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八条学園騒動記

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第九十七話 智には智でその二


「末端を調べても仕方ないわ。トップを狙うのよ」
「いきなり派手にやるのね」
「派手に?そうね」
 プリシラはその言葉に反応した。
「単刀直入を派手にやると言えばそうなるわね」
「そうなの」
「ええ、白い影はロシュフォール先生が全てを統括しているからあの先生さえ何とかすればいいのよ。あの先生を調べていけばね」
「わかったわ。けれどそれだと」
「一層警戒が必要なのはわかってるわ」
 プリシラはそれをはっきりと認識していた。
「下手に白い影の末端を狙うよりもね。遥かにね」
「じゃあ止めた方がいいんじゃ」
「ハイリスクハイリターン」
 プリシラの今度の言葉はこうだった。
「それよ」
「一気にいくのよ」
「いくのね」
「わかったわね。それでね」
「ええ、それで」
 ジュディはじっと身を乗り出してプリシラの話を聞くのだった。
「どうするの?具体的に」
「パソコンを調べる」
「無理よ」
 プリシラは一言でローリーの提案を却下した。
「それはね」
「無理なの」
「ロシュフォール先生よ。パソコンにどんなガード入れているのかわからないし」
「下手したら爆発とか?」
「有り得るわ」
 ローリーの冗談めいた言葉に真剣に答えてきた。
「だから止めておいた方がいいわ」
「死ぬ?」
「死ぬわ」
 また一言で恐ろしい言葉を出す。
「だから止めておくべきね」
「何か話がとんでもない方向になってきてない?」
 常識派のジュディにとっては今の流れはかなり狼狽するべきものだった。少なくとも普通の学校での話ではなくなってきた。もっとも最初からただの学校ではないが。
「死ぬって」
「元々白い影が普通じゃないからな」
 タムタムの言葉がここで出た。
「それは仕方がないな」
「そうなの」
「そうよ。だからそれを前提として話を進めていくのよ」
「ううん、学校の話じゃなくてスパイものになってきたわね」
「面白いかどうかっていうとどうなの?」
「命懸けね」
 面白いという返事ではなくこんな返事であった。
「正直なところ」
「ううん、困ったわね」
 ジュディはあらためて言う。
「けれど興味持ったし。それだからね」
「やるのね」
「やるわ。決めたらやるわ」
 プリシラの言葉ははっきりとしていた。
「絶対に成功させるわ」
「絶対になのね」
「既に策はあるわ」
 言葉がはっきりとしていた。
「この私の中にね」
「自信あるのね」
「あるから受けるのよ」
「そう。じゃあ」
「まずはね」
 お茶を一杯飲んだところで立ち上がるプリシラだった。
「行きましょう」
「行く!?ロシュフォール先生のところになのね」
「いえ、違うわ」
 それは違うというのだった。これはジュディにとってだけではなくタムタムやローリーにとっても意外な言葉だった。今のプリシラの言葉には二人も目をしばたかせている。 
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