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IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~

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number-10 fight fiercely

 
前書き

激戦する。



この場合は、織斑一夏。鳳鈴音。夜神鳥麗矢。


 

 


織斑一夏は一回戦で鳳鈴音と戦っていた。


最初は鈴ペースで戦いが進んでいく。
中国の三世代兵器『衝撃砲』を使われ、見えない弾に翻弄される。
だが、一夏には手があった。


先日、千冬との訓練で教えてもらったこと、瞬時加速。
クラス代表決定戦と時に麗矢がセシリア戦で最初に使った技。
それを叩きこまれ、成功率は高くないものの一応使えるまでになっていた。だが――――
チャンスは一度きり、しかも一回使ったら警戒され聞かなくなる。


「くっ……。」


歯噛みをしながらも何とか避けていく一夏。
なかなか当たらないことにイライラし始め、遂に一夏に隙を見せてしまう。


その隙を見逃すほど一夏もバカではない。
一気に瞬時加速を使い、鈴に迫る。――――その時であった。


――ドッゴオオオオォォォォン!!!!


巨大な爆音とともにアリーナのシールドを突き破って何かが侵入してきたのは。


――ドコオオン! ドオオン!


それに続く様にして二つ、また音が響く。
そのあとから一機のISが入ってくる。
それは麗矢であった。


『おいっ! そっちの一体は任せるぞっ!!』


麗矢の声が開放通信から聞こえてくる。
一夏はそれを聞いて、真耶からの通信を切り、鈴に準備はいいかと問う。
鈴はいいわよと麗矢に任された一機を見据えながら答える。
二機は一気に殺到した。


そのころ麗矢は、二機を相手に一人奮闘していた。


「くっ、はっ、りゃあああっ!!」


声を上げつつ、二機の侵入機が繰り出してくるビームやブレードによる攻撃を躱して、カウンターを繰り出していく。
麗矢は無人機と検討をつけていた。
プログラムで動くそれらの間に常に位置取り、戦い続ける。
片方が放ったビームを麗矢が避けることによってもう片方の無人機に当たる。
二機が並ばないように誘導しながら、一方だけを狙っていく。


――――くっそ……


麗矢の武装はウェイトのあるものが多い。
超電磁砲は使えないし、こんなところで翼を展開するわけにはいかない。
また、左腕には重りをつけたままである。
近接武装も刀身が長いモノしかない。
唯一展開している近接ブレードも1メートルないのだ。


セシリア戦で展開していた《スラッシャー》は2メートルに及ぶ。
むろん距離を取れば使えるのだが、そうすると周りに被害が及んでしまうかもしれない。


『一夏っ!!!』


いきなりアリーナに箒の声が響き渡った。
その声に反応した無人機二体が振り向く。
今、あのアリーナ放送室に攻撃させるわけにはいかない。三機の無人機は、人を塵にできるほどの出力を持つ。
簡単に人は死んでしまう。


――――本当に面倒事を増やしてくれるっ!!


ちんたらやっているとジリ貧である。埒が明かない。
一気に加速して、ブレードを一体のコアがあるであろう所に突き刺す。
運よくコアに刺さり、爆散する。


一機倒した油断から、もう一機から放たれるビームに気付くのが遅れた。
そのまま避けようとしたが、後ろに鈴がいた。こちらに気付く様子はない。


「ああっ、もう!」


麗矢はブレードを前に突出し、それに逸らせる。
何とか流し、鈴の近くに着弾する。だが、鈴にダメージはない。


ひとまず安心し、気を取り直して残りの一機の始末にかかる。
一夏のほうは終わったようだが、一夏が気絶して、鈴に抱きかかえられていた。


どうやらシャッターのクラッキングが終わったようで突入部隊がアリーナ内に入ってきた。
しかし麗矢には、それに目を向ける暇がない。
いきなり、無人機の動きがよくなったのだ。まるで誰かが操縦しているみたいに。
もう犯人の目星もついているが、今はこいつに集中する。


「せあああっ!!!」


もう一対一である。
遠慮なしに武装を展開する。両手に《スラッシャー》をだし、二本の剣を巧みに使い攻め立てる。
だが、あいつも二本展開して捌いていく。


(エネルギー収束率――――23%)


攻撃と同時に超電磁砲にエネルギーを溜めていく。
麗矢はこれで決着をつけるつもりのようだ。


左手の重りを外し、抑える物がなくなった麗矢は加速する。
あいつ――――識別名判明。《ゴーレム》――――も無骨なフォルムから流動的なフォルムになった。
戦いは一気に高速機動戦に。


(エネルギー収束率――――47%)


      ◯


「さっすが、れーくん! やっぱり強いねー。」


閉塞的な空間の中に一人の女性がいた。
その女性は不思議な服を着て、頭にウサミミをつけていた。
忙しなく両手を動かし、キーボードを叩いている。


三つ並んでいるモニターには今、IS学園で起こっている事件が映し出されている。
真ん中の一枚には麗矢がブレードをモニターに向かって振り下ろすところだった。


その女性、見る人が見ればだれかすぐにわかる。篠ノ之束である。
彼女は本気で動かしている。
実際に動かすとなれば、体力がないためすぐに疲れて動けなくなるだろう。しかし、タイピングである。束に勝てる者はいないだろう。
戦いは互角。


束はいつになく真剣にモニターと向かっていた。


      ◯


――――絶対これ束が動かしているだろ……


半ば確信している麗矢。
麗矢がここまで本気で戦ったのはいつ以来だろうか。
ここ、二年ぐらいは手を抜いていた。
ISの開発者で互角、これが今の麗矢の実力である。


(エネルギー収束率――――81%)


もうすぐ超電磁砲のチャージが終わる。
ゴーレムを動かしているのが束である場合、避けられる可能性があるが……気にしないことにした。


もう、千回切り結んでいるかもしれない。時々掠ったりするダメージで、じりじり減ってきている。
いつもは絶対防御を展開しない麗矢も今回ばかりは展開していた。


周りはこの戦いをハイパーセンサーでようやく捉えられていることだろう。今、麗矢とゴーレムの戦いの最低速度は、一般のISの瞬時加速ぐらいの速度である。
教師たちも介入しようとすると、逆に翻弄され、ダメージを受け落とされるだけ。それか、フレンドリーファイアをしてしまうかもしれない。


(エネルギー収束率――――100%)


この戦いももう終わりである。
ようやく終わる。
もっとこのじりじりするこの感覚を味わっていたいとも思ったが、疲れた。


麗矢は超電磁砲を前に出す。
砲身には紫電が迸っている。
ゴーレムは距離を取ろうと後ろに下がるが、麗矢がそうはさせない。
背部装甲についている六つのブースターで瞬時加速を連続して行う。三連瞬時加速。《トリプルイグニッション・ブースト》


限界まで接近して一気に放つ。
音速を超える砲弾は一瞬にしてゴーレムのもとへ


爆音と強烈な強風、爆発。


塵一つ残すことなく、消し去った。


あの激戦は、アリーナのシールドを削り切った。甲高い音を立てて、シールドが割れて粒子となっていく。

幸い、生徒に被害が及ぶことなく、けが人は織斑一夏だけだった。


『報告しろ。』


秘匿通信に千冬から通信が入る。どうやら、何も情報が入っていないようだ。
少しは休ませてほしいと内心愚痴りながら、報告を始める。


『報告――――。
進入路の予測をし、アリーナ上空にてISを展開して待機。
数分後、三機の無人機が飛来、二機の注意は引きつけるも一機突破され、アリーナに侵入。
一機を織斑と鳳に任せ、残り二機を俺が。
俺が一機撃破の後織斑たちも撃破。
残り一機の時、おそらく独立駆動から遠隔操作に変更されたと思われます。
そして、そのまま超電磁砲で消滅させました。――――以上です。』


『…………分かった。ご苦労だったな。』


通信を切る。
アリーナには二機の撃墜された無人機と突入部隊、それに麗矢。
いつの間にか一夏と鈴はどこかに消えていた。


「…………あ。」


体がふら付き、倒れそうになる。
だが、倒れることはなかった。隣でISを展開した楯無が支えてくれていた。


「ほら、ISを解除しなさい。」


お母さんのような口調だった。
麗矢はISを解除し、ISは待機状態――――麗矢の場合はブレスレット――――になる。


「心配したんだからね。また、麗矢がどこかへ行っちゃうと思ったんだから……」


楯無の口からそんなことが聞けるとは思わなかった。
嬉しくなった。


麗矢は楯無に肩を借りながら医務室へ向かう。
楯無は麗矢の安全を確認して、安心した。


医務室に麗矢を寝かせ、楯無は事件の事後処理へ向かった。
疲れた麗矢は寝かせてもらう。
隣で一夏が寝ていたことには気づかなかった。


      ◯


「んふふふー。」


空間に笑い声が響く。
束がキーボードを打ちながら笑っていた。


「早く会いたいよ、れーくん。」


束はいつ会いに行こうかと未来のことに思いをはせつつ、タイピングをつつける。
その時は何かあげようと決めながら。


      ◯


鈴は医務室のベットに寝ている麗矢のもとにいた。
寝ていて意識はないだろうが、今でないと言えない気がしたのだ。


「聞いて、麗矢。あたしね、やっぱり一夏が好き。今日、改めてそう思ったの。……これだけだから、じゃあね。」


鈴は医務室から出ていく。
それを確認してから麗矢は目を開けた。――――起きていたのである。
小さく呟く。


「それがお前の想いなら、別に何も言わないさ……。」


呟いた言葉は夕暮れの空に吸い込まれて、消えた。


 
 

 
後書き
こんなに長いと……疲れる。


一万文字なんて無理。 
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