八条学園騒動記
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第二百二十六話 アイヌ料理その三
「アイヌ料理の店とか」
「探せばあるでしょ」
「どっかにな」
「レシピも探せば出るか」
カムイは腕を組んで考える顔になって述べた。
「それも」
「だからよ。調べればいいじゃない」
「こっちも興味あるしな」
「熊とか鹿だな」
これは外せないといった感じだった。
「それも出るかな」
「それはわからないけれどね」
「とにかくまずは調べるんだな」
「アイヌ料理な」
カムイは腕を組んで言う。
「北海道料理がそうじゃなかったんだな」
「っていうかあんたって」
「何度も聞くけれどアイヌ人なんだろう?」
「アイヌ人っていってもな」
カムイは二人にそのアイヌ人についても話すのだった。
「あれだぜ。日本人との混血がな」
「ああ、相当進んでたんだっけ」
「殆ど同じ民族になってるって話だな」
「日本人。まあ大和民族だな」
この名前はこの時代も残っている。日本という国を構成する主要民族である。
「日本人って昔から混血とか抵抗なかったからな」
「それでアイヌ人ともなのね」
「混血してたんだな」
「ああ、そうなんだよ」
こう話すカムイだった。
「俺にしてもそれでな」
「あんたも日本人の血が入ってるのね」
「それでか」
「日本人以外にも色々だけれどな」
これは連合の人間なら誰でもである。連合はとにかく混血が進んでいる。それはアイヌ人も同じであるのだ。金髪や黒い肌のアイヌ人もいるのだ。
「それはな」
「そうなのね」
「それはなんだな」
「そういうことだよ。俺のひい婆ちゃんメキシコ人だしな」
ここではじめてわかるカムイのルーツだった。
「何かひいひい爺ちゃんの一人がコロンビア人だったみたいだしな」
「まあ私もお婆ちゃんの一人南アフリカ出身だし」
「あたしもケニア人の親戚いるしな」
ジュリアとロザリーにしろである。やはり連合の人間だった。
それでだ。カムイも話すのだった。
「だからな。アイヌ民族っていってもな」
「名前はそうだけれど、なのね」
「あやふやになってるんだな」
「ああ、そうだ」
まさにその通りだというのである。
「日本人だってそうだしな」
「じゃあ殆ど日本人と同じなのね」
「そうなんだな」
「そういうことだよ。それで料理だってな」
混血は即ち結婚である。それならば料理もまた一緒になってしまう。それでアイヌの料理もかなり混ざっているのであった。
「日本のが入ってるよな」
「そういうことか」
「つまりは」
「そうだよ。只でさえアイヌと日本は兄弟国家だしな」
それだけに交流は深い。琉球も交えて三国でのことなのだ。
「日本の料理も影響も受けてな」
「けれどあんたが言うアイヌ料理ってまんま日本の料理だから」
「そうだよ。違うか?」
「それでアイヌ料理って言ってもね」
「ちょっとな」
「あるのか?生粋のアイヌ料理」
カムイは二人と話しているうちにこのことを真剣に考えだしていた。
「そんなのがな」
「そりゃあるでしょ」
「琉球料理だってあるしな」
「ダンのところか」
具体的には彼であった。
「あいつ琉球料理を誇りにしてるしな」
「アイヌ人のあんただってそうした料理出せるでしょ」
「そうだろ。その石狩鍋とかラーメン以外にな」
「とりあえず探すな」
それは約束するカムイだった。
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