八条学園騒動記
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第七十八話 カレー薀蓄その二
「ホットドックかハンバーガーでも」
「そうね。じゃあそれで」
「私はカップヌードルにしておくわ」
「カップヌードルにするの」
「ええ、カレーね」
七海はにこりと笑っていた。
「それにしておくわ」
「そういえば七海ってさ」
コゼットが自分のハンバーグサンドを食べながら七海に声をかけてきた。
「何?」
「カレー好きよね」
言うのはそこであった。
「前から見ていたら結構食べてるよね」
「ええ、好きよ」
七海自身もそれを認めてきた。
「だってね。子供の頃からずっと食べてきたし」
「日本人らしいわね」
「日本人らしい?」
「ええ。だってそうじゃない」
コゼットはここで七海にあえて日本人らしいと言ったがそれにはれっきとした根拠があった。それは日本人にとっては意外なものであった。
「日本人って何かあればカレー食べるし」
「それってマウリア人じゃないの?」
七海だけでなく日本人にとってはこう感じるものである。彼等にしてみればカレーはあくまでマウリアの料理でありまたそんなに食べているという意識もあまりない。
「カレーっていえば」
「何言ってるのよ」
今度はパレアナがコゼットに言ってきた。
「日本人が一番カレーを食べてるわよ」
「そうよね」
コゼットもそれに応えて頷く。
「何だかんだで」
「まあ私達も結構食べるけれど」
実際のところカレーは連合全体に広まっている料理だ。しかしそれは実を言えばマウリア人、かつてはインド人と呼ばれていた彼等が広めたものではなく日本人が広めたものなのである。しかし彼等はこれに関しても自覚がないのである。どうしても持てないでいるのだ。
「それでも日本人程じゃないわよね」
「そうよね」
二人はまた言い合うのだった。
「一週間に一回は絶対にカレーを食べてるし」
「そうよね」
「そんなに食べてるかしら」
ここでも七海には自覚がないのであった。
「私も」
「カレーライス一週間に一回は絶対に食べてるわよ」
「そうよ」
そんな彼女にまた二人が突っ込みを入れる。
「下手したら二回よ」
「少なくともカレーうどんとかそのカレーヌードル、あとカレーパンを入れたら」
「絶対に二回はいってるわよね」
「ううん」
そこまで言われて首を捻る七海であった。
「どうもそこまでは」
「彰子ちゃんも結構カレー食べるし」
「妹さんとね」
「何かカレーばっかりね」
話が黄色くなってきているように感じる。カレー色に。
「何か口の中が辛くなってきたわ」
「カレーのスパイスよね」
「絶対ね」
「ええ、そうよ」
七海はそれを否定できなかった。既に自動販売機でカップヌードルを注文してそこにお湯を入れていた。パレアナはハンバーガーを買って食べている。
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