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八条学園騒動記

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第二百四十七話 大成功その九


「いいわね」
「はい、階段の成功を見て」
「それからですね」
 そんな話をしてだった。
 彼等は明香のその見せ場を見る。すると。
 彼女はだ。ゆっくりと階段を降りていく。 
 一歩一歩着実に降りていく。その動きはだ。
 静かなだけではない。優雅で気品のあるものだった。それでいて傲慢なところは全くない。まさにアラベラとなってだ。階段を降りてだ。  
 マンドリカの前に来た。そうして最後の歌を歌うのだった。
 幕が下りた。それが終わるとだ。
 観客達がだ。万雷の拍手で迎えた。
「ブラボーーーーーーーーーー!」
「よかったよ!」
「最高の舞台だったよ!」
「最高だったわ!」
 全員でだ。こう言うのだった。
 そしてだ。花束が舞台に投げられる。そこにカーテンロールが来た。
 明香が出る。すると観客席のボルテージがさらにあがった。その中でだ。
 明香は何度も頭を下げる。微かに微笑んでだ。
 それが三十分も続きだ。それが終わってからだった。
 彰子も他の歌手達もカーテンコールを受ける。舞台は大成功だった。
 ナンシーもだ。それを見届けてこう言うのだった。
「記事、決まったわ」
「大成功ね」
「こう書くのね」
「ええ、そう書くわ」
 会心の笑みでコゼットとパレアナに答えたのだった。
「確実にね」
「そうよね。この舞台はね」
「それだけの価値があるわよね」
「凄かったわ」
 ナンシーの声はうわずってさえいた。
「本当に予想以上だったわ」
「確かに。ここまでなんてね」
「私もちょっとね」
 二人も言う。
「想像しなかったし」
「それどころか」
「絶対に失敗するって思ってたし」
「それがだから」
「予想以上だったわね」
 また言うナンシーだった。
「嬉しい誤算よ」
「嬉しい誤算」
「それなのね」
「その通りよ。それを書くから」
 記事にだというのである。
「本当にね」
「そういうことね。それにしても」
「満足したわ」
 二人もにこやかに言う。
「この舞台、よかったわ」
「最高の舞台になったわね」
 そう思ったのはだ。二人だけではなかった。
「ううん、本当に意外だったけれど」
「最高の意外ってことかな、これって」
「だよな、よかったし」
「それなら」
 こういう評価だった。そうしてだ。
 先生はだ。裏方のスタッフ達を連れてその居酒屋に入った。やはり打ち上げはそこしかないとだ。先生が強力に推した結果である。
 そこでだ。全員でだ。乾杯してからだ。
 円卓を囲んで全員で飲む。その中でだ。
 先生は満面の笑顔でだ。こう言うのであった。
「よかったわね」
「確かに。最高の結果になりましたね」
「これで」
「何もかもがよかったですね」
 スタッフ達も口々にこう話す。
「いや、本当に」
「特にあの二人ですね」
「小式姉妹」
「やっぱりよかったですよ」
「あの二人はやれると思ったわ」
 先生は白ワインを大ジョッキで飲みながら言い切った。
「絶対にね」
「それでよしって言ったんですか」
「あの二人の提案を」
「最初はね。確かに驚いたわ」
 先生もそのことは否定しなかった。 
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