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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第五話 ロスト=ディーヴァ

              第五話 ロスト=ディーヴァ
 ロンド=ベルはイデオンを仲間に加えたうえで銀河に出た。そしてまずは彼等の話を詳しく聞くのだった。銀河の中を進みながらだ。
「何かそういう話多いわよね」
「そうね」
リツコがミサトの言葉に頷いていた。
「偶然にしては出来過ぎてるっていうかね」
「そんな気もするけれど」
「俺も同じ気持ちだ」
コスモもこう彼等に話す。
「いや、何もかもがだ。何か偶然にしちゃな」
「それはもう説明がつくのよ」
ここでセニアが言ってきた。
「特異点があったからね」
「それの最後の影響みたいね」
「そうだな」
ミオとマサキも話す。
「それでソロシップの人達も地球に戻って来て」
「それでだな」
「地球も大変だったんだな」
ベスは地球のことを考えて述べた。
「俺達だけじゃなくて」
「そうよね、それは」
「確かに」
皆あらためて言い合うのだった。
「何か色々とあって」
「それで今銀河にだしね」
「ところで」
そしてであった。ここでふと言ったのは勝平だった。
「俺達何処に行くんだ?今から」
「とりあえずボアザンに向かっている」
今話したのはマーグだった。
「場所は私がわかっているからだ」
「ボアザンっていうと」
「健一やハイネルさんの」
「そうだ、そこだ」
まさにそこだというのである。
「尚補給も整備もゲストやインスペクターが協力してくれるそうだ」
「メキボス達がですか」
「そうなんですか」
「そうだ。今申し出てくれた」
マーグは皆にこのことも話した。
「今だ」
「そうなんですか、それじゃあ」
「これからは」
「そちらの心配をすることはない」
ないというのである。
「安心してくれ」
「そうですか。だったら」
「それじゃあ」
「安心して戦えばいい」
また言うマーグだった。
「宇宙でもだ。ただしだ」
「ボアザンも強い筈だ」
健一の言葉だ。
「だから注意してくれ」
「それにしてもハイネルは今どうしているんだ?」
一平はふと彼のことを思い出した。
「最近見ないが」
「兄さんは兄さんでしっかりしているでごわす」
「多分銀河の為に戦ってるよ」
大次郎と日吉が話す。
「だからでごわす」
「心配することはないよ」
「そうよね」
めぐみも二人のその言葉に頷く。
「今のハイネルだとね」
「ボアザンで皇帝ズ=ザンジバルを倒して」
健一はもうこのことについて考えていた。
「そしてまた一つ戦いが」
「あとキャンベル星人もいるぜ」
今度は豹馬が話してきた。
「あの連中だってな」
「そうやな。あそこもおるしな」
「何か凄いややこしいことになってるたい」
十三と大作が言う。
「あとプロト何とかもおったな」
「あの連中もでごわすな」
「皆さん」
小介も真面目な顔で言ってきた。
「地球圏での戦いより激しいですので」
「そうよね。国単位の戦いだからね」
ちずるはこう表現した。
「だから余計にね」
「ボアザンとキャンベルですが」
ここでロゼが話してきた。
「彼等は同盟を結んでいます」
「あの二国がか」
「はい」
このことを述べたのだ。
「ですから気をつけて下さい」
「しかしだ」
ここで言ったのはヴィレッタだった。
「あの二国、いやズ=ザンバジルと女帝ジャネラではだ」
「はい、同盟はうわべだけのものです」
それはロゼもわかっていた。
「ですから」
「そうだな。あの二人はどちらも己だけしかない」
即ちエゴイストであるというのだ。
「そうした連中だからな」
「そこに入り込めばいいのです」
「よし、わかった」
ヴィレッタはここまで聞いて納得した顔で頷いた。
「戦いに行こう」
「よし、じゃあ」
「今は」
しかしであった。ここで。
「通信が入りました」
「通信?」
アーサーがメイリンに問うた。
「一体何かな、それって」
「何か歌みたいです」
「歌!?」
歌と聞いてだ。ここでアーサーはこんなことを言った。
「またバサラが外で歌ってるとか?」
「確かにそれはしょっちゅうですけれど」
バサラに常識は通用しない。
「けれど今度は」
「違うんだね」
「女の人の声です」
「じゃあミレーヌちゃんとか?」
「私いますよ」
ミネルバのモニターにそのミレーヌが出て来た。
「ちゃんと。ついでにバサラも」
「何だ?呼んだか?」
「あれ、じゃあ違うんだ」
アーサーはバサラまでモニターに出て来たところで納得した。
「じゃあ一体」
「聴いてみますか?」
「うん、それじゃあ」
「そうね」
タリアも加わって来た。
「是非ね」
「幽霊とかそういうのじゃないかな」
アーサーの今の言葉は冗談である。
「それだと怖いね」
「本当にそうだったらどうします?」
「幽霊退治の専門家に頼もうかな」
「拙僧だな」
キメルが出て来た。
「さすればその時は」
「それで御願いしていいかな」
「是非共」
「これでいざという時はよしだね」
アーサーは一人納得していた。
「さて、マスターアジアが出るかBF団が出るか」
「どっちも出て欲しくないんですけれど」
シンジがアーサーの今の言葉に突っ込みを入れた。
「こんな宇宙空間で生身の人間がなんて」
「けれど有り得るよ、それ」
キラがシンジに言ってきた。
「だって。マスターアジアさんだから」
「そうなんだよね。そこがまた格好いいけれど」
「格好よくないわよ」
アスカがそれを否定した。
「あんな妖怪仙人みたいな爺さん」
「何でそこで妖怪仙人なんだ?」
「だって変態だから」
こう神宮寺に返すのだった。
「もうね」
「そうかな。確かに常識は一切通用しない人だけれど」
シンジは首を傾げながらアスカに述べた。
「それでもあそこまでできたら凄いじゃない」
「それでも流石にここまで来る筈ないじゃない」
「わからないぞ」
だがここでナタルも言う。
「あの人だけはな」
「何ていうか」
「確かに」
誰も否定できないところがまた恐ろしかった。
「まあとにかく」
「何ですかね」
「誰の歌なんですか?」
「今全艦に放送流すね」
そしてその歌とは。
「!?」
「これは」
「覚えていますか」
間違いなかった。その歌は。
「手と手が」
「メイリン」
タリアはすぐにメイリンに問うた。
「この歌の発信源は?」
「銀河中心領域M4方面S1926エリアです」
そこだというのだ。
「そこです」
「わかったわ」
そこまで聞いて頷くタリアだった。
「それじゃあね」
「そこに行くんですね」
「ええ、行くわ」
まさにそうするというのである。
「まずはそこにね」
「いや、待て」
だがここでタシロが言う。
「銀河中心だな」
「はい、そうです」
「バルマーの勢力圏だ」
まさにそこだというのだ。
「そいこに入るとならばだ」
「罠ですか」
「いや、それもない」
タシロはそれも否定した。
「こちらの殲滅を望むのならばだ」
「その場合は」
「何も銀河中心部に場所を移す必要もない」
「音声はです」
またメイリンが言ってきた。
「九十・九九九パーセントの確率で本人のものです」
「そうだな。しかしだ」
「しかしですか」
「帝国はいる」
こう副長に述べるのだった。
「しかしだ」
「しかしですか」
「帝国軍がどういった意図を以てこの情報を伝えたかだ」
「それですか」
「そうだ、それだ」
言うのはこのことであった。
「何故我々にこの情報を伝えたか。それいよってだ」
「ですが」
ここで言ったのはオオタだった。
「そこに彼等がいるならばどちらにしても」
「その通りだ」
「ではやはり」
「心の故郷だ」
今言ったのはグローバルだった。
「我々にとっても」
「だからこそここはだ」
「そしてだ」
ここでタシロはさらに言う。
「バロータ軍のことも警戒しておこう」
「彼等ですか」
それを聞いて声をあげたのはエキセドルだった。
「彼等の存在もまた」
「必ず出て来る。やがてはな」
「ではそちらも」
「警戒しておくべきだ」
用心ということだった。
「だからこそだ」
「はい、それでは」
「全てに備える」
タシロの言葉は続く。
「行くぞ」
「はい」
こうしてそのポイントに向かう。そしてそこには。
奇妙な二人がいた。白い天使と黒い巨人だった。
「グラビルよ」
「グルル」
白い天使が黒い巨人に声をかけていた。
「宴は今夜終わりを告げる」
「・・・・・・・・・」
「これぞまさに終焉美!」
そして言う言葉は。
「奴等を終焉の淵へ導け!」
「ゴガアアアアッ!」
何かを追っていた。
「御前達の船団の美しきスピリチュアには苦戦させられた!」
男は楽しそうに叫んでいた。
「だが今日こそはゲペルニッチ様にそのスピリチアの源をお届けできよう!」
そして言う言葉は。
「これこそ達成美!」
「来た!」
「くっ!」
守るバルキリーの面々が声をあげる。
「民間人は逃がした!」
「後はこの連中を」
「行くぞ完成美!」
そのまま向かおうとする。しかしだった。
「よし、間に合った!」
「何とかな!」
「ミンメイ!」
輝がミンメイの名前を叫んだ。
「大丈夫か!?」
「輝!?」
「うん、僕だ」
自ら名乗るのだった。
「無事だったか」
「ええ、何とか」
「よし、それではだ」
グローバルが言う。
「どうするかだな」
「すぐに救援に向かうんだよな」
イサムが性急に言ってきた。
「それじゃあな」
「無論だ」
グローバルも最初からそのつもりだった。
「それではだ」
「よし、それじゃあ」
「一気に行くぜ」
こうしてだった。全軍で戦いに向かう。
「皆いいか」
「ええ」
「相手のことね」
サコンのことに神経を集中させる。
「あの吸血鬼軍団」
「奴等が」
「それだけじゃない」
また言うのだった。
「ここは銀河の外だ」
「それなんだな」
「そうだ、そこだ」
まさにそれだとサンシローにも話す。
「あらゆる面で環境は太陽系と異なる」
「星図はこちらで観測する」
大文字も言う。
「そしてリアルタイムで情報を送る」
「御願いします」
「是非」
「とにかく自分の位置を失うな!」
「しかもです!」
ここでサリーが言う。
「敵軍に体長推定三〇〇メートル」
「!?となると」
「あれか」
「はい、今までと全く違う敵がいます!」
「あれです!」
美穂が指定する。
「あのマシンです」
「プロトデビルンですね」
エキセドルがそれを見て呟いた。
「あれです」
「プロトデビルンとは。お話したことはあるでしょうか」
「いや、それは」
「一度地球に来たことはあっても」
「それでも」
「ありませんでしたか」
そういうのだった。少なくとも彼等の記憶にはなかった。
しかしだ。それならばそれで、であった。
「わかりました」
「それでプロトデビルンとは」
「一体?」
「ゼントラーディの血を惑わす」
こう言うのであった。
「語ってはならぬこと」
「語ってはならぬ」
「というと」
「そういう相手ならな!」
ここでバサラのテンションがあがった。
「最高のステージじゃねえかよ!」
「あの、バサラ君」
ナタルが思わず彼に声をかけた。
「今は」
「燃えてきたぜ!」
勿論ナタルの言葉も耳に入らない。
「俺の歌を聴けーーーーーーーっ!」
「何だ、貴様は」
それを見た白い羽毛の天使が言った。
「急に出て来たが」
「そういう御前は誰なんだよ?」
「我が名はガビル」
天使は名乗った。
「しかし御前のスピリチュワは」
「スピリチュワ!?」
「ゲペルニッチ閣下の仰っていたスピリチア異常コードCか」
こう言うのだった。
「面白い!」
「何言ってんだ、こいつ」
「あのアニマスピリチアを手に入れればゲペルニッチ様の夢は大きく前進する」
自分で言葉を出していた。
「まさに躍進美!」
「躍進美!?」
「変な言葉使う奴だな」
「グラビル!」
ロンド=ベルの面々の言葉をよそに話続けるガビルだった。
「奴も捕獲するぞ!」
「ゴガアアアアアッ!!」
ロンド=ベルと彼等の戦いがはじまった。まずはグラビルに攻撃を集中させる。しかしだった。
「何っ!?」
「全然!?」
攻撃をしてみて誰もが驚いた。
「効いてない!?」
「まさか」
「装甲が厚いのか!?」
「若しくは皮膚が」
「いえ、違います」
ここで小介が言う。
「あの怪物の周囲には物理的な打撃やエネルギーの直撃を軽減する力場が存在するようです」
「えっ!?」
「ということは」
「つまりは」
「はい」
はっきり答える彼だった。
「こちらの攻撃は」
「あの巨体と攻撃力だぜ!」
今丁度豹馬が叫んだ。目の前の岩を叩き潰していた。
「それで攻撃までってよ」
「どうするの?」
ミレーヌも流石に顔を強張らせている。
「こんな相手じゃ」
「どうするもこうするもねえだろうが!」
だがバサラは相変わらずだった。
「このままだ!」
「そうか」
「おう!」
レイにも応える。そして。
「たっぷりと奴にも聴かせてやるぜ!」
「そうだな」
「・・・・・・・・・」
レイだけでなくビヒーナも無言で応える。
「それだけだな。俺達は」
「そういうことね」
ミレーヌもここで頷いた。
「それなら」
「ファイアーボンバーの熱い魂を見せてやるぜ!」
「!?」
そしてここで洸も感じ取った。
「ライディーンが反応している」
「本当ですか!?」
「ええ、間違いありません」
こう麗にも答える。
「これは」
「ということは」
「こいつを知っているのか!?まさか」
「とにかくだ!」
輝は今焦っていた。
「ミンメイを」
「焦るな、輝」
だがその彼をフォッカーが宥めた。
「気持ちはわかるがだ」
「そうですか」
「そうだ。焦っては何にもならない」
「そうですね、確かに」
彼の言葉でいつもの冷静さを取り戻した。
「それじゃあ」
「来たな」
ガビルはバサラを見て言った。
「スピリチア異常コードC!」
「俺のことか」
「貴様を捕獲すればゲペルニッチ様の夢は完成の美へとまた一歩近付く!」
「訳のわからねえこと言ってねえでな!」
だがバサラはそんな言葉で左右される男ではなかった。
「俺の歌を聴きやがれ!」
「グワアアアアアッ!」
「こんなでけえ客ははじめてだぜ!」
バサラはグラビルを見てもやはり変わらない。
「たっぷり聴かせてやるぜ。俺のハートをな!」
そしてガビルとグラビルを聴かせる。するとだった。
「ゴガアアアアッ!!」
「!?あのデカブツ」
フォッカーがグラビルが苦しんでいるのを見て察したのだった。
「苦しんでいる」
「バサラの歌のおかげでなのか?」
「そういえば」
ここで輝とマックスも言う。
「地球での戦いでも」
「バサラの歌で」
「何で歌に苦しむんだよ」
今言ったのは柿崎だった。
「どうしてなんだ?」
「わからん」
それでもフォッカーは言った。
「だが実際にだ」
「バサラ」
ガルドが彼に言ってきた。
「とりあえずここはだ」
「あいつにダメージだ!」
イサムも言う。
「あいつにもっとだ!」
「違うぜ、それはよ!」
だがバサラは叫ぶのだった。
「俺はあいつに歌を聴かせてるんだ!」
「歌を!?」
「それを!?」
「そうだ、戦ってるわけじゃねえ!」
少なくとも彼はそうだったのだ。
「俺の歌をこいつにだ!」
「熱気バサラ」
ガムリンも唖然だった。
「この期に及んでまだ」
「わかった」
それを見てグローバルは頷いた。
「それならだ。バサラ君」
「おうよ!」
「好きなだけ歌うのだ!」
「そうしてやる。歌ってやるぜ!」
「面白いことになったな」
「そうですね」
フィジカが金竜の言葉に頷く。
「この展開はな」
「どうなるか」
「一体」
「ですね。楽しくなってきましたよ」
ドッカーも笑っていた。
「熱気バサラ、どうしますかね」
「相変わらず何処までも横紙破りな男だ」
ガムリンは唖然だった。
「だがこれで」
「何が起こるか」
「それだ」
「熱気バサラ、見られるか!?」
皆も言う。そうしてだった。
バサラが熱唱する。すると。
「ゴガアアアッ!」
「グラビル!?」
ガビルがそれを見て驚きの声をあげた。
「まさか」
「ガアアアアッ!!」
戦場を離脱していくのだった。つまりは。
「退きましたね」
「敵戦力の中核は退いた!」
エキセドルとグローバルが言う。
「あとはです」
「残る敵機を掃討するのだ」
「おのれ!」
ガビルはその中で怒りの言葉を出していた。
「アニマスピリチア!」
「何だよあいつ」
それに対してバサラは拍子抜けした感じだった。
「俺の歌はまだこれからだってのによ」
「グラビルをあそこまで追い込むとは」
そしてバサラを見てだった。
「熱気バサラよ」
「俺かよ」
「御前の美、刺激過ぎる!」
そして言う言葉は。
「まさに限界美!」
こう叫んで彼も撤退した。他の軍も同じだった。
「よし!」
「待て!」
しかしだった。ここでフォッカーが言った。
「これ以上の深追いは」
「うおおおっ!」
「待て柿崎!」
彼を止めようとする。しかし遅かった。
「馬鹿め!」
だがガビルはここで動いた。
「貴様に美はない!」
「なっ!」
一瞬であった。柿崎は捕らえられてしまったのだった。
そしてそのまま。何処かに連れさらわれてしまった。
「柿崎!」
「今日はここまでだ」
ガビルは柿崎のバルキリーを掴んだまま言う。
「だがこの借りは新たな美の洗礼で返すぞ」
「退きましたか」
エキセドルがそれを見て述べた。
「ですが」
「残敵は?」
「いません」
マックスの問いに美穂が答える。
「今のところは」
「そうか」
「あの野郎」
ここでバサラは呻いた。
「俺の歌を聴かずに帰りやがったな」
「柿崎・・・・・・」
「どうするかだな」
ガルドはここで冷静に輝に述べた。
「ここは」
「生きているよな」
「生きている」
ガルドはイサムにも答えた。
「それはな」
「そうだな」
フォッカーはそれを見て述べた。
「また来る。その時にだ」
「ミンメイは」
ここで輝は彼女のことも考えた。
「一体何処に」
「それもあるな」
グローバルはそれについて述べた。
「無事ならいいが」
「待って下さい!」
ここでミドリが言ってきた。
「退避していたシティ7が」
「何っ!?」
「まさか」
「はい、そうです!」
まさにその通りだというのだ。
「敵艦が!」
「くっ、全軍反転!」
「抜かった!」
「すぐに行くぞ!」
こう言ってであった。すぐに全軍反転した。
そしてそのままその宙域に行くとだった。そこには。
「来たな!」
「あいつは!」
「地球に来た奴だな!」
「ああ、そうだ!」
ギギルだった。彼が来たのだ。
「御前達が出て来たって聞いてな!」
「来た!?」
「まさか」
「艦長!」
サリーがエキセドルに告げる。
「敵艦の作るフィールドにフォールドエネルギーが集中しています!」
「まさか!」
「それじゃあ」
「奴等シティ7を拉致するつもりか!」
「ちょっと、許さないわよ!」
ミレーヌが思わず叫んだ。
「そんなことは!」
「させるかよ!」
またバサラが前に出て来た。
「そんなことはよ!」
「バサラ!?」
「俺の歌を聴きやがれ!」
こう叫んでだ。歌う歌は。
「ホーリーロンリーナイト!」
「バサラ、あんたは」
「俺だってな!こんなこと許すか!」
「くそっ!」
ギギルは苦々しげな声でバサラに応えた。
「こいつの歌がシビルをおかしくさせたんだ!」
「俺も続くぞ!」
「よし!」
「ここは!」
他の面々も続く。それを見たギギルは。
「こうなったらだ!」
「司令!」
「どうするというのですか!」
「緊急フォールドだ!」
こうするというのだ。
「ここはだ!」
「ですが今は!」
「エネルギーの集中が」
「構うか!」
強引に移動しようとする。レイはそれを見て。
「まずいぞ!」
「ええ、このままじゃ!」
「私達も!」
「させるか!」
バサラだけが向かう。
「俺にこんなの意味があるか!」
「避難しないと!」
「うるせえ!ここで逃げるか!」
こうしてそのまま突っ込んでだった。
シティ7ごと消えたのだった。バサラも。
「嘘・・・・・・」
「シティ7だけじゃなくて」
「バサラまで」
「どうする!?」
皆唖然となっていた。どうしていいかわからなかった。
そしてゲペルニッチはだ。己の乗艦の中で苦い声を出していた。
「ギギルめ、勝手な真似を」
「ゲペルニッチ様、ですが」
だが彼女の前にいるガビルが言うのだった。
「御所望のものは手に入れました」
「この娘か」
「はい」
そしてそこにいるミンメイを見るとだった。
「貴方がバロータ軍の司令官なのですか?」
「バロータ?」
ゲペルニッチはミンメイのその言葉に問うた。
「それがか」
「それがとは?」
「それがこの星系を意味する御前達の言葉か」
「待て、貴様」
しかしここでガビルがミンメイに言うのだった。
「ゲペルニッチ様に無礼な口を言うな」
「私は何があってもです」
こう返すミンメイだった。彼女も強気だった。
「折れたりはしません」
「御前達の情報を得る為に生かしてやっているのだぞ」
「ここで私を殺しても何にもなりません」
それはないというのだ。
「しかし私はそれでもです」
「いいだろう」
ゲペルニッチはミンメイの心を見た。それで言うのだった。
「その意志に免じ我等も名前を名乗ろう」
「名乗られるのですか」
「我等を創りし者はだ」
そうした者もいるというのだ。
「我等をエビルと呼んでいた」
「エビルだったのですか」
「だが何時の間にか我等はプロトデビルンと呼ばれていた」
「プロトデビルン・・・・・・」
「我が夢スプリチアファーム」
ゲペルニッチはこの名前も話に出した。
「今その完成の時が近付いてきている」
「今が」
「そうだ。サンプルよ」
「サンプル!?」
サンプルと聞いてだった。ミンメイはまた言った。
「私のこと?それは」
「御前が他のサンプルのスピリチアを再生させればスピリチアは尽きることがない」
そうだったというのだ。
「それこそが我が夢スピリチアファームプロジェクト」
「私がスピリチアを再生させる?」
それはミンメイには自覚できないことだった。
「まさか」
「連れて行け」
ゲペルニッチはこれ以上話さなかった。
「くれぐれも手荒な真似はするな」
「はい」
「わかりました」
「ではゲペルニッチ様」
ここでガビルが言ってきた
「ギギルが討ち漏らした別の船団については如何されますか」
「あそこにはアニマスピリチアがいる」
こう言うのだった。
「ではやはり奴が」
(アニマスピリチア?)
これもミンメイにははじめて聞く言葉だった。
(それもまた)
「我が夢を磐石にする為にはあの者の力が必要となる」
ゲペルニッチは言う。
「わかるな、ガビルよ」
「はい」
ガビルは彼の言葉に恭しく頷いた。
「仰せのままに」
「ギギルの件もある」
ゲペルニッチはまた言う。
「次は私も出る」
「何と、ゲペルニッチ様御自身が」
「そうだ」
まさにその通りだというのだ。
「今回の戦闘で新たな兵士も手に入ってな」
「一人ですが」
「そのマインドコントロールもしなければならない」
「マインドコントロール、まさか」
ミンメイは連れて行かれる中で呟いた。
「それは」
「待っていろ、アニマスピリチア」
ゲペルニッチは期待する声で言っていた。
「御前を手に入れ我が夢は完成する」
それを見ているのだった。また戦いがはじまろうとしていた。

第五話完

2010・2・21  
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