八条学園騒動記
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第二百七十六話 プロフェッサーその一
プロフェッサー
牧場の真ん中で燻製を食べ続ける四人にだ。兄ちゃんが話す。
「それで教授だけれどね」
「立派な方っていいますけれど」
「具体的にはどういう方ですか?」
「もうすぐ来るからね」
それでわかるというのである。
「その時にね」
「本当に世紀末覇者みたいな人じゃないですよね」
ここでまた言うのはアンだった。
「身長が五メートルあるとか」
「いや、それ人間じゃないから」
「けれど世紀末覇者は五メートルありましたよ」
「もっとあったかな」
兄ちゃんも言うのだった。世紀末覇者の大きさについてはだ。
「二十メートルあった時もあったし」
「拳で人吹き飛ばしてましたから」
もっと言えば叩き潰していた。拳で人をだ。
そのことからだ。兄ちゃんは言うのだった。
「それ位あったかな」
「ですから五メートル位は」
「教授は。何度も言うけれど」
「世紀末覇者ではないんですね」
「うん、人間だから」
純粋にだ。そうだというのだ。
「紛れもなくね」
「だからなんですか」
「特に怖がることもなくて」
「落ち着いて見ていればいいんですね」
「そう、怖がらなくてもいいよ」
兄ちゃんは四人にまた話す。
「特にね」
「だったらいいんですけれど」
「いや、本当に」
「何か誤解が解けないね」
黒王号を見る。やはり巨大な馬だ。この馬に乗るとなれば確かに巨大な者、それこそ巨人でなければ務まらないことがわかる。
その黒王号がいなないた。するとだ。
ダークパープルの作業服の背の高い白髪の男性が来た。背は高く肌の色は黒い。アボリジニーの顔をしている。その彼が来てだ。
兄ちゃんにだ。笑顔でこう言うのだった。
「私に会いたい子達はこの子達かな」
「はい、そうです」
兄ちゃんは四人に顔を向けて答える。
「この子達です」
「そうか。君達か」
彼は笑顔で四人に言ってきた。そうしてだった。
「私が八条大学農学部教授ジョナサン=ウルフだよ」
「ウルフ教授ですか」
「宜しくお願いします」
「うん、ちなみに国籍はトンガだよ」
教授は品のある笑顔で自分の国籍も話した。
「あの国の生まれなんだ」
「トンガっていいますと」
アンはトンガと聞いてすぐにこう言ったのだった。
「あのラグビーで有名な」
「そうだよ。僕はラグビーはしていないけれどね」
「教授はアメリカンフットボーラーなんだ」
そちらだというのだ。兄ちゃんが話す。
「そちらなんだ」
「フットボーラーですか」
アメリカ人のスターリングがだ。フットボールと聞いて反応を見せる。
「あれはいいですよね」
「むっ、君はアメリカ人かな」
「わかるんですか」
「うん、アメリカンフットボールと聞いて反応してきたからね」
だからだとだ。教授はにこりと笑ってスターリングに話す。
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