八条学園騒動記
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第二十話 転校生は美少女だけれどその四
「私の従者ですので。非常に心優しい者達です」
「いや、そういう問題じゃないような」
「そうよねえ」
皆そうは言うが何と言っていいのかわからないのだ。そもそも学校の中に従者を連れて来る人間なぞ今までいなかったのだ。そこも破天荒な話であった。セーラは気付いてはいないが。
「何か」
「けれど」
だが口ではどうしても説明できない。結局そのまま話は進みセーラはクラスの一員になった。だがその後ろには常にラムダスとベッキーが控えていてかなり異様であった。
セーラはかなり優しくて穏やかな性格であった。それだけではなく勉強もできたしスポーツもよかった。まずは非の打ち所の無い性格であった。しかし」
「ううん」
クラスメイト達の戸惑いはまだあった。
「噂には聞いていたけれど」
「あれがマウリアなのね」
皆お昼に唸ってしまっていた。
見ればセーラは従者を後ろにして楽しく食事を採っている。その食事は豪勢なフルコースであった。
わざわざシェフが学校にまで来てセーラがそれを食べているのだ。学校の中にあるとは思えない異様な光景であった。
「ここ、学校なのよね」
ダイアナが首を傾げて言った。
「レストランじゃなくて」
「そうよ」
それに蝉玉が答える。
「言うまでもないじゃない」
「そうよね。じゃあ」
「私も目の前のことが信じられないのよ」
蝉玉はコメントを断った。
「そもそもどっから出て来たのよあの人達」
「さっきベッキーさんが何か得体の知れない言葉囁いていたけれど」
スターリングがそれに注釈を入れる。
「それじゃないかな」
「妖術で呼び寄せたのね」
「もう何が何だか」
「如何でしょうか、お嬢様」
これまた何処からか現われたh執事がセーラに尋ねてきていた。
「今回の食事は」
「非常によろしくてよ」
セーラはそれににこりと笑って返す。
「特にこの鶏肉の煮込み具合が」
「はい、昨夜から仕込んでいたそうです」
「そう、それでなのね」
「昨夜から!?」
「ちょっと待てよ、おい」
クラスの面々はそれを聞いてまた顔を顰めさせる。
「一体どういう時間になってるんだ!?」
「確かセーラさん転校してきたのって今日だし」
「いや、昨日から用意していたんだろ」
「けれどよ」
「それではお嬢様」
皆のそんな話をよそにセーラと執事は食事でのやり取りを続ける。
「デザートは何を」
「アイスクリームがいいわね」
最後はデザートであった。
「そうね。バニラがいいわ」
「畏まりました。それでは」
「どっからアイスクリーム出て来ると思う?」
「さあ」
もう皆どうでもよくなってきていた。
話しているうちに急にアイスクリームが出て来ていた。銀の皿に乗って奇麗なデコレーションまで為されている。急に出て来たのだ。
「こちらですね」
「ええ」
相変わらずセーラと執事のやり取りは続く。
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