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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第三十一話 ハイスクール=クイーン

             第三十一話 ハイスクール=クイーン
「ふう」
「美味いな」
「そうね」
 皆で話していた。
「この酒はな」
「コーラでカクテルにしてもね」
「いけるんだな」
「ああ、そうだな」
 こうそれぞれ話すのだった。
「甘いのが余計にな」
「いいよな」
「甘いお酒って美味しいけれど」
「コーラは余計にね」
 こう話をしながらだ。さらに飲んでいくのだった。
 そしてだ。コウがここで言う。
「それでさ」
「御前人参酒飲まないんだな」
「人参なんか別にいいだろ」
 キースへの言葉はこれだった。
「人参食べなくても別に生きていけるだろ」
「まあそれはそうだけれどな」
「ウラキの人参嫌いは全然変わらないな」
 モンシアも呆れていた。
「ったくよお、ちょっとはよ」
「食べろっていうんですか?」
「そうだよ。人参は身体にいいんだぞ」
 言いながらその人参酒を飲むモンシアだった。
「それもかなりな」
「わかってますよ。けれどそれでも」
「やれやれ、どうしてもか」
「それも変わりませんね」
 ヘイトとアデルもここで言う。
「人参はどうしてもか」
「食べられないし飲めませんか」
「お酒にしてもやっぱり」
 実際にだ。目の前の人参酒には手をつけようともしない。
 そのうえでだ。今はブラッディマリーを飲んでいた。トマトをだ。
 そしてだ。こう言うのである。
「他の野菜や果物は好きだからいいじゃないですか」
「それはそうだがな」
 バニングもそれは認めた。
「だがな」
「だが?」
「嫌いな食べ物があるというのは悲しいことだ」
 そうだというのであった。
「それだけ美味いものがわからないのだからな」
「だからですか」
「しかし食べられないのなら仕方がない」
 こうも言うのだった。
「それはだ」
「はあ」
「まあいい。それでだが」
 バニングは氷が入ったグラスの中にバーボンを入れていた。
「まずは飲もう」
「とにかく今はですね」
「酒を」
「飲む時に飲む」
 ヘイトとアデルにも言う。
「それがストレス解消の秘訣だ」
「そういうことですね。じゃあ俺も」
 モンシアはニコニコとしながら飲んでいる。
「楽しみますか」
「そうですね。そういえば俺達今度は」
「うむ、ある星に向かっている」
 彼等に美知島が言ってきた。
「ガリア4にだ」
「確かゼントラーディの人達がいるんですよね」
「そこは」
「そうだ。彼等の軍がいる」
 こう一同に話すのだった。
「そこにシェリル=ノームが慰安に行く」
「それで俺達は」
「その護衛ってことですね」
「そういうことになる。これも重要な仕事だ」
 こうも話すのだった。
「宜しく頼むぞ」
「ええ、わかりました」
「それじゃあ」
 こう返してであった。全員そのガリア4に向かうのだった。
 その中でだ。アルト達は自分達が入っているフロンティアの学園の階段のところでだ。弁当を食べながら話をしていた。
「いよいよ明日ですね」
「そうだよな」
 ミシェルがルカの言葉に応えていた。
「本当にな」
「そうですね。シェリルさんがガリア4に行って」
「ランカさんはファーストコンサートで」
 ナナセもいた。彼女は親友のランカのことを話した。
「何かと凄い日になりそうですね」
「そうですね。ただ」
「ただ?」
「問題はガリアの方ですね」
 そちらだというのだ。
「ゼントラーディの人達の中でかなり減った強硬派がまだいまして」
「その連中が問題か」
「はい、どうしてもシェリルさんの歌を聴きたいって言いまして」
「それでなんだな」
「はい、それでなんです」
 こう話すのだった。
「シェリルさんが今回」
「厄介な話だな」
「シェリルさんも大変なんですね」
 ナナセはその話を聞いて心配する顔で述べた。
「ランカさんも大変ですし。お忙しいでしょうね」
「それじゃあ」
 ここでだ。ランカの声が聞こえてきた。
「私今日は休んだ方がよかったのかしら」
「あっ、ランカさん」
「今日はね」
 見ればランカも階段に座っていた。そのうえで楽しげに笑っていた。
「それにシェリルさんもいるし」
「えっ!?」
「それ本当ですか!?」
「本当よ」
 にこりと笑って答えるランカだった。
「昨日携帯のメール貰ってね」
「げっ、メル友なのか」
「あのシェリル=ノームと」
「そうなの。シェリルさんって凄くいい人よ」
 ランカだからこそわかることだった。
「優しくて気がきいて」
「高慢ってイメージあったけれどな」
「実際は違うんでしょうか」
「我儘女だよ」
 アルトはむくれて言う。
「あいつはな」
「御前はそう言うんだな」
「シェリルさんには」
「そうだよ、あいつはそんな奴だよ」
 また言うアルトだった。
「とにかくな。あいつはな」
「今日から学校に来るのよ」
 また言ってきたランカだった。
「ほら、実際に」
「えっ、あれかよ」
「あのリムジンが」
 こうしてであった。学園がさらに五月蝿いものになった。
 ロンド=ベルの面々も同じ学校に通っている。その彼等がだ。
 驚いた顔でだ。そのシェリルを見て言う。
「何てこった」
「シェリル=ノームまでこの学校に来るなんて」
「どういうことなんだ?」
「これってラッキーなのかね」
 黒い詰襟を着ているディアッカが言った。制服はかなり自由になっている。
「トップアイドルが転校して来るなんてよ」
「そうじゃねえのか?やっぱり」
「普通に考えたらな」
「ベタな展開だしな」
 ケーンにタップ、ライトはこう話した。彼等も学生服姿だ。
「とはいえな」
「ここまでベタだとな」
「呆れるものもあるな」
「全くだ」
 イザークもいる。
「只でさえ賑やかなこの学園がさらにな」
「しかもこの学園って」 
 ミレーヌはセーラー服姿だった。
「中等部と高等部一緒だし」
「そうなのよね。あたしも何かいるし」
 アスカもいる。
「一応大学出てるんだけれど」
「じゃあ御前おばさんだったのか」
 シンがまた言った。
「若作りでも中は婆だったんだな」
「ちょっと、それどういう意味よ」
「だから大学出てるんだろ」
「ええ、そうよ」
「じゃあ婆だよ」
 完全にいつものシンだった。
「見事にな」
「飛び級したのよ。しかしそれにしてもね」
「今度は何だよ」
「あんたとは一度本気で決着つけないとね」
「俺は今でもいいんだがな」
「やるっての?」
「ああ、そっちさえよかったらな」
 こう言い合いながらいつも通り殴り合いの喧嘩に入る二人だった。本当にいつも通りだ。
 ジュドーもそれを見ながらだ。呆れながら言う。
「この連中本当に喧嘩好きだよな」
「そうね。何か山猫同士の喧嘩みたいね」
「全くね」
 ルーもエルも呆れている。
「この二人だけは」
「カガリもだけれど」
「ああ、そのカガリもな」
「大変なことになってるよ」
「あっちもね」
 ビーチャにモンド、イーノが言ってきた。
「ほら、そっちでな」
「エイジと喧嘩しているから」
「もう一人と」
 見ればそちらはだ。噛んでさえもいる。完全にそんな喧嘩になっていた。
 だが皆その喧嘩を止めようとはしない。そうしてであった。
 シェリルは学校に入った。そしてである。
「えっ、パイロットスーツをですか」
「ええ、着たいんだけれど」
 にこりと笑ってルカに言うのである。
「いいかしら」
「いいって」
「宣伝も兼ねてね。いい?」
「宣伝って」
「ロンド=ベルと私のね」
 その両方だというのだ。
「それでいいかしら」
「あの、そう言われましても」
「いいではないか、別にな」
 教師で来ているクランが躊躇するルカに言ってきた。
「それはな」
「いいっていうの」
「そう、いいじゃない」
 今度はシェリルからの言葉だった。
「借りるだけだから」
「壊さないで下さいよ」
 ルカは心配する顔で述べた。
「それは頼みますよ」
「わかってるわよ。それじゃあね」
 こうしてルカからそのパイロットスーツを借りてであった。あらためてそれを着てみた。そして彼女が最初にやらされたことは。
「卵!?」
「ああ、卵だ」
「それな」
 アルトとミシェルが話す。
「それを掴む練習だ」
「いいな」
「あのね、馬鹿にしてるの?」
 シェリルは二人にこう返した。
「あのね、卵なんてね」
「いいからな」
「まずは掴む練習をね」
「私を誰だと思ってるのよ」
 いつもの言葉も出た。
「シェリル=ノームよ。これ位はね」
「うむ、ではやってみてくれ」
 冷静に言ったのはミナだった。彼女も教師である。
「それではな」
「わかったわよ。じゃあ」
 早速だった。握り潰してしまった。
「牛丼に使えたな」
「そうよね」
 凱と命がそれを見て言う。
「折角の卵だがな」
「残念だけれど」
「何よこれ」
 シェリルはその割れた卵とその中身を見て顔を顰めさせていた。
「何で潰れたのよ」
「パイロットスーツは力加減が大変なんですよ」
 ルカがここで説明する。
「だからなんです」
「そうだったの」
「まあ卵で汚れるのは何とかなりますけれど」
「それはいいんだ」
「諦めてますから」
 こう斗牙にも答える。
「既に」
「そうなんだ。だから」
「仕方ないです」
 完全に諦めているルカだった。
「もうそれは」
「それじゃあ後で手入れを」
「します。絶対に」
「けれど今は」
「諦めてます」
「諦める必要はないわよ」
 そのシェリルの言葉である。
「とにかくよ。こうして」
「あっ、また」
「潰れた」
 今度は先を押しただけである。それでもだった。
「何かオムレツ食べたくなったけれど」
「こうなったらねえ」
「どうしようもないし」
「いっそのことゆで卵なんてどうだ?」
「ああ、それいいな」
 ディアッカの言葉にエイジが応える。
「じゃあそうするか」
「ああ、それでどうだよ」
「馬鹿にしないでよ」
 しかしその言葉はシェリルをさらにムキにさせるだけだった。
「そんなことを言ってもよ」
「じゃあどうするんだよ」
「まだやるのかよ」
「そうよ、できるまでやるのよ」
 完全にムキになった顔だった。
「それじゃあね。このままできるまでね」
 こうして卵を潰し周りまで卵まみれにしていくのだった。そうしてやっと何とか握れるようになったところで止めてだ。卵を落とす為にシャワー浴びていた。
「それにしてもシェリルさんって」
「物凄く本気でしたね」
「当たり前よ」
 こうランカとナナセにも答えるのだった。
「それもね」
「当たり前なんですか?」
「さっきのも」
「そうよ。何でも真剣にやって身に着ける」
 シャワーを浴びながらの言葉である。
「それが私なのよ」
「そうなんですか」
「それで」
「そうよ、そうしないと何でもできないのよ」
 こうも言うのであった。
「それこそね。それは」
「それは?」
「貴女も同じでしょう?」
 ランカへの言葉だった。
「そうよね」
「はい、それは」
 ランカもその言葉に頷く。
「その通りですね」
「そういうことよ。だからさっきもね」
「真剣にですか」
「できるようになるまでやる」
 シェリルはまた言った。
「そういうことなのよ」
「わかりました。そういうことですか」
「そうよ。明日ファ^ストコンサートよね」
「はい」
「できるようにまでなってよ」
 そうだというのだ。
「そのうえでだからね」
「だからですか」
「明日のコンサート、必ず成功させなさい」
 微笑んでの言葉だった。
「いいわね」
「はい、わかりました」
「絶対にね」
「ランカさん凄いんですよ」
 今度はナナセが言ってきたのだった。
「本当に」
「努力したってことね」
「はい、それこそ血の滲む様な」
「なら余計に頑張ることね」
 シェリルはこうも述べてみせた。
「貴女の目指すものを手に入れる為にね」
「はい、明日は」
 そんな話をしてだった。シャワーを浴び終えて今度は洗濯に入る。しかしこの時だった。
「あれっ?」
「どうしたんですか?」
「どうしてこんな場所に」
 それを見てナナセに返す。
「いるのかしら」
「何がいたんですか?」
「あれ。私が飼ってるのだけれど」
 緑の可愛い目のリスを思わせる小動物を抱いて言うランカだった。二人は既に制服に着替えている。
「何でここに」
「あの動物は」
「あっ、内緒にしてて」
 すぐにナナセに口止めを頼んだ。
「このことは」
「は、はい」
「ばれたらやっぱりね」
「まずいですよ」
 ナナセもそれを言う。
「一日の間奉仕活動とか」
「そうよね、やっぱり」
「ですから」
 ナナセは右目をウィンクさせてきて述べた。
「絶対に」
「有り難う、本当に」
「お互い様ですから。それにしても」
「それにしても?」
「見たことのない生き物ですね」
 首を傾げさせながらの言葉だった。
「その動物は」
「何なののかしら」
「さて。それで」
「それで?」
「シェリルさんのところに行かれましたし」
「あっ」
 そしてであった。その謎の生き物はシェリルのところに来てだった。何と彼女の濃いピンクのショーツの中に入って。そのうえで外の廊下に出た。
「あっ!」
「んっ、何だこれ」
「何かしらね」
 カミーユとファがそれを見て言う。
「急に出て来たけれどな」
「布?」
「私のショーツよ!」
 扉が開いてシェリルが言ってきた。
「今脱いだばかりの!」
「えっ!?」
「嘘でしょ」
「本当よ!」
 こう言って一旦扉を閉める。扉の向こうは大騒ぎになった。
「な、何だってーーーーーーーー!!」
「それは本当か!?」
「嘘でしょ、それって!」
 動物はショーツを被ったまま跳ねていく。そしてその間にだ。
 シェリルはとりあえず服を着てだ。すぐに追いかけはじめた。
「な、何か」
「凄いことになりましたね」
 ランカとナナセは呆然としたままだった。こうして大騒動になった。
 学園の中を駆け巡るシェリルの速さはかなりなものだった。その彼女がだ。
 格納庫に来てだ。そうしてだった。
「あれ、何処?」
「何っ!?」
「あれ!?」
「そう、あれよ」
 こうアルトとミシェルに問うのだった。
「あれは何処なのよ」
「いきなりあれって言われてもよ」
「訳がわからないんだけれどな」
「だから。あのスーツよ」
「えっ、スーツ!?」
 そのパイロットスーツを磨いているルカが顔を向けてきた。
「もう使わないんじゃないんですか?」
「予定が変わったのよ」
 かなり強引に言う。
「だからね」
「だからって」
「あのよ、話がな」
「わからないんだけれどな」
 ルカだけでなくアルトとミシェルが言ってきた。
「そもそもだよ」
「何で必要になったんだ?」
 ミシェルがこう言った時だった。不意にコンテナの上にだ。
 ショーツが見えた。ミシェルは顔を顰めさせて言うのだった。
「俺も疲れてるのかな」
「どうしたんだ、一体」
「ショーツが見えたんだよ」
 こうアルトにも話す。
「どうやらな」
「ショーツ!?」
「ああ、女もののな」
 このことも話した。
「何だありゃ」
「何だって言われてもな」
「えっ、ショーツ!?」
 それを聞いてもアルトはいぶかしむだけだったがシェリルは違った。
 顔色を変えてだ。すぐにルカが磨いていたそれを奪い取る様に借りてだった。
 そのうえで。一気に追った。
「そこね!」
「そこねっておい」
「ああ、いきなりな」
「何がどうなったんだ?」
 アルトもミシェルも呆然とするばかりだった。しかしだ。
「あの」
「んっ、ルカ」
「どうしたんだ?」
「あの人、シェリルさんだけれど」 
 その彼女のことを話すルカだった。
「今パイロットスーツリミッター外してますよ」
「何っ!?」
「それはまずいだろ」
 こんな話をしてだった。三人はシェリルを必死に追うのだった。
 そのシェリルはだ」明らかに暴走していた。
 壁にぶつかりそれでも先に進んで。直角に曲がっていく。
「何か凄いわね」
「はい、確かに」
 テッサも呆然としながら小鳥の言葉に応える。
「学校じゃ平和って思ったけれど」
「比較的」
 二人はお揃いのセーラー服で話をしていた。
「まさかこんなことになるなんて」
「何ていいますか」
「困ったことになったな」
 ここで宗介が真面目に言ってきた。
「これは」
「そうよね。シェリルさんも心配だし」
「学校も」
「それだけではない」
 だが宗介はこうも言うのだった。
「大変なことが起こった」
「まだ何かあるの?」
「そうだ。フロンティアのコンピューターに異変が起こった」
 今のは大文字の言葉だ。校長でもある。
「急なバグでな」
「バグ!?」
「といいますと」
「コンピューターウィルスか」
 こう言うのである。
「そのせいでだ。システムが異常を起こし」
「はい」
「それで」
「それにより予備戦力として置いていたモビルスーツが自動操縦で動きだしたのだ」
「モビルスーツですか」
「それが」
 ここで小鳥とテッサも事情がわかったのだった。
「ということは」
「ここは」
「そうだ、総員出撃だ」
 また話す大文字だった。
「そちらに兵を回してくれ」
「わかりました」
「それでは」
「シェリル君はだ」
 シェリルのことも話しはした。
「アルト君達に任せておこう」
「アルトになの」
 小鳥はそれを聞いてまた言った。
「ここは」
「縁だ。任せるとしよう」
「そうですね。それではですが」
 テッサはアルトと聞いてすぐに言った。
「アルトさんとミシェルさん、それにルカ君ですね」
「後はオズマ少佐に頼むことにする」
「はい、わかりました」
 テッサはセーラー服のまま敬礼をする。これで決まりだった。
 こうしてだ。全軍その無人のモビルスーツ部隊に向かう。そのモビルスーツは。
「バーザムにマラサイにそれにガザか」
「それとギルドーガ」
「それか」
「ダナン=ゲーになの」
 皆そのモビルスーツ達を見て述べた。
「何か雑魚ばかりっていうか」
「数も一千」
「いつもより多くないわね」
「多くても困りますけれど」
 ウッソが真面目に応えてきた。
「フロンティアの中での戦いですし」
「そうね。下手な攻撃はできないわね」
 ジュンコも真面目な顔で述べた。
「壁面にも当たればそれで」
「はい、ですから余計に」
「よし、それならだ」
 オリファーがここで判断を下した。
「ここは銃撃戦は駄目だ」
「そうね。接近戦を主にね」
 それでいくと。マーベットも頷いた。
「それでいいわね」
「何かあまりやったことのない戦い方だけれどな」
「確かにな」
 オデロとトマーシュは少し戸惑いを覚えていた。
「それはな」
「少し弱ったな」
「難しく考えることはない」 
 だがここでヘンケンが言う。
「そのまま接近してだ」
「そのうえで、ですか」
「切り込んで切ればですか」
「それでいい。戦艦はできないがな」
「それで今回出撃していないんですか」
「それで」
「そうだ」
 こう二人にも答えた。
「残念だがな」
「仕方ありません」
 ナタルはそれについてはこう述べるだけだった。
「今は」
「そうだな。ここは見るだけにするか」
「ええい、それは嫌なのじゃ!」
 アスカは我儘を言っていた。
「わらわもじゃ!戦うのじゃ!」
「自分だけ見ているというのは」
 イーグルも少しぼやきが入っていた。
「あまり好きになれませんね」
「NSXのマシンはもう全部壊れたしな」
「だからね」
 ジェオとザズもあまり面白くなさそうである。
「ここはな」
「見ているだけしかできないし」
「けれど見守るのも戦いですよ」
「その通りじゃな」
 シャンアンはサンユンのその言葉に頷いた。
「ですから今は」
「見守りましょうぞ」
「わかっててもなあ」
「ちょっとね」
 タータとタトラもあまり面白くなさそうである。
「うち等も出んとな」
「何か悪いわ」
「その分後方の用意をしておけばいい」
 クリフはこう言うのだった。
「今はだ」
「その通りですね」
 ブライトであった。
「出撃できなくともです」
「やるべきことはある」
「はい。では出撃できない者はだ」
 ブライトはその彼等に指示を出した。
「いいか」
「はい」
「ここは」
「補給任務に当たれ」
 こう言うのだった。
「いいな。そしてだ」
「さらにですか」
「今度は」
「食事の用意もすることだな」
 それもだというのだった。
「サンドイッチなりお握りなりだ」
「戦闘食の用意」
「それを」
「少し違うな。後の話だ」
 だがブライトはこう述べた。
「いいな、戦いの後だ」
「その時にですか」
「終わってから」
「皆で、ですか」
「そうだ。酒も用意しろ」
 これを言うことも忘れなかった。
「オードブルもだ」
「つまり終わったら」
「その後は」
「いつも通りですか」
「そうだ、宴会だ」
 ブライトもかなり話がわかるようになっていた。
「わかったな」
「はい、それじゃあ」
「すぐに」
「あっ、すいません」
 ここでシンジがそのブライト達に言ってきた。
「一ついいですか?」
「どうした、シンジ」
「はい。サンドイッチですけれど」
 ブライトに対してエヴァのコクピットから話す。
「できればスパムサンドもお願いします」
「スパムサンドか」
「それとフライドチキンも」
 それもだというのだ。
「よかったらそれで」
「わかった。それではだ」
 ブライトも微笑んでだ。シンジのその言葉を受けるのだった。
「用意しておこう」
「すいません、じゃあお願いします」
「何、その程度はな」
 いいと返すブライトだった。
「いいことだ。ではスパムサンドとフライドチキンだな」
「はい」
「用意しておく。確かにな」
「最近この二つに凝ってまして」
「全くねえ。あんた最近結構食べ物に五月蝿いわよね」
「そういうアスカだって」
 アスカにも言い返す。
「あれじゃないか。スパゲティとかマカロニとかラザニアとか」
「パスタ?」
「パスタにやけに凝ってるじゃないか」
 こう言うのである。
「それもかなり」
「ドイツ人だからね」
「パスタはイタリアじゃないの?」
「ドイツ人は本能的にイタリアが好きなのよ」
 これがアスカの言い分だった。
「食べ物は美味しいしあの爽やかな気候といい」
「いいんだ」
「そう、いいのよ」
 アスカははっきりと言い切る。
「イタリアがね。もう大好きなのよ」
「ええと、イタリア人っていったら」
「誰かいたか?」
「日本人が大半でアメリカ人に中国人?」
 ロンド=ベルの人種構成はそうなっている。
「ドイツ人にロシア人いるけれど」
「テュッティさんフィンランド人で」
「ユンが韓国人?」
「ティアンさんはタイ人」
「あれっ、イタリア人は?」
「あっ、いますよ」
 名乗ってきたのはニコルだった。
「一応ルーツはそっちです」
「ああ、そうだったね」
 タリアも彼の言葉に頷く。
「ニコルのルーツは」
「はい、そうです」
「そして私もだ」
 ブンドルも名乗り出てきた。彼も出撃していない。
「私もイタリア人だ」
「それを考えればだ」
「イタリア人というのもな」
 カットナルとケルナグールがブンドルの名乗りを聞いてそれぞれ述べる。
「かなり厄介だな」
「全くだ」
「マドモアゼルアスカ」
 何故かフランス語でアスカを呼ぶ。
「では私が極上のパスタを用意しておこう」
「いいんですか?」
「私は女性の頼みは断らない」
 優雅な笑顔で述べるのだった。
「女性は尊い。そしてその女性の為に尽くす。それこそがだ」
 いつもの言葉だった。
「美しい・・・・・・」
「また言うし」
「今学校の中は美しい状況じゃないような」
 シェリルの騒動はまだ続いている。
「それでもですか」
「やるんですね」
「あれもまた美しい」
 ブンドルは今のシェリルの状況も肯定した。
「そうは思わないか」
「まあ何といいますか」
「それは」
 皆ブンドルの今の質問には口を濁す。
「普段ならともかく」
「今は」
「あの美しさがわかるのもまた美なのだ」
 まだこう言うブンドルだった。
「それではだ」
「はい、それじゃあ」
「今から」
「パスタを作っておく」
 このことは忘れていなかった。
「ではその間にだ」
「はい、戦いを終わらせますんで」
「それじゃあ」
「パスタはトマトとガーリックと茄子」
 レイがぽつりと言う。
「それとオリーブオイル」
 まだ肉を食べない彼女だった。
 何はともあれロンド=ベルは戦いだ。シェリルは暴走し続けていた。
「そこね!」
 校舎の一角に影を見てだ。すぐにそこに向かう。
 だが直角になっている場所で曲がりきれずに壁に激突する。見事な大穴が開いた。
「うわっ・・・・・・」
「これはまた」
「豪快ね」
 普通の生徒達がこれに唖然となる。
「何ていうか」
「あれがシェリル=ノーム」
「パワフルだよなあ」
「全く」
 誰もが唖然となる。そしてであった。
 シェリルの追撃は続きそれは遂に屋上まで来た。そしてだった。
 ショーツを被ったままの生き物は飛んだ。シェリルも跳ぶ。
「甘いわよ!」
 こう叫んで、である。そのショーツを捕まえようとする。
 そしてそれは成功した。ショーツを手に取った。
 だが謎の生き物は何処かに消えていた。シェリルだけだった。
 そのまま落ちようとする。咄嗟にスカートを庇う。
「きゃっ!」
「おい!」
 だがここでアルトがパイロットスーツで現われた。そうしてだった。
「えっ、アルト?」
「おい、何やってるんだ」
 空を飛びながらシェリルをお姫様抱っこしながらの言葉だった。
「何を追ってたんだ」
「ショーツよ」
 ありのまま言うシェリルだった。
「それをね」
「ショーツ!?」
「そう、ショーツよ」
 それをだというのだ。
「私のショーツを取り戻したのよ」
「何でそれでこんな騒ぎになるんだ」
「だって。あれ脱ぎたてだったのよ」
 ありのまま言うにも程があった。
「だからよ」
「御前その言い方は止めろ」
「事実よ」
「御前はありのまま過ぎるんだよ」
 少し怒った顔で注意する。
「全く。少しはだな」
「今はいてないし」
「だからもっとオブラートに包め」
 声が怒ってきていた。
「全く。恥じらいがな」
「別にいいじゃない。私は私よ」
 不敵な笑みでアルトに返す。
「シェリル=ノームよ」
「今それを言う時か?」
「そうよ。まあとにかくね」
「ああ」
「助かったわ。有り難う」
 アルトは今気付いたがだ。シェリルはパイロットスーツを着ていない。実は跳躍してショーツを手に取った時にスーツが今までの出鱈目な使い方で故障してだ。地面に落ちてしまったのだ。下ではそのスーツを抱いて泣いていた。
「うう、折角色々チューンアップしたのに」
「修理するしかないな」
「はい・・・・・・」
 がっくりとしながらミシェルに応えていた。
 そんな状況だった。そうしてだ。
「それでだけれど」
「今度は何だ?」
「これからどうするの?」
 自分を抱いたまま空を飛ぶアルトに対して問うた。
「これからだけれど」
「これからか」
「そうよ、これからよ」
 それを問うのである。
「一体どうするの?」
「何時までも空を飛んでる訳にはいかないでしょ」
 楽しげに笑ってこう問い返す。
「そうでしょ?それでどうするの?」
「まずは降りるか」
 こう答えたアルトだった。
「それじゃあな」
「ええ、それじゃあね」
 そして着地するとだ。すぐにそこにミシェルとルカが来てだ。二人に対して言うのだった。
「よお、丁度よかったな」
「戦闘も終わりました」
「何っ、もうか」
「随分と早いわね」
「旧式のモビルスーツばかりだったしな」
「それに数も少なかったですし」
 こうアルトとシェリルに話すのだった。
「だからな。もうな」
「終わりました」
「そうか。そうなのか」
「ああ、それでな」
「今から勝利を祝ってパーティーですけれど」
 話はそこに移った。
「どうだい?今から」
「御一緒に」
「そうだな」
 アルトがその言葉に応えた。
「じゃあ今からな」
「ああ、行くか」
「そうしますか」
「御前も来るのか?」
「勿論よ」 
 シェリルも笑ってアルトに答える。
「行かせてもらうわ。御礼は歌よ」
「そうか。じゃあランカも呼んでな」
 こんな話をして戦いの後のパーティーに向かうのだった。そしてだ。
 その呼ばれたランカがナナセと共にパーティーの場に行く時だ。その時だった。
「あれっ?」
「ランカさん、どうしたんですか?」
「この子戻って来たけれど」
 あの緑の生き物がだ。ランカの胸元に飛び込んできたのだ。ランカもその生き物を抱き締める。
「物凄い騒ぎを起こして」
「そうですよね」
「どうして戻って来たのかしら」
「それも謎ですし」
「しかし」
 そうしてだった。
「戻って来たのならね」
「それでいいですよね」
「シェリルさんには悪いことしたけれど」
 それについては悪いと思ってはいた。
「それでもね」
「後で謝っておきましょう」
「うん」
 こうしてだった。二人はシェリルに謝罪した。そんなことでとやかく言うシェリルではなくこの話はあっさりと終わったのであった。
 ある場所でだ。ブレラはグレイスと会っていた。そうしてだ。
 まずはグレイスが言ってきた。
「それにしても」
「縁だというのか」
「会うことはないと思っていたわ」
 思わせぶりな笑みと共の言葉だった。
「二度とね」
「俺もだ」
「そうよね。地球に残ったから」
「しかし会うとはな」
「縁ね。いえ」
「いえ?」
「運命かも知れないわね」
 思わせぶりな笑みはそのままだった。
「これはね」
「運命か」
「本来なら会う筈がなかったのに再会した」
 こうも話すのだった。
「これは運命ではないかしら」
「そしてその運命をか」
「どう使うかね」
 思わせぶりなその笑みに含ませているものがさらに深いものになった。
「果たして」
「一体何を考えている」
「何を?」
「そう、何をだ」 
 グレイスの目を見ての問いだった。
「一体何を考えている」
「別に。と言ったら」
「嘘だな」
 グレイスの言葉に合わせてのことだった。
「それは。嘘だな」
「そうね。嘘になるわね」
 そしてグレイスもそれを否定しなかった。
「生憎だけれどね」
「一つ聞こう」 
 今度はブレラからの問いだった。
「あの娘をどうするつもりだ」
「シェリルのことかしら」
「そうだ、シェリル=ノームだ」
 その彼女のことだという。
「あの娘をどうするつもりだ」
「いい娘よ」
 笑っていた。目以外は。
「とてもね」
「本心からの言葉と思っていいのか」
「いいわよ。本当にそう思っているわ」
「どういう意味での言葉だ」
「あら、まだ言うのかしら」
「言いはしない」
 そうではないといってだった。
「聞いているのだ」
「疑ってるのかしら、私を」
「貴女がただ人を使いはしない」
「私がね」
「利用する為だ。何に利用する」
「そうね。ここはね」
「ここは」
「面白い趣向を考えているのよ」
 やはりであった。グレイスの目は笑っていない。醒めたその目でさらに言うのだった。
「これからのことをね。それに」
「それに、か」
「ランカ=リー」
「!?」
「貴方もよく知っているあの娘だけれど」
「ランカをどうするつもりだ」
「あの娘はもっともっと大きくなるわね」
 思わせぶりな言葉はそのままだった。
「そう、大きくね」
「なるとすればどうする」
「どちらがいいかしら」
 目だけは笑っていない笑みはそのままであった。
「果たしてね」
「ランカに何かをすれば」
「安心して。悪いようにはしないわ」
 一応それは否定するのだった。
「決してね」
「信用できると思うのか」
「信用するしかないでしょうね」
 余裕だった。それを背景にしてブレラに対していた。
「貴方は」
「くっ・・・・・・」
「そうでしょう。だからね」
「では俺に何をしろという」
「その時になったら言うわ。その時にね」
「・・・・・・・・・」
 ブレラは沈黙してしまった。グレイスはその彼にさらに告げる。
「話は終わりよ。それで」
「それでか」
「楽しい長い旅になりそうね」
 そしてこう言ってみせたのである。
「どうやらね」
「貴女はそうでもだ」
「あら、貴方もよ」
「俺は」
「妹さんと一緒にいられるじゃない」
 追い詰められた感じの相手を余裕で囲みながらの言葉だった。
「それが悪いのかしら」
「妹・・・・・・」
「悪い話じゃないわよ、本当にね」
 こう言ってみせてであった。二人は何処かで話をしていた。それは誰にも気付かれずわかるものではなかった。そして誰にも知られることなく別れた。
 そうしてだ。ロンド=ベルはフロンティアと共にさらに進んでいた。
「進路そのまま!」
「全速前進!」
 この指示の下だった。彼等は先に進むのであった。


第三十一話   完


                          2010・5・27 
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