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八条学園騒動記

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第二百十九話 鉢合わせその二


「そっちのゲームをやるつもりだよ」
「そうなの」
「そうだよ。まあ彼女は欲しいけれど」
「あんた盗撮魔って噂あるからね」
 冷めた目になるナンシーであった。
「だから外見はそこそこでもね。女の子に評判悪いわよ」
「評判ね」
「そう、悪いわよ」 
 ジョルジュ自身にこのことを話すのだった。
「それ気をつけてね」
「それは誤解だよ」
 ジョルジュはそう言われても笑って返す。
「僕は盗撮なんかしないよ」
「堂々とよね」
「そう、堂々と撮るよ」
 笑ってこう話すのであった。
「そんなせこいことしないよ。いつも正面から堂々とだよ」
「けれど女の子はそう見ていないから」
 そうだと言うナンシーだった。
「それが問題なのよ」
「重要なのは人がどう思っているかだね」
「真実よりもね。だからあんたはね」
「まあそれならそれでいいよ」
「いいの」
「誤解する人はいるけれど真実を見てくれる人もいるじゃない」
 ジョルジュが話すのはこの現実だった。
「そうじゃないの?」
「それはね」
 その通りだと頷くナンシーだった。
「そうだけれどね」
「じゃあそれでいいよ。連合は四兆も人がいるんだし」
「そしてそのうちの二兆はね」
「女の人じゃない。結婚してる人とか外しても一兆はいるかな」
 ジョルジュは言う。
「それだけいてくれればね」
「あんたのいいところを見る人もいるっていうのね
「そういうこと」
 その通りだというのだ。
「だからね。僕もね」
「確かにそういう人はいるでしょうけれど」
「そうだよね」
「ただ。相手が今一歳とかだったらどうするのよ」
「赤ちゃんだったら」
「その娘が結婚する歳になったらあんたおじさんよ」
「あはは、そうだね」
 ジョルジュはナンシーのその言葉に話す。
「そうなったら僕はロリコンだね」
「そうよ。まあこのことはね」
「このことは?」
「私も。人のことは言えないけれど」
 自分のことを振り返ってついつい出してしまった言葉だった。考えてみればだ。自分自身も人のことは言えないのだと思いもしたのである。
「ちょっとね」
「今それヒントだね」
「うっ、確かに」
 言ってしまってから気付いて後悔する。
「そうね」
「けれどいいんだ」
「言ったことは戻らないから」
「エラーの点は帰って来ないよね」
「それよりも辛いわね」
 本当に言ってしまってから後悔している。
「かなりね」
「まあ言わないから」
「有り難う。それじゃあ時間だから」
「うん、じゃあね」
 何だかんだで仲のいい二人である。そうしてだった。
 学校の薔薇の園に向かってだ。そこの青薔薇のところに立っているとだ。彼が来た。
「先輩、すいません」
「どうして謝るの?」
「遅れました」
 後輩がだ。彼女のところに来てまずこう言うのだった。
「それで」
「遅れてないわよ」
 年上の優しい微笑みでこう返すナンシーだった。 
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