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八条学園騒動記

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第百二十三話 またまた登場迷探偵その六


「ラビニアって愉快犯じゃないわよね」
「っていうか真っ向からしてくるわよね、いつも」
「そう、それよ」
 アンの目が光った。
「そこなのよ。それにこんな訳のわからないこともないでしょ?」
「確かに」
 ルビーはアンの言葉に頷いた。
「正直これって訳わからないわよね」
「そう、訳がわからないのよ」
 アンは述べながら顔を顰めさせた。
「何が何だかね」
「目的も理由もわからないし」
 ルビーも考える顔になっていた。アンと動きがシンクロしていた。
「少なくともラビニアのやり方じゃないわよね」
「そうだよな」
 そのラビニアととりわけ因縁深いフックも言った。
「あいつにしちゃ。ちょっとな」
「でしょう?だから絶対に違うわ」
 アンはフックに対して述べながら一つの結論を出したのだった。
「ラビニアは違うわ」
「違うか」
「そう。当然ミンチン先生でもなし」
 まだ姿を現わさないこのクラスの敵の一人である。
「というかあの先生落書き大嫌いだし」
「そうそう、あの婆さんといったら」
「もう落書き見たらその場でモップ出して消しだすし」
 これもかなりと言えばかなりである。やはりこのクラスの敵だけあって尋常ではないものがある。はっきり言えば奇人変人である。
「その後で俺達怒るよな」
「じゃあ違うな」
「そうね」
「ミンチン先生も消えたな」
 ここでまた一人容疑者が消えたのだった。
「結局のところ」
「じゃあ一体誰が?」
「何の為に?」
 容疑者が消えてもだった。まだ誰かなのかが問題になるのは変わらない。容疑者が消えていっても犯人が消えたわけではないのだから。
「愉快犯っぽけれどそれにしても」
「誰なのかしら」
「そう、誰かなのよ」
 アンの顔は深刻なままだった。その深刻な顔でクラスの中を歩き回っている。
「問題はね。誰かなのよ」
「それと目的よね」
 ルビーも言う。
「何時やったのかも問題だけれど」
「それは調べられるわ」
 ここで出て来たのはアンジェレッタだった。小さい身体をすっと出してきた。
「私に任せて」
「アンジェレッタ?」
「どうやって調べるの?」
「これを使うのよ」
 そう言って懐から出してきたのはいつも通り薬だった。
「これをこの落書きのチョークの部分に塗るの」
「ええ」
「それでわかるの?」
「一時間以内だったら何もないわ」
 アンジェレッタはまず言った。
「一時間以内ならね」
「何もないの」
「そう、何もないの」
 また言うアンジェレッタだった。
「一時間以内ならね。ただし」
「ただし?」
「それ以上だったら黒く変色するわ」
 こう言うのであった。
「三時間以上なら赤く」
「赤に」
「五時間以上だったら青」
 時間により色が変わるらしい。 
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