ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第八十六話 帰還
今日で闇慈の執事修行は終わりを告げた。白玉楼の妖夢も闇慈の着きっきりの看病のお陰なのか翌日には元気なったみたいだった。そして闇慈は荷物をまとめ玄関へ足を運び、出入り口を開けると、そこには紅魔館の住人、白玉楼の住人、ブン屋、そして博麗の巫女とその連れが立っていた。
「何だか私の扱いだけ酷くないか!?」
「それは気にしちゃダメよ、魔理沙」
メタ発言はさて置き、まずはレミリアが紅魔館を代表して挨拶をする。
「今日までご苦労だったね、アンジ。こちら側としてはまだいて欲しい位だけど、仕方ないわね。貴方との時間はそんなに悪いものじゃなかったわ」
「ありがとうございます、お嬢様」
続いて白玉楼の妖夢が挨拶を交わす。
「貴方とはもっと知り合いたかったです。何時かこちらにいらした時は是非、白玉楼にいらしてください」
「はい!僕も妖夢さんからは色々と学びたいことがありますので、その時はよろしくお願いします!!」
最後にブン屋の文と霊夢が感謝を意を示した。
「アンタのお陰でこの前の異変も解決することが出来たし、一応お礼は言っておくわ。ありがとう」
「アンジさんのことをもっと取材したかったのですが・・・仕方ないですね。今度来た時にお願いします」
「霊夢さん、文さん」
闇慈はこの幻想郷に来て、本当に良かったと感じていた。この世界ではあらゆる人を迎え入れ、受け入れてくれる。その事が闇慈の迷いと大切な事を改めて気付かせてくれた。そのことには感謝してもしきれない程だった。
「僕はみなさんのお陰で自分の心を後悔と言う鎖から解き放つ事が出来ました。それは感謝しても感謝しきれないほどです。今まで本当にありがとうございました!!」
闇慈は幻想郷の住人たちに頭を下げる。そして幻想郷の住人達に見送られ、門を出ようとすると・・・
「闇慈ーーー!!!」
と呼ぶ声が聞こえた。その方を見ると闇慈の無二の親友が走って来た。そして闇慈の前で立ち止まる。
「イッセー!?どうして君が幻想郷に!?」
「悪ぃな、お前が執事修行から帰ってくるって聞いてたから迎えに来てやったんだぜ?」
一誠の闇慈を・・・友を思う心に闇慈は本当に恵まれていることを実感していた。
「なるほどね。でもどうせなら小猫ちゃんの方が僕は良かったかな~。男が男を迎えにって少し気持ち悪くない?・・・もしかしてイッセーってそっち系だったの?」
「アンジーーー!!お前!!せっかく俺が迎えに来てやったってのにそんな言い方ってねえだろう!?」
「あはは。冗談だよ、イッセー。来てくれて嬉しいよ」
闇慈の笑顔を見ると一誠は少し真剣な表情で尋ねる。
「その表情から見て、元のお前に戻ったって見て良いんだよな?闇慈」
「うん。もうあの時の僕じゃないよ。心の鎖は完全に壊れたから安心していいよ、イッセー」
「なら良かったぜ。これでまた何時も通りに戻れるって訳だよな?」
「うん!!」
闇慈と一誠はそれぞれの右手でガシッと握手をした。そして一誠が闇慈に詰め寄る。
「なあなあ・・・闇慈」
「う、うん?どうしたのイッセー?(嫌な予感がするな~~)」
闇慈が嫌な予感が頭を過ぎた途端、一誠が幻想郷組みの方を指差しながら叫ぶ。
「お前ぇぇぇ!!まさかこんな美少女達に囲まれて執事生活送ってたのか!?おい!おい!!」
「相変わらず凄い顔になってるよ?イッセー」
一誠が血涙を流しながら、18禁を思わせるような顔で闇慈に迫る。闇慈は慣れっこなのか、やはりかと頭を抱えながら溜め息を付いていた。その様子をフランが見ていて闇慈に近寄る。
「ねえ、ねえ。この人はアンジお兄ちゃんのお友達なの?」
「そうだよ、フラン。彼は・・・」
闇慈がフランに紹介をしようとすると一誠が途中で割って入る。
「おーっと。自己紹介位は俺にやらせてくれ、闇慈。俺は兵藤一誠だ。よろしくな」
「イッセーお兄ちゃんだね。私はフランドール・スカーレット。フランって呼んで良いよ」
人懐っこいフランはさっそく一誠と挨拶を交わした。それを見ていたレミリアが闇慈に問いかける。
「彼は貴方の友人なのかしら?」
「ええ。友人と言うより親友です。僕の大切な仲間です。元は人間でしたけど・・・とある理由で今は眷属悪魔をやっていますね」
闇慈が誇らしげに一誠の説明をしていくが一つだけ注意点をあげる。
「でもイッセーは・・・とにかくエロいです」
「おいぃぃぃ!!!闇慈ーーー!!お前他人の前でとんでもない事を言うんじゃねえ!!」
「でも間違っちゃいないでしょ?普通に女性の服を破壊して裸にしたり、女性の胸に語りかけたり・・・」
「だあああ!!それ以上言うんじゃねぇぇぇ!!!」
すでに一誠のライフポイントは0に近かったが闇慈はドスドスと言葉を突き刺す。そしてそれを見ていた幻想郷の人達はその光景を笑うことしか出来なかった。
そして一誠が持ってきた小型転送装置で名残惜しいが人間界に戻ってきた。二度と会えない訳ではないので闇慈は一旦の別れと取っていた。
闇慈はすぐさま小猫が何処にいるか一誠に尋ね、家に居ることを聞くとすぐに自分の家に向かった。
そして荷物を玄関に置いたまま部屋に急いだ。そしてドアを開けると・・・
「小猫ちゃん」
「・・・っ!!」
小猫がベッドの上に座っていた。闇慈はゆっくり小猫に近寄り、視線を合わせる。
「小猫ちゃん。僕はやってはいけない失敗を犯してしまった。それは決して許される事じゃない」
「・・・」
「でも大切なのはそうじゃない。大切なのは相手を思う心なのだと僕は思った。心が良ければ何でも許されると言う訳じゃないけど・・・」
闇慈はゆっくり小猫の手を取り、笑顔で話しかける。
「僕はもう迷わない。そして誰よりも強い心を持っていく!!だから僕をまた君のそばに居させてもらえないかな?」
それを聞いた小猫は涙を流しながら闇慈に飛び掛った。それは今までの事なんか気にしていないと言う事を思わせるような抱擁だった。
「闇慈・・・先輩。お帰りなさい・・・闇慈先輩」
「ああ・・・ただいま、小猫ちゃん」
闇慈はこの温もりを忘れはしないだろう。そして改めて心に誓った。この最愛の人は何が合っても守ると!!
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