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八条学園騒動記

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第六十一話 非常識一直線その三


「あの博士はマッドサイエンティストだから当然よ」
「だからなんだが」
「毒を以ってどころか猛毒なんだけれど」
 どうやらその博士というのはとことんまで危険な人物だと思われているようだ。少なくとも連合では何かあれば宇宙人の人類征服の序曲だの人類滅亡の序曲だのと騒ぎ遂には精神病院に隔離された御仁と同じレベルで言われているのだからまともである筈がないが。
「だから絶対に駄目よ」
「そうか」
「そうよ。他の方法じゃないと」
「そうは言われてもだ」
 どうやらアルフレドは他に案がないようであった。
「これといって」
「何でよ」
 ビアンカはそれを聞いてまた突っ込みを入れた。
「他に幾らでもあるじゃない」
「何かあるかな」
 本当にないようであった。
「その何かが」
「例えばカムイに彼女を見つけてあげるとか」
「おいおい、またそりゃ随分と」
 洪童がここで出て来た。
「カムイにだけ寛大だな」
「っていたの」
 ビアンカは今やっとその洪童に気付いた感じであった。
「見ないと思ったら」
「最初からいたぜ」
 洪童はそう彼女に突っ込みを返した。
「全く。俺を忘れちゃ困るな」
「忘れていたけれど言いたいことはわかるわ」
 嫌でもわかることであった。
「あれでしょ?彼女が欲しい」
「その通りだ」
 そういうことであった。
「カムイに彼女を紹介するんならな。俺だって」
「あんたも。諦めてなかったの」
「誰が諦めるんだよっ」
 ムキになって言い返してきた。
「俺だってな、彼女が欲しいんだ」
「ふんふん」
 ビアンカはそんな彼の言葉を腕を組んだまま頷いて聞く。とりあえず話は真面目に聞いているのはわかる。とりあえずは、であるが。
「だからだ。あいつに紹介するなら俺にだって」
「ちょっとあんたはねえ」
 そこでウェンディが言う。
「諦めなさい」
「おい、ウェンディ」
「何てきつい」
 皆今の彼女の言葉には思わず引いた。これも当然であった。
「何っ、それはどういう意味なんだ」
「今はカムイの話してるんだから」
 呆れた調子で彼に述べるのだった。
「あんたは今度。いいわね」
「今度か」
「そう、今度ね」
 話を上手く進ませて洪童を話の外へやっていた。
「今度があるから。今はね」
「仕方ないな」
 彼もそれに納得する。上手いこと誘導されているとは気付いていない。ここはウェンディの方がずっと上手であった。
「じゃあ今度な」
「ええ。それでね」
 ウェンディは洪童を退けて無事カムイの話に入った。
「カムイよね、問題は」
「ええ」
「どうするか」
 それであった。話はそこなのだ。
「彼女っていってもねえ」
「知ってる娘いるの?」
「全然」
 ビアンカへの返答はあまりにも素っ気無いものであった。
「私の知り合い皆彼氏持ちよ。結婚してるのもいるし」
「結婚って」
 高校生で結婚なのかと。法律的にはいいが流石にこれには皆引いた。 
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