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仮面ライダー エターナルインフィニティ

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第三十七話 感じられるから人間なんだよその九

「それで思いきりぶつかってけ。わかったな」
「わかりました。あの、乾さん」
 さやかはまだ泣いていた。それでも何とか波子を動かしながら乾に言ってきた。
「今日は本当に」
「御礼なんていいからな。とにかくな」
「このおうどんを食べてですね」
「行って来い。いいな」
「はい・・・・・・」
 こう話してだ。そのうえでだ。 
 さやかは泣き止んでうどんを食べた。その頃には乾のうどんも冷えていた。
 そのうどんをだ。乾はようやく口の中に入れてから言った。
「成程な」
「美味しいですか?」
「ああ、美味い」
 うどんを噛みながらだ。乾はさやかに答えた。
「こしがあるな」
「かなり冷えてますけれど」
「冷えてても美味いもんは美味いんだよ」
 乾は強い声でさやかに言い切った。
「そういうものなんだよ」
「そうだよ。まあとにかくな」
「とにかく?」
「まだ何か食うか?」
 鍋焼きうどん以外のメニューについてもだ。乾は尋ねたのである。
「何でもいいから食えよ。金のことは気にするな」
「そうしていいんですか」
「それで腹一杯食ったら行け」
「あいつのところに」
「それで思いきりぶつかってけ。いいな」
「はい、わかりました」
 さやかはようやく微笑みになった。そしてその微笑みでだ。乾にこう言った。
「じゃああいつに。あたしの気持ちを」
「これで言えるよな」
「はい、言えます」
「それなら行けよ。そして言う為にな」
「ここで力をつける為にも」
「腹一杯食ってけ。金のことは気にするな」
「わかりました。それじゃあ」
 さやかはさやからしい、明るい笑みになってそのうえで乾に答えた。そうしてだった。
 とにかく手当たり次第に頼んで飲み食いしてだ。とにかく腹一杯になるまで食った。そのうえで彼女が行くべき場所に行ったのだった。
 その後でだ。乾は菊地屋でだ。少し憮然とした顔で腕を組んでこう言っていた。
「確かに金のことは心配するなって言ったけれどな」
「あれからどうなったの?」
「鍋焼きうどんにな」
 まずはだ。彼が頼んだそれからだった。
「それからな」
「さやかちゃんそれから何頼んだの?」
「まずはカツ丼でな」
 さやかは鍋焼きうどんの次にはそれを頼んだというのだ。
「それとな。ざるそばに天丼にな」
「また一セットだったんだ」
「そこからきつねうどんに親子丼、たぬきそばに牛丼だよ」
「また随分食べたね、さやかちゃん」
「サイダーも頼んだしな。デザートはあんみつだったな」
「で、お金は全部たっ君が払ったんだ」
「あんなに食うとは思わなかったんだよ」
 啖呵は切った。しかしだった。
「一体どれだけ食うんだって思ったさ」
「うん、さやかは食べるよ」
 乾が座るテーブルの上からだ。キュウべえが言ってきた。
「それこそね。三人分はね」
「あれは四人分あったぞ」
「だから。食べる娘だから」
「普段からあんなのかよ」
「育ち盛りみたいだしね。特にね」
「特に。何だよ」
「確か君は喜多村屋に行ったんだよね」
 店にもだ。問題があったというのだ。
「あそこはさやかのお気に入りの店でね」
「そう言われたから行ったんだよ」
「さやかはあそこではとりわけ食べるんだ」
「だから四人分食ったのかよ」
「そうだよ。けれどだよね」
「ああ、あいつは元気になったからな」
 そのことはだ。間違いないというのだ。
 
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