ハイスクールD×D 万死ヲ刻ム者
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第五十六話 祝宴
時は過ぎて行き8月16日。修行は昨日で終了していた。シトリー家のゲームは20日で、万全の状態で望む事を前提としていた。一誠は禁手に至らなかったが、体力やパワーは前よりも格段に上がっていた。
そして夕刻、一誠は駒王学園の制服に着て、そして闇慈はヴェネラナから貰った黒執事服を着ていた。今日は祝宴会があるらしくそのために待機していた。ここで聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「兵藤と黒神か?」
「匙君、どうしてここに?」
「会長がリアス先輩と一緒に会場入りするってんでついてきたんだ。で、会長はリアス先輩に会いに行っちまったし、仕方ないんで屋敷の中をウロウロしてたら、ここに出た」
匙は少し離れた席に座り、真剣な面持ちで言う。
「もうすぐゲームだな」
「そうだね」
「俺、鍛えたぜ?兵藤、黒神」
「俺達も鍛えた。ってか、山で毎日ドラゴンに追いかけられてた」
「そ、そうか。相変わらずハードな生き方してんな。まあ、俺も相当ハードなメニューこなしたけどな。話は変わるが先月、若手悪魔が集まった時のこと覚えているか?」
「あの若手集会のこと?」
「あれ、俺達は本気だ。俺は・・・せ、先生になるのが夢なんだ!」
「レーティングゲーム学校のか?」
一誠の問いに匙は紅潮しながらも真剣に話を進める。
ソーナは冥界にレーティングゲームの専門学校を設立しようとしており、悪魔なら身分格差関係なく受け入れる自由な学校にしたいと言う。誰でもレーティングゲームが出来るように、ソーナは人間界で猛勉強しているらしい。可能性がゼロに限りなく近くても、上級悪魔になれる事を信じてソーナと共に夢を叶えると匙は語ってくれた。
「素晴らしい心掛けだね、匙君。その夢が叶うと良いね」
「ああ、そのためにも今度お前達を倒さなきゃいけないんだけどな」
「あー、なるほど。ならダメだ。俺達が勝つさ!」
「いや、俺達だ。上にバカにされた以上、俺達は結果で見せなきゃいけない」
一誠と匙は眼は真剣なものの表情は笑いながら語っていた。
「イッセー、アンジ、お待たせ。あら、匙君も来ていたのね」
振り向くとドレスに着替えたリアス達がやって来た。朱乃も今日は西洋ドレスを装っていた。アーシア、ゼノヴィア、小猫の3人もドレスを着ていた。しかし・・・
「なんでお前までドレス姿なんだよ!」
男であるギャスパーも何故かドレスを着ていた。
「だ、だって、ドレス着たかったんだもん」
「もうギャスパーの女装癖はここまで来たら、もう称賛ものだよ」
闇慈がやれやれと言う表情を示していた。ソーナもリアス達より少し遅くに到着すると、一人の執事がやって来た。
「タンニーン様とそのご眷属の方々がいらっしゃいました」
庭に出てみると、タンニーンと同じサイズのドラゴンが十体もいた。
「来てやったぞ、兵藤一誠。黒神闇慈」
「うん!ありがとう、おっさん!」
「態々、ありがとうございます、タンニーン」
皆はタンニーンを含めたドラゴン達の背中に乗り、パーティ会場へと向かった。
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「あー、ちかれた」
「この人数に挨拶して回るのは、流石に堪えるよ・・・」
パーティ会場に着き、上級悪魔達との挨拶を終えた闇慈、一誠、アーシア、ギャスパーは隅っこの空いていたテーブルを囲みながら、イスに腰掛けた。慣れてないこともあるのか四人ともグッタリだった。ましてや『赤龍帝』や『黒衣の死神』の名前を持っている一誠と闇慈は注目の的だった。闇慈に至っては紳士的イケメンなので祐斗同様に、女性悪魔から手引きを受けた。
「じゃあ僕は何か飲み物を貰ってくるね」
闇慈は他の3人と一旦別れを告げると、様々なドリンクが置いてある所まで来た。
「さてと・・・何にしようかな」
「お久しぶりですわね。黒衣の死神さん」
闇慈はその声をする方を向くと金髪のツインロールが特徴のピンク色のドレスを装った少女が立っていた
「貴女は確か・・・ライザーの妹のレイヴェル・フェニックスさん」
「レーティングゲーム以来ですわね。相変わらずご活躍されているみたいですわね?」
立っていたのはリアスの元婚約者、ライザー・フェニックスの妹のレイヴェル・フェニックスだった。
「ライザーの事はイルちゃんとネルちゃんから聞きました。すみません・・・」
「貴方が気になさることはありませんわ。才能に頼って調子に乗っていましたから、お兄様にとって良い勉強になったはずですわ」
「(妹がそんな言い方して良いのかな?・・・まあ良いけど)それより貴女は今どうしているのですか?」
「それなら現在トレードを済ませて、今はお母さまの眷属と言う事になってますわ。お母さまが自分の持っていた未使用の駒と交換してくださったの。お母さまは眷属になりたい方を見つけたら、トレードしてくれるとおっしゃってくださいましたから、実質フリーのビショップですわ。お母さまはゲームしませんし」
ここで用語の説明に移る。『トレード』とはレーティングゲームのルールの1つで、キングである悪魔の間で自分の駒を交換出来る制度のことを言う。ただし同じ種類の駒である事が必須条件である。
「そんなことが出来たんですね。初耳です」
「あの、死神・・・」
「あのレイヴェルさん。僕のことは名前で呼んでくれませんか?その方が僕も嬉しいので」
「良いのですか!?」
レイヴェルはグイッと闇慈に近づき、目をキラキラさせながら尋ねた。闇慈は少し動揺したがコクッと頷き了承した。
「コ、コホン。では今後貴方の事は、アンジ様と呼ばせて貰いますわ。それと今後は敬語で話さなくていいですわ」
「敬語ではなくて良いのですか?」
「わたくし良いと言ったのだからいいのです!!」
「・・・分かった。じゃあこれからはよろしくね?レイヴェル」
「ふ、ふん」
そう言うとレイヴェルは顔を少し赤くしながら、その場を去って行った。今度はイッセーに挨拶をしに行ったのだと思う。
「何だかよく分からない娘だな・・・後はどうしようかな?」
闇慈が飲み物を飲み干し、グラスを置くとここで光子状態の黒羽から知らせが入る。実は闇慈は小猫のことが心配で仕方なかったのか黒羽に見張りをさせていた。
(闇慈様。小猫様が一人で会場を出て、森に向かいました)
(一人で森に?・・・嫌な予感がする!知らせてくれてありがとう、黒羽)
闇慈は入り口の監視に小猫の特徴を教え、何処に行ったか尋ねるとその方向を教えてくれた。闇慈は翼を広げるとその方向へ飛び立った。
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