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八条学園騒動記

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第百二話 いざ集結その五


「もうね。一分前と言ってることが違ってたし」
「本人全然気付いていなかったわよね」
「それでまた取り押さえられて隔離されたし」
「もう無茶苦茶」
「それでよ」
 皆シャバキについて一通り話した後でテンボとジャッキーに顔を戻すのであった。
「どうしてその人が博士と闘うヒーローなの?」
「根拠は?」
「ここよ」
「ここだ」
 二人が指差したのはそれぞれの頭脳であった。
「ここにそれはある」
「あたしにはわかるのよ」
「わかるって何が?」
「何がわかるんだよ」
「全てがよ」
 ジャッキーは自信に満ちた顔で皆に答えたのだった。
「ありとあらゆることがね」
「本当だと思う?」
「まさか」
 当然彼女とテンボ以外そうは思っていなかったのだった。それも全く。
「いつものパターンだろうね」
「まあそうでしょうね」
「あのミステリーハンターは世を忍ぶ仮の姿」
 シャバキの職業が勝手に決められた。
「しかしその実態は」
「実態は!?」
「正義の味方ズババーンだったのよ」
 聞いたこともないヒーローが出て来た。
「特殊スーツを着て闘うあのヒーローだったのよ」
「ズババーンって何?」
「さあ」
 皆顔を見合わせる。当然誰も知らないヒーローだ。そんな名前のヒーローはとりあえずこのクラスの面々は誰も聞いたことがないものであった。
「架空のヒーローじゃないの?」
「絶対そうね」
「全知全能、万能のヒーロー」
 ジャッキーはこうまで言う。
「それがズババーンなのよ」
「何かな」
 ダンはここまでジャッキーの話を聞いたうえで首を捻りつつ述べた。
「ズババーンっていうとな」
「何だ?」
「ギター持っていそうな気がしないか」
 こうカムイに応える。
「俺のイメージだとな」
「ああ、そういえばそんな感じだな」
 カムイもダンのその言葉に頷くのだった。彼の話を聞いて同じイメージを抱くに至ったのである。しかもその理由もはっきりわかっていた。
「活傑って感じでな」
「そうだな。さすらいのヒーローてな」
「しかしシャバキはよ」
 カムイはさすらいのヒーローとシャバキの決定的な違いを指摘したのだった。
「さすらっていないぞ」
「ああ」
 ダンもまた頷く。
「そうだな。いつも精神病院に隔離されているからな」
「時々脱走するけれどな」
 そのうえでテレビ局に殴り込み番組をジャックしてノストラダムスや人類滅亡の序曲や他の知的生命体の存在を叫ぶのだ。やはり異常である。
「けれどあれとは違うな」
「そもそもヒーローか?あいつ」
 カムイの突っ込みは今回かなり容赦がなかった。
「ヒーローっていうよりはむしろ」
「いつも訳のわからないことをして助けられるキャラだな」
 それで博士が悪役である。まさにその通りの配役である。 
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