| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条学園騒動記

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百話 天本破天荒博士その七


「皆だったらどうかしら。それでだと」
「皆か。そうだな」
 タムタムは今のジュデイの言葉に腕を組んだ。考える顔で。
「四人で駄目なら五十人だ」
「そうね。一本の矢も三本なら折れないわ」
 プリシラは日本の古い逸話を出してきた。毛利元就という戦国大名が三人の息子達に対して伝えたことであると言われている。伝説という説もあるが。
「ましてや五十本ならな」
「大丈夫ね」
「そうだね。多分」
 今一つ確信がない感じのローリーの言葉であった。
「いけると思うよ。ここで仮面ライダーとかウルトラマンがいてくれたら万全だけれどね」
「まあ正義のヒーローがいてくれるにこしたことはないけれど」 
 これについてはジュデイも同意はする。
「けれど。あれはテレビでの話だから」
「それは僕もわかってるよ」 
 それがわかっていないローリーでもなかった。流石に夢と現実の区別はついているのであった。
「流石にね」
「わかっているのならいいけれど」
「それでも。今回ばかりはねえ」
 言葉がぼやきになっていた。
「いてくれたらなあ、って本当に思うよ。やっぱり」
「正義の味方ね」
 プリシラが彼の言葉に応えてきた。
「今欲しいのは」
「いないのはわかってるって」
 ローリーはプリシラに対してもすぐに述べた。
「だから僕だって」
「正義の味方は期待するものじゃないわ」
 だがここで彼女はクールにこう言ってきたのだった。
「期待するものじゃないのよ」
「!?どういうこと?」
 ジュデイは今のプリシラの言葉に顔を向けてきた。
「期待するものじゃないって」
「自分がなるものよ」
 次にこう言うのだった。
「それはね」
「正義の味方はなるものなの」
「そうよ」
 また答えるプリシラだった。
「自分達がね。なるものなのよ」
「自分達がなるって」
 ローリーはプリシラの言葉に何か夢での言葉を聞いているような顔になった。その顔でまたプリシラに対して言葉を返すのだった。
「どういうことかな、それって」
「言ったままよ」
 言葉の返答は相変わらずの調子だった。やはりクールである。
「来てくれるのを期待するのじゃなくて自分達がなるのよ」
「立ち向かうってこと?」
「そうよ」
 答えはこれであった。クールな返答のそれだった。
「そういうことよ。わかってくれたわね」
「うん」
 ローリーはあらためてプリシラに対して言葉を返した。
「やっとね。そういうことだったんだ」
「ただし」
 だがここでプリシラは言葉を付け加えるのだった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧