仮面ライダー エターナルインフィニティ
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第三十四話 クローズドミラーその十二
「何時何処から出てくるかわからないから怖いんだよ」
「出て来る方向がわかっていればですね」
「ああ、怖くないんだよ」
「後は時間ですね」
「それはあれですね」
半兵衛が言う。彼女もいるのだ。
「鏡に覆いをすればいいですね」
「そうなんだよ。モンスターってのは鏡から出入りするからな」
「その鏡を覆えばですね」
「それで出入りできないんだよ」
そうなるというのだ。
「だから。時間まで覆っているとさ」
「モンスターも出られない」
「そして他の出口も塞いでいるから」
「俺達が全員ここに集って覆いを取ればな」
この闘技場の鏡のだ。それをすればだというのだ。
「一気に出て来る。出られなかった分余計に」
「ううん、本当に考えたましたね」
愛子もだ。この策には唸っていた。
「ゲリラ戦で来るならゲリラ戦をさせないんですね」
「そういうことなんだよ」
佐野もいた。彼も自分から鏡を運んでいる。
「そうすればいいんだよ」
「時間までこちらで決めて」
「そうして」
「まあ。俺達もモンスターと戦って長いからさ」
だからだとだ。佐野は笑いながら愛子に話した。
「色々とわかってるんだよ」
「そういうことですね」
翔子もだ。鏡を置きながら言った。
「作戦ですね」
「うん。ただ、本当にさ」
佐野は鏡を運びながらだ。首を捻ってもきた。
そしてだ。こうも言ったのだった。
「今回スサノオ出て来ないからなあ」
「それ、案外ないことなんですね」
レスターが佐野に問うた。
「俺、今回でまだ二度目ですからよくわからないですけれど」
「うん、スサノオって出て来る時は出て来るからね」
「けれど今回はまだ出て来ないのは」
「明らかに何か仕組んでるんだよなあ」
佐野の言葉はここではぼやく感じだった。
「ただ、問題はそれが何かでさ」
「そこがわからないのもな」
ニックは鏡を幾つも運んでいた。その持ち前のパワーでだ。
「焦るな」
「ああ、焦ったら負けるからね」
芝浦はこのことはちゃんと言った。
「そのことは用心しておいてくれよ」
「そうですね。それは確かに」
この言葉に頷いたのは利光だった。
「焦れば。こちらに隙ができますから」
「だから皆焦らない様に頼むよ」
芝浦はまた言った。
「ゲームをする感覚でリラックスすればいいんだよ」
「リラックス、ですか」
そう聞いてだ。クレオは。半ば無意識のうちに鋭い顔になってだ。そしてそのうえでだ。芝浦に対してこんなことを言ったのだった。
「じゃあちょっとボクシングをする感じでいきます」
「おい、そこでボクシングか?」
「はい、やっぱり私はそれがゲームですから」
「まあ。ゲームはゲームだけれどね」
芝浦もこのことは否定しなかった。
「それでも。何か違うんだよ」
「違うとは」
「あれだろ?ゲームはゲームセンターとかプレステでやるものだろ」
ゲーマーとしての言葉だった。彼はそちらでもプロなのだ。
「それでボクシングってのはな」
「スポーツは駄目ですか?」
「だから別にいいけれどさ。俺の感覚じゃないんだよな」
それ故の言葉だった。
「ゲームっていうと」
「ううん、ならです」
「それなら?」
「漫画は駄目でしょうか」
何故かこう言うクレオだった。
「私は漫画も好きで」
「そういえばそんなこと誰か言ってたかな」
「はい、漫画で例えると」
「ちょっと難しいな。漫画って」
「どうなるでしょうか」
「好きな漫画を読む気分になるかな?」
首を捻りながらだ。芝浦はクレオにこう返した。
「まあリラックスして。下手に緊張せずにさ」
「戦えばいいのですね」
「うん、そういうこと」
芝浦はクレオに何とか話せた。
「それでいけばいいから。リラックスが大事なんだよ。それでだ」
「それで?」
「クレオちゃんどんな漫画が好きなんだよ」
ふと気になってだ。このことを尋ねたのである。
「漫画って言っても色々あるぜ。具体的にはどんな漫画なんだよ」
「それは」
「それは?」
「恋愛漫画ですが」
「恋愛漫画!?」
「はい、そうです」
顔を赤らめさせて恥ずかしそうに俯いてだ。クレオは芝浦に答えた。
「それが好きです」
「そうなんだ。意外だね」
「自分でもそう思いますが」
「けれどいいんじゃないか?」
「いいですか?私が恋愛漫画が好きでも」
「人それぞれだしさ。それに」
「それに?」
「男同士とかの漫画でない限りさ」
特に何も察することなしにだ。芝浦はこう言った。
「別にいいだろ」
「そ、そうですね」
何故かだ。ここでクレオは戸惑いを見せた。
そのうえでだ。こう芝浦に話した。
「そうした漫画でない限りは」
「人それぞれにしてもゲイってのは駄目なんだよ、俺」
「芝浦さんはですか」
「こっちの世界でヤマジュンとかがいてさ」
この漫画家の名前を出してだった。
「それでやらないかとかさ。こっちにはヤマジュンいるかい?」
「ヤマジュン?山川純一ですか?」
ここで言ってきたのはキャシーだった。
「その方ならいますけれど」
「そうそう、その人なんだよ」
「そちらの世界にもおられたのですか」
「そうだよ。あの漫画は怖いな」
芝浦はしみじみとしてこう言った。
「一回見てトラウマになったよ」
「そうなんですか」
「まあああいうのとか田亀源五郎とかでない限りはいいさ」
芝浦はかなり極端な例えを出した。
「じゃあ。とにかくさ」
「とにかく?」
「用意をするか」
こう言ってだ。芝浦はクレオ達と共に鏡を置いていくのだった。決戦の為に。
第三十四話 完
2012・3・12
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