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八条学園騒動記

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第百六話 秩序その三


「チーズもだ!オムライスは完璧でなければならない!」
「何処の国のオムライスだ、それは」
「エウロパの貴族共が食うやつか?」
「あの連中がオムライスなんて食うかよ」
 警官達もやはりエウロパが嫌いなのだった。比較的反エウロパ感情がましな日本においてもこうだった。もっとも他の国はさらに酷いものだが。
「しかも十個は食わせろ!オムライスは神の料理だ!」
「ああ、わかったからな」
「じゃあざる蕎麦でも」
「ざる蕎麦!?」
 今度はざる蕎麦に対して異常な反応を示すシャバキだった。
「そう!ざる蕎麦は仏の食べ物!」
「お釈迦様ってインド人だったよな」
「ああ」
 今度は仏と言い出すシャバキであった。
「インドに蕎麦なんてあったか?」
「あの当時麺類なんてなかったろ」
「向こうのアニメじゃお釈迦様普通にうどん食べてなかったか?」
「マウリアじゃそんなのは普通なんだろ」
 何気に物凄いアニメを放送しているマウリアである。
「そのお釈迦様の生年だって百年は普通に開きがあるからな」
「わからん世界だよな」
「全くだ」
「っていうかマウリア人蕎麦食べたかな」
「カレーだろ、やっぱり」
 やはりインド人ならばカレーなのだった。
「何でそこで蕎麦なんだ?」
「しかもお釈迦様は予言は」
「見よ、蕎麦が天を舞う!」 
 またしても意味不明なことを叫びだす。
「これこそが仏の御意志!蕎麦を食べよと!」
「精進料理かね」
「さあ」
 どう考えても理解できない警官達だった。
「こりゃ蕎麦はまずいかな」
「多分な」
「じゃあ何にする?」
「カツ丼にするか?取調べでいつも頼むあれにな」
「あれか」 
 カツ丼と聞いて皆納得しかけた。
「じゃあそれにするか」
「ああ、そうだな」
「カツ丼・・・・・・」
 しかしシャバキはカツ丼に対しても反応を見せるのだった。実に面倒かつ悪質だ。しかし彼らしいと言えば彼らしい。いいことではないが。
「カツ丼は、カツ丼こそは」
「げっ、カツ丼も駄目なのか!?」
「ひょっとして」
「カツ丼は天命を受けた者の為の馳走だ!」
 今度はこれであった。
「天の意志!即ちカツ丼を食べる者は!」
「また騒ぎ出したよ、こいつは」
「食い物にすら発作があるんだな」
「ノストラダムスを倒す者!永遠の戦いにおいて最後の勝利を収める者!」
 マイケル=ムアコックめいたものまで入っていた。
「邪神アリオッチを倒す存在となる。法と混沌、全てを集結させるのだ!」
「ホークムーンらしいな」
「ああ。ストームブリンガーは関係ないか」
 その考えは甘かった。しかも実に。
「聖剣ストームブリンガーによって!全てを!」
「あれって聖剣か!?」
「魔剣だろ、どう見ても」
「なあ」
 人の大きさ程もある巨大な漆黒の禍々しい剣だ。一度主の手に持たれたならば人を斬らずにはいられない血に餓えた剣である。しかも斬った相手の魂をその中に収める。斬られた者はその時に例えようもない恐ろしい絶望を味わう。どう考えても魔剣である。
「悪の支配者アンリを倒す剣なのだ!」
「今さっきノストラダムスを倒すとか言ってなかったか?」
「っていうかノストラダムスを救世主とも言っていたよな」
 シャバキは過去は決して振り返ったりはしない。 
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