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八条学園騒動記

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第二百六十三話 琉球の音楽その六


「陛下は敬虔な仏教徒でもあられる」
「へえ、そうだったのか」
「ただ。国民の宗教はかなり多彩だな」
「仏教徒だけじゃないんだな」
「色々いるな。キリスト教もあれば仏教もあれば」
 そして他にはというと。
「エジプトやらケルトやらメソポタミアやら。各国の神話の神様も信じられているしな」
「じゃあ日本の神様もいるんだな」
「アイヌの神様もいるぞ」
 地球にあった頃は日本の北の端と南の端にそれぞれあったがそれでもだ。この時代では宗教では雑多な状況の中にあるのである。
「本当に色々だな」
「そうみたいだな」
「琉球の王様は仏教徒でならないといけないけれどな」
 ダンはこのことは絶対だと話す。
「それでも全部の宗教を保護しないといけないからな」
「信仰の自由だな」
 タムタムがそれだと指摘した。
「それだな」
「ああ、それだ」
 まさにだ。それだというのだ。
「琉球でもそれは守られている」
「まあ信仰の自由は連合だったら何処でもだしな」
 タムタムも言ったこのことは中央政府も各国も法で定めている。
「怪しいカルト教団はあってもな」
「あるからな、ああいう教団は」
「何処にもな」
 タムタムはダンにこう返す。
「あるからな」
「厄介なことにな」
「ああいう教団は別にしてな」
 とりあえずだ。例外というのだ。例外は何時でも何処でも存在している。
「信教は自由だからな」
「連合ではそうだな」
「けれど琉球の王様はか」
「絶対に仏教徒でないとけない」
 これは絶対だというのだ。
「それは絶対だ」
「そのうえで信仰の自由は守るか」
「そうしないといけない」
「成程な。そうした事情があるのか」
 そうした話をしながらだ。一行はその琉球音楽部の部室の前に来た。
 その扉はだ。ごく普通だった。
「普通だな」
「当然だがな」
 ダンがフランツに応える。
「相当胡散臭い部活でない限りはな」
「入り口は普通か」
「胡散臭い部活は扉から既に怪しい気配が漂う」
 ダンは言う。
「何かが違う」
「そして中に入ればだな」
「その怪しさが最高のものになる」
 そうなるというのだ。
「しかしこの部活にはそれがない」
「まともな部活か」
「とりあえずはそうだろうな」
 普通の部活だというのだ。
「部員も極端におかしな人間はいないな」
「じゃあ中に入ろう」
 それならばだとだ。タムタムがダンとフランツを誘う。そうしてだった。
 ダンがだ。左から右に開く扉を引いてだ。挨拶をした。
「はじめまして」
「あれっ、新入部員の人?」
「ひょっとして」
 彼が挨拶をするとだ。部室の中からだ。
 それぞれだ。男と女の声がしてきた。見ればそこにいるのは。
 何故かだ。テンボとジャッキーだった。二人の姿を見てだ。
 ダンはまずこう言った。
「怪しい気配はしなかったがな」
「まさかの展開だな」
 タムタムは言葉に表情を消して述べる。
「この二人がいるとはな」
「確か推理研究会だった筈だが」
「ああ、実はな」
「探しものを頼まれたのよ」
 それでいるとだ。二人は三人に答える。 
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