪しいよなあ」
「全く」
皆で話すのであった。そしてである。
アマンダラが通信を入れてきた次の日であった。前方にであった。
「レーダーに反応だよ」
「来たみたいだぜ」
「そうみたいだね」
イーグルがジェオとザズの言葉に頷く。
「ポセイダル軍かな、やっぱり」
「だろうな。それでだ」
「ヘルモーズはいるだろうね」
イーグルが言うとであった。その通りだった。
童夢の艦橋でだ。チャンアンがアスカに告げていた。
「ヘルモーズが七隻来ています」
「ふむ、また七隻か」
「はい、左様です」
「じゃあアスカ様」
今度はサンユンだった。
「ここはやっぱり」
「戦うしかないであろう」
これがアスカの返答だった。彼女もわかっていた。
ロンド=ベルはすぐに出撃した。しかしここで、であった。
フラットがグランガランの艦橋で暗い顔になっていた。シーラがそれに気付いて彼女に問う。
「あの、何か」
「いや、少しな」
「少し?」
「アマンダラ=カマンダラの名前の方がいいわけではないわね」
こう呟く彼女だった。
「それならどうして」
「どうして?」
「いや、何でもない」
また誤魔化した彼女だった。
「とにかく今は」
「戦闘ですね」
「そうだ。健闘を祈る」
一応彼等にエールを送りはした。
「それではな」
「やっぱり出撃せずにですか」
「そこに残ってですね」
「ここは」
「先に言った通りだ」
これがフラットの返答だった。
「そういうことだ」
「まあそれならそれでいいですけれどね」
「こっちもそれならそれで戦いますし」
「俺達だけで」
こう言ってであった。彼等は戦闘用意に入った。
そのうえで敵を見る。その彼等は。
「やっぱりな」
「ヘルモーズが七隻」
「奴等ね」
「ロンド=ベルの者達よ」
一人がモニターに出て来た。それは。
「余は第五艦隊司令官スミルナ=ジュデッカ=ゴッツォである」
「知ってるよ」
「あんたのクローンとも何度も戦ったしね」
「それはね」
「そうか」
そう言われてもだった。そのスミルナは動じてはいない。どうやら自分自身がクローンであるということを自覚しているようである。
そしてその自覚をそのままにだ。彼は言うのだった。
「それでは話が早い」
「そうだな」
今度はペルガモであった。
「我等七個艦隊全てでだ」
「汝等の相手をしてやろう」
テアテラもいた。当然ラオデキア達もいる。
「それでいいな」
「嫌だって言っても来るんだろう?」
「もうわかってるわよ」
ジャーダとガーネットが彼等に言う。
「それならだよ」
「遠慮なく相手してやるわよ」
「よかろう」
ラオデキアも応える。
「では汝等の戦いをここで終わらせてやろう」
「行くぞ」
「それではだ」
他のジュデッカ=ゴッツォ達も言ってだった。
七個艦隊が一斉に動いてきた。その陣は。
ラオデキアの第七艦隊を軸にしてだ。右翼と左翼が動いてきた。
「第一、三、五艦隊は右からだ」
「うむ」
「わかった」
「それではだ」
それぞれを率いるジュデッカ=ゴッツォ達がラオデキアの言葉に応える。
「第二、四、六艦隊は左からだ」
「そうだな」
「そうしてあの者達をだ」
「討つ」
ここでもそれぞれのジュデッカ=ゴッツォ達が応えた。そしてであった。
彼等はロンド=ベルに迫るのだった。
ロンド=ベルもそれを見てだった。迎撃に入る。
「さてと、囲んでくるな」
「そうね、ここはね」
「間違いないな」
「そう来るわね」
誰もがそれを確信する。そしてだった。
敵の動きをまた見てだった。
「さて、どう来るかだよな」
「多分中央を攻めたら左右から囲んできて」
「右を攻めたら左から」
「右を攻めたら左から」
このことは実に容易にわかった。それでだった。
「一気に七個艦隊の攻撃を受けるのも愚」
「ならどうする?」
「ここは?」
「答えは簡単です」
ここで言ったのはエキセドルだった。
「敵に囲まれる前に陣を崩すだけです」
「そうですね。ここは」
「それが一番ですね」
美穂とサリーが彼の言葉に頷く。
「じゃあ艦長、ここは」
「やっぱり」
「はい、まずは正面から突っ込みます」
そうするというのだった。
「そして扇の要を崩します」
「わかりました。それなら」
「今から」
「全軍突撃です」
実際にこう命じた彼だった。
「そして一気に突き抜けます」
「そしてそれからですね」
金竜の目が鋭くなっていた。
「さらなる攻撃に」
「その通りです。では行きましょう」
こうしてだった。ロンド=ベルはそのまま突っ込む。その先頭にいるアスカがだった。
エヴァのATフィールドを持ってだった。一気に横薙ぎにする。
「ATフィールドの使い方はこうするのよ!」
これで敵を数機まとめて潰すのだった。実に派手なはじまりだった。
「どうよ!」
「いや、どうよって」
「相変わらず無茶な攻撃やな」
シンジとトウジはアスカの今の攻撃にいささか呆れていた。
「まあ確かに威力はあるけれど」
「最初からそれかい」
「今のあたしはちょっと気合が違うわよ」
既に気力がかなり上がっているようだった。
「もうね。暴れたくて仕方がないのよ」
「それいつものアスカじゃないの?」
「そやな」
また突っ込みを入れる二人だった。
「暴れたくて仕方がないって」
「いつもやないか」
「今日はちょっと違うのよ」
「だからそうは見えないし」
「全然な」
「けれどそうなの」
反論になっていないがそれでも言うのがやはりアスカだった。
「普段より調子がいいのよ」
「それがわからないし」
「何でなんや」
「そろそろポセイダルとの戦いも終わるって思ったらね」
アスカはまた言った。
「こう。自然にね」
「ああ、それでね」
「そういやポセイダルとの戦いも長いな」
「ダバさん達との付き合いも長いし」
それもあったのだった。
「そういうことも思うとね」
「気力があがるんだね」
「自然に」
「そうなのよ。だからね」
今度はライフルを構えてだった。マシンガンの如く放つ。
それでまた次々と倒してだ。言うのであった。
「こうして派手にやりたくなるのよ」
「それはいいけれど」
レイがそのアスカに言ってきた。当然彼女も戦っている。
「注意はして」
「注意って何によ」
「弾数」
レイが指摘するのはこれだった。
「派手に戦うのなら余計に」
「うっ、そんなのわかってるわよ」
「じゃあ何でそこで詰まるのかな」
「それは気のせいよ」
強引に言い切るアスカだった。
「それはね」
「まあ気をつけてね」
「わかってるわよ」
また言い返す。
「とにかく。まずは突っ切ってね」
「それからだね」
こうしてロンド=ベルは攻撃を仕掛けてだった。
一気に第七艦隊を突っ切る。ラオデキアの周りもかなりの損害が出ていた。
彼はヘルモーズの中にいる。そこから言うのだった。
「いきなり来たな」
「はい、我が艦隊はかなりの損害を受けました」
「しかしまだ戦力は健在です」
「わかっている」
ラオデキアは部下達に冷静に返す。
「それはな」
「ではここは」
「どうされますか」
「案ずることはない」
やはり冷静に返す。
「あの者達はすぐに戻って来る」
「ではそこをですか」
「再びですね」
「攻めると」
「そういうことだ」
やはりラオデキアの言葉は冷静である。
「ではだ。よいな」
「はい、それでは」
「七個艦隊全てを集め」
「そのうえで」
「包み込ませぬのならそれでやり方がある」
ここでは冷静な彼だった。
「正面からだ。全ての戦力でだ」
「潰しましょう」
「それでは」
「それでいいな」
ラオデキアは他の司令達にも問うた。
「ここは」
「うむ、そうだな」
「機動力を使い包み込ませぬのならだ」
「それならそれでやり方がある」
「正攻法だな」
「そういうことだな」
ラオデキアは自身と同じ顔の彼等に返した。
「それではだ」
「戦うとしよう」
「ではな」
こうして彼等は七個艦隊全てを集結させた。そのうえで反転してくるロンド=ベルに正面から向かおうとする。しかしなのだった。
それこそまさにであった。
「よし、やった!」
「集まって来るんならな!」
「こっちの思う壺よ!」
「正面から全力で一気にやれるぜ!」
「その通りです」
エキセドルも言う。
「では皆さん」
「一気に、だよな」
「正面から敵の戦力をまとめて」
「それで」
「殲滅します」
エキセドルは言い切った。
「そうしましょう」
「では艦長」
「マクロス7もですね」
「はい」
エキセドルは美穂とサリーの言葉にも応えた。
「御願いします」
「ではマクロス7変形です」
「主砲発射用意」
その巨大なライフルから光が放たれだった。
敵軍が薙ぎ倒されていく。その他にもだった。
「敵がこう集まっているとな!」
「かえってやりやすいっての!」
「しかも正面から余計にね!」
「狙いを定める必要もなし!」
誰もが広範囲攻撃を繰り出し敵を薙ぎ倒していくのだった。
ポセイダル軍はその数を瞬く間に減らしていく。それを見てだった。ラオデキアがまた言った。
「ここはだ」
「どうされますか」
「我が軍が押されていますが」
「まずヘルモーズはそのままにする」
こう部下達に話す。
「ヘルモーズは艦長が指揮にあたれ」
「では司令は」
「余はズフィルードで出る」
そうするというのである。
「ヘルモーズと合わせてだ。ロンド=ベルにあたる」
「何と、そうされますか」
「核を外して」
「そのうえで」
「普通にやっていては勝てはしない」
それを確信している言葉だった。
「だからだ」
「左様ですか」
「それでは我々も」
「今からは」
「この艦を頼んだ」
ラオデキアは部下達に告げた。
「それではな」
「わかりました。それでは」
「司令、御健闘を」
「今より」
「では我々もだ」
他のジュデッカ=ゴッツォ達も言ってきた。
「行くとしよう」
「それがいいな」
「七機のズフィルードと七隻のヘルモーズ」
「それでだ」
「勝つぞ」
こうしてだった。七機のズフィルードが出た。そうしてだった。
彼等は迂回しだした。ヘルモーズはそのままだった。
それを見てだ。エキセドルはすぐに察した。
「ふむ。これは」
「一体どういうことでしょうか」
「ズフィルードが出てきましたけれど」
「まず残った戦力で前から攻撃を仕掛けです」
そうしてだというのだ。
「そして後ろからです」
「ズフィルードですか」
「それでなのですね」
「その通りです」
こう美穂とサリーに話す。
「それが彼等の狙いです」
「それじゃあ今は」
「後ろを何とかしないと」
二人はエキセドルの言葉を受けて早速言うのだった。
「挟み撃ちにされます」
「それは防がないといけないですよね」
「はい」
エキセドルもこくりと頷く。
「その通りです」
「ではここは一体」
「どうされますか?」
「二手に分けるのも愚です」
それはしないというのだ。
「ズフィルードに戦力を振り分けるとそれだけ敵主力への戦力が減ります」
「そうですよね」
「ですからそれは無理ですよね」
「ここは」
「ちょっと」
「はい、かえって劣勢になります」
戦力の分散を避けるというのである。
「ですからここは」
「はい、ここは」
「どういった戦術を」
「正面です」
返答は一言だった。
「正面の敵をです」
「一気に攻め潰すんですね」
「まずはですか」
「はい、ヘルモーズも沈めます」
その七隻の戦艦もだというのだ。
「そしてそれからです」
「ズフィルード攻略ですか」
「そうされますか」
「はい、それでいきます」
こうしてだった。エキセドルの言葉通りに戦うのだった。
まず一気に攻めてだ。ヘルモーズの周りの敵を減らしていく。
「くっ、怯むな!」
「まだだ!」
「まだ持ちこたえろ!」
「司令達が後ろに回られるまでだ」
「それだめだ」
指揮官達が叫ぶ。しかしだった。
彼等はそのまま崩れていく。そしてだった。
遂にヘルモーズにも攻撃が及んだのだった。
「集中攻撃だ!」
「ありったけの攻撃をぶつけろ!」
「いつも通りな!」
既にヘルモーズの攻略方法はわかっていた。とにかく周囲を囲んでダメージを与えるのだ。巨大戦艦への攻略である。
そうして一隻、また一隻と沈めていく。無論周りの戦力もだ。
「よし、これはな」
「いい感じね」
「思った以上に」
「いける?」
「ああ、ズフィルードが向かっているけれどな」
それでもなのだった。
「やっぱりジュデッカ=ゴッツォ達がいないとな」
「その分楽?」
「あの連中指揮官として手強いし」
「それでかな」
「そうね」
フェイがここで話す。
「指揮官の質は大事だから」
「ああ、それでか」
「普段より楽に感じるのは」
「相手がヘルモーズでも」
「そうよね」
「そういうことか」
「ええ。だから今は」
また言うシンルーだった。
「このまま一気に敵を潰して」
「そうしてか」
「ズフィルードを相手にする」
「このまま」
「はい、それでいきます」
また言うエキセドルだった。
「では皆さん」
「よし!倒すか!」
「今からな!」
「一気に!」
こうしてだった。まずは敵の主力を殲滅した。無論七隻のヘルモーズもだ。
そしてそれからだった。後方に回り込むつもりが戦局の変化で急にロンド=ベルに向かってきたズフィルード達に向かうのだった。
「くっ、速いな」
「流石ロンド=ベルと言うべきか」
「そうだな」
ジュデッカ=ゴッツォ達がそれぞれ言う。
「主力部隊を先に一気に倒してか」
「そして我等を次に倒す」
「口で言うのは容易い」
「だがそれをできるのはだ」
どうかというとだった。
「相当なものだ」
「そう容易にはできない」
「その通りだな」
「しかしだ」
それでもなのだった。彼等にも意地があるのだった。
「我等もただ敗れる訳にはいかない」
「そういうことだ」
「ではな」
「行くとしよう」
そのままロンド=ベルに向かう。そうして戦いに入るのだった。
ズフィルード達はだ。忽ちのうちに囲まれてしまった。それでもだった。
「来るがいい」
「このズフィルードの強さ見せてやろう」
「汝等がどれだけ強かろうがだ」
「我等も敗れるつもりはない」
こう言ってだった。それで戦うのだった。
彼等とて七機しかおらず囲まれてはだ。劣勢も止むを得なかった。
それで次から次にだ。ダメージを受けていく。
それを見てだ。ヴィレッタが彼等に言った。
「降伏しろ」
「降伏しろというのか」
「我等にか」
「そう言うのか」
「そうだ」
その通りだというのである。
「その通りだ。それならば命は助かる」
「戯言を言うものだ」
ラオデキアの言葉だった。
「我等はバルマーの臣だ」
「そうだ、それでどうしてだ」
「何故降伏することがある」
「それは決してだ」
「言う筈がないだろう」
他のジュデッカ=ゴッツォ達も言う。
「我等は何があろうと最後まで戦う」
「貴様等を倒す」
「それは言っておく」
「意地と誇りか」
ヴィレッタは彼等が何故まだ戦うのかわかっていた。それでだった。
その彼等を見てだ。一端目を閉じそこからまた言うのだった。
「わかった。それではだ」
「では来るのだ」
「我等は最後まで戦う」
「例え何があろうともだ」
「最後の最後までだ」
こう言ってだった。本当に最後の最後まで戦いだった。七人全てが散華した。これでこの宙域での戦いが終わったのであった。
「見事だな」
「ああ、そうだな」
「本当にね」
「敵とはいえだ」
誰もがその彼等に賞賛の言葉を惜しまなかった。
「何度戦っても立派だな」
「バルマー帝国にも人がいる」
「それは間違いないな」
「確かにね」
「見事だ」
ここでフラットが彼等に言ってきた。
「これで残るはポセイダルの直属軍のみだ」
「そうですね」
ダバはそのフラットに応える。
「これでいよいよですね」
「そうだ。だが気付いただろうか」
ここでフラットはこんなことを言ってきたのだった。
「あることにな」
「あの連中バルマーの人間だって言ってたよな」
キャオがそれを指摘してきた。
「つまりそういうことだな」
「そういうことだ。それにだ」
まだあるのだった。
「ヘビーメタルは一機もなかったな」
「バルマーのマシンだけだったわね」
「そうだったな」
今度はアムとレッシィが話す。
「ってことはジュデッカ=ゴッツォ達は」
「ポセイダルとは疎遠だったのか」
「そういうことだ。あの者達はあくまでバルマーの臣だ」
フラットは二人に対しても述べた。
「ポセイダルの臣ではなかったのだ」
「そもそもポセイダルはだ」
今度言ったのはギャブレーだった。
「確か一人でこのペンタゴナを統一したのだが」
「そうだ。その通りだ」
フラットもギャブレーのその言葉に頷いてみせる。
「そうなっているな」
「だが違う?」
「そういうこと?」
「つまりは」
「そうだ。実はあの時には私もいた」
フラットの言葉がさらに真剣なものになる。
「ポセイダルのペンタゴナ統一の戦いの時にはな」
「じゃあポセイダルのことはよく知ってる?」
「つまりは」
「そういうことですよね」
「その通りだ。そしてだ」
フラットはさらに話していく。
「そこからバルマー軍を呼び寄せたのだ」
「そういえばポセイダルも十二支族だったっけ」
「ポセイダル家よね」
「確か」
「けれどバルマー軍は後でって」
「妙な話よね」
「確かに」
皆このことにも気付いたのだった。
「バルマー軍を後で呼び寄せるって」
「普通に戦わないで自分達だけでそうやってって」
「何でかな」
「それは」
「最初から独立を考えていたのだ」
ここでまた話すフラットだった。
「バルマーからのな」
「それがポセイダルの考えだったんですね」
「それでなんですか」
「あえてバルマーの戦力は最初外して自分の地盤を築いて」
「そのうえで」
「自分が統治をする」
「巧妙よね」
わかってきたのだった。ポセイダルのことがだ。
そしてだった。さらにだった。
「じゃあポセイダルにとっては」
「さっきの戦闘は好都合でもある&」
「目付け役かも知れないジュデッカ=ゴッツォ達が消えて」
「それで」
「そうだ。機会があればだ」
ここでまた話すフラットだった。
「ポセイダルはあの者達を排除しようとしていた」
「俺達はその手伝いをした?」
「つまりは」
「そういうことだよな」
「これって」
「何か」
「だがそれでもだ」
また話すフラットだった。
「君達にとってはそうしなければならなかった筈だ」
「バルマー帝国を倒すには」
「そういうことよね」
「つまりは」
「それって」
「その通りだ」
そうではないかと言うフラットだった。
「そうだな」
「ええ、確かに」
ダバが応えた。
「その通りです」
「君達はバルマーもまた相手にしなければならないからな」
「はい、その通りです」
また応えるダバだった。
「バルマー帝国は僕達を侵略しようとしていますから」
「その彼等を倒さなければな」
「それが終わらないというのなだ」
「つまりそういうことだ」
フラットもダバのその言葉を認める。
「だからここのバルマー軍を倒さなければならなかったのだ」
「そういうことですね」
「そうよね。結局は」
「避けられない戦いだったな」
アムとレッシィはここでも話した。
「どっちにしろ戦わないといけない相手だったのね」
「ここでもな」
「そしてだな」
ギャブレーは今の戦いの先について述べた。
「次の戦いだな」
「そのポセイダルですか」
「残る戦力はどれだけだ」
「残念だが多い」
フラットはギャブレーにも話してきた。
「ヘビーメタルが揃っている」
「数は」
「百万だ」
それだけいるというのだ。
「無人機を含めてだ」
「人は少ないんだな」
キャオはこのことに突っ込みを入れた。
「そっちは」
「そうだ。ポセイダルの統治は己が絶対者となる統治だ」
フラットの言葉はここでは一際冷たいものになっていた。
「だからだ」
「それで、ですか」
「無人機が多い」
「自分以外は治めるだけだから」
「それで」
「より言えば人を信じることもない」
フラットはポセイダルについてさらに話してきた。
「それでだ」
「無人機でも構わないってことか」
「要するには」
「だからか」
「それで」
「そういうことだ。無人機ならばだ」
フラットは今度は無人機について話した。
「君達にとっては造作もない相手だな」
「そうだな」
ブレアがフラットのその言葉に応えた。
「人間が相手ならともかくだ」
「無人機なら平気だよな」
「動き単純だしな」
「反応も悪いし」
「攻撃も下手だし」
「あの連中なら」
これは誰もがだった。今更無人機なぞ恐れることはなかった。
それでだ。さらに話していくのだった。
「じゃあな」
「とりあえず相手はポセイダルだけか」
「そうなるよね」
「それじゃあ」
「あいつだけを倒せば」
「そういうことだ」
フラットが微笑んだ。そのうえでの言葉だった。
「次の戦いでの戦い方がわかったな」
「ああ、ポセイダルだけを倒す」
「次の戦いではな」
「そうするか」
「一気に」
「では行こうかね」
ネイだった。
「これから。そのポセイダルを倒しにね」
「はい、それでは」
「我々も」
ここでだった。アントンとヘッケラーも出て来た。それでネイに応える。
「まさかポセイダルとこうも早く戦うとは思いませんでしたが」
「それでもですね」
「ああ、行くよ」
最早完全にロンド=ベルの一員になっているネイだった。そしてそれはアントンとヘッケラーも同じだった。もうそうなっていたのだ。
そしてだ。三人だけではなかった。
「ふふふふふ」
「あっ、マクトミンさん」
「貴方もですか」
「戦うってことですね」
「つまりは」
「その通りだ」
マクトミンは楽しげな笑みを浮かべながら仲間達の言葉に応える。
「それでは。楽しませてもらおう」
「何か結局マクトミンさんって」
「そうよね」
「戦い好きなんだ」
「何よりも」
「しかしこれは言っておこう」
マクトミンは彼等に対して言ってみせた。
「私は戦いは好きだがだ」
「ええ」
「それでもですか」
「そうだ。戦いは好きだが残虐ではないのだ」
そうではないというのである。
「無駄な殺生はしない」
「それは踏まえてるんですね」
「ちゃんと」
「私は軍人だ。軍人とはそういうものだ」
こう言うのであった。
「殺戮は好まないのだよ」
「生粋の軍人かあ」
「そういうのっていいよね」
「うんうん」
「見直したわ」
「ふふふ、ならいい」
マクトミンは見直したという言葉に笑顔を見せた。
「では諸君。今からだ」
「そうだな、今からな」
「行くか」
「ポセイダルとの決戦にな」
こうしてだった。彼等はその戦いに向かうのだった。ポセイダルとの戦いも遂に終止符が打たれる時が来たのであった。
第七十四話 完
2010・11・12
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