八条学園騒動記
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第六十五話 セッティングその四
「並木道はセットも少しで」
「そういうことで」
ダイアナがウェンディの言葉に頷く。
「さて、それでいよいよだね」
ピーターがまた言う。
「最後のカフェは」
「ここよ」
ウェンディはそこを指摘するのだった。
「ここが問題。皆わかるわね」
「ええ」
「はっきりとね」
皆も彼女の言葉に答える。
「ここで決めるんだから」
「そういうふうに持って行くのね」
「そういうこと」
ウェンディはまた言う。
「あいつをそうした方向に持って行かないとね」
「いけるかな、そういうふうに」
マルコが腕を組んで述べる。
「あいつはわからないからな」
「そう、それが一番の問題」
ウェンディはまたそれを指摘する。
「あいつをそこまで止めるのとそこで言わせるのがね」
「コントロールするってことか」
マルコがまた言う。
「あいつを」
「一言で済むけれど実際にやるのは」
ウェンディも顔を顰めさせる。彼女もまた彼の突拍子もなさはよくわかっている。だからこそ頭を悩ませるのであった。ここで一言出たのだった。
「馬鹿と鋏は使いようだけれど」
「馬鹿にもよるよな」
「そういうこと」
またウェンディは言った。
「あいつはそういう馬鹿じゃないから」
「うちのクラスってそんな馬鹿ばかりだな」
マルコはあらためてそう思った。
「あいつといい洪童といい」
「それに」
ウェンディはちらりとある三人を見た。しかし彼等にはその自覚はない。完全に。
「燃えてきたぞ!」
フランツは勝手に騒いでいる。
「この俺が!あいつの恋を実らせてやる!」
「そうか」
タムタムがその彼に応える。
「ああ。父ちゃん、俺はやるぜ!」
「あいつもいる」
マルコは勝手に叫ぶそのフランツを指差して指摘した。
「そもそも何であそこで父ちゃんなんだ?」
「気にしなくていい」
それにタムタムが答える。
「いつものことだ」
「そうか。そうして」
後二人。子の二人も問題であった。
「あいつ等も」
「俺の灰色の頭脳の推理だとこの恋は」
「上手く行かない筈がないわね」
テンボとジャッキーもそこにいた。当然フランツと同じく数には入れられていない。
「そうだ。俺は予想する」
「あたしもよ」
「あの二人は放置してあるんでしょうね」
ダイアナがその二人を横目で見ながらウェンディに問う。
「してないと大変よ」
「わかってるわよ」
ウェンディも当たり前でしょ、と自分の顔に書いて答えた。
「真っ先に外したわよ」
「それはいいことね」
それを聞いて安心するダイアナであった。
「じゃあ邪魔者はもういないし」
「ええ。セッティングも事前のは全部済ませたし」
「後はその日になるだけ」
「じゃあそういうことで」
ピーターはここで話をまとめにかかってきた。
「話は決まりだね」
「ええ、それじゃあ」
「今日はこれまでで」
話が終わろうとしていた。
「解散でいいかな」
「ああ、こっちはな」
マルコが最初に彼に答えた。
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