IS インフィニット・ストラトス~転生者の想いは復讐とともに…………~
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number-7 Chinese girl
前書き
中国娘。
「一年一組のクラス代表は織斑一夏君に決まりました。一つながりでいいですねー。」
先日のクラス代表決定戦で決めたクラス代表。
一夏は納得がいかなかった。
どうして――――
「どうして俺がクラス代表なんですか! 勝ったのは麗矢でしょう!」
「その麗矢君が一夏君に譲るって私に言ってきたので、そう決まりました。」
えーっと肩を落とす一夏。
そして麗矢のほうに顔を向けるが、麗矢は外を眺めて話に入ってこなかった。
続けてセシリアを見るが、先日まであった刺々しさは無くなって、一人の年相応の少女になっている。
麗矢のほうをやさしく見ていた。
――パンパン
手を叩き、生徒の注意を引く千冬。
授業に入るようで、教科書を開くように言っていた。
一夏は渋々、決定に従いクラス代表になった。
◯
「ふーん。ここがIS学園ね。」
IS学園に入ってくる人影が一つ、夕日のもとに伸びていた。
その人物は長い茶髪の髪を二つにまとめ、ボストンバックを一つ持っている小柄な少女だった。
片手に学園の案内図を持っているようだが、良く分からずむしゃくしゃしていた。
「だからさ、それが良く分からないんだって。」
ふと少女のもとに聞きなれた声が聞こえてくる。
自分が恋した人。
物陰から顔を出して覗いてみる。
そこにいたのは昔と変わらない――――一年しか離れていないからだが――――どこか幼さを残した少年がいた。今すぐ顔を出したかったが、できなかった。
「何故分からないのだ。ちゃんと丁寧に教えてやっているのに。」
その思い人を肩を並べて歩く人物、しかも女子で笑い合っているのが気に入らない。
どうしてあんなに仲が良さそうなのか。
本来であればそこは私がいるべきなのに、と。
勝手な想像を入れながら、覗いていた少女はその場から離れ、事務局を目指す。
広い学園。
何度も道に迷いそうになりながら、ようやく事務局へただりついた。
そのころにはもう太陽は沈みかけて、事務局もあと30分で締まるというぎりぎりの時間だったが。
「鳳鈴音さん。IS学園へようこそ。」
「あの織斑一夏って何組か分かりますか?」
尋ねるが、それは個人の情報である、教えることはできないといわれる。
そのかわりにクラス代表になったことを事務の人は教えた。
「……二組の代表って分かります?」
知ってどうするのと聞かれた鈴音は青筋を浮かべつつ、答えた。
「変わってもらおうかなって。」
◯
クラス対抗戦が近くなってきたこの時期。
一年一組では代表になった一夏のもとにクラスメイトである女子たちがよって来ていた。
女子はデザートフリーパスを目指して頑張れと一夏に言うが、言われている本人はそれどころではなかった。期待されても困ると言ってはみるも、一夏君なら大丈夫だって、と謎の返しが来て困り果てていた。
そんな時だった。教室の前の扉が音を立てて開かれたのは。
「二組も専用機持ちが代表になったから、簡単にはいかないわよ!」
鳳鈴音が立っていた。
無い胸を張って、少しでも大きく見せようとするが、一夏にあっさりといつもと違うところを指摘され、挙句の果てに千冬に頭を叩かれた。
「逃げないでよ、一夏!」
捨て台詞に近い言葉を言って自分のクラスへと戻っていった。
嵐のような人であったが、相変わらず麗矢は無関心であった。
セシリアも自分の力を誇示しそうであったが……麗矢のおかげでそのあたりの性格も治っているようだ。
千冬が出席簿を振り下ろす。
それを横目に見ながらため息をついた麗矢。
――――頼むから、面倒事は起こさないでくれよ……
面倒事は極力避けたい麗矢の切実な願いであった。
だが、そういう時に限って悪いことばかり起きる。
昼時のことである。
午前の授業が終わり、昼食を食べる気になれなかった麗矢は教室でただボーっとしようとしていた。していたのだが……
「麗矢は何を食べるんだ?」
護衛対象である一夏に引っ張られて、強制的に食堂へ向かっている。
逃げたくても襟をつかまれて、逃げるに逃げられない。
面倒事は避けたい。織斑一夏と仲良くする気はない。
どちらの願いも叶えられていない。
ストレスが溜まっていくだけだ。
どうやら食堂へ着いたみたいだ。喧噪が一際大きく聞こえる。
そこには御盆にラーメンを載せて待っていた少女がいたが気にしない、
さて、困った。
実は麗矢はお金とカードは持たないのだ。
使う時にだけ持つのだが、今回は使うことはないと思って寮においてきた。
料理を作ってくれる人には悪いが……今日は出ていく。
「――――あっ。おっ、おいっ!!」
一夏が麗矢を引き留めようとするが、そのままどこか行ってしまった。
セシリアは平然を装っていたが、内心落ち込んでいた。
――――次こそは必ず。
後書き
俺、受験生なのに……何やってんだろ。
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