スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇
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第二十七話 ワールの意地
第二十七話 ワールの意地
「よいな」
「はい」
「わかっています」
「無論です」
ワールの言葉にだ。カッチ、バレン、グールが応えていた。
「間も無く来ます」
「ロンド=ベルがです」
「ここに」
「決戦だ」
彼は三人に対して言った。
「いいな、決戦だ」
「ギシン星に来る前に」
「ズール様の御手をわずらわせる前に」
「我等の手で」
「既に七個艦隊は再編成してある」
あの七個艦隊もだというのだ。
「彼等と共にだ。ロンド=ベルを撃つ」
「さもなければですね」
グールの顔が曇っていた。
「我々が」
「そうだな」
カッチもだ。曇った顔で言うのだった。
「ズール様はそうした方だ」
「そうだな」
バレンも頷く。
「厳しい方だ。失敗は許されぬ」
「倒さなければ死だ」
ワールがまた三人に告げた。
「我等のだ」
「粛清の対象とならない為にも」
「ここは何があっても」
「絶対に」
「そうだ。それにだ」
ワールはさらに言う。
「意地があるな」
「武人の意地」
「それですね」
「無論です」
三人も伊達に軍を率いているわけではない。だからだった。
「だからこそ今は」
「何があろうとも」
「勝たなければなりませんね」
「その通りだ。勝つ」
ワールの言葉には決意があった。
「いいな、それではだ」
「よし、行こう」
「それではだ」
「今は」
こう話してだった。ワールはまた言った。
「いいか」
「むっ、これは」
「杯ですか」
「そして酒ですか」
「まずはこれで意をあげるぞ」
こう三人に告げた。
「いいな、勝利を我が手に」
「はい、勝利を我が手に」
三人も言うのだった。そうしてだった。
杯の中の酒を飲みそうして意を決するのだった。
ロンド=ベルでは神代が皆に話していた。忍者の服を着てだ。
「つまり。至る場所に潜んでいる可能性はあります」
「そうなのです」
めぐみもだった。彼女も黒装束で皆に話していた。
「忍術はそうした術ですから」
「刺客にもなります」
「そうだよな」
「それはな」
皆でこれで話すのだった。
「これまでのことも考えたら」
「絶対に何か仕掛けて来るだろうし」
「その時は」
「例えばですけれど」
また話すめぐみだった。
「シュバルツ=ブルーダーさんも忍者ですし」
「あの変態ね」
ここでまた強烈な拒否反応を見せるアスカだった。
「あれはまた極端でしょ」
「ですが忍者なり工作員は何処からでも来ます」
「そして潜みます」
神代の背には忍者刀まである。
そしてだ。その手に手裏剣を出してみせた。星に似た形のそれをだ。
「これですが」
「あっ、手裏剣」
「それですか」
「これも先に毒を塗ればです」
「凄い威力がある」
「そうなのね」
「はい、そうです」
その通りであるというのだ。
「こんな小さな武器でもです」
「はい、そうですね」
ボルフォッグも説明する側にいる。
「私も手裏剣を使いますからよくわかります」
「暗殺用の武器かあ」
「手裏剣って」
「俺のサザンクロスナイフも手裏剣だけれどな」
今言ったのは甲児だ。
「マジンガーのな」
「マジンガーに今乗ってるのは俺だわさ」
ボスが名乗ってきた。
「兜、御前はマジンカイザーじゃねえか」
「おっと、そういえばそうか」
「そうだわさ。けれど手裏剣は確かにそうだわさ」
「だよな、かなり効果があるんだよな」
また言う甲児だった。
「威力もそこそこでな」
「しかし現実の手裏剣はです」
これを言うボルフォッグだった。
「そうした為に使うものです」
「そして背中のその刀も」
「忍者刀も」
「はい、そうです」
今度は神代が答えた。
「暗殺や様々な道具に使えます」
「殆ど十徳ナイフなんだな」
今言ったのはサンシローだった。
「つまりは」
「おい、サンシロー」
「ここでそれか」
リーとピートは十徳ナイフに突っ込みを入れた。
「幾ら何でもだ」
「例えが古くはないか」
「あれっ、そうか?」
だがサンシローには自覚がなかった。
「俺はそうは思わないけれどな」
「せめてサバイバルツールと言え」
サコンも言う。
「今はだ」
「そんなものもあるのかよ」
「はい、これです」
ブンタがその様々な刃や穴があるカードの様なものを出してみせた。
「これもあります」
「へえ、こんなのなのか」
「すげえ便利そうだな」
ヤマガタケも言う。
「これってよ」
「俺はいつも十徳ナイフを使ってるけれどよ」
そうだというのである。
「駄目か、それは」
「駄目じゃないけれど」
「幾ら何でも古過ぎるし」
「そうよね」
皆それを言うのだった。
「ちょっとねえ。かなりっていうか」
「まあそれでも使えることは使えるけれど」
「懐かしいし」
それを話してだった。
そしてだ。皆で話すのだった。
「まあとにかく。忍者の刀って色々使えるのね」
「それも工作の道具に」
「そういうことなんだ」
「はい、そうです」
また話す神代であった。
「こうした道具を持って潜入していることも考えられます」
「超能力者もいるし」
「余計に厄介よね」
「そうだな」
マーグもここで頷く。
「どういう方法でも忍び込めるものだ」
「宇宙空間でもかあ」
「難しいな」
「そういえばそういう宇宙生物いたよな」
「ああ、ビーグルとかいう船だったっか?」
「その世界でね」
こんな話にもなるのだった。
「出てたよな」
「そういうの」
「ああいうの出たら怖いよな」
「そうよね」
「流石にそういうのはいないみたいだけれど」
「色々なのがいても」
「その色々なのにしてもよ」
今言ったのはエリスだった。
「皆同じよね」
「同じ?」
「どういうこと?それ」
エリスの言葉にヒギンズとユングが問うた。
「それは」
「同じっていうと」
「この三人が同じとかじゃねえよな」
シンはまずはこう冗談めかして言った。
「まさかとは思うけれどよ」
「じゃあシンとエイジは同じになるよ」
ヒメはそのエイジにこう告げた。
「勇とサイも」
「だよな。だから違うか」
「うん、違う」
また言うヒメだった。
「それは」
「じゃあ何が同じなんだ?」
エイジはここであらためて腕を組んで言った。
「それだったらよ」
「だから。私やチャムは違うけれど」
「っていうと雰囲気じゃない」
「そうだよな」
皆それはわかった。
「けれど何が同じ?」
「それだったら」
「地球人もバルマー人もゾヴォーク人も」
彼等がだというのだ。
「それにバックフラン人もそうじゃない」
「あっ、確かに」
「言われてみたら」
「そうよね」
皆言われてこのことに頷いた。
「地球人とバルマー人だけじゃなくて」
「ゾヴォークだってそうだったし」
「誰もがね」
皆それに気付いたのだった。
「同じよね」
「そうそう、考え方まで」
「よく考えたら」
「私達の世界やバイストンウェルもだったな」
ロジャーも考える顔で呟く。
「そういえば」
「何もかも」
「そうか」
「そうだ、何もかもだ」
また言うロジャーだった。
「私達は」
「違う世界はパラレルにしても」
「バイストンウェルにしても」
この二つの世界についてはこうわかっていた。
「それは置いておくしても」
「宇宙の人類は殆ど同じ」
「これって一体」
「どういうことかしら」
「何かルーツの関係?」
今言ったのはダバだった。
「それなら」
「ルーツっていってもよ」
その彼にキャオが言ってきた。
「俺達は元々ヤーマンにいたよな」
「ああ」
ダバもそのことはよくわかっていた。
「それでも生物学的にはバルマーと同じだよな」
「少し背が大きいけれどね」
リツコがこう言い加えはした。
「それでも同じよ」
「地球人やバルマー人と」
「そしてゾヴォークとも」
「おまけにバックフラン人とも」
彼等の話も出た。
「何もかもが同じ」
「そういうことなの」
「それはどうしてかしら」
今首を傾げさせたのはドロシーだった。
「考えてもわかりにくいわね」
「あのゼゼーナンにしてもハザル=ゴッツォにしてもだ」
万丈が腕を組みながら述べた。
「考えは悪い意味で僕達と一緒だった」
「ああ、三輪長官とかと」
「同じ」
「確かに」
このことも話すのだった。
「何もかもが同じ」
「性格だって」
「能力もそうだしね」
ミサトは能力についても指摘した。
「超能力の有無とかニュータイプはあるにしてもね」
「全てが同じ」
「そういうことなのね」
「同じ人間なんだ」
「それは間違いないわ」
ミサトはまた言った。
「ただ、ルーツははっきりしないわね」
「今後はそれについて考えることになります?」
マヤがミサトに対して突っ込みを入れた。
「そのことも」
「そうよ、それも」
ミサトはマヤの言葉に答えた。
「考えていくことになるわね」
「あれっ、そういえば」
今シンジがふと言った。
「ズフィルードですけれど」
「あれがどうしたのよ」
アスカがそれに反応を見せる。
「あの敵の恒例のボスキャラが」
「あれってバルマーの創世神だったよね」
「ああ、そやったな」
トウジがシンジの今の言葉に頷いた。
「そういうことやったな」
「しかも何か絶対神っぽいよね」
「絶対神っていったら」
「つまりは」
ケンスケとヒカリもここであることに気付いた。
「ユダヤ教とかキリスト教の?」
「ああいうのかしら」
「似てない?何か」
また言うシンジだった。
「本当に」
「そうね」
レイはシンジの今の言葉に頷いた。
「そういえば確かに」
「何でかな、これって」
シンジは考える顔になっていた。
「それに十二支族だったっけ」
「そうだ」
マーグも答えた。
「霊帝の下の十二支族だ」
「それってヘブライの」
「ああ、それな」
「前から思ってたけれど」
「何か似てるし」
「そっくりだったし」
皆またそれぞれ言うのだった。
「それに何か相手の名前もどうも」
「ヘブライっぽくない?」
「何か」
そのことも話す彼等だった。今度はバルマーの言葉についてだ。
「ラオデキアとかエペソとか」
「その名前って」
「ヘルモーズなんて名前も」
「それも」
「バルマー帝国はヘブライ?」
こんな説も出て来た。言ったのはミヅキだった。
「まさかと思うけれど」
「いや、それはないでしょ」
「そうよね、それは」
「幾ら何でも」
皆それは否定しようとする。
「ちょっと。地球とバルマーの文化や宗教が同じ?」
「そんなのちょっと」
「有り得ないっていうか」
「そうよね、それは」
「かなりっていうか」
「いや、考える必要はあるかも知れない」
だがここでレーツェルが言った。
「若しかしたらだ」
「まさか、そんな」
「そんなことがある?」
「バルマーと地球が」
「それは今すぐわかることではない」
レーツェルはここでこうも言った。
「ゆっくりと考えればいい」
「そうですか。それじゃあ」
「今はとりあえず」
「戦いですね」
「それですね」
「そうだ、それに専念することだ」
レーツェルもそうするべきというのだった。
「今はだ」
「わかりました、それじゃあ」
「そうしましょう」
こう話してだった。彼等は戦いに思いを馳せる。そのうえでギシン家に向かう。
そのギシン星に間も無くの場所でだ。そこでだ。
「敵です」
「来ました」
すぐに報告があがった。偵察に出ていたジュンコとマーベットからの報告だ。
「どうします?それで」
「ここは」
「答えはもう出ている」
その二人にオリフアーが言葉を返した。
「それは既に」
「戦いね」
「そうだ、それしかない」
こうラー=カイラムの艦橋とモニターで話すのだった。
「それで敵の規模は」
「七個艦隊よ」
ジュンコが言ってきた。
「ヘルモーズが七隻いるわ」
「そうか」
「そして」
今度はマーベットが報告してきた。
「ワール副司令の艦もいるわ」
「そうか、それではだ」
その報告を聞いたマーグの言葉だった。
「ワールも腹を括ったな」
「腹を括った!?」
「どういうことですか、それは」
「ズールは冷酷な男だ」
彼はそこから話すのだった。
「敵に対してだけでなく味方に対してもだ」
「ってことは」
「これ以上の失敗は」
「そうだ、粛清の対象になる」
それだというのだ。
「だからだ。ワールもここで決戦を挑むつもりなのだ」
「そういえばよ」
またマーベットが報告してきた。
「ギシン系の兵器もかなりの数よ」
「そうか、やはりな」
「数、百万以上よ」
「百万か」
「副司令官の数にしては」
「多い?」
このことについても考える。
「やっぱり」
「多いよね」
「確かに」
「やはり決戦か」
オリファーもここで言う。
「最初のな」
「最初の、なのね」
「ああ。本当の決戦は何と言ってもギシン星だ」
そこだとマーベットにも返す。
「そこになるにしてもだ」
「決戦は一度だけじゃない」
「何度もある」
「そういうことなんですね」
「そういうことになる。それではだ」
皆オリファーの言葉に応える。
「はい、じゃあ」
「決戦ですね」
「最初の」
「そうだ、最初のだ」
こう言ってだった。まずはそのマーベットとジュンコを戻させた。そうしてだった。
彼等は全軍で向かう。そのうえでだった。
バルマー軍を迎え撃つ。既に全軍戦闘態勢に入っていた。
「いるな」
「ああ」
「ヘルモーズが七隻に」
まずはそのヘルモーズが目についたのだった。
「それにギシン系の兵器」
「それが百万か」
「ワールの艦は後方にいる」
マーグが指差すようにして言った。
「そこで全体の指揮を執るようだな」
「何か本気ですね」
「ああ、ワールにしてもな」
「敵も揃っている」
「本当に決戦か」
そしてだった。ワールの方も言うのだった。彼はまずカッチに対して話す。
「いいか」
「はい」
カッチが彼の言葉に応える。そしてバレンとグールもそこにいた。
「ワール様、ここは」
「何としても」
「そうだ。退くことは許さん」
ワールはそのバレンとグールに対しても話す。
「この戦いはだ」
「生きるなら戦う」
「それだけですね」
「そうだ、それしかない」
また言うのだった。
「何があってもだ」
「戦いに勝つ」
「それしかですね」
「では閣下」
カッチも言ってきた。
「中軍は私が受け持ちます」
「右は私が」
「私は左を」
バレンとグールも既に配置についている。
「お任せ下さい」
「是非」
「閣下、それではです」
「我々はそれぞれの場所を受け持ちます」
「それで宜しいですね」
「頼んだぞ」
ワールはジュデッカ=ゴッツォ達に対しても答えた。
「この戦い、全員の奮闘にかかっている」
「はい、だからこそ」
「我々の命、閣下にお任せします」
「それでは」
「行くぞ」
こう言ってだった。彼等も攻撃を向かわせるのだった。
そしてロンド=ベルもだ。動いた。
敵の動きを見る。このうえでミネバがハマーンに問う。
「ハマーン」
「何でしょうか」
「ここは中央突破かしら」
「いえ、今はそれよりもです」
「それよりも?」
「今は三方から来ています」
こう言うのだった。
「しかも同時にです」
「同時になのね」
「ですから。今はです」
「今は?」
「この動きを見ます」
こう言ってだった。
「敵はほぼ横一列ですね」
「横一列に来る」
「ミネバ様はどう御考えでしょうか」
ハマーンの方からの言葉だった。
「この場合は」
「そうね、ここは」
「ここは?」
「敵が横一列に来るのなら」
そこからの話だった。
「ここは」
「ここは?」
「左に動きましょう」
そうするというのだった。
「左にね」
「左にですか」
「このまま前に進んでも囲まれるだけだわ」
こう言うのだった。
「だからね。今は」
「左に進んで、ですね」
「ええ、左に進んでそして」
ハマーンに対して話し続ける。
「そのうえでね」
「横から攻撃されますね」
「ただ、このまま動いてもやられるわ」
ミネバはこのこともわかっているのだった。
「だからダミーを出して」
「ダミーをですか」
「それを出しましょう」
ハマーンに対して話を続ける。
「そしてそれで相手の目をくらませて」
「そのうえで左にですね」
「そう、回り込むのよ」
ミネバは言いながらグワダンの艦橋のモニターに映るその敵を見ていた。それはやはり一列だった。一列のままそのまま進んで来るのだった。
「それでいいかしら」
「はい」
ハマーンの顔が微笑んでいた。
「それではその様に」
「いいのね、それで」
「ミネバ様の仰る通りです」
また話すハマーンだった。
「ここはそれで行くべきです。ただ」
「ただ?」
「このまま回り込んでも動きを察知されます」
ハマーンはこのことも言った。
「ですからここは徹底したジャミングも行いましょう」
「ミノフスキー粒子をなのね」
「敵は焦っています。そこまで考えは回っていない模様です」
「ではそれを衝いて」
「はい、ダミーの姿を見せて」
まずはそうしてだというのだ。
「我々の姿は隠してです」
「それで攻めるのね」
「そうしましょう、宜しいでしょうか」
「そうね。そこまで考えは回らなかったわ」
ミネバはグワダンの艦橋において頭を少し下げてしまった。
「私は」
「いえ、そうではありません」
そうではないというのだ。
「ミネバ様、よくぞそこまで見られました」
「そこまでなの」
「はい、この戦いはこれで勝てます」
温かい言葉だった。ミネバを本当に見ているからこその言葉だった。
「お任せ下さい」
「じゃあこのまま」
「はい、全軍左へ!」
ハマーンが指示を出す。
「ダミーを出す。そして我々の姿はミノフスキー粒子で消す!」
「了解です」
応えたのはイリアだった。
「それではその様に」
「そして我々は」
「攻めますね」
ランスとニーも問うのだった。
「百万の兵に切り込む」
「これから」
「そうだ、敵の数はいつも通りだ」
今更百万の敵を前にしても恐れる彼等ではなかった。これまでその程度の戦いは繰り広げているからだ。それで恐れる筈もなかった。
「だからだ」
「わかりました」
「それでは」
こうしてだった。彼等はミネバとハマーンの作戦通りに動いた。そのままダミーを出し姿を消した。そうしてバルマー軍はそのダミーに近付く。
ダミーは今は動かない。ワールはそれを見ても気付かなかった。
「引き寄せて迫るか」
「どうやら」
「このまま」
ワールに対してバレンとグールが答えた。
「では我々はです」
「彼等を一気に」
「そうだ、一気に殲滅する」
ワールは言い切った。
「いいな、百万の兵全てを投入してだ」
「一撃で屠りましょう」
カッチも言ってきた。中軍を率いる彼もだ。
「このまま」
「ではこのまま」
「敵を」
こうして彼等は気付かないまま攻撃に入る。気付いていないのは敵についてだけではなかった。
そしてだ。そのまま攻めるとだった。
一撃で終わった。何もかもが。
「!?」
「何っ!?」
「手応えがない」
「しかも」
ダミーはダミーだ。攻撃を受ければそれで消える。只のバルーンに過ぎないからだ。
それで攻撃をしてもだった。何にもなりはしなかった。ワールはこの時になって気付いたのだった。
「まさか」
「はい、どうやら」
「そのまさかのようです」
ジュデッカ=ゴッツォ達がここでワールに言った。
「我等は欺かれていました」
「これはダミーです」
「そして」
ここからだった。彼等は既に察していた。
「来ます」
「今にでも」
「くっ、全軍周囲に警戒を張れ!」
ワールはすぐに全軍に告げた。
「敵が来るぞ!」
「!?閣下!」
「右です!」
彼等から見てだった。ロンド=ベルはそこにいた。
そしてだ。彼等は姿を現すと共にだった。彼等の総攻撃にかかった。
「迂闊だったな」
その先頭にはハマーンがいた。彼女はファンネルを放った。
それですぐに敵を屠る。一気にだった。
無数の爆発を前にしてだ。ハマーンは言うのだった。
「ミネバ様の作戦、必ず成功させる」
「はい、ハマーン様」
マシュマーがここでハマーンの後ろから応える。
「それではここは」
「行くんですか、マシュマー様」
ゴットンは少し及び腰だった。
「まさかと思いますけれど」
「ゴットンよ、敵は決戦を挑んでいるのだ」
完全にいつものマシュマーだった。
「それではそれを受けないでどうする」
「やっぱりなんですね」
「そうだ、行くぞゴットン!」
言ってる側から動くマシュマーだった。
「勝利を我が手に!」
「だから何で毎回こうして派手な戦いになるんですか!」
「派手で上等だよ!」
キャラもいつも通りだった。
「あはははははははは!行くよ!」
派手にファンネルを放つ。そして彼女も敵を屠るのだった。
「さあて、楽しいパーティーのはじまりだよ!」
「パーティーって」
「ゴットン、来るのだ!」
マシュマーからも言うのだった。
「さもなければ置いていくぞ!」
「わかりましたよ」
渋々頷くのだった。
「それじゃあ」
「今こそ決戦の時!」
マシュマーのテンションはさらにあがる。
「ライトよ、行くぞ!」
「ああ、俺なんですか」
「そうだ、私に近いものを感じるからだ」
「ここでそのネタは」
「いいではないか」
何故か笑うマシュマーだった。
「こういうのが面白いのだからな」
「そういうものですかね」
「ネタを出せる相手がいてこそではないか」
まさにその通りだった。
「違うか?こういうネタを言えるのもだ」
「それはその通りですね」
「わかったらゴットン」
「はい」
「行くぞ」
こう言ってそれから攻撃にかかるのだった。ロンド=ベルは一気に攻撃にかかる。キャラもゲーマルクのそのファンネルを放つのだった。
「行きな!」
「う、うわっ!」
「何だあの数は!」
ゲーマルク特有のマザーファンネルを中心としたチルドファンネルも入れた特別な攻撃だった。それによって敵を一機ずつ撃ち抜いていく。そのファンネル達を縦横に扱ってみせるキャラの技量も流石であった。
戦いは一転してロンド=ベルのものになった。彼等はそのまま勢いを得て敵を次々と薙ぎ倒していく。勢いはもう抑えられなかった。
百万の大軍は瞬く間にその数を減らしていく。それでだった。
ヘルモーズ達も敵に向かうのだった。だが。
「くっ、この戦い方」
「慣れているな」
「このヘルモーズとの戦いに」
彼等は目の前の敵の動きを見てすぐにそれを察した。
「どうやらな」
「やはりそれだけの場数を踏んできているか」
主砲を出してもそれは当たらない。逆に攻撃を受ける始末だ。
そしてだ。ここでワールが言ってきた。
「いいか」
「はい」
「何でしょうか」
「ここは頼めるか」
こう言うのだった。
「ここはだ。いいか」
「ズフィルードになるのですね」
「それですね」
「そうだ、それだ」
まさにそれだというのだった。
「それを頼めるか」
「わかりました」
「では」
すぐに頷く彼等だった。
「その様に」
「そうさせてもらいます」
「頼んだぞ。それではだ」
ここまで言ってであった。彼等はロンド=ベルに向かう。そのうえで攻撃にかかろうとする。そにカッチやバレン、グール達も来た。
「閣下、ここは」
「我々も」
「前線に」
「うむ、そうだな」
ワールは三人に対しても頷いた。
「ここはな。そうしよう」
「はい、では」
「このまま行かせてもらいます」
「御言葉に甘えまして」
「私も行く」
そして彼自身もこう言うのだった。
「態勢を立て直しそのうえで向かうぞ」
「では」
「そうして」
こうしてだった。彼等は総力戦に移った。それでロンド=ベルを覆そうとする。戦いをそれで自分達のものにしようとする。しかしだった。
彼等はそのまま押し切られていく。最早ロンド=ベルの勢いは止められなかった。
「ハマーン」
「はい、ミネバ様」
「グワダンも前に行かせるわ」
こう言うのだった。
「それでいいわね」
「はい、御気をつけて」
それでいいと答えるハマーンだった。
「前にヘルモーズがいます。それに御注意を」
「ヘルモーズがなのね」
「はい」
「それが来ますので」
このことを伝えるのを忘れなかった。
「あの敵の旗艦はかなりの戦力ですから」
「そして沈めたその後も」
「そうです、ズフィルードもです」
ハマーンの話は続く。
「最後の切り札もいますので」
「わかったわ。じゃあ」
「まずは一気にヘルモーズを攻めて下さい」
ハマーンは的確にアドバイスを下した。
「そしてそのうえで」
「ズフィルードを」
「はい、その様に」
「わかったわ。じゃあ」
こうしてだった。ミネバのグワダンは前に出る。そしてだった。
「主砲前方に」
「わかりました」
「目標は敵の旗艦ですね」
「ええ、そうよ」
こうランスとニーにも答える。
「前方のヘルモーズにね」
「既にかなりのダメージを受けています」
「それでは」
「ええ、いけるわね」
ミネバはその前方のヘルモーズの巨体を見据えながら述べた。
「この一斉発射で」
「照準は定めました」
今度はイリアが報告してきた。
「ではミネバ様」
「そうね」
その報告に頷く。そして。
「主砲一斉発射!」
「主砲一斉発射!」
攻撃命令はイリアによって復唱される。そうしてだった。
グワダンの主砲が火を噴きヘルモーズを撃ち抜いた。これでだった。
その巨体が完全に動きを止めた。そうしてだった。
その中からあのマシンが姿を現してきた。ズフィルードだった。
「出て来たわね」
「はい、ズフィルードです」
「来ました」
こう述べるランスとニーだった。
「どうされますか」
「あの相手には」
「ハマーンの言った通りよ」
言いながらハマーンのその言葉を思い出していた。
「そのままよ」
「はい、それでは」
「ここは」
「ズフィルードに集中攻撃を」
そうせよというのだった。
「いいわね、各機で」
「はい、わかりました」
「それでは」
こうしてだった。各機で囲む。それが至る場所で見られていた。
遂に七機のズフィルードが全て出た。そしてだった。
そのズフィルード達も集中攻撃を受けていく。彼等が出ても劣勢は覆せない。
だがその中でだ。ジュデッカ=ゴッツォ達はワールに言ってきた。
「閣下、ここはです」
「我等にお任せを」
「ですから」
「だからどうだというのだ」
だがワールの言葉は険しかった。
「それでだ。どうだというのだ」
「どうだといいますと」
「それは」
「ですから」
「撤退せよというのだな」
彼等の言いたいことは既に察していたのである。
「そういうことだな」
「はい、そうです」
「その通りです、ここは」
「撤退して下さい」
ワールの予想通りだった。こうそれぞれ告げる彼等だった。
「我等が足止めします」
「ギシン星に落ち延びて下さい」
「そしてそこで再び」
「閣下、ここはです」
「そうしましょう」
バレンとグールも言ってきた。
「ズール様には我々がとりなします」
「ですからどうか」
「撤退して下さい」
カッチも言ってきた。彼等はワールを撤退させ再び戦うことを望んでいた。
しかしであった。ここでワールは言うのだった。
「いや」
「いや!?」
「いやといいますと」
「それはしない」
要するに撤退はしないというのだった。
「私もここで戦う、最後までだ」
「ですがこのままではです」
「そうです」
バレンとグールはなおも言う。
「ですからここは」
「どうか」
「何度も言うがそれはしない」
ワールはあくまでこう言うのだった。
「何があろうともだ」
「撤退はされないとなると」
「最後まで、ですか」
「ここで」
「そうだ、最後まで戦う」
今そのことをはっきりと言うのだった。
「ここで倒れようともだ」
「どうしてもですか」
ヒルデルヒアが問うてきた。
「それは」
「そうだ、勝利か敗北か」
二元論さえ言ってみせる。
「それだけだ」
「わかりました」
最初に頷いたのはカッチだった。
「では。我等もまた」
「全軍攻撃に移る」
ワールも己の乗艦を前に出しながら述べた。
「いいな、それではだ」
「はい、それでは」
「このまま残った全軍で」
「ロンド=ベルに向かう」
具体的な攻撃目標まで告げたのだった。そして。
そのまま総攻撃に移る。全軍一丸となった攻撃だった。
ロンド=ベルからもそれはわかった。バルマーのその最後の大攻勢がだ。
「おいおい、ここでかよ!」
「攻勢かよ!」
「全軍一丸なんてな」
「そう来たか」
それを見てだった。ダイテツは冷静に述べた。
「ならばだ」
「艦長、それではここは」
「どうされますか?」
「決まっている」
冷静に答えるダイテツだった。
「ここはだ」
「はい、ここは」
「どうしましょうか」
テツヤとエイタが問い返す。
「攻撃ですか、それとも」
「守りでしょうか」
「勢いを殺してはならない」
ダイテツの最初の返答はこれだった。
「だからだ。ここはだ」
「攻勢ですか」
「それですね」
「決してだ」
それは念押しだった。
「ここで若し守りに入ればだ」
「数に劣る我々は」
「このまま、ですか」
「そうだ、倒されるのは我々だ」
そうなるというのである。
「だからだ。いいな」
「はい、それでは」
「わかりました」
こうしてだった。彼等はそのまま攻勢を続ける。まずはだ。
「ズフィルードだ!」
「ズフィルードをまず倒せ!」
「いいな!」
こう命令が出されていく。
そしてそのままにだ。七機のズフィルード達に攻撃が集中した。
それによって遂に動きが止まった。それでだ。
「くっ、閣下」
「申し訳ありません」
「我々はここで」
「そうか」
ワールは彼等のその言葉を受けて述べた。
「御苦労だった」
「ではお先に」
「先にいっています」
「うむ、後で私もいく」
ワールはこうその七人に告げた。
「先に楽しくやっていてくれ」
「わかりました」
「それでは」
こうしてだった。彼等はそのまま炎の中に消えていく。七機のヘルモーズがまず撃墜されたのだった。
しかしだ。まだ敵はいた。
「次に出て来たのはギシン系の兵器だな」
「はい」
「それですね」
グローバルに対して艦橋から返答が来た。
「彼等も倒さなければ」
「勝利を掴めません」
「よし、それではだ」
それを聞いてだった。グローバルも言うのだった。
「このまま攻撃を続ける」
「わかりました」
「それでは」
こうしてだった。彼等はそのギシン系の軍にも攻撃をはじめる。敵の本軍にだ。
まずはカッチだった。
「斗牙、いいな!」
「うん、エイジ!」
二人で息を合わせていた。
「あの硬そうな奴をだ!」
「これで!」
グラヴィオンのソードが唸りだった。彼が乗っている艦艇が上から下に両断された。それで終わるだった。
カッチは炎の中で部下達に問うた。
「いけるか」
「残念ですが」
「それは」
艦橋は既に炎の中に包まれている。それではだった。
「最早無理かと」
「艦は今にも」
「そうか、わかった」
それを聞いて静かに頷く彼だった。
「それではだ」
「司令、どうされますか」
「ここは」
「ならばどうしても仕方あるまい」
達観した言葉であった。
「最早な」
「ではここは」
「動かれないですか」
「潔さも大事だ」
腕を組んでの言葉だった。
「それではな」
「はい、では我々も」
「御供致します」
部下達もそれに頷いてだった。静かな顔になって死を待つのだった。やがて艦全体が炎に包まれてだ。彼は壮絶な戦死を遂げるのだった。
そしてだ。バレンとグールもだった。
彼等の艦艇もそれぞれだ。ダイモスとダルタニアスの攻撃を受けてだった。炎に包まれていた。
その中でだ。それぞれ直属の部下達に告げた・
「総員退艦せよ」
「しかし閣下は」
「どうされるのですか?」
「私はいい」
こう言うのだった。
「私はだ。いい」
「バレン様、それでいいとは」
「グール様、まさか」
「ええ、そうよ」
「その通りよ」
笑顔でそれぞれの艦橋において言うのだった。
「我々はここで逃れても敗北している限りは粛清よ」
「それならばね」」
「わかったわね」
「はい、それでは」
「ここで」
部下達はだ。二人のその言葉に頷いてだった。
「我々も御供致します」
「宜しいでしょうか」
「何っ、卿等もだと」
「しかしそれは」
「いえ、構いません」
「望むところですから」
誰もが微笑んで言うのだった。
「我々もまた」
「御一緒させて下さい」
「そう、そこまで言うのならね」
「わかったわ」96
二人も部下達のその言葉と心を受けた。
「それならね」
「共に」
「有り難うございます、それでは」
「行きましょう」
彼女達の艦も沈んだ。そしてだった。
残りはワールだった。既に軍は殆どいなくなっている。
それでもだ。彼は戦い続けていた。
「まだだ!まだ戦え!」
「はい、わかっています!」
「ここは」
「最後まで戦うのだ」
強い言葉だった。
「いいな、最後までだ」
「そしてギシン家の誇りを」
「奴等に見せてやりましょう」
「そうだ、そうするのだ」
これがワールの考えだった。
「今はだ。いいな」
「では全軍ここで」
「突撃ですか」
「そうだな」
部下達の言葉を受けるのだった。そしてだ。
彼等はそのまま突撃を敢行する。命を捨てていた。
ロンド=ベルはそれを見てだ。すぐに動いた。
「いいか!」
「はい!」
「ここはどうされますか」
「このまま攻める」
今指示を出したのは大河だった。
「そうする。いいな」
「これまで通りですね」
「勢いを殺さずに」
「その通りだ。そしてだ」
ここで大河は彼に言った。その彼は。
「凱君」
「ああ」
「頼んだぞ」
こう言うのだった。
「いいな、ここはだ」
「あの敵艦をですね」
「そうだ、頼んだぞ」
大河はまた凱に告げた。
「君に任せる」
「わかりました」
それでいいと返した凱だった。
「それでは!」
「おう、脇は任せな!」
「私も参ります」
ゴルディマーグとボルフォッグが左右を固める。そのうえで突き進む。
そうしてだった。ガオガイガーはその手にあれを出してきた。それは。
「ブロウクンマグナムッ!!」
それを放ったのだった。拳は激しく回転しながら敵艦を貫いた。それで終わりだった。
「ぐっ・・・・・・」
「勝負あったな」
凱は動きを止めたワールに対して告げた。
「これで。終わりだな」
「よし、終わりだ」
「確かにな」
それに頷いてだった。艦内を見る。
次第に炎に包まれていた。最早手遅れなのは間違いなかった。
「見事だった」
「わかっているのならだ」
凱はその彼に対してまた告げてみせた。
「脱出しろ」
「何っ!?」
「脱出しろと言った」
こう言うのだった。
「今ならまだ間に合う筈だ。脱出しろ」
「馬鹿なことを言う」
これがワールの返答だった。
「その様なことを言うとはな。獅子王凱もその程度か」
「どういうことだ」
「この期に及んでその様なことはしない」
不敵な笑みと共の言葉だった。
「今更な」
「死ぬっていうんだな」
「そうだ」
笑みはそのままだった。
「それも喜んでだ」
「馬鹿な、その様なことをしても」
「今は何もならねえだろうがよ」
ボルフォッグとゴルディマーグも彼に言う。
「貴方は最早戦ってもです」
「何にもならねえぜ」
「帝国。いやズール様は非常に厳しい方だ」
ワールはまた言った。
「だからこそだ」
「脱出はしないのか」
「しようがしなかろうが今の私に待っているのは死だ」
これを言うのだった。
「それならばだ」
「死を選ぶっていうんだか」
「そうだ、わかったな」
「ああ、わかった」
凱もそれで頷くのだった。
「それじゃあな。あんたの好きにするんだな」
「それではだ。ロンド=ベルの諸君」
微笑んでだった。
「さらばだ」
「ワール、それではだ」
「マーグ殿か」
今二人は互いに話していた。
「無事だとは聞いていた」
「私は今は地球人としてここにいる」
こう彼に告げるのだった。
「それでいいな」
「卿の選んだ道だ。私から言うことはない」
「何も言わないというのか」
「そうだ、それはしない」
炎の中に包まれながらも言うのだった。
「気が済むまで進むがいい」
「そうさせてもらう」
「ではロンド=ベルの諸君」
いよいよであった。
「さらばだ、先に待っている」
こう言って炎の中に消えた。その戦艦も撃沈された。これがバルマー軍七個艦隊の崩壊だった。そしてワール達も死んだのだった。
それが終わってからだ。マーグは一同に話した。
「それでだが」
「はい」
「いよいよですね」
「ギシン星に向かおう」
こう言うのだった。
「それでいいな」
「ええ、そうですね」
「これでギシン星への障害はなくなりましたし」
「それなら」
「先に行こう」
また言うのだった。
「そして決戦だ」
「ワール、見事だったぜ」
今言ったのは洸だった。
「敵であってもな」
「そうだな。しかしな」
「しかし?」
神宮寺の言葉も聞くのだった。
「ミスター、何かあるのかい?」
「いや、ズールのことだ」
完が得る顔で言う神宮寺だった。
「あいつもバルマー星人だったな」
「ああ、そういえば」
「そうよね」
「ギシン家の人だし」
皆も神宮寺の言葉に応えてそれぞれ言う。
「姿形は。それだったら」
「けれど何で宇宙にいたの?」
「異常な巨体だったしな」
「あれって」
「脳だけ移植させた?」
今言ったのはマリだった。
「それじゃないかしら」
「そのケースも考えられますが」
「どうですかね」
麗と猿丸がそのマリに対して言う。
「ただ。普通のマシンではないでしょう」
「それは何となくわかりますが」
「そうよね。あれはマシンじゃなかったら」
また言うマリだった。
「何なのかしら」
「それも次の戦いでわかる」
マーグがここでまた一同に話した。
「その為にもだ」
「はい、行きましょう」
「ギシン星に」
「これで帝国軍の方面軍は二つ目か」
ヴィレッタがここで言った。
「五つあるうちの二つだ」
「二つの方面軍が崩壊したら」
「バルマーも尋常ではいられませんよね」
「間違いなく」
「そうだ、それは間違いない」
ヴィレッタは一同にも述べた。
「間違いなくだ」
「よし、それなら」
「ここは何があってもよね」
「だよな」
皆それぞれここでまた話し合う。
「ギシン星を解放して」
「ズールを倒さないと」
「残るバルマーの方面軍ですが」
ロゼもここで話す。
「外銀河方面軍、近銀河方面軍、それに」
「それに」
「あと一つは」
「本星防衛軍、この三つです」
「あと三つか」
「次の戦いに勝ったら」
一同の心にもそのまま入る言葉だった。
「またバルマー帝国との戦いに勝利に近付く」
「いよいよ」
「そうなります。ただ」
「ただ?」
「何かあるんですか、まだ」
「近銀河方面軍はポセイダル家が率いています」
「ポセイダルが」
それを聞いたダバの顔が曇った。
「あの連中がか」
「はい、そして外銀河方面軍はおわかりですね」
「ああ、あそこはな」
「もう充分過ぎる程に」
「あいつが」
「そうです、ハザル=ゴッツォです」
その彼だというのだった。
「そして本星の軍はです」
「あの軍は?」
「どうなんですか?」
「本星の防衛を司るだけあってその質も量も他の方面軍とは比較になりません」
そうだというのである。
「他の四つの方面軍を合わせただけの戦力があります」
「えっ、そんなにですか」
「そんなに凄いんですか!?」
「はい、かなりのものです」
こう話すのだった。
「ですから。本軍と戦うにはです」
「かなりの覚悟が必要か」
「そうよね」
こう話をするのだった。バルマーについてだ。
そしてそのままだ。彼等は話すのだった。
「戦うのはまだ先にしても」
「そのことはわかっておくか」
「ええ」
「それではだ」
また言うマーグだった。
「ギシン星にだ」
「よし!」
こうして全軍ギシン星に向かう。彼等の戦いはまた一つの正念場を迎えていた。
第二十七話 完
2010・5・13
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