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IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~

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number-12 effort

 
前書き
努力。



この場合は、織斑一夏。

 

 
段々とじめじめしてきたこの時期。
梅雨も明け、いよいよ夏本番。誰もが喜び浮かれそうなものだが、麗矢は違っていた。


「あっつい……。」


いつもは普通に来ている制服も着崩して少しでも涼しくしようとしてるが、全くの無意味。
というより、制服を着ている分暑く感じる。
寒ければ布団に籠っていようと思えるのだが、今は夏である。寒いほうが好きと言ってもどうすることもできない。
何よりも籠っていたほう熱中症になる可能性があって危ない。


とはいえ、まだ6月である。
夏真っ盛りはまだ先、こんな調子で大丈夫なのか。


朝のHRをいつものごとく遅刻し、千冬に叩かれる。
一組ではこれが日常化していた。


どうやら、今日は学年別トーナメントの説明をしていたようだ。
麗矢はこれに出る気がない。
前回のクラス対抗戦の時は、とりあえずといった感じで侵入機の始末をやっていたが、今回はそんなことはしない。だって、暑いし、面倒だから。


「夜神鳥、お前は参加しろ。」


いきなり、麗矢の名前が呼ばれ、学年トーナメントへの参加が決められた。
麗矢が望む自由ではない。命令されるのは嫌いなのに。


「ちょっ、何でですか! 納得が出来ません。俺が納得できるように説明してください!」


バアン!と机を叩いて立ち上がった麗矢がいつにもまして感情を露わにし、声を張り上げる。
なんだか、必死そうに見える。


「お前はISのデータをこちらに提出していない。前回はアクセスが出来なかったのでな、今回も参加してもらうぞ。」
「そんなもの勝手に抜き取ればいいじゃないですか。」
「……お前のISは戦闘中じゃなきゃアクセスが出来ない。」


麗矢は力が抜けたように椅子に座り、もたれる。
あれは要するにある程度自由にしているんだから、これぐらいの行事には参加しろ。ということなのだろう。
せっかく面倒事から逃げられると思った矢先のことである。
そんな麗矢に追い打ちをかけるように、空は青かった。


「…………ハアッ。」


そんな青い空を窓越しに眺めながらため息をついた。


      ◯


何とか今日一日の授業を切り抜けた麗矢は、アリーナへ向かっていた。
理由としては、ラウラ・ボーデヴィッヒの存在。
あいつは何かと一夏を敵対視している。
一夏を殺しかねないからこうして護衛対象のもとへと向かっている。


ピットについた麗矢はすぐさまカタパルトヘ向かう。
麗矢は愚痴りたい。――――どうして俺の予想は外れないのか、と。
音速で割り込みに向かう。


「うそ、あれってドイツの第三世代機じゃない?」
「本当だ、まだ本国でのトライアル段階って聞いていたけど……」


麗矢はいら立っていた。
どうして目の敵にされているあいつは何にも行動をとらないんだと。
一夏が気に入らない。
自分が努力しているから、俺は強くなった。――――それは大きな間違いだ。


確かに自分が努力して頑張ったからというのも一つだが、それではまだ足りない。
自分の感情を表に出すときや、逆に抑える時を見極めなければならない。
ISを展開したまま、俺は戦わないといっても相手は聞く耳を持たない。解除してその場から去ることが一番いいのだ。生身の相手にはISで攻撃してはいけないから。


今がそれを実行する時である。


――ガキィン!!


甲高い音が響き渡る。
麗矢がラウラと一夏の間に入り、ラウラが放った砲弾を弾いた音だ。
麗矢の後ろにはシャルルがいる。同じようにして庇おうとしたのか。


「――――貴様ぁっ!!」


ラウラが瞬時加速をして、麗矢に一直線に向かってくる。
麗矢はショットガンを高速展開し、一発ラウラに放つ。怯んだラウラに一気に接近して、体勢を崩し、地面に押し付ける。
それから、ショットガンから高速切換《ラピット・スイッチ》したブレード――――クラス代表戦の時に侵入してきた無人機との戦いで用いた長さ90センチほどのブレード《デスクトラクター》である――――をラウラの首に押し付けた。


「動くな。……今日はもう下がれ、今焦る必要はない。」


通信を使うことなく、直接言葉で言う麗矢。
これは会話を聞かれたくないからこうしている。
今、ラウラとの関係があらわになると、後のことを考えるとあまり好ましくない状況になりかねない。


ラウラは歯嚙みをして、もがくも麗矢に強く抑えられ、仕方がないといったように大人しくISを解除した。
それを見た麗矢は立ち上がり、ラウラを開放した。


「どうして止める。お前と同じ目的なのに。」
「下がれと言っているんだ……!」


ラウラは冷静になったのか先ほどの乱暴な言葉づかいではなくなっていた。
麗矢はいら立ち、今にも掴み掛ってきそうな勢いでラウラに言う。
そんな麗矢の様子にラウラは何も言えなくなり、静かに帰っていった。だが、まだ一夏を目の敵にしているだろう。
先のことを考えると、嫌になってくる。


「……?」


視線を感じる。
見ると一夏をはじめとする五人が麗矢を見ていた。しかもセシリアは何か黒いオーラを上げている。


「麗矢、お前って結構大胆なんだな。」
「麗矢さん! あの方と一体どんな関係なんですか!?」


……本当に嫌になってくる。
どうしてそういう話に飛躍してしまうのか、麗矢には理解が出来ない。
そんなものは不要だ。いらない。


「…………」


無言のまま去る。
脳裏に何かちりちりするものを感じながら。


 
 

 
後書き

セシリアは麗矢。だが、鈴は一夏だっ!!




 
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