IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~
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number-21 dialogue
前書き
対話。
「夜神鳥麗矢の反応が消失しました……。」
「なんだとっ!」
麗矢が落ちた。
これは千冬にとって相当ショックなことであった。
以前千冬と麗矢が戦った時、麗矢は苦戦しながらも互角の戦いを繰り広げたのだ。
世界最強に勝つとまでいかなくても、同等の実力を持っている。
その麗矢が落とされるとは予想だにしていないことであった。
一夏が落とされ、箒は放心状態。
さらには麗矢までが太平洋のどこかに落ちた。
事態は悪化する一方だった。
――――どうしたものか……
ここで専用機持ちたちを動かすことも可能だ。
だが、麗矢は最後に福音を落とした。
落としたのだが、福音は第二次移行を行っていたのだ。
もはや、機械的だった翼はエネルギーウィングになり、その二次効果で重量が少なくなったため、機動力も上がった。
専用機持ちたちを行かせても落ちるのは目に見えている。
打つ手なし。
八方ふさがりだった。
しかし、それでも何とかして福音を止めなければならない。
ここで止めなければどんな被害を被るか……被害額は計り知れないものになるだろう。
「織斑先生! 専用機持ち五人がここを発ちました! おそらく福音と接触するために……。」
ちっ、と千冬は内心毒づいた。
勝てるとは限らないのにそれでも尚行くのか。
面倒事を嫌う麗矢の気持ちが少しは分かったような気がする。
千冬は通信を開く。
麗矢が残してくれた情報をあの五人に伝えるために。
◯
「くっ……、ここは何処だ……。」
麗矢は真っ暗なところで目を覚ました。
ただ真っ暗なところにいるのか、それとも周りを覆われたところにいるのか。
全く分からなかった。
麗矢は体だけを起こして辺りを見回す。
だが、暗くて何も見えない。
その時、暗闇の中に一つの小さい光が浮かぶ。
その光を見るだけで眩しいのに、光はだんだん強くなってくる。
そして一段と強い光となり、閃光となり、あたりを白く埋めた。
思わず目を瞑った麗矢が目を開けると、金髪の女性が立っていた。
その女性はあたりをきょろきょろと見回して視界に麗矢を入れると、まっすぐ麗矢に向かって歩いてくる。
女性は麗矢に手を伸ばせば届くくらいの距離で止まった。
そして、女性は麗矢に言い放つ。
「まったく……あんな奴に負けるとは、お前様は平和ボケして頭が馬鹿になっているのか。」
麗矢の心に刺さる言い草だった。
古風な言い方をする女性は腰に手を当てて胸を張る。
その時に胸がゆさっと揺れたが気にしないことにした。
「……名前は……?」
「お前様は人に名前を聞く時には自分からと両親から習わなかったかの? まあ、別にどうってことないがな。」
常識的なことを指摘されて声に詰まった麗矢だったが、向こうの方が気にしなかった。
そのことに胸を撫で下ろしながら女性が名前を言うのを待つ。
「妾の名はない。じゃが、しいて言うのなら《アルティメット・バード》かの。」
アルティメット・バード。
その名前には聞き覚えがある。
麗矢が乗るISの機体名である。
「お前は俺が乗るISのコア人格なのか……?」
「じゃからそうじゃと言っておるだろう。」
そんなことは一度も言っていなかった、と言いたかったが何とかして抑えた。
そんなことより、あの人がコア人格ならここはコア内の深層心理なのか。
ISにはまだ分からないことが多いと聞いているが……コア人格と会話することになるとは思わなかった。
「俺はどうなるんだ……?」
「簡単なことよ、海の中で意識を取り戻すだけ。別に死にやしない。」
まだ自分は死んだわけではないと分かって安心した麗矢。
ならばすべきことはたった一つである。
一刻も早く起きて、福音と再び戦い、勝つことだ。
「お前様がやることは決まったみたいじゃな。……カカッ、いい目をしておる。
さあ、行くがよい。機体はもう第二次移行は済ませてあるからの。」
名前を付けてあげればよかったかな?とか、思いつつも女性に背中を押されていく麗矢。
瞬間、意識を取り戻して海の中に沈んでいるISに乗っていることを確認。
あの時のことは夢だったのか。
まだ、はっきりとしないが今は放っておく。
これからが本当の戦い。
麗矢はひとり、強敵と再び会いまみえることに喜びを感じていた。
戦闘狂な考えをしている自分に苦笑しながら飛び立つ。
水深1000メートルの水の中から。
後書き
矛盾点……ないよね?
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