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八条学園騒動記

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第百八話 騒動が終わってその三


「一つ気になることがあるんだけれど」
「どうしたの?セディ」
 コゼットがその彼に問う。
「気になることって」
「コスモさんは?」
 彼が言うのはこのことだった。
「コスモさん何処行ったのかな」
「あれっ!?そういえば」
「何時の間に」 
 皆もセドリックのこの言葉でふと気付いた。見ればもう彼は何処にもいなかった。まるで煙が消えるかのように姿を消してしまっていたのだ。
「何処に行ったのかしら」
「消えたの?」
「諸君」
 そして急に一同の後ろから声が聞こえてきた。
「一体ここで何をしているんだ?」
「何をってそりゃ」
「ずっとことの成り行きを見ていたんですけれど」
 その後ろからの声に対して振り向くことなく答える。
「他に何があるんですか」
「まあ終わって何よりです」
「終わったら帰ることだ」
 声はまた一同に対して告げてきた。
「わかったな。それでは」
「それではって」
「貴方、一体誰ですか?」
「私だ」
 皆が振り向くとそこには。あのロシュフォール先生がいた。白いスーツを端整に着こなして皆の後ろに静かに立っているのであった。
「生徒達がいるかどうか気になって来てみればな。やはりいたか」
「ロシュフォール先生!?」
「どうしてここに」
「それはこちらの台詞だ」 
 静かだが何処か芝居めいた先生の言葉だった。
「危険だ。天本博士は連合でSSS級のテロリストに認定されている」
「SSS級ですか」
「そうだ。あまりにも危険な存在だ」
 なお普通のランクではAAAが最高だ。アルファベットでAからZまででランク付けされている。しかしSだけは特別でAの上にランク付けされているのである。その中でSSSといえば途方もなく危険な存在と認識されているのだ。なおこれに位置付けられている人物は連合広しといえどこの天本博士とシャバキしかいない。
「決して近寄ってはいけないのだが」
「大丈夫ですよ」
「ねえ」
 しかし一同は平気な顔をしてこう言うのだった。
「セーラのバリアーと結界のおかげで」
「無事でした」
「無事であってもだ」
「駄目ってことですか?」
「早く避難することだ」
 有無を言わせぬ口調で述べる先生だった。
「わかったな」
「ちぇっ、わかりました」
「それじゃあ」
「放課後だ。家に帰るといい」
「それじゃあセーラのお家で」
「皆で遊びます」
 酒と食べ物からは決して離れることのない一同であった。
「それだといいですよね」
「お友達の家ですし」
「それは構わない」
 流石にそこまでは介入しない先生であった。
「では早く帰ることだな」
「わかりました。それで」
「さようなら、先生」
「うむ。この辺りは完全に閉鎖されている筈だ」
 博士が何をするかわからないからであるのは言うまでもない。街のど真ん中に平気で悪の研究所を設けている博士こそがとんでもないのではあるが。 
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