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スーパーロボット大戦パーフェクト 完結篇

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第二話 SRX敗北

                 第二話 SRX敗北
ネオエジプトに来たロンド=ベル。そこにいたのは。
「やっぱりヘルモーズが」
「七隻いる」
「ということだ」
「そうだ」
あの見知った七人がまた出て来たのだった。
「汝等の相手はだ」
「我等が務める」
「それでいいな」
ジュデッカ=ゴッツォ達であった。あの七人がである。
「既に我等を倒したのは知っている」
「銀河辺境方面軍のことはだ」
「特にだ」
「我等をだ」
出て来たのはエペソとラオデキアだった。
「我々はだ」
「とりわけ余だな」
「ああ、そうだよ」
甲児が彼等のその言葉に答えた。
「御前等とはもう随分会ってるな」
「その恨みもだ」
「晴らさせてもらう」
「その前に誰が誰なのかわかりにくくない?」
マリアはこのことに突っ込みを入れた。
「この七人って」
「声も外見も全く同じだしね」
ジュンも彼女の言葉に頷く。
「中々わからないわ」
「ヘルモーズもだからな」
鉄也は彼等の乗艦を見ていた。
「それで見分けるというのはだ」
「難しいわよね」
さやかも言う。
「本当に」
「髪の色デーーーース」
だがジャックはそれを見抜いていた。
「一人一人それが違いマーーーース!」
「あっ、そういえば」
メリーは兄の指摘でそのことに気付いた。
「髪の色は一人一人違うわよね」
「確かにな」
「そうよね」
大介とひかるもその言葉に頷く。
「そうか、それでか」
「一人一人違うのね」
「何処のRPGなんだ?」
今言ったのはかずマだった。
「それってよ」
「そうよね、殆どそれよね」
ミヒロも兄のその言葉に頷く。
「髪の色だけで見分けろって」
「しかも能力も同じだし」
「口調まで」
皆口々に言っていく。
「それが七人ね」
「お決まりっていえばお決まりね」
「さて、戯言は終わりだ」
「我等は我等だ」
そのジュデッカ=ゴッツォ達が言ってきた。
「ここで汝等を倒しだ」
「あらためて地球圏を掌握させてもらう」
「言いたいことはわかった」
その彼等に返すレーツェルだった。
「では相手になろう」
「うむ、それではだ」
「参るとしよう」
バルマー軍との戦いが再びはじまった。まずはロンド=ベルはその軍を大きく散開させた。
「ヘルモーズの主砲だ」
「それに気をつけろ」
アムロとフォッカーがそれぞれ言う。
「あれの直撃を受けるわけにはいかない」
「だからだ。いいな」
「つまりだ」
ここでテムジンが言う。
「いつも通りだということだ」
「ブラザー、それはまたわかりやすいな」
「物事を難しく言う趣味はない」
やはりいつものテムジンである。
「そういうことだ」
「よし、わかった」
ハッターもそれで納得した。
「なら俺もいつも通りだ」
「いつも通りやられるのね」
「ちょっと待て!」
まさにいつも通りフェイに言い返す。
「今の言葉は何だ!」
「だからいつも通りやられるっていうのよ」
「俺が何時やられた!」
「今まで勝ったことあるの?」
こんなことを言う彼等だった。
「噛ませばかりじゃない」
「おのれ、こうなったらだ!」
ハッターは敵よりまずはフェイと戦っていた。
「御前から先に懲らしめてやる!」
「だからだ」
「待つのだ」
二体のライデンがその彼を止める。
「味方と戦ってどうする」
「何を考えているのだ」
「ほら、フェイも」
「馬鹿なこと言ってないで」
「バルマーと戦わないと」
三姉妹は彼女の方にいっていた。
「そうでしょ?ハッターが敵じゃないんだから」
「だからここはね」
「いいわね」
「相変わらず仲がいいな」
パトリックはそんな彼等を見ながら述べた。
「全くねえ」
「ふざけていないで先に行け」
その彼にカティが声をかける。
「味方よりまずは敵だ」
「まあ大佐の本心はわかってますし」
「本心だと!?」
「またまた。隠す必要はないですよ」
笑いながら彼女に言うのだった。
「いつも俺のことを見てくれていて」
「なっ!?」
こう言われるとだった。その顔を急に真っ赤にさせるカティだった。
「な、何を馬鹿なことを言っている」
「だから。俺と大佐の仲じゃないですか」
「馬鹿なことを言うな、私と貴官はだ」
「ここまで嘘吐くのが下手だったんだ」
「この人って」
皆そんなカティを見て呆れていた。
「予想はしていたけれど」
「何ていうか」
「とにかくだ」
カティは真っ赤になった顔をとりあえず収めて言ってきた。
「作戦はだ」
「おっと、それだ」
「そうだったわ」
ここでそのことを思い出す彼等だった。
「戦いだったよな」
「何とかしないと」
「そうだよ、戦いだよ」
まさにそれだと気付いたのである。
「バルマー軍だな」
「何とかしないとな」
「また大勢来たし」
「それなら」
こうして彼等は散開しそのうえで敵に向かった。そうしてだった。
ヘルモーズの射程から離れてである。そのうえで敵と戦っていた。
「今はヘルモーズは相手にするな」
「はい」
「わかりました」
オズマの言葉にミシェルとルカが応える。
「今は他のマシンをですね」
「それに戦艦を」
「そうだ」
オズマはまずは彼等を見ているのだった。
「そのうえでだ。いいな」
「了解です」
「ではまずは他の敵を」
「時間はかけてもいいな」
アルトはこう判断した。
「それで敵を少しずつだな」
「その通りだ」
彼の言葉にジェフリーが頷いた。
「まずは的確に倒す。いいな」
「それじゃあ」
「ヘルモーズは後に回していい」
ジェフリーはまた言った。
「それよりもだ」
「ヘルモーズの後はまたあれが出て来ますからね」
「他のマシンの数を減らしておかないと」
これまでの戦いで既にわかっていた。バルマーの戦い方はだ。
「ズフィルードが出るそれまでに」
「他の敵を倒していって」
「そうしなければな」
またミシェルとルカに話すオズマだった。
「わかったらだ」
「こうしてですね」
ミシェルのバルキリーがバトロイドに変形してそのうえで射撃を放った。それで前にいた敵の戦艦の一隻をそのビームで貫いた。
それで一隻沈めた。そのうえでまたバルキリーに戻る。
「戻るんですか」
「ああした敵を相手にする時はともかく」
こうルカに答える。
「普段はこっちの方がいいからな」
「それはそうですね」
「バルキリーの方が何かとやり易い」
ミシェルは言う。
「反応弾もあるからな」
「そうですね、反応弾があるから」
彼等の翼には既にそれがあった。
「僕達はやっぱりバルキリーの方が」
「まあ俺達のバルキリーはな」
「少し違うがな」
イサムとガルドはだった。
「接近戦もできるからな」
「バルキリー形態でなくともいけるがな」
「しかしやはりバルキリーの方が動きやすいがな」
「特に普段はだ」
これは彼等も同じであった。
「よし、それならだ」
「ここは」
「さて」
ここでまた言う彼等だった。
「その反応弾をな!」
「撃たせてもらう」
こうしてだった。一気に攻める。反応弾を放った。
それが敵をまとめて消し飛ばす。相変わらずの威力だった。
「艦長!」
「これで」
「敵陣に穴が開きました」
モニカにミーナ、ラムが言ってきた。
「どうしますか、ここは」
「突撃ですか?それとも」
「まだでしょうか」
「まだだ」
ジェフリーはここでは慎重策を取った。
「まだだ、それは」
「ではこのまま敵の数を減らして」
「そうしていくのですね」
「まだ」
「そうだ、慎重にだ」
やはり慎重策であった。
「ここはまだだ」
「わかりました、では」
「ここはこのまま」
「遠距離攻撃を続けます」
「ヘルモーズの周りにはまだ敵が多い」
その彼等を警戒してのことであった。
「ヘルモーズに攻撃を仕掛けるのはまだ先だ」
「それでは」
「今は」
こうしてだった。彼等は慎重にバルマー軍を減らしていく。戦いは順調であった。しかしであった。
「さて、この程度か」
「そうだな、潮時だ」
「今がだな」
ジュデッカ=ゴッツォ達がそれぞれ言うのだった。
「全軍撤退とする」
「すぐにヘルモーズ及び母艦に戻れ」
「いいな」
こう部下達に対して述べる、
そうして撤退に入る。それを見てだった。
「えっ、もうか!?」
「まだ半分もいるのに」
「それで撤退なのか」
ロンド=ベルの面目はそれを見て驚きの声をあげた。
「今回は随分早いが」
「どうしてなんだ?」
「おかしいわね」
こう首を傾げているとだった。急報が入って来た。
「諸君、大変なことになった」
「すぐに刻印に向かってくれ」
ミスマルとアデナウヤーが同時に出て来て言うのだった。
「刻印にだ」
「即刻だ」
「刻印にといいますと」
ブライトが彼等に応えて言う。
「まさかそこに」
「そうだ、そのまさかだ」
「君達には御苦労だが」
それを承知のことだというのだ。
「すぐに向かってくれ」
「連邦軍も向かわせているがだ」
「わかりました」
ブライトは二人の言葉にすぐに頷いた。
「ではすぐに」
「うむ、頼んだ」
「それではだ」
こうしてロンド=ベルは刻印に急行することになった。その頃刻印では。
「くそっ、何という奴だ」
「僅か五機だというのに」
「まだ倒れぬか」
バルマー軍の将兵達は明らかな苛立ちを感じていた。四機のSRXチームとヴィレッタの攻撃の前に中々攻められずにいたのだ。
「我等が数においては有利だ」
「しかしだ」
「それでもか」
「数なんてな!」
リュウセイがその彼等に叫ぶ。
「俺達を倒したければ一個艦隊送ってきやがれ!」
「そうでなければだ」
ライも言う。
「倒れることはない」
「倒れるわけにもいかないしね」
アヤはこう言った。
「そういうことだからね」
「その通りだな。しかし」
「そうだな」
ヴィレッタはレビの今の言葉に頷いた。
「ヘルモーズがいない」
「ということは」
「何かがあるか?」
リュウセイもそれを直感で察した。
「これはよ」
「そうかも知れないな」
ライも察した。
「これは」
「リュウ」
ここでアヤが言う。
「いざという時はね」
「合体か」
「ええ、SRXになるわ」
こう彼に言うのだった。
「わかったわね」
「ああ、わかった」
リュウセイもそれに頷いてであった。敵を迎え撃つ。敵はまだ数で来るがであった。
二十機程度倒した時だった。刻印から。
「!?あれは」
「あのマシンは」
大型の船を思わせる白いマシンが出て来た。
「あのマシンは一体」
「何だってんだ?」
「ふふふふふ」
ここでそのマシンから声がした。
「それが地球人共のマシンか」
「司令、まさか」
「司令御自らとは」
「俺も司令の椅子を温めてばかりでは退屈だ」
その男は周りの部下達に告げた。
「たまにはこうして戦わなければな」
「ですがそれは」
「我々が」
「俺に指図をするつもりか?」
男の声が急に険しいものになった。
「まさかとは思うが」
「い、いえそれは」
「ありません」
彼等もそれはすぐに否定した。
「ではそれで」
「御願いします」
「ならばよい。さすればだ」
「はい、それでは」
「どうぞ」
そのマシンはSRXの前に来た。そうしてだった。
その攻撃を放った。四機に対してだ。
「受けるがいい」
黒い波動に見える衝撃波だった。それを出したのだ。
その速さは彼等とて避けられるものではなかった。
「な、何だこれは!」
「いかん!」
「回避!」
三人は咄嗟に叫んだ。
「これはいかん!」
「わかった」
レビもライの言葉に頷きだった。すぐにそれを避けようとする。
だがそれは間に合わずであった。激しいダメージを受けた。それは無視できないものだった。
「くっ、何てこった」
「まさかあのマシン」
「またバルマーの切り札だというの?」
「有り得る」
四人はそれぞれ言った。
「いかん」
そしてヴィレッタが決断を下した。
「四人共ここはだ」
「合体だな」
「そうだ」
こうリュウセイにも告げた。
「わかったな」
「あ、ああ」
「それならなだ」
「すぐに」
こうして四人はすぐに合体に入った。SRXになる。
そのうえでライフルを放つ。だがそれはあえなくかわされてしまった。
「かわした!?」
「嘘だろ!?」
アヤとリュウセイがそれを見て思わず叫んだ。
「SRXの攻撃を」
「しかもあの巨体でかよ」
「ふふふ、俺に攻撃を仕掛けてきたか」
そのマシンからまた倣岸不遜な声がしてきた。
「その罪を償ってもらおう」
「!?また」
「来た!」
「避けられん!」
また攻撃を受けた。それでSRXもまた致命的なダメージを受けた。
「くっ、これじゃあ」
「皆大丈夫!?」
アヤが他の三人に問うた。
「無事なの!?どうなの?」
「あ、ああ。何とかな」
「大丈夫です」
「私もだ」
「そう、よかった」
アヤは三人の言葉を聞いてまずは納得した。しかしだった。
ヴィレッタのヒュッケバインマークスリーが前に来てだ。言うのだった。
「いかん、ここは撤退だ」
「撤退かよ」
「すぐに退け」
こう四人に言うのだった。最早SRXはその下半身を吹き飛ばされ戦える上京ではなかった。それを見ての言葉であったのだ。
「わかったな」
「ああ、しかし」
「リュウ、ロックオンされたわ」
ここでアヤがまたリュウセイに告げた。
「すぐに回避を」
「駄目だ」
しかしここでリュウセイが言う。
「エンジンの出力があがらねえ」
「まさかエンジンまで」
「ライ、どうなってるんだ?」
「バイパス系をやられた」
これがライの言葉だった。
「現状ではウォータードライブにも達していない」
「それならだ」
リュウセイはそれを聞いて言った。
「合体解除か」
「それか」
「ああ、それだ」
まさにそれだとレビにも答える。
「分離してまた奴を」
「無理だ」
しかしそれはライが止めた。
「Rー3の脚がもう」
「ちっ、そうか」
「それにだ」
ライの言葉は続く。
「R-1とR-2の接続部も破損している」
「それもかよ」
「今の攻撃でだ」
「じゃあどうしろってんだよ!」
「あの敵は」
アヤが何とか狼狽を感情で抑えている顔で述べた。
「私達のSRXのことを知っているわ」
「何っ!?」
「間違いない」
ここでライも言う。
「さもなければここまで出来はしない」
「じゃああいつ等は」
「くくく、ここで出て来るとは思わなかった」
それは予想外であったようだ。彼にしてもだ。
「だが裏切り者が作り出したガラクタなぞその程度だ」
「全くです」
「またあのマシンが!」
「出て来た!?」
ディバリウムも出て来たのであった。
「くっ、こんな時にかよ」
「また厄介な相手だな」
「どうやらです」
エペソはその白いマシンにいる男に言うのだった。
「我等が今まで敗れてきたのは何かの間違いとしか思えません」
「ふん」
ここで男はまた傲慢な声をあげた。
「所詮はその程度だったのだ」
「マーグ達もですか」
「ギシン家の者なぞあの程度だ」
こう言ってはばからないのだった。
「所詮はな。だからこそ今地球人共に与しているのだ」
「確かに」
「さて」
ここで男はまた言った。
「サンプルの検分とトロニウムの回収をだ」
「では私が」
「いや、エペソよ」
ここで彼はエペソの名を呼んでみせたのだった。
「それはいい」
「といいますと」
「この俺自らが行う」
そうするというのだ。
「このハザル=ゴッツォがだ」
銀色の髪に険しい顔をしている。その顔にも態度にも傲慢の色がはっきりと出ている。
「行う。いいな」
「いえ」
ところがであった。ここでエペソは彼に言うのだった。
「御身に何かあれば一大事です」
こう言うのだ。
「後は我々にお任せ下さい」
「エペソよ」
だがハザルは彼を睨んで言うのだった。
「誰に向かって口を利いている?」
「申し訳ありません」
「このまま見ているだけというのは性に合わん」
「だからですか」
「そうだ。それにだ」
ここでハザルはさらに述べた。
「己の手で功績を挙げねば父上に対して示しがつかん」
「シヴァー様に」
「だからだ」
こう言ってであった。
「御前達は下がれ」
「我々はですか」
「そうだ。まずはサンプルとトロニウムを回収してだ」
それからだというのだ。
「この者達をゆっくりと料理してやる」
「では」
「俺の警護はもう必要ない」
「ですが」
また言うエイスであった。
「シヴァー様の御命令に反することに」
「黙れ」
ハザルの今度の言葉は有無を言わせぬものだった。
「御前の主は誰だ」
「ハザル様です」
「そうだな。ではだ」
「しかし」
「人形の分際で口答えする気か?」
ハザルの言葉はさらに高圧的なものになってきていた。
「俺の命令は絶対なのだぞ」
「わかりました、それでは」
「人形風情が。さて」
あらためてSRXを見てであった。
「リュウセイ=ダテか」
「何だってんだ?」
「御前の力を試す時が来た」
その傲慢そのものの笑みでの言葉だ。
「生贄として相応しいかどうか」
「何っ!?」
「父上に代わりこの俺が見極めてやろう」
「ちっ、ライ!」
迫ってきた彼を見ながらライに問うた。
「今使える武器は何だ!」
「右腕のハイフィンガーランチャーだけだ」
「無敵剣は!?」
「破損はしていないが」
しかし、なのだった。
「今の出力では無理だ」
「無理だってのかよ」
「そうだ、使用不可能だ」
そうだというのである。
「とてもだ」
「このままではどうにもならん」
ライはこのことも彼に話した。
「リュウ、後退だ」
「馬鹿言え!」
しかしここでリュウセイはこう言って反論した。
「ここまでやられて引き下がれるかよ!」
「冷静になれ。今の俺達では勝ち目がない」
ライはこの中でも冷静だった。
「あの敵はバルマー帝国だぞ」
「だからかよ」
「そうだ。それにだ」
さらに言うライだった。
「御前と大尉に万が一のことがあればだ」
「その時かよ」
「そうだ。誰がアルタードを操る」
こう言うのである。
「その時はだ」
「そうよ、リュウ」
アヤもここで彼に言ってきた。
「ライの言う通りよ」
「引けってのかよ」
「ええ」
まさにそうだというのである。
「私達は今は生きないといけないのよ」
「だからかよ」
「そうよ、何としても生き延びないと」
ならないというのだ。
「何があっても」
「ちっ、ここはかよ」
「まだバルマー帝国との戦いは続くわ」
リュウセイにこのことも話した。
「ここで終わる訳にはいかないのよ」
「だからか」
「今は歯を食いしばって耐えるのよ」
必死にリュウセイに話す。
「耐えて生き延びて成すべきことを成すのよ」
「その為に今は」
「ええ、これからの為にね」
「わかった」
「有り難う。じゃあライ」
アヤはリュウセイが納得したのを見て今度はライに告げた。
「武装へのエネルギー供給を最低限にまでカットして」
「カットですか」
「そして推進系に回すのよ」
そしてであった。
「ここから一気に脱出するわ」
「しかし」
だが、であった。ライはアヤのその言葉に対して言うのだった。
「それでは戦闘不能になる恐れが」
「私が念動フィールドを限界まで展開するわ」
そうするというのだ。
「リュウ、貴方は操縦に集中して」
「りょ、了解!」
「TーLINKフルコンタクト」
アヤの指示は続く。
「何としてもここから!」
「脱出する!」
レビも言う。そしてヴィレッタが護る。
そのまま脱出しようとする。だが。
ハザルはそれを見てもだ。残忍な笑みをたたえて言うのだった。
「逃げ出すつもりか。だが遅かったな」
「!?」
その後ろにエペソのディバリウムが回り込んだ。それで退路を塞がれてしまったのだ。
「ちっ、こいつもかよ!」
「敵の攻撃は私が防ぐ」
レビが出て来て言う。
「この宙域から脱出することを考えろ」
「あ、ああ」
「いいな」
「ふふふ、それは無理だ」
ここで自信に満ちた態度を崩さないハザルだった。
「何があろうともだ」
「くそっ、あいつも近付いてきやがるのかよ」
「さあリュウセイ=ダテ」
はざるはわざとゆっくり近付いて来て言うのだった。
「御前の力を見せてみろ。サイコドライバーの力をな」
「来たぞ!」
「ここでやられてたまるか!」
リュウセイも今は撤退する気だった。
「アヤ、フィールドを頼むぞ!」
「ええ、わかったわ!」
ここでロンド=ベルが戦場に到着したのだった。
「来た!?」
「ロンド=ベルが」
しかしであった。誰もが今のSRXの姿を見てだ。唖然として言うのだった。
「何だそのダメージは」
「どうしたの?」
「やられちまった」
無念の顔で言うリュウセイだった。
「奴にな」
「!?そういえばあの白いマシンは」
「まさか敵の新型のマシン」
「そうらしい」
レビが彼等の問いに答えてきた。
「私も見たことがないマシンだ」
「それがSRXを」
「瞬く間に」
「だとすればかなりの強さが」
「さて、ここで出て来たな」
ハザルの笑みはいよいよ不遜なものとなる。そしてだった。
「では俺の力をここで発揮するとしよう」
「!?」
「この力」
「間違いない!」
その力を感じてクスハとブリットが思わず叫んだ。
「あのマシンにいるのは」
「俺達と同じ」
「ううっ・・・・・・」
そしてアヤはその力を感じ取り頭に両手をやって苦しんでいた。
「この力は」
「奴も念動力者なのか」
リュウセイもそれをはっきりと感じ取っていた。
「まさか」
「間違いない」
レビもであった。
「あいつも」
「力を持っている」
「ただしだ」
ハザルは彼等を完全に下に見て告げてきた。
「俺は御前達とは違う」
「何っ!?」
「違うというのか!」
「そうだ」
こうクスハとブリットにも答えるのだった。
「今からその証拠を見せてやろう」
「来たぞ!」
「今の貴様の念では俺に対抗できまい!」
「リュウ!」
ライがまたリュウセイに叫ぶ。
「回避しろ!」
「だ、駄目だ!」
しかしであった。
「機体が動かねえ!」
「何だと!?」
ライも流石に今の言葉には驚きを隠せない。
「大尉、そちらは」
「ああ!・・・・・・ああああ!」
「T-LINKコネクターに異常発生!?」
レビも言う。
「アヤ!?」
「く、くそおおおおっ!」
リュウセイが悔しそうに叫ぶ。
「奴の念で縛られる!」
「ふふふふふ」
またここでハザルが勝ち誇って言ってきた。
「御前達のシステムのことはよく知っているのでな」
「何っ!?」
「既にか」
「ハンデをくれてやろう」
リュウセイ達を明らかに愚弄していた。
「ウラヌスシステム強制発動」
するとだった。何かのシステムが落ちそれとは別のシステムが起動した。そうしてだった。
「RTEレベル一定値ヲオーバー」
「な、何っ!?」
「パイロット及ビ機体ノ安全ヲ優先シ」
「これはSRXではじめて合体した時と同じだ」
「外部からシステムを強制起動させやがったのか!?」
「何故だ」
ライは唖然としながら言う。
「何故奴にそんなことができる」
「俺が知るかよ!」
リュウセイもこう言うしかなかった。
「こんなことはよ」
「さて」
また言ってきたハザルだった。
「御前の力を見せるのだ」
「リンク係数が正常に戻った」
ライの言葉が続く。
「どういうことだ!?」
「それだけじゃねえ!」
また叫ぶリュウセイだった。
「見ろ、エンジンの出力が!」
「三十、四十、五十」
ライもその数字を言う。
「六十を超えたぞ」
「いける」
それを聞いてリュウセイも言った。
「これならいけるぜ」
「どうするつもりだ?」
「コネクターをこっちに回す!」
リュウセイは一つの決断を下した。
「フルドライブだ!」
「止めろ!」
しかしライは彼に叫ぶ。
「これは奴の罠だ!」
「しかしだ」
ここでリュウセイは言い返す。
「あいつを倒さなきゃこっちあやられちまう!」
「待て、大尉が!」
「SRX!」
しかしもうリュウセイは止まらなかった。
「御前の力を奴に見せてやれ!」
「よせ!」
「うおおおおおおおお!」
今リュウセイは力を込めたのだった。
「ライ、無敵剣だ!」
「ふふふ、そうだ、それでいい」
ハザルは向かって来るSRXを見て笑っていた。
「それでだ」
「行くぞ、天上天下!」
その剣を出しであった。
「無敵斬りいいいいいいいいっ!!」
「所詮その程度か」
その言葉と共にであった。その攻撃で全て終わったのだった。
「何っ!?」
「SRXが」
「動きが止まった!?」
「何故だ」
「何っ、SRXが急に」
「瞬発力は中々のものだ」
ハザルはあらためて言った。
「だが所詮は地球製のシステムだな」
「それがどうしたんだよ」
「このヴァイクランのカルケリア=パルス=ティルゲムには程遠い」
「何だってんだ!?」
「どうやらまだ御前には熟成の時間が必要なようだ」
リュウセイへの言葉である。
「だがトロニウムだけは回収させてもらう」
「トロニウムをだと!?」
「あれは我が帝国にとっても非常に貴重な代物だからな」
そうしてであった。SRXに接近してだ。
「きゃあああああああっ!」
「ア、アヤ!」
「大尉!」
「ふふふ」
また言うハザルだった。
「これでいい」
「アヤを!」
「貴様!」
「欠陥品には用はない」
こうリュウセイとレビに告げるのだった。
「だからだ」
「き、貴様・・・・・・」
ライも何時になく感情を露わにさせていた。
「よくも大尉を」
「こ、こいつだけは・・・・・・」
リュウセイはとりわけだった。しかしハザルはその彼等を愚弄して嘲笑うのだった。
「ふはははははははは、憎いか俺が!」
「こ、こいつ!」
「まるでゼゼーナンだ!」
「ああ、あいつみたいだ!」
「いえ、それよりも」
ロンド=ベルの面々はそのゼゼーナンを思い出していた。
「あいつよりも酷い」
「まさに」
「こいつは」
「御前等の同胞を殺したこの俺が!」
「て、手前ええええええええっ!」
「そうだ、憎め!」
ハザルはとりわけリュウセイに対して言うのだった。
「リュウセイ=ダテ!この俺を憎むのだ!」
「一つ言っておく」
刹那が出て来た。
「御前はこの世に生まれるべきではなかった」
「よせ」
だがその彼をティエリアが止めた。
「今は」
「駄目だというのか」
「やろうとしていることはわかる」
既に彼のその考えは察していたのだ。
「しかしだ」
「しかしか」
「そうだ。今君が行ってもどうにもならない」
だからだというのだ。
「僕もできることならだ」
「行きたいのだな」
「あのハザル=ゴッツォ」
その目には怒りの光があった。
「できれば僕がだ」
「御前もか」
「あの男は許せはしない」
彼もなのだった。それはだ。
「だが。今はだ」
「そうか。それでもか」
「今はそれは駄目だ」
「その通りです」
アズラエルも言うのだった。
「僕としてもどうにかしたいのですがね。今は」
「今は?」
「そうなのかよ」
「残念ですけれどね」
こう言ってアレルヤとロックオンも止めるのだった。
「今はそれよりも」
「あの機体をか」
「調べるってんだな」
「残念ですがそれが最も合理的です」
「おい待て!」
そのアズラエルにカガリが叫んできた。
「何でそんなことを言えるんだ!アヤが殺されたんだよ!」
「貴女ですか」
「それで何でだ!今は見ているだけか!」
「カガリ、わかっている筈だよ」
しかしその彼女にユウナが言ってきた。
「君もそれは」
「ユウナか、それは」
「そうだよ。わかっている筈だよ」
ユウナの声には悲しいものが宿っていた。その声でカガリに言うのだった。
「君もそれはね」
「くっ・・・・・・」
「あのマシンの性能はまだよくわかっていない」
ユウナは言った。
「そしてあのマシンもいる」
「ディバリウムですね」
アズラエルがまた言ってきた。
「あれの確かな攻略法もよくわかっていませんし」
「何もかもか」
「あのSRXを瞬く間に倒したんだ」
ユウナはそれだけでそのマシンの性能を見ていた。
「下手をしたらこちらがね」
「だからか」
「うん、僕達はまだあのマシンと戦えない」
そうだというのだ。
「わかったね、それで」
「くっ、それじゃあ今は」
「ルリ君」
ユウナはルリに声をかけた。
「あのマシンのハッキングは」
「今それを行っています」
流石にルリの動きは早かった。
「暫く待って下さい」
「俺もしている」
「おっ、そっちもか」
「流石だな」
ライトの言葉にケーンとタップが応える。
「早いな、情報収集は」
「お手の物だってか」
「しかし。この性能は」
「尋常なものではない」
ブンドルも言うのだった。
「この性能は」
「性能は?」
「どうしたのだ、ブンドル」
「見るのだ」
カットナルとケルナグールに対して言う。
「この性能をだ」
「むっ!?これは」
「何と!」
彼等をしてもであった。驚くべき性能だった。そのヴァイクランはだ。
「これは迂闊に出るとだ」
「大火傷を負うぞ」
「しかもだ」
口々にそれぞれの言葉が出る。
「まだあのマシンがいるんだ」
「あの蛾が」
「ここで出たら」
「やはり迂闊に出なくてよかったですね」
アズラエルもここで言った。
「正解でした」
「そうですね。残念ですが」
ちらりと本音を出すユウナだった。
「戦いの後ですし。今は」
「刻印からもまだ出て来る」
シナプスはそれも見ていた。
「だからだ。今は」
「こんなことってあるかよ!」
闘志也が叫んだ。
「あんな奴をここで潰せないなんてよ!」
「落ち着け」
「気持ちはわかるがな」
ジュリイと謙作がここで彼を止めた。
「今の俺達では」
「それはだ」
「憎いかこの俺が!」
しかしハザルはまた言ってきた。
「御前の同胞を殺したこの俺が!」
「こいつだけは!」
「その憎しみを糧に生きろ!」
ハザルの高笑いは続く。
「そうすれば再びこの俺とあい見えるだろう!」
「手前、まだ!」
「ではさらばだリュウセイ=ダテ!」
最後にこう言ってであった。彼は姿を消した。
そうしてであった。敵が消えたところでだ。ブライトがトーレスとサエグサに問うた。
「SRXの状況は」
「非常に危険です」
「このままでは」
「まさかトロニウムが!?」
「反応はありません」
「ですが」
トーレスとサエグサはまた彼に言ってきた。
「機体が爆発します!」
「かなりの規模の爆発が!」
「いけない!」
すぐに綾人がSRXのところに来た。
そしてそのラーゼフォンでだ。三人を保護してだ。
ヴィレッタも来た。そのうえで彼を手伝った。
「済まない」
「いえ、とにかく今は」
「そうだな」
「SRXチーム!」
「脱出しろ!」
二人は彼等に対して言ってきた。
「今は」
「さもないと死ぬぞ!」
「だ、だが」
ライがその彼等に応える。
「このマシンが」
「このままでは爆発に巻き込まれます!」
「だからだ」
「早く脱出して下さい!」
「今すぐだ!」
「りょ、了解・・・・・・」
ライが最初に頷いた。
「それではだ」
「仕方ないというのか」
次はレビだった。
「今は」
「はい、すぐに」
「脱出しろ」
「リュウ・・・・・・」
ライはリュウセイにも声をかけた。
「脱出だ」
「・・・・・・・・・」
「リュウセイ!!」
「守れなかった・・・・・・」
ここでリュウセイは一人呟いていた。
「俺は・・・・・・アヤを・・・・・・」
「リュウ・・・・・・」
だがライはその彼に言うのだった。
「思い出せ」
「何っ!?」
「大尉の言葉をだ」
アヤのその言葉をだというのだ。
「いいな、それをだ」
「アヤのか・・・・・・」
「今は耐えるしかない」
それしかないというのだ。
「耐えて生き延びだ」
「そうしてか」
「成すべきことをだ」
「ライ・・・・・・」
「そうしなければ俺達は」
「そうか・・・・・・」
「早く脱出しろ!」
またヴィレッタが言ってきた。
「機体が爆発するぞ!」
「早く!」
そして綾人も。
「さもないと本当に!」
「・・・・・・ああ」
「行くぞ」
三人は保護された。ラーゼフォンとヒュッケバインがこれで離脱する。
「三人は収容しました!」
「これで!」
「よし!」
それを聞いて頷くブライトだった。そうして。
「離脱だ!急げ!」
「俺達は・・・・・・」
「守れなかった・・・・・・」
「アヤ・・・・・・SRX・・・・・・」
ライもレビもリュウセイは絶望の中にあった。
「しかし今は」
「生きるしかないのか」
「・・・・・・糞っ、今はかよ!!」
ロンド=ベルが戦場を離脱するとだった。そこに大爆発が起こった。しかしそれで戦いは終わった。しかしであった。
「三人はどうなんだ?」
「かなり重傷よ」
ファがカミーユに話す。
「まだどうなるかわからないらしいわ」
「そうか、そこまでなのか」
「特にリュウセイが」
ルナも暗い顔になっていた。
「集中治療室に入ってから」
「はい、昏睡状態になってしまわれて」
エイナも愕然となっている。
「最悪の場合は」
「おい、何でだよ!」
エイジはそれを聞いて叫んだ。
「何でそんなことによ!」
「落ち着いて」
だがその彼にミヅキが言ってきた。
「大丈夫よ、彼なら」
「そうに決まってるだろうがよ!」
豹馬もここで叫ぶ。
「あいつがそう簡単にくたばってたまるか!」
「三人はまだいい」
レイヴンも必死に冷静さを維持しながら述べた。
「だが。コバヤシ大尉は」
「あの敵はそれだけの力を持っていたということだ」
鉄也が言った。
「それは認めるしかない」
「それはその通りだが」
「鉄也さん、その言い方はよ」
大介と甲児が彼に言ってきた。
「酷ではないのか?」
「今それはよ」
「だが事実だ」
しかし鉄也はそれでも言うのだった。
「受け止めるしかない」
「それしかねえってのかよ!」
「俺もだ」
鉄也は宙に対しても話してきた。
「リュウセイ達は仲間だ」
「それじゃあ何でなんだよ」
「感傷に浸っている時間はない」
それでもこう言うのだった。
「俺達はSRXを倒したあの敵を倒さなくてはならないんだ」
「そうだな」
アムロも彼のその言葉に頷いた。
「鉄也の言う通りだ」
「おい、待てよ!」
今言ってきたのはカチーナだった。
「それで割り切れっていうのかよ!」
「アヤ大尉はこれまでの戦いを共に戦い抜いてきた仲間だった」
「だったら何でなんだよ」
「その仲間を失って平然としていられる」
アムロの言葉は続く。
「俺はそれ程強くはない」
「中佐、そうなのかよ」
「そうですよね」
ラッセルがアムロの真意がわかったカチーナの横で呟いた。
「それはもう誰もが」
「だが」
しかしここでまた言うアムロだった。
「何も失わずに済む戦いなぞありはしない」
「そんな戦いは」
「ないと」
「そうだ、ない」
彼はそのことがよくわかっていた。一年戦争の頃から。
「そして残された者達がすることは」
「悲しみを乗り越えて」
「その想いを受け継ぐ」
「それだよな」
竜馬と隼人、武蔵がそれぞれ言った。
「結局のところはだ」
「それしかないんだ」
「黙っていても何にもならないからな」
こう言うしかなかった。だが甲児はまだ吹っ切れてはいなかった。
「けれどよ」
「甲児君」
鉄也がその彼に言う。
「悲しんでいるだけじゃ駄目だ」
「わかってるさ、それはな」
「SRXを倒したバルマーを食い止めることなんてできやしない」
「そうだな。確かに」
大介も彼のその言葉に頷いた。
「それはもう」
「それにです」
鉄也の言葉はさらに続く。
「宇宙怪獣もいる。奴等も来る」
「彼等もだったな」
「このまま悲しんでいたらまた同じ思いをするだけだ」
「わかってるさ、けれどな」
それでもだった。甲児は言うのだった。
「やりきれねえんだよ」
「少し落ち着きましょう」
さやかがその彼に優しく声をかけた。
「今はね。
「・・・・・・ああ」
「刻印がある」
このことについて大河が言ってきた。
「そこからバルマー軍は幾らでも来るだろう」
「いや」
しかしだった。ここでマーグは言うのだった。
「ハザル=ゴッツォはどうやら地球には攻めては来ないようだ」
「!?そうなんですか?」
「それは何故」
「攻めて来るつもりならあの時に総攻撃に出ていた」
そうしていたというのだ。
「だがそれはなかった」
「確かに」
「随分回りくどいというか」
「そんな感じでしたね」
「あの男はプライドが高く直情的な性格をしている」
彼はハザルをいう男を知っていた。
「謀略も使うが攻める時はだ」
「総攻撃ですか」
「そうすると」
「しかしそれはしなかった」
このことについて言うのであった。
「それどころかSRX、リュウセイを誘い出すようにしている」
「それなら」
「今は」
「そうだ。地球圏には攻めて来ない」
そうだというのである。
「どうやら我々を銀河におびき出すつもりの様だ」
「俺達を銀河に」
「そこで」
「バルマーの本星は銀河の中央にある」
マーグはこのことも皆に話した。
「そしてその主力もだ」
「銀河に」
「ならばこそ」
「そうだ。だから我々には攻めて来ない」
それがハザルの考えだというのだ。
「我々を外に出してだ」
「そして倒す」
「そういう考えですか」
「それよりもだ」
マーグの言葉は続く。
「あの刻印は我々も使えるかも知れない」
「あの刻印をですか」
「私達も」
「そしてそれを使って」
「まさか」
「それでバルマーに」
「そうだ、攻められるのではないか」
この可能性について言及するのだった。
「我々もバルマーを」
「一気に敵の本拠地を叩く」
「そうするんですね」
「少なくともハザルの軍とは戦える」
マーグはこれは絶対とというのだった。
「間違いなくだ」
「それじゃあ」
「私達もあの刻印を使って」
「攻めるんですか」
「それじゃあ今は」
「これからは」
「まずはバルマーだ」
マーグはまた言った。
「彼等をどうにかしなければいけない」
「わかりました。それじゃあ」
「これから」
「そうだな」
ここで大河は決断を下した。
「あの刻印を調べ使えるのなら」
「バルマーを倒す」
「一気に」
「このまま待っているだけでは駄目だ」
彼も積極案になっていた。
「それならばだ」
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」
不動も言った。
「ならば答えは出ている」
「そうですか。じゃあ」
「まずは刻印を」
「調べよう」
まずはそれからだった。
「そしてだ」
「攻める」
「バルマーを」
「また長い戦いがはじまる」
サンドマンも述べた。
「しかしだ。それでもだ」
「戦う」
「そういうことですね」
「それしかない。我々が生き残る為にはだ」
サンドマンの言葉はまさに正論であった。
「では諸君、これよりだ」
「はい」
「まずは」
「地球に戻ろう。そして全てを調べるのだ」
「懐かしいですが今一つ感慨が湧きませんね」
アズラエルも普段の余裕はなかった。
「僕らしくもないですが。大尉は残念でした。いえ」
「いえ?」
「無念でした」
こう言うのだった。
「本当に」
「そうですか。無念ですか」
「アズラエルさんも」
「仲間というのは有り難いですね」
かつてのアズラエルなら絶対に言わない言葉だった。
「ですがいなくなるとその時は」
「ええ」
「それは確かに」
「けれど」
だがここでフォウが言ってきたのだった。
「私はアヤ大尉は死んでいないと思うわ」
「えっ!?」
「それって」
「どういうこと!?」
「あの時大尉の思念が四散するのを感じなかったわ」
「そういえば」
ここでセシリーも言うのだった。
「私もそれは」
「そうだな、感じなかった」
「間違いない」
カミーユもシーブックも言うのだった。
「それなら」
「やはり」
「私も」
そしてクスハも言うのだった。
「そう思う」
「あんたも同じようなことを感じてるのかい?」
アイビスが真剣な顔で彼女に問うた。
「まさか」
「バルマー戦役でも似たようなことがあったから」
「そうだったな」
ブリットが彼女の今の言葉に頷いた。
「あの時はイングラム少佐が大尉を」
「それは確か」
ショウがその時のことを思い出して言った。
「SRXがはじめて合体した時だったな」
「ええ、その時に」
似ているというのだ。
「少佐はわざとリュウセイ君を怒らせて」
「そうだったな」
ブリットもその時のことを思い出していた。
「あの時は」
「だから」
それでだというのだ。
「今も」
「それに」
クスハの言葉はさらに続く。
「ユーゼス=ゴッツォも同じ様な手で私達の力を」
「そういうこともあったな」
「じゃああの連中は」
今度はアラドが言うのだった。
「アヤ大尉を利用する為に何処かに」
「確証は持てないけれど」
それはだという。
「けれどアヤさんは生きてるって信じたいの」
「リュウセイ君達を殺したいのならあそこでそうしていた」
綾人もそれを察した。
「あながち信憑性の低い話ではないのかも」
「確かに」
「それだと」
皆アヤの生存についても考えだしていた。絶望の中でも光はまだあった。

第二話完

2010・2・10  
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