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八条学園騒動記

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第百二話 いざ集結その三


「あそこのマスターが多分改造人間なんだよ」
「脳の洗脳手術を受ける前に脱出したのよ」
 何処かで見たような話である。
「それで今ああしてひっそりと街にいながら」
「博士と戦っているのよ」
「とにかくだよ」
 ジミーは二人の話をなかったことにしてまた皆に言ってきた。
「少なくとも連合軍特殊部隊位はいざって時に待機してるんじゃないの?昔だったら日本軍とか」
「軍なのね」
「あの博士に対抗できるのってやっぱり」
 かなり不利であろうがそこしか対抗できそうな組織を思い浮かべることができないのであった。もっとも連合において連合軍は特撮ものでしょっちゅう怪獣に敗れているが。その見事な負けっぷりが市民達の脳裏に染み付いているのもまた哀しい現実である。
「軍隊しかないでしょ」
「それはそうだけれど」
「連合軍だからねえ」
 やはり市民にあまり頼りにされていない一面のある連合軍であった。彼等の認識では数は多いが戦闘になるとあまり頼りにならない強いとは決して言えない軍隊である。
「災害救助は得意だけれど」
「あの博士を止められないでしょ」
「日本軍もね」
 かつての日本軍も話に出た。連合軍が設立されるまでは当然ながら彼等が日本を守っていたのである。その詰襟の軍服が人気であった。
「強かったけれど数少なかったし」
「流石に博士相手には」
「ヒーローに協力していた」
 ここで仮説を出したのはトムであった。
「これならどうかな」
「協力!?」
「まあこれも特撮だけれどね」
 右手を自分の頭の後ろにやって苦笑いしつつ皆に述べる。
「よくあるじゃない。警察や軍隊がヒーローに協力してるのって」
「そういえばそうね」
「逆もあったりするけれど」
 その辺りは作品によって実に様々ではあった。
「そういうのが多いのは確かね」
「そうね」
「だから。どうかな」
 トムはさらに仮説を出してきた。
「ほら、うちの理事長さんって連合軍のトップだし」
「その辺りの工面はできるってこと?」
「そりゃ八条家ってかなりの力もあるけれど」
 日本はおろか連合全体で大きな力を持つ巨大グループである。この学園の理事長である八条義統はその家の長男であるのだ。
「有り得るかしら」
「それも」
「とにかくだよ」
 トムはさらに言う。
「そうした人がいていないとあの博士の相手は無理じゃない」
「確かに」
「何しろ災害と同じ様な人だから」
 だからこそ厄介なのである。
「何するかわからないしね」
「無茶苦茶するのだけはわかってるし」
「けれどそういう人を相手にするのなら」
 皆も自然と答えが出て来た。
「ヒーローしかいないかしら」
「だとしたら一体」
「よし、わかったぞ!」
「あの人だわ!」
 またしてもテンボとジャッキーが出て来た。
「あの人って?」
「誰なのよ」
「決まってるだろ!」
「そうよ!」
 誰なのかと尋ねる皆に無茶苦茶な返事を送る。
「シャバキだ!」
「あの人しかいないじゃない!」
「シャバキって」
 皆その名前を聞いて一斉に顔を顰めさせるのであった。当然であった。 
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